梶哲日記

鉄鋼流通業会長の日々

息子のこれから(その2)

2017年02月11日 08時27分40秒 | Weblog
息子には教育係りがいます。22年前に入社して、営業一筋でわが社を支えた社員。息子が二年前にわが社に入ると決まった時から、その社員が息子の教育係りとなりました。息子より26歳年上ですので、親のような年回りでもあります。

息子は二年前から、わが社の社内懇親会や研修会などに、出来る範囲で参加するようになりました。その連絡や調整は全て教育係りを通して行い、時に厳しいことも言うのも彼です。このもう一つの関係式があったお陰で、私と息子の関係が険悪にならずに、何とか保たれたのだと思います。

42年前のことです。私は大学を卒業して、直ぐ父の会社に入りました。私の息子と同じように大学の三年になる頃、父の会社に入ることを決めました。何処かに修行に出ることもなく、梶哲商店で社会人のスタートを切りました。そこまでは、私と息子は全く一緒です。

しかし、私の入社後の教育係りは父でした。カリキュラムは全て父が作りました。体格が良く大学では相撲部に入り、自ら海軍に志願して、終戦後ゼロから会社を興し、成功体験のあるワンマンの父に、私は口答えを一切しませんでした。威圧や強制力を感じ、そんな父に逆らえなかったのが本音です。

かといって私は強烈に自分がしたいことがあった訳でもなく、物心付いた頃から家業である鉄屋の仕事を身近に見て来たので、親の会社以外に選択肢がなかったのも事実です。その反面ちょっとした自尊心もある。そのような観点では、息子と私は同じかもしれません。

親は自分の実現出来なかった思いや、叶えられなかった夢まで、子供に押し付けようとする傾向があります。勉強嫌いだった親が、子供に「勉強しなさい」と言うのもその典型です。素直さが少しでもある子供は、それに何とか応えようとするのでしょうが、そこに子供の本心や自立心は隠れてしまいます。

3月一杯までは、息子はバイトとして現場に入ることは決まっています。実の親以外で、親のような存在であるその社員の教育係りも、自分が不得意とする、特に製造現場の仕事は、更に息子に経験を積んでもらいたいとの思いはあるようです。

では4月から、正社員となる息子に実際何をさせるのか。大きな課題もあります。しかし私は、この3月まで含めれば延べ半年以上、楽ではない現場から逃げ出す事もなくやって来たことを、先ず評価したいとそう捉えています。現場の仕事を覚えるとかスキルが身に付いたとかよりも、耐えられるかどうかだけ、私は見て来ました。

例えば4月から営業に同行してお客様を回った時に、改めて現場の経験が必要になったら、息子がそれを自覚して現場でまた学ぶ。それも一つの方法です。現場や営業以外にも、社内ではその他の業務も多くあります。

本人の意志とやる気を引き出せるカリキュラムであれば、教育係りの社員に、全て任せたいと考えています。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする