カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

自分の縄張りだったところ

2012-07-30 | 散歩

 自宅から15分ほど登ったところに清正公さま(子供の頃にはセイショコサマと発音してた)と呼んでいる神社があって、その脇の森の中に行きつけのクヌギの木があった。夏休みになると、目覚めてまずそこまで登って行くのが日課になっていた。その他にもポイントは考えてみると十数か所はあったようで、坊主の日はほぼ無かったように思う。数人のライバルがいるらしいことは知っていたが、取り合いになってもおこぼれくらいは獲得できるくらい供給サイドにも余裕があったのだろう。
 樹液を吸っているものをそのまま捕まえるというパターンが基本だけど、いなければ木を蹴って枝から落ちる音がする方向を探す。ほとんどはカナブンが大量に飛び立つか、時にはスズメバチなどが襲ってくる場合もあるので注意が必要だった。また木の皮の間にヒラタなどがひそんでいる場合があって、ナイフなどの道具も必需品だった。耳を澄ませてカサカサする葉音を丹念に見分けることも重要で、木に人が近づく前に地面に落ちてしまう警戒心の高い奴も見落とさないことも大切だった。音が無くてもある程度はまわりの地面をなめるように観察したり、少し掘ってみたりもしていたようだ。コクワやメスは問題外だったので、見つけても持ち帰らない。水牛と呼んでいるもの(いわゆる普通のノコギリ)やミヤマなどはかっこいいのでとりあえずは全部持って帰る。もちろんヒラタも大きいものなら珍しいので自慢ように持ち帰る。しかしながらこれはコレクションが増え過ぎても飼いきれないので、交換用とかあえて太っ腹に友人の分ける用とか、そういう感じでためていたように思う。カブトムシは基本的に贈答用で、自分で飼うのを趣味としていなかった。最初の頃はカブトムシでも遊んでいたように思うけど、だんだん飽きてしまったのだろう。それになんと言ってもクワガタの造形は本当にカッコよくて、いくら眺めても飽きなかった。威嚇してノコギリを高く振り上げるしぐさも可愛くてカッコいい。ワザと尻を弾いて怒らせて、力くべしたりして飽きずに遊んでいたものである。
 子供が小さい時には喜ぶかもしれないと思ってまた近所をうろうろしたのだが、子供の頃のように獲れることは無かった。数が減ったのもあるのかもしれないが、若いお父さんや自衛隊さんなどが、夜や早朝に取ってしまうものらしい。
 ある時珍しく職場近くで数匹ゲットしたので、小さな箱に詰めておみやげにすることにした。帰りがけに少し寄るところがあって車に置いていたのが悪かったらしく、戻ってきたらぜんぶコロリと死んでしまっていた。パチンコして車の中の子供が死ぬはずである。可愛そうなことをしてしまったという罪悪感で、それからは一切虫取りはしなくなってしまった。
 それにしても朝夕になると子供そっちのけで山々をうろうろしているのは若いお父さんらしい人たちばかりで、子供が虫籠下げて歩いている姿は見なくなってしまった。僕のライフ・スタイルに現れないだけかもしれないが、夏なのに寂しい感じがするものである。
コメント (2)
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