楸生ふる片山蔭

2008-08-10 | 【樹木】ETC
 【新古今和歌集】
 楸生ふる片山蔭に忍びつつ吹きけるものを秋の夕風(俊恵法師)
 楸は「ひさぎ」とよむ。キササゲ(木大角豆)の別名をもつノウゼンカズラ科の落葉高木である。梅雨の頃、枝先にに円錐形の花序をつける。とりたてて感興をよぶ木とは思えぬ。だから、いつのまにか、秋の風が吹き出すという自然の静かなうつろい、特になにもない夕べの穏やかなひとときの雰囲気が、この歌から感じられる。