「アンケート」乱発時代だ。テレビでは毎日のように「アンケート」を利用して番組をつくっています。どこどこで、100人に聞きました。会場のお客様100人に聞きました。雑誌の購読者2000人のアンケートや全国の女性10000人に聞いたアンケートなどなど、テレビをみたり、このようなアンケート結果を聞いた人々は、「あぁ、そうか」というように何となく”納得”します。そして、「アンケート」イコール調査、世論調査もマーケティング・リサーチも、ほとんどの人は、「アンケート」だと思っています。
また、企業人やマーケティングをやっている人の多くも、マーケティングをマケティング・リサーチだと思っていたりします。その多くが「アンケート」をすれば”何かがわかる”から、アンケートをするのだと思っています。インターネットなどで、気軽に、あまりお金がかかることなく「アンケート」ができることが、余計マーケティング・リサーチや市場調査を誤解させる理由になっています。
調査の本質やマーケティングとは何かについて、深く勉強したり、考えたりしないリサーチャーやマーケターは、アンケートの設計や質問肢を気軽につくります。設計や質問肢の作成いかんが大きく異なる”結果”をもたらすことを知らないからです。特に、答えてくれる相手が視認できないインターネットのアンケート調査の設計や質問肢の作成の難しさについての認識がないのです。
簡便で、速くて、安く出来るということが、市場や社会の人々の様子や考えなどの”誤解”をもたらしているということについての不安や心配より大きいのかもしれません。企業が、事実や真実から遠ざかることの危険性を認識していないのかもしれません。
「アンケート」を悪者にしないために、もっともっと調査や情報を目的的に、正しく真実や事実が得られるように、設計したり、市場や社会および日々生活している人々の様子を観察するよう努力したいものです。