梶哲日記

鉄鋼流通業会長の日々

自分の恥部を

2011年02月19日 06時57分19秒 | Weblog
訪問介護サービスを行なっているある大手の会社の社長を囲んで、数名でその社長の話しを聞く機会がありました。その会社はスタッフの人数が約7500名、拠点数が約360ヵ所、年間売上が約200億円とのことですから、この業界では最大手になるのかもしれません。

その社長の歳は私より一つ下ですから、57歳です。大分以前、実はこの社長とは、ある勉強会で知り合って名刺交換をしたことはあるのですが、じっくり話を伺ったのは今回が初めてのことでした。

この仕事を始めようとしたきっかけは、経営雑誌で訪問入浴サービスの記事を見た瞬間、殆どひらめきで、これを自分の仕事としようと決めた。まあ、凄い方です。それも昭和58年と言いますから、この仕事が世の中で未だ認知されていない時代だったと思います。

それからがまた凄いのです。創業から9年間は赤字だったそうです。しかしさすがにご本人もギブアップし、友人にその仕事を辞めることを打ち明けたそうです。その友人曰く「ここで辞めたらこの仕事で、二度と成功することはないぞ。それでいいのか」と言われ目覚め、迷っていた自分を吹っ切れたそうです。

それから紆余曲折、艱難辛苦はあったことと思いますが、その時の決意が今日この様な会社にまで発展したのですから、諦めないことの計り知れない底力を、その社長を通して目の当たりにしました。

しかしその社長が更に熱く、本音で語ってくれた内容に、私は変な競争心を捨てました。自分のこれまでの人生は、『失敗と、恥と、人の出逢いである』と。実に人間臭く、この人が大企業の社長なのかと思える程の親しみが湧いてくる社長でした。

『どんな経験をして来たかではなく、その体験を自分がどう受け止めてどう行動したかが大事で、それが無くして何を体験したかは無意味である。息子を亡くし、あの赤字があったから、今の自分と会社があり、逆境が自分を育てた。願いは叶う、それも将来ゲットした完了形で想い続けなさい』。その社長の教訓は書き切れません。しかしこれ程自分の恥部を人前で話せる方に、私は会った事がありません。
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