人生成り行き、馬まかせ(目指せ回収率90%)

好きな言葉は『番狂わせ』。
競馬にドップリ浸かっている還暦オヤジ゛の泣き笑い雑記

夢であっておくれ!

2006-12-15 22:30:12 | お笑い

 僕は年末になると無性に聴きたくなる落語が二席ある(高田文夫先生も日刊スポーツで全く同じようなことを書かれていたが・・・)
 ひとつは『芝浜』。僕はこの噺が特に好きである。知らない方のためにこの噺をかいつまんで説明する。目も利き腕もいいが、酒に身を持ち崩して商売を怠けている魚屋「魚勝」がいる。その魚勝がいつものように酔っ払って寝ていると女房にうるさく懇願され、渋々魚河岸へいくことに。しかし時間が早すぎたため、まだ市が立っておらず、波打ち際の海水で顔を洗おうとする魚勝。するとそこにお金がずっしり入った財布が・・・。魚勝はそれを拾って家に飛んで帰る。財布の中は50両あまりの大金。一生遊べて暮らせるだけのお金だ。魚勝は女房にすすめられ、友達をたくさん集め飲めや歌えの大騒ぎをする。そして、酔いつぶれ・・・。
 翌日、目が覚める魚勝。魚河岸へ行けとせがむ女房。「行くもんか、金はある」「なんのこと?」「昨日財布を拾ったろ」「おまえさん、夢でもみたのかい? 昨日河岸なんか行ってないよ。お金もないのに飲めや歌えの大騒ぎしただけ」「えっ、夢?」「情けない、すまねぇ、かかぁ。俺はもう酒をやめて一生懸命働くよ」
 元々腕には定評のある魚職人である魚勝、酒を断って仕事に励むと三年目の大晦日には小さい店を持ち、借金ひとつない暮らしになる。「働くのがいちばん」と口にする魚勝の前にそっと財布を出す女房。「おまえさん、覚えはないかい?」「だって、あれは夢じゃ・・・」「遊んで暮らすというお前さんの心が怖くて、夢と偽ってお上に届けたんだよ。しかし落とし主不明でお下げ渡しになっていたの。お前さん騙してごめん」いったんはカッとなり、手を上げる魚勝。「ぶって!ぶって!」涙声で訴える女房。だが、魚勝は女房に感謝する。「ありがてぇ、お前が機転を利かせてなかったら俺たちどうなっていたかわからねぇ」外から聞こえる除夜の鐘。ここで女房が「おまえさん、3年ぶりに一杯やらないかい?」魚勝も「ありがてぇ」そう言って杯を口元まで運ぶ。そして
「よそう。また夢になるといけないから」
 人情味溢れ、大晦日の風情たっぷりの名作である。昔の人は三代目桂三木助がいいというが、僕は立川談志師匠の『芝浜』を聴いて号泣したことがある。他には柳家小三治、柳家さん喬がオススメ。
 もうひとつは『文七元結(ぶんしちもつとい)』。この話も借金絡みの噺である。腕のいい左官職人長兵衛は家族を顧みず博打に嵌っている。見兼ねた一人娘のお久は吉原の妓楼・佐野槌に自分の身を売って父親の更生資金を調達しようとする。長兵衛は佐野槌の女将から呼び出しをうけたものの、博打に負けて寒空に身包み剥がれて法被一枚で帰宅したばかり。そこで長兵衛は女房の着物を借りて駆けつける。その格好を見て笑う女将。女将は見栄をはる長兵衛を諭し、博打をやめて稼ぐならと50両を渡す。「返済は1年後の大晦日。それまではお久を預かって稽古事をさせておくが、一日でも遅れたら、あたしも鬼になる。お久に客をとらせるから、そのつもりでいておくれ」
 さすがの長兵衛も女将の意見が身に染みる。「お久、勘弁してくれ」そう言い残し、お金を懐に入れ、我が家に戻ろうとする。ところが途中、吾妻橋から隅田川に身投げようとする若い男と出くわす。事情を聞くと、お店の金50両をスリに奪われたという。「死んだところでお金は出ない」と説得するが、若い男は思いつめている。“どこのだれだか、見殺しにはできない”しかし、“懐の金をこいつやれば、娘は・・・”悩む長兵衛。しかし“お久は女郎にされても死ぬわけではない”と決心し、お金を渡すことにする。だが、ここでもうひとつ問題があった。50両をもっているにはあまりにも酷い身なりなのである。“へんに疑われては・・・”そう思った長兵衛はお金のいきさつを語り、投げるように与えて駆け去る。
 お金を貰った若い男・文七が奉公先の鼈甲問屋・近江屋に戻ると、奪われたはずのお金が届いている。お得意先に忘れていたのだ。「大変、あの方の娘が女郎にされる」叫ぶ文七に旦那が「なぜ、お金を貰ったのに名前をきかなかった?」「だって、逃げちゃったんです」「変だね、金をくれて逃げるなんて・・・」そんなやりとりがあって長兵衛を探すことに。文七の断片的な記憶からまず佐野槌が割り出され、義侠の男が長兵衛と知れる。そのころ、長兵衛夫婦は大喧嘩。「娘を売った金を博打に使ったんだろう!」金を恵んだなんて信じない女房。しかし近江屋と文七がやってきてすべてが明らかになる。近江屋はお金を返し、お久も身請けして長兵衛に引き渡す。よって長兵衛一家は喜びの涙にくれる。
 そしてのちにこの文七とお久が夫婦になり、麹町にお店を開いて彼らが考案した髷結びの「文七元結」がたいそう売れたという一席だ。
 人の情と心の温かさいっぱいの人情噺。この噺は多くの名人が音として残している。六代目三遊亭圓生、五代目古今亭志ん生、八代目林家正蔵(彦六)らがそうだが、僕は三代目古今亭志ん朝をオススメする。とにかくこの二席の噺は心が洗われる。ギャンブル、酒に明け暮れた皆さん、是非聴いてみてください。騙されたと思って・・・。
 では明日の予想。まずは中京で行われる【愛知杯】。いつの間にやら国際レース、それも牝馬になっている。ハンデ戦はトップハンデから。3番レクレドール、5番コスモマーベラス、14番アドマイヤキッスが56㌔で並ぶ。実力を考えれば3冠すべて1番人気のアドマイヤで、現在の勢いではコスモなのだろう。しかし人気を考えればレクレドールが面白い。【クイーンS】3着、【札幌記念】2着はここに入っても引けはとらない。相手は素直に前述のアドマイヤ、コスモ、それにソリッド。アドマイヤに3㌔貰いは有利だ。他では中山2R16番ゲラウトマイウエイ(ダート替わり)、同12Rはナイトアットオペラ(鞍上、ハンデで人気が落ちるので面白い)。阪神11Rは13番サクラビジェイ(トップハンデだが、腕っ節の強い熊沢騎乗で心強い)。同12Rは7番アグネスネクタル(ダート底見せていない)。
 
今年の競馬もあと2週。成績はここ数年でも考えられない程の負債を抱えてしまった。もうそれを取り戻すことはほとんど不可能である。できることなら、明日起きたときに全てが夢であってほしいと思っている。「かかぁ、酒持って来い!」

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