風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

「才能のあるヤツはなぜ27歳で死んでしまうのか?」

2021-07-06 | 読書

アメリカ、イギリスのロックシーンには
「27クラブ」という言葉がある。
異彩を放つ早世アーティストたちの何人かが
なぜかみんな一様に27歳で命を落としているためだ。
ブライアン・ジョーンズやジャニス・ジョップリン、ジミヘン・・・。
まだまだたくさんのアーティストが27歳で早世している。
いつしか「才能あるヤツは27歳で死ぬ」ということが
ある意味運命であり、クールなこととして伝説になり始めた。
本当か?

そのひとりひとりを丁寧に取り上げ
果たしてそれはクールなことで、運命なのか・・・ということを
本書に認めたのは、
なんとあのロックバンドKISSのフロントマンであるジーン・シモンズ。
それも驚きで、本書を読もうと思った理由のひとつとなった。

本書によると、取り上げたアーティストたちのほとんどが
一般的には破滅型の天才であり、酒とドラッグで命を落とし
その結果伝説となったと思われているのだが
実は彼らのほとんどが真面目にファンの期待に応えようとし、
あるいは人並みの幸せを求めようとして
その結果不幸にも命を「落としてしまった」のだという。
オーバードーズで亡くなったブライアン・ジョーンズを例に挙げると
ローリングストーンズは「不良」のポーズを求められた。
酒とタバコとドラッグは彼らのアイコンだった。
「悪いこと」をすることでファンは彼らに熱狂した。
忠実にそれに応えた結果のオーバードーズだったというのだ。
そう考えると、人気に怯え、不器用な姿が浮かび上がってくる。
ジャニスは愛する人と静かな人生を望んでいたが
やはりプレッシャーに押しつぶされ、愛した人も去ってしまって
ますますヘロインに溺れていったのだという。
そこには彼女に持っていたイメージとは正反対の
かわいい女性像が想像できる。
ジム・モリソンは厳格な軍人だった父親に反発した姿勢が
カウンターカルチャーのトップランナーと見られていたようだが
実はエディプスコンプレックスに悩まされていたようだ。
それもファンが抱くイメージとは大きく違う。

ジーンが言いたかったのは
「彼らを早世に追い込んだのはファンや環境」だということ。
それがたまたま27歳だったというだけなのだ。
いや、もしかするとそういう生き方の限界が27歳なのかも知れない。
いい意味での鈍感力が生き残るためには必要なのかもと
本書を読んで感じた。
(ミック・ジャガーやキース・リチャーズのように)

ところで本書の翻訳は、もう少し何とかならなかったのだろうか(^^;
ほぼ直訳で読みにくいこと甚だしい。
散りばめられた、英語特有のメタファーも含め、
ところどころ、何を言いたいのかわからないところがあった。
ジーン自身による前書きは
半分ほどで読むのを諦め、残りはとうとう読み飛ばしてしまった。
それが残念。

「才能のあるヤツは
 なぜ27歳で死んでしまうのか?」ジーン・シモンズ:著 星海社新書
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