一期は夢よ

2010-08-04 | 読書
●古典の愛とエロス/出口裕弘著/朝日新聞社/1992年8月1日発行/1500円
 著者は、この本に「恋の大事」の気分でのぞんだと言う。
 わが国古典に表現されている色恋の諸相が綴られ、なんとも魅力的な一書となっている。
 作品としては、古事記、蜻蛉日記、源氏物語、更級日記、それに蕪村の句などがとりあげられている。読むのを中断している「蜻蛉日記」をもう一度手にしようか、「とはずがたり」を読み始めようかなどとの思いにさせる。
 色恋と言っても、それぞれの時代の影響が大きいななどとも思わされる。
 さて、本書で取り上げられていた閑吟集から。
 「何せうぞ 燻んで 一期は夢よ ただ狂へ」