吉澤兄一のブログ

お江戸のど真ん中、平河町から、市井のトピックスを日記風につづりたいと思います。

「梅の花」閑話

2019年04月10日 | Weblog
2019(平成31)年4月1日、新元号「令和」が発表された。国書「万葉集」を典拠にした(5月1日改元)元号だという。万葉集は「梅花の歌32首」の序文にある『初春の令月にして 気淑く風和ぎ 梅は鏡前の粉を披き 蘭は珮後の香を薫らす』からとった”令和”だという。


われわれが身近かに知る梅花の歌は、大宰府へ都落ちする菅原道真が 都との別れを惜しんで詠んだ『東風ふかば、匂ひおこせよ梅の花、あるじなしとて春な忘れそ』だ。万葉集の「梅花の歌32首」は、大宰師の歌人・大伴旅人の邸宅での”観梅の宴”で詠まれた歌。その下り、つぎのとおり。


明け方の嶺には雲が移り動き、松は薄絹のような雲をかけて衣笠を傾け、山の窪みには霧がわだかまり、鳥は薄霧に封じ込められて 林に迷っている。庭には蝶が舞ひ 空には年を越した雁が帰ろうと飛んでいる。ここに、天を衣笠とし 地を座として、膝を近づけて酒を交わす。 この環境や心のままの振る舞いを、どのように表現しようか。中国にもある落梅の詩だが、いにしえと現在に違いもあるまい。よろしく、この宴と園の梅花を短歌に詠もうではないか。


令月(2月)に咲く梅の花が、気をよくし、風にその香りで和らぎをもたらすという。花言葉も、高潔、上品、忍耐などで、広く日本の人々に愛でられる花だ。湯葉と豆腐料理を主とする有名な懐石料理の店「梅の花」ではない。実梅と花梅合わせると30種とも300種とも云われ、広く日本全国に植栽されている風待草や春告草でもある。梅花万歳!
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