風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

「茶の湯名言集」

2012-09-25 | 読書
茶の世界は哲学
ということを改めて認識した1冊。
侘茶を創想した珠光や確立した利休の言葉は
茶の世界のみならず、趣味は元より仕事の上でも、
あるいは人生を歩んでいく過程においても
足元を照らす一筋の光となる。

「月も雲間のなきは嫌にて候」(珠光)

「上はそそうに、下を律儀に。
 物のはずのちがはぬ様にすべし」(珠光)

「夏はいかにも涼しきやうに
 冬はいかにもあたたかなるやうに
 炭は湯のわくやうに、茶は服のよきやうに」(千利休)

「茶の湯は古木を二つに割たる様なるべし」(千利休)

うーむ、真髄だ。

しかし、ひとつの世界を作り上げた珠光や利休の言葉は
ひとつの哲学として心に残るが
その後を次いだ人たちの言葉は茶の世界から脱していない。
どちらかといえば「How to 茶道」を語っているのだが、
残念ながら(少なくともワタシの)心には響いて来ない。
やはり自分にとっての「茶」は「茶道」ではなく
基本的に「数寄者の茶」なのだろう。
そして、これまたたぶん自分は
武者でも、国を動かす実力者でも、権力者でもないし、
大成者になることや、茶名を挙げることも
まったく望んでいないことを改めて自覚した。
自分で茶を楽しめればそれでいい。
利休も言っている。
「なるはなし ならぬはなさず 成ままに
 すく数寄者こそ すきのすきなれ」
(できることはし、できないことはしないあるがままが数寄者)

「茶の湯名言集」田中仙堂:著 角川文庫
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