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Carew, from "To Saxham"

トマス・ケアリ (1595-1640)
「サクサムに」より

キジやヤマウズラ、ヒバリが
君の家にやって来た、まるでノアの方舟に向かうかのように。
牛もみずから帰ってきた、
子羊とともに、殺されに。
そう、あらゆる獣が、君の家に
身を捧げにやって来た。
魚の群れもずいぶん楽しそうだった、
小川よりも皿のなかで泳いでいるほうが。
水と大地と空がいっしょになって、
君の家に貢物を用意した。

* * *
Thomas Carew
From "To Saxham"

The Pheasant, Partiridge, and the Larke,
Flew to thy house, as to the Arke.
The willing Oxe, of himselfe came
Home to the slaughter, with the Lambe,
And every beast did thither bring
Himselfe, to be an offering.
The scalie herd, more pleasure tooke,
Bath'din thy dish, then in the brooke.
Water, Earth, Ayre, did all conspire,
To pay their tributes to thy site. . . .
(Lines 21-30)

* * *
(参考)
Jonson, from "To Penshurst"
Waller, from "To My Lord Protector"

* * *
英語テクストは、Poems By Thomas Carevv Esquire
(1640, STC 4620) より。パンクチュエーションを少し修正。

* * *
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Jonson, from "To Penshurst"

ベン・ジョンソン (1572-1637)
「ペンスハースト邸に」より

そこには、ガメッジ家から名づけられた茂みがあり、
大きく育ったシカをさし出してくれる。
いつでも、友人たちを宴でもてなしたいとき、みんなで狩りをしたいときには。
川へと下るところでは、
羊、オス・メスの牛、子牛たちが草を食べている。
少し高いところの土地が、オスやメスの馬たちを産み、育てる。
すべての坂が君のためにウサギを育て、一番高いところ、
木の茂ったアッシュアー・ウッドは、
君の食卓を完成させるべく、
脇に斑点のある赤いキジを提供する。
色鮮やかなヤマウズラがあちこちの野原にいて
君の宴のためによろこんで殺される。
もし波の高いメドウェイ川で魚がとれなくても、
君の池が、貢ぎ物としてちゃんと魚を納めてくれる。
脂ののった鯉が君の網にみずから飛びこみ、
共食いに飽きたカワカマスは、
次の網や釣り針を待てないとばかりに、
律儀に一投目の網に自分をさし出す。
つやつやのウナギも、負けじとばかりに陸に飛びあがる、
釣り人の前、あるいは手のなかに。
君の果樹園には果実がなり、庭には花が咲く、
そよ風のように新鮮に、朝のように新しく。
まずサクランボ、その後でスモモ、というように、
イチジク、ブドウ、マルメロなど、みな順番にやってくる。
頬を赤く染めたアンズとうぶ毛の生えたモモが、
壁のところになっている。子どもたちでも手が届くように。

* * *
Ben Jonson
From "To Penshurst"

Thy copse too, nam'd of Gamage, thou hast there,
That never fails to serve thee season'd deer, 20
When thou wouldst feast or exercise thy friends.
The lower land, that to the river bends,
Thy sheep, thy bullocks, kine, and calves do feed;
The middle grounds thy mares, and horses breed.
Each bank doth yield thee conies; and the tops
Fertile of wood, Ashore and Sydneys copse,
To crown thy open table, doth provide
The purpled pheasant, with the speckled side:
The painted partridge lies in ev'ry field:
And for thy mess is willing to be kill'd. 30
And if the high-swoln Medway fail thy dish,
Thou hast thy ponds, that pay thee tribute fish,
Fat aged carps, that run into thy net,
And pikes, now weary their own kind to eat,
As loth the second draught, or cast to stay,
Officiously at first themselves betray.
Bright eels that emulate them, and leap on land,
Before the fisher, or into his hand.
Then hath thy orchard fruit, thy garden flow'rs,
Fresh as the air, and new as are the hours. 40
The early cherry, with the later plum,
Fig, grape, and quince, each in his time doth come:
The blushing apricot, and woolly peach
Hang on thy walls, that ev'ry child may reach. . . .
(Lines 19-44)

* * *
タイトル Penshurst
ケントにあるロバート・シドニーRobert Sidneyの邸宅
(カントリー・ハウス)。この屋敷を称えつつシドニーを称え、
同時に貴族としてあるべき姿を説く、という、いわゆるカントリー・
ハウス・ポエムの代表作。

ロバート・シドニーは、詩人フィリップ・シドニーの弟。
ライル子爵、レスター伯爵などの爵位を与えられた。

現在、ペンスハースト邸は、庭園・公園・結婚式場として
開放されている。入場有料。
http://www.penshurstplace.com/

19 Gamage
シドニーの妻のBarbaraの旧姓。

26 Ashore and Sydneys copse
現在のアッシュアー・ウッドAshour WoodとHawk's Wood
のこと。アッシュアー・ウッドはここ。
http://www.openstreetmap.org/?box=yes&bbox=
0.19552%2C51.16825%2C0.21227%2C51.17758

(Google Mapでは「ケント アッシュアー・ウッド」と
検索するとヒットする。)

現在の所有者であるド・ライル卿曰く、"Sidney's Copse" は、
アッシュアー・ウッドの近く(延長)のHawk's Woodのこと
(Penguin版Jonson, Complete Poemsの注、p.672)。

http://www.openstreetmap.org/?minlon=0.213743597269058&
minlat=51.1726913452148&maxlon=0.220363214612007&
maxlat=51.1766471862793

Ashore and Sydneys copseと単数扱いなので、上の日本語訳では、
アッシュアー・ウッドとまとめた。

40 air
そよ風(OED 8)。

40 the hours
The [early] hoursと解釈。(41行を参照。)

* * *
食べものがみずから人のところにやってくる、という17世紀イギリス詩の
定番のレトリック。ルーツは、マルティアリスやウェルギリウスなど
古代の詩人たち。

果実・野菜はともかく、動物や魚がみずから食べられるために
やってくる、というと、少なからず違和感があるところがポイント。
だから、おもしろいものとして、多くの詩人たちがジョンソンの
パターンを模倣した。(マルティアリスらものに比べ、ジョンソンは
この違和感を強調している。)

だが、このように、現実にはありえないほど人に都合のいい表現
というのは、多くの文学的創作物の定番であることも思い出されるべき。
(悲劇、自然主義もの、不条理ものなどは除く。)

身近なところでは、ハリウッドもの、ディズニーもの、日曜日の朝の
プリキ・・・・・・、仮面ラ・・・・・・など。見てすっきりする作品、
心地よい涙を流せるもののほとんどに、このレトリックの要素が
見られるはず。

いわゆる先進国では食の供給が安定し、これに対する心配や
願望があまり意識されなくなっているから、食のテーマが文学・
芸術・娯楽作品で特に深刻なものとして扱われない、というだけ。

* * *
レイモンド・ウィリアムズの『田舎と都会』第3章は、
このレトリックを、労働を隠蔽するものと解釈。
貴族階級の目に入らない世界は描かれないのだ、と。

このような階級史観的な分析・解釈もそれなりに
有効とは思うが、それ以前に、文学・芸術・娯楽
(・日常会話)においては、実際もっと多くのものが
あたりまえのように隠蔽されていることを意識すべきでは。

(トイレとか。)

* * *
(参考)
Carew, from "To Saxham"
Waller, from "To My Lord Protector"

* * *
英語テクストは A Complete Edition of the Poets of
Great Britain, vol. 4 (1793) より。
http://books.google.co.jp/books?id=w1xMAAAAcAAJ

* * *
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権力を握っている政府が合法的な政府

権力を握っている政府が合法的な政府

誰にしたがうべきかを考える時、誰が権力をもって
いるか、どんな権利や暴力により彼が権力の座についたか、
彼がどのようなかたちで権力をふるっているか、
などということを考えてはならない。そうではなく、
ただ、彼が本当に権力をもっているかどうかを
考えればよい。人に勝る権力をもっている者は、
それが誰であろうと、間違いなく神からその権力を
受けとっている。それゆえ、異議を唱えることなく、
あなたはみずからを彼にさし出し、心から彼に
したがわなくてはならない。

When a question is made whom we should obey;
it must not be lookt at what he is that exerciseth
the power, or by what right or wrong he hath
invaded the power, or in what manner he doth
dispence it, but onely if he have power. For
if any man doe excell in power, it is now out
of doubt, that he received that power of God;
wherefore without all exception thou must yield
thy selfe up to him, and heartily obey him.

(Francis Rous, The Lavvfulnes of Obeying the Present
Government [1649], p. 7)

* * *
過去の異国における思想・思考として関心を惹くものを
紹介しているのみで、わたし個人の考えではないので、
ご理解を。念のため。

英語テクストはみな散文。適宜改行を挿入している。

* * *
これは、1649年、チャールズ一世処刑後に樹立された
共和国政府への支持を訴えるための議論。ラウスは
神学的著作もある知識人で、政治的にも、議会の議長を
務めるなど人望のあった人。

ひどい議論のように見えるが、逆に考えるとどうか。
つまり、正当・正統ではない(ように見える)政府には、
いつでも誰でも(武装して)抵抗していいか? 政府が
正当・正統かどうかは誰が決める? そもそも武装抵抗は
正しいか?

* * *
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Neil (4): Rebuilding House

ニールトン・クラーク (4)
自宅改装













* * *
10年くらい前のこと、東京のはずれで、
古い1DKくらいの貸し家に住んでいたニールは、
大家さんの許可を得て、家を完全につくり替えた。

ドアをつけ替え、壁に穴をあけて窓をつくり、
天井をはずしてロフトをつくり、外壁をすべてつけ替え、
屋根を半分はずしてかたちを変えた新しいものをつけて。

* * *
画像の転載などは、なし、でお願いします。


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信仰の自由は、たがいに認めあわなくては

信仰の自由は、たがいに認めあわなくては(クロムウェル)

* * *
(1640年代の内戦中に下院議長に宛てて書いた手紙)

長老派、独立派、すべての教派が同じ信仰と祈りの精神
をもっています。この点ではみなが一致し、相違はない
はずなのですが、実際にそうではないのは嘆かわしい
ことです。信仰をもつすべての人は、本当の意味で
統一されています。これは、内面的・精神的なもので
あるがゆえに本当に栄えあることです。統一された形式に
則って信仰すること、これについては、社会の安定のため、
良心に適うかぎり、すべてのキリスト教徒が努力するでしょう。
しかし内面的な信仰にかかわることについて、わたしたちは、
同胞から光と理性に適わないことを強要されたいとは思いません。

Presbyterians, Independents, all have here the same
spirit of faith and prayer; the same pretence and
answer; they agree here, know no names of difference:
pity it is it should be otherwise anywhere. All that
believe, have the real unity, which is the most
glorious, because inward and spiritual. . . . As for
being united in forms, commonly called Uniformity;
every Christian will for peace-sake study and do,
as far as conscience will permit; and from brethren,
in things of the mind we look for no compulsion, but
that of light and reason.
(Abbott 1: 377-78; Davis 134)

---
(パトニー会談[1647] にて)

良心の自由を強く求める者たちが、何だかよくわからないが
背信だとか言って、すべての人にこの自由を与えないので
あれば、わたしにこの自由が与えられないのであれば、
わたしたちの間にあるとされる平等などがあるとは思われません。

They that have stood so much for liberty of conscience,
if they will not grant that liberty to every man, but
say it is a deserting I know not what---if that be
denied me, I think there is not that equality that
[is] professed to be amongst us.
(Abbott 1: 534; Davis 135)

---
(1654年3月20日の布告)

正当な自由を懸命に求めたのと同様、これを喜んでたがいに
与えあう心をわたしたちはもっているのか?

Have we a heart prepared to as willingly to communicate
the said Just Freedom and Liberty to one another, as we
were industrious to get it?
(Abbott 3: 226)

---
(護国卿体制下の第一議会での演説[12/9/1654])

急進派はみなこういっています、「ああ、自由がほしい!」。
だが、これを与えてみると、彼らはその自由を他の誰にも
与えようとはしません。このような状態のどこに、わたしたちが
もって生まれた自由はあるのでしょう? それはまさに相互的で
あるべきなのです。

Every sect saith, Oh! Give me liberty. But give him it,
and to his power he will not yield it to anybody else.
Where is our ingenuity? That’s a thing ought to be
very reciprocal.
(Abbott 3: 459)

---
(護国卿体制下の第一議会を解散した時の演説[22/1/1655])

人々の心の中に妙な欲望がありませんか? 彼らは、仲間たちの
良心に指を突っ込み、つねりたくってしかたがないのです。

Is there not yet upon the spirits of men a strange itch?
Nothing will satisfy them, unless they can put their finger
upon their brethren’s consciences, to pinch them there.
(Abbott 3: 586)

---
(第五王国派との会談[2/1655]にて)

なあ聞いてくれ。仲間に対する愛が足りないんだよ。わたしが
うまく仲裁しなかったら、いろんな信仰をもつ者たちが、
ナイフをもっておたがいの喉に一目散じゃないか? なあ、
再洗礼派という者たちがいるだろ。あいつらは自分と違う
信仰をもつ者の喉を、グサッ、とやりたがってる。長老派も、
長老派以外の者たちの喉をグサッ、ってな。第五王国派にしても
同じじゃないか? そういう者たちに、力を与えるわけには
いかんのだよ。

I tell you there wants brotherly love, and the several
sorts of forms would cut the throats one of another,
should I not keep the peace. . . . Why I tell you there
be Anabaptists . . . and they would cut the throats of
them that are not under their forms; so would the
Presbyterians cut the throats of them that are not of
their forms, and so would you Fifth-Monarchy-Men. It is
fit to keep all these forms out of the power.
(Abbott 3: 615)

* * *
(参考)
自由を抑圧する者に真の自由はない

* * *
過去の異国における思想・思考として関心を惹くものを
紹介しているのみで、わたし個人の考えではないので、
ご理解を。念のため。

英語テクストはみな散文。適宜改行を挿入している。

* * *
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(霜の降りた朝に)(断片)

(霜の降りた朝に)(断片)

霜の降りた朝に
君を誘い出す
灰色、虹色のなか
進む

「空が笑ってる、
風のいたずらで。
落ち葉がささやいてる、
君が好き、好き、好き。」

「教えて、聞かせて、
昨日までの君を。
話して、歌って、
これからのこと。」

「君の声、夢のよう。
君の歌、夢のよう。」

* * *
1991?
2005?
20130113
20130114
20160118

* * *
盗用・商用・悪用以外でしたら、好きにしてください。


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5+4

5+4

薔薇の花 棘つき
腰砕け 骨抜き
夢心地 泥沼
地獄堕ち 微笑み

* * *
2001?
20130113

* * *
盗用・商用・悪用以外でしたら、好きにしてください。


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自由を抑圧する者に真の自由はない

自由を抑圧する者に真の自由はない

* * *
(オリヴァー・クロムウェルに対するミルトンの忠言)

あなた自身の名誉を大切にしていただきたい。あれほどの
苦難と危険を乗り越えて成し遂げた自由、それをあなた自身が
踏みつぶしてしまうことがないよう、また他の者たちが、
ほんのわずかであれ、陰らせることのないようにして
いただきたい。自然によって定められているように、
他の者の自由を攻撃する者は、誰よりも先に自由を失い、
誰よりも先に奴隷になるのだから。

[H]onour yourself, so that, having achieved that liberty
in pursuit of which you endured so many hardships and
encountered so many perils, you may not permit it to be
violated by yourself or in any degree diminished by others.
. . . it has so been arranged by nature that he who
attacks the liberty of others is himself the first of
all to lose his own liberty and learns that he is the
first of all to be a slave.
(Milton, Second Defence [1654] in Complete Prose Works 4.1: 673)

* * *
(元軍人・文筆家ジョン・ストリーターの暴君クロムウェル批判)

わたしたちすべてを奴隷にするような暴君は、みずから
奴隷に過ぎない。なぜなら、彼は護衛なしでは表に出られない
からだ。彼は自分の影にも怯える。良心に苛まれて臆病に
なるのだ。プリニウスはいう、悪しき君主は身の安全のために
軍隊のなかにとどまるのだが、よき君主の身は、好意ある
人々に囲まれてこそ守られる、と。

The Tyrant himself that maketh us all slaves is but
a slave himself: for he cannot nor dare to go without
his guards, he is afraid of his own shaddow, when it
is his guilty conscience that puteth him in fear, he
calleth about him stronget guards, and crieth a plot
to colour all: Pliny . . . sayes that wicked princes
makes Arms their sanctuary, but good Princes make the
affections of their people to be their sanctuary.
([John Streater], Further Continuance of The Grand
Politick Informer [1654] 40)

* * *
(クロムウェルに関するヴェネツィアの駐イングランド秘書官のコメント)

新たに権力の座についたクロムウェルは、心労で完全に
まいってしまっています。さすがの彼も支配の座や繁栄に
つきものの不安にはかなわなかったようで、彼の心配・
気苦労は日々増すばかりです。

Since this new accession of dignity Cromwell has
looked utterly careworn, showing that he is not exempt
from the anxieties generally attendant on government
and great prosperity as his anxieties and worries
increase with every day.

(CSPV 29: 177, 31/1/1654; イタリック体の箇所は、
もともと暗号で書かれていた)

---
現在最高権力者の地位にある彼[クロムウェル]はとても
疑い深くなっており、彼には影が暗殺者に見えるほどです。
権力が彼に集中すればするほど、彼に対する人々の憎悪も
増しているからです。

[H]is present position renders him [Cromwell] so
suspicious that shadows appear substance to him,
while the more autocratic he becomes the greater
will be the hatred of the people towards him.

(CSPV 29: 188, 7/3/1654; イタリック体の箇所は、もとは暗号)

* * *
1653年12月、クロムウェルが護国卿(Lord Protector)として
イギリスの最高権力者となった時期の著作やコメント。

当時、ミルトンは外国語秘書官として政府の下で勤務。
(1652年頃に完全に失明。)

* * *
(参考)
信仰の自由は、たがいに認めあわなくては(クロムウェル)

* * *
過去の異国における思想・思考として関心を惹くものを
紹介しているのみで、わたし個人の考えではないので、
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* * *
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Cowley, "Swallow" (ed.)

エイブラハム・カウリー(1618-1667)
「ツバメ」(短縮版)

バカなおしゃべり屋の君、何をしてる?
こんなに朝早く、ぼくの窓のところで?
ひどい、君は奪ってしまった、
今朝、ぼくが抱いていた夢を。
それは、絶対にとりかえのきかない夢だった、
目ざめ、起きている目で見られるものなどでは。
この損失を償おうとしたって、
夢の半分でも心地よく、美しいものを、
夢の半分でもいいものを、君にはもって来れない。
君は春をもたらす、などと人はいうけれど。

* * *
Abraham Cowley
"The Swallow" (ed.)

Foolish prater, what dost thou
So early at my window do?
Cruel bird, thou'st ta'en away
A dream out of my arms to-day;
A dream that ne'er must equall'd be 5
By all that waking eyes may see.
Thou this damage to repair
Nothing half so sweet and fair,
Nothing half so good, canst bring,
Tho' men say thou bring'st the Spring. 10

* * *
英文テクストはluminarium.orgから拝借。
http://www.luminarium.org/sevenlit/cowley/
anacreontics.htm#3

20世紀初頭のテクストにある短縮版。
17世紀的な毒のある、プロクネ―とピロメーラーの
神話への言及を中心に、14行(半分以上)が
カットされている。

神話自体がかなりブラッディなもので、
しかもカウリーの表現が無駄に攻撃的だから。

* * *
(オリジナルのテクスト)

Foolish Prater, what do'st thou
So early at my window do
With thy tuneless Serenade?
Well t'had been had Tereus made
Thee as Dumb as Philomel;
There his Knife had done but well.
In thy undiscover'ed Nest
Thou dost all the winter rest,
And dream'est ore thy summer joys
Free from the stormy seasons noise:
Free from th'Ill thou'st done to me;
Who disturbs, or seeks out Thee?
Had'st thou all the charming notes
Of all the woods Poetick Throats,
All thy art could never pay
What thou'st ta'ne from me away;
Cruel Bird, thou'st ta'ne away
A Dream out of my arms to day,
A Dream that ne're must equal'd bee
By all that waking Eyes may see.
Thou this damage to repaire,
Nothing half so sweet or faire,
Nothing half so good can'st bring,
Though men say, Thou bring'st the Spring.

Cowley, Poems, (1656) より。

* * *
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写真家Ma.O.

写真家Ma.O.
ドイツの空(など)














* * *
フェニックスの神話や、ターナー、マグリット、ゴッホなどの
絵のベースは、実際に目に見えるものだったのか、と。

* * *
もう一度--


「虐殺されたヨーロッパのユダヤ人のための記念碑」
"Memorial to the Murdered Jews of Europe"

暗く、重く、表情のない碑。
明るすぎず、暗すぎない、雲のある青空。

この碑の画像は数多くあり、下のページには同様の構図の
ものもいくつかあるが、この写真がベストだと思う。
http://commons.wikimedia.org/wiki/Category:
Memorial_to_the_Murdered_Jews_of_Europe

* * *
画像はすべて(c)Ma.O.
転載などは、なし、ということでお願いします。


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de la Mare, "Bluebells"

ウォルター・デ・ラ・メア (1873-1956)
「青いツリガネスイセン」

青いツリガネスイセンがあって、風が吹いているところで
妖精たちが手をつないで輪になっているのを、ぼくはこっそり見た。
それから、小さなムネアカヒワが
近くで鳴いているのも聞こえた。

サクラソウが咲き、露がおりているところでは、
妖精たちはすぐに追い出されてしまった。
今では緑の草が新しく生えて輝き、
ムネアカヒワが呼んでいるだけ。

* * *
Walter de la Mare
"Bluebells"

Where the bluebells and the wind are,
Fairies in a ring I spied,
And I heard a little linnet
Singing near beside.

Where the primrose and the dew are,
Soon were sped the fairies all:
Only now the green turf freshens,
And the linnets call.

* * *
(ツリガネスイセン)

By MichaelMaggs
http://commons.wikimedia.org/wiki/File:
Hyacinthoides_non-scripta_(Common_Bluebell).jpg


(c)Copyright Oast House Archive
http://www.geograph.org.uk/photo/1861070

(サクラソウ)

By BerndH
http://commons.wikimedia.org/wiki/File:
Primula_veris_170405.jpg


By Teun Spaans
http://commons.wikimedia.org/wiki/File:Primula-vulgaris-flowers.jpg

* * *
スタンザ1-2のあいだの変化は、以下の通り。

青いツリガネスイセ --> 黄色いサクラソウ、緑の草
妖精が輪になって(踊って)いる --> 追い出されてどこかに行った
風 --> 露
ムネアカヒワが歌っている --> 呼んでいるだけ

これらの変化は何をあらわす?

* * *
7行目のOnlyも重要。

緑の草が新しく生えて輝いている「だけ」。
ムネアカヒワが呼んでいる「だけ」。

ふつうに考えたら、これら「だけ」でも十分楽しげなはず。

* * *
英語テクストはSongs of Childhood (1902) より。
http://www.gutenberg.org/ebooks/23545

* * *
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Emerson, ("Let me go where'er I will")

ラルフ・W・エマーソン(1803-1882)
(「どこに行こうと」)

どこに行こうと、
いつも空で生まれた音楽が聞こえる。
それは古いものすべてから聞こえる。
新しいものすべてから聞こえる。
きれいなものすべてから、汚いものすべてから、
楽しげな歌が鳴りひびく。

それは、バラのなかにだけ、
鳥のなかにだけ、あるのではない。
虹が輝いているところにだけ、
女の人の歌が聞こえるところにだけ、あるのでもない。
もっとも暗く、価値のないもののなかでも、
いつも、いつも、何かが歌っている。

それは、天の星たちのあいだにだけ、
ふくらみ、咲きはじめた花のなかにだけ、あるのではない。
コマドリの豊かでなめらかな声にだけ、
雨のなかほほえむ虹にだけ、あるのでもない。
泥だろうとカスだろうと、あらゆるもののなかで、
いつも、いつも、何かが歌っている。

* * *

Ralph Waldo Emerson
("Let me go where'er I will")

Let me go where'er I will,
I hear a sky-born music still:
It sounds from all things old,
It sounds from all things young,
From all that's fair, from all that's foul,
Peals out a cheerful song.

It is not only in the rose,
It is not only in the bird,
Not only where the rainbow glows,
Nor in the song of woman heard,
But in the darkest, meanest things
There alway, alway something sings.

'Tis not in the high stars alone,
Nor in the cup of budding flowers,
Nor in the redbreast's mellow tone,
Nor in the bow that smiles in showers,
But in the mud and scum of things
There alway, alway something sings.

* * *

ワーズワースをアメリカ流にひとひねりしたような作品。
同じ内容のくり返しは、未完成の断片だから、ということで。

* * *

英語テクストは、Leaves of Life (1914) より。
http://www.gutenberg.org/ebooks/14849

次のところにも(pp. 272-73)。
Emerson, Complete Works, vol. 9 (1897)
http://archive.org/details/emersonscomplete09emer

* * *

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Clough, ("Old things need not be therefore true")

アーサー・ヒュー・クラフ (1819-1861)
(「古いことが、だからといって正しいとはかぎらない」)

「古いことが、だからといって正しいとはかぎらない」--
だが、イギリス人よ、同様に新しいことも正しいとはかぎらない。
そう、今しばらく古い考えをとっておこう。
そして、とっておくだけでなく、もう一度よく考えてみよう。

もう二千年ものあいだ、人々は
ここに積み蓄えてきた、労働と恐れを、
苦労して稼いできたものすべてを--
だが、もう一度よく考えてみよう。

わたしたち? わたしたちに何が見える? それぞれ、
目の前の数ヤードの空間くらいだ。
それで広い世界について何がわかる?
そう、もう一度よく考えてみよう。

ああ! この大きな社会はみずからの道を進む。
そして日が変わるごとに、何が正しいか、新しく決める。
人々はそれを捨てないが、とっておくこともない。
ましてや、それをふたたび考えたりなどしない。

* * *

Arthur Hugh Clough
("Old things need not be therefore true")

"Old things need not be therefore true,"
O brother men, nor yet the new;
Ah! still awhile the old thought retain,
And yet consider it again!

The souls of now two thousand years
Have laid up here their toils and fears,
And all the earnings of their pain,---
Ah, yet consider it again!

We! what do we see? each a space
Of some few yards before his face;
Does that the whole wide plan explain?
Ah, yet consider it again!

Alas! the great world goes its way,
And takes its truth from each new day;
They do not quit, nor can retain,
Far less consider it again.

* * *

6 laid up
畑の山の列(畝)として(土を)積む(OED 60b)。
(安全なところに)蓄えておく(60c)。
埋める(60f)。

6 fears
(おそらく)わかりやすさとToilsとの頭韻のため、
tearsとしている版もあるが、fearsのほうが正しいと思われる。

9-10 each a space / Of some few yards
= each [sees] a space / Of some few yards

11 explain
見せる(OED 2b)。詳細を示す(3)。
意味を与える(4a)。

12 plan
(この世界の)設計図、(この世界がつくられたときの)
計画(OED 2-3)。視線と垂直に交わる面としてとらえられた
視界(4a)。

13 world
現世的な利害や活動(OED 2)。大地とつくられた者すべて(7a)。
星(8b)。(神に)つくられたものとしての世界(9)。
人々(15)。何らかの人々の集団(16b)。人間社会(17a)。
The great worldで上流社会という意味も(18)。

13 take(s)
選ぶ(OED 23)。選んで採用する(24)。

* * *

リズムはストレス・ミーター(四拍子)。

基本的にこのパターン。四歩格的に音節数は各行8。


3行目だけ例外。音節数的にも、拍子的にもthoughtが余計。


つまり、ある意味、この詩のクライマックス、いちばん
いいたいことは、この行の内容、「今しばらく古い考えをとっておこう」。

ポイントは、これが1行目、人の言葉の引用としてあげられている
「古いことが、だからといって正しいとはかぎらない」の正反対で
あること。

* * *

英語テクストは、Leaves of Life (1914) より。
http://www.gutenberg.org/ebooks/14849

スタンザ2はPoems of Arthur Hugh Clough (1913) から補足。
http://archive.org/details/poemsofarthurclo00clourich

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