カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

生き残るには弱すぎる家族   サバイバル・ファミリー

2019-03-04 | 映画

サバイバル・ファミリー/矢口史靖監督

 東京で普通に暮らしていた一家だったが、急に電気が使えない状態に見舞われる。原因は分からないが、蓄電池に至るまで電気が使えないという設定である。もちろん街は大混乱で、仕事や学校などやってられるわけがない。父の実家が鹿児島らしく、家族で自転車に乗って東京脱出を図ることにするのだったが…。
 設定に無理があるのは分かるが、大停電というのはありうる話で、特に都市部においてこのような状況になると、大変なパニックになって当然である。そういう中でいかにサバイバルするのかというのは、お話としてはありだろう。車が動かなくなった(燃焼エンジンであても電気系統が動かない設定なので、そうなるらしい)高速道路をたくさんの人たちが自転車や徒歩で移動している。街にごみがあふれ、人々は商店から物を強奪して生き延びている。コメディなので平和的なのが気になるが、要するに多くの人が困り、そうして何万という人々が死んだことだろう。そういう決定的なことは基本的に描かれないが、とにかくこの家族は困り抜き、そうして父をはじめ段々とたくましくなっていくのである。
 結果的に家族のまとまりのようなことまで描かれているわけだが、そういうのはちょっと安易かもしれないという感じだ。実際には大変に運のよい家族という気もする。生きるか死ぬかの苦しさは、人間関係を破壊するのが普通だろう。まあ、そうであってはこの物語は成り立たないわけだが。
 面白い要素はたくさんあるが、肝心なところの詰めが甘いという印象だった。馬鹿な人間はサバイバルできない。そういう厳しさが、システムの崩れた人間社会であるはずだ。理想でなく現実に、なぜ電力などの基盤的インフラが膨大なシステムの中構築されているのかは、各人考えてみるべき問題だろう。そういうことも含めて考えると、もっと面白くなったのではなかろうか。
コメント
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