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Clough, ("Old things need not be therefore true")

アーサー・ヒュー・クラフ (1819-1861)
(「古いことが、だからといって正しいとはかぎらない」)

「古いことが、だからといって正しいとはかぎらない」--
だが、イギリス人よ、同様に新しいことも正しいとはかぎらない。
そう、今しばらく古い考えをとっておこう。
そして、とっておくだけでなく、もう一度よく考えてみよう。

もう二千年ものあいだ、人々は
ここに積み蓄えてきた、労働と恐れを、
苦労して稼いできたものすべてを--
だが、もう一度よく考えてみよう。

わたしたち? わたしたちに何が見える? それぞれ、
目の前の数ヤードの空間くらいだ。
それで広い世界について何がわかる?
そう、もう一度よく考えてみよう。

ああ! この大きな社会はみずからの道を進む。
そして日が変わるごとに、何が正しいか、新しく決める。
人々はそれを捨てないが、とっておくこともない。
ましてや、それをふたたび考えたりなどしない。

* * *

Arthur Hugh Clough
("Old things need not be therefore true")

"Old things need not be therefore true,"
O brother men, nor yet the new;
Ah! still awhile the old thought retain,
And yet consider it again!

The souls of now two thousand years
Have laid up here their toils and fears,
And all the earnings of their pain,---
Ah, yet consider it again!

We! what do we see? each a space
Of some few yards before his face;
Does that the whole wide plan explain?
Ah, yet consider it again!

Alas! the great world goes its way,
And takes its truth from each new day;
They do not quit, nor can retain,
Far less consider it again.

* * *

6 laid up
畑の山の列(畝)として(土を)積む(OED 60b)。
(安全なところに)蓄えておく(60c)。
埋める(60f)。

6 fears
(おそらく)わかりやすさとToilsとの頭韻のため、
tearsとしている版もあるが、fearsのほうが正しいと思われる。

9-10 each a space / Of some few yards
= each [sees] a space / Of some few yards

11 explain
見せる(OED 2b)。詳細を示す(3)。
意味を与える(4a)。

12 plan
(この世界の)設計図、(この世界がつくられたときの)
計画(OED 2-3)。視線と垂直に交わる面としてとらえられた
視界(4a)。

13 world
現世的な利害や活動(OED 2)。大地とつくられた者すべて(7a)。
星(8b)。(神に)つくられたものとしての世界(9)。
人々(15)。何らかの人々の集団(16b)。人間社会(17a)。
The great worldで上流社会という意味も(18)。

13 take(s)
選ぶ(OED 23)。選んで採用する(24)。

* * *

リズムはストレス・ミーター(四拍子)。

基本的にこのパターン。四歩格的に音節数は各行8。


3行目だけ例外。音節数的にも、拍子的にもthoughtが余計。


つまり、ある意味、この詩のクライマックス、いちばん
いいたいことは、この行の内容、「今しばらく古い考えをとっておこう」。

ポイントは、これが1行目、人の言葉の引用としてあげられている
「古いことが、だからといって正しいとはかぎらない」の正反対で
あること。

* * *

英語テクストは、Leaves of Life (1914) より。
http://www.gutenberg.org/ebooks/14849

スタンザ2はPoems of Arthur Hugh Clough (1913) から補足。
http://archive.org/details/poemsofarthurclo00clourich

* * *

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