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Drummond, "The Statue of Medusa"

ウィリアム・ドラモンド
「メドゥーサの石像」

異形のメドゥーサを
見た人は石になってしまったというが、
これはその彼女の姿を彫った石像ではない。
そう、これはメドゥーサ本人。
ある暑い日、
彼女は水を飲もうと泉にやってきた。
そして水に映る自分の恐ろしい頭を見て、
そのまま麻痺して固まって、この石になってしまった。

*****
William Drummond
"The Statue of Medusa"

OF that Medusa strange,
Who those that did her see in Rocks did change,
No Image carv'd is this;
Medusa's selfe it is:
For while at heate of Day
To quench her Thirst She by this Spring did stay,
Her hideous Head beholding in this Glasse,
Her Senses fail'd, and thus transform'd she was.

https://quod.lib.umich.edu/e/eebo/A36573.0001.001

*****
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From Corbett, "To Mr John Hammond"

リチャード・コーベット
「五月祭の柱を倒したビュードリーの牧師ジョン・ハモンドに」より

いうがいい、何という呪わしい誘惑、何という
いやらしい刺激を、あのみっともない踊りはもたらすのか。
思慮の足りない馬鹿な子たちは、そんなつもりじゃない、という。
確かにそうだろう。だが、まさにそれゆえあの子たちの踊りを見て
我らの清らかな血は沸騰するのだ。サタンは
正しい者をより厳しく誘惑するということだ。
……………………………………
大騒ぎ、浮かれ騒ぎは誘惑の場、
地獄堕ちの危険がそこにある。
進んで誘惑に乗ってはいけないが、心が揺さぶられたら
我々だってやはり人間……
……………………………………
もしあたたかい季節の誘惑を感じて
血が沸騰しはじめて、そして
自由とお楽しみを求めてきたら、
神聖なことを考えながらそうすればいい。
女と野原を歩こう、
聖書のことを話しながら。
たとえばダヴィデとウリヤのかわいい妻の話とか、
タマルといやらしい兄の話とか。
そして手招きしているいちばん近い木陰で
すわって聖書と同じことをしよう。

*****
Richard Corbett
From "To Mr John Hammond, Parson of Bewdly
for the Beating Down of the Maypole. . . "

*****
ダヴィデとウリヤの話はサムエル記上11章2-4節より。
ダヴィデは「ウリヤのかわいい妻」バテシバを妊娠させ、
その発覚を避けるために従軍中のウリヤに家に帰れ――
つまり、妻と寝ろ――と命じたが、これに彼が従わなかったので
逆に最前線に一人で立たせて討死させた。

タマルの話はサムエル記下13章から。彼女はダヴィデの子で、
彼女のことが好きで好きでたまらなかった腹違いの
兄アムノンに(仮病の)看病のために誘い出され、
犯され、そしてなぜか憎まれ、家から追い出される。

*****
古代ローマに由来する五月祭は、
十戒の戒律1「神はキリスト教の神だけ」、
3「神の名を使うな」(祭りで暴れて罵る時に)、
4「安息日を守れ」(安息日に異教の祭りをするな)、
7「姦淫するな」(軽い気持ちでデートするな、ナンパするな)、
にそれぞれ反するから禁止、
というのが17世紀前半のピューリタンの議論。

そんな聖書原理主義的な理由で五月祭を妨害した
牧師ハモンドに対する皮肉・諷刺。

その1
本当はエッチなことしたいんじゃない?

その2
本当に聖書をすみずみまで読んでる?

コーベットはノリッジの主教。つまり国教会の役職者。
国教会内部に対立があったということ。

*****
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Harington, "Of Table Friends"

ジョン・ハリントン
「食卓の友」

君は彼が誠実で確かな友だと思っているけど、
でも、君の家で食事した時に知りあったんだよね。つまり彼は
君の鹿や鴫(しぎ)や鶉(うずら)や雲雀(ひばり)が好きなんだ、君じゃなく。
そんなご馳走をしてくれたらぼくも友だちになってあげる。

*****
John Harington
"Of Table Friends"

You thinke his faith is firme, his friendship stable,
Whose first acquaintance grew but at your Table:
He loues your venison, snytes, quailes, larks, not you:
Make me such fare, and take my friendship too.

http://name.umdl.umich.edu/A02647.0001.001
(STC 12275 にあわせて修正)

*****
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Harington, "To an Ill Reader"

ジョン・ハリントン
「悪い読者に」

セクストゥス、君が読んでいる詩を書いたのはぼくだけど、
でも変な読みかたをするなら君の詩ということにしておいて。

*****
John Harington
"To an Ill Reader"

The verses, Sextus, thou doost read, are mine;
But with bad reading thou wilt make them thine.

http://name.umdl.umich.edu/A02647.0001.001
(STC 12275 にあわせて一部修正)

*****
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L'Estrange, "An Imprisoned Royalist"

ロジャー・レストレインジ
「自由と安らぎ:王の支持者が牢獄で歌う」

打ってこい、傲慢な波。吹きあげろ、北風、
波を高くユピテルの宮殿の高さまで。
無礼者、思い知れ、
罪なき者は嵐に負けぬ。
海神ネレウスが荒れ狂おうが、わたしの心は常に穏やか。
だからわたしを殴れ、幾多の苦しみ。打たれた傷など薬と同じ。

牢獄と呼ばれるここは
わたしにとってはただの寝室。
無罪の自信が保釈金。
罪なき心はどこでも自由。
鍵、閂(かんぬき)、壁、孤独ーー全部あっても
囚人ではない。わたしは隠居しているだけ。

隠遁したいと思っていた時に
この個室に送られた。
まるで頭を使って陰謀を練って
火の龍を火刑にするかのように。

犬儒学派はあえて貧しく生きる。
ペリカンはあえて荒れ野に生きる。
インド人はあえて眠る、
裸でコーカサスの凍った山に。
心満ちた者は痛みを感じない。ストア派は
拷問でも平気。不動の心があるから。

この手の手錠は
恋人からの腕飾りと思えばいい。
この足はあたたかい、
鉄の足かせのおかげで。
この壁はわたしを守る城壁、
この牢獄はわたしの要塞。

イアソンの命を奪った男は
恨みを晴らしたつもりだったが、
悪意という優しさのナイフで
彼を刺して癒しただけだった。
悪意というのは愚かなもの、
不幸のかわりに幸せをもたらす。

この小部屋に閉じこめられたわたしは
高価な真珠のよう。
あるいはムガル皇帝か教皇のように
大衆から隔離されている。
隠遁とは偉大なる者の特権、
つまり、わたしはスルタンと対等。

ここでは罪が飢えて死ぬ、
誘惑が何もないから。
このかたい壁が
悪を遮断しわたしを守る。
近頃の敵は優しいらしい、
投獄ではなく保護してくれる。

わたしの王が苦しむなか
幸せでいるのは、いわば反逆。
険しい道を楽にするため、
王を見て忍耐を学ぶ。
今苦しんでいない者は忠誠心が足りない。
王に安らぎがないなら臣下もそうでなければ。

小夜啼鳥を
巡礼が籠に閉じこめる。
それでも鳥はいつもの歌を
隠居の狭い部屋から歌う。
そのきれいな歌は証明する、
どんな枝でも木と同じ、籠も森と同じ。

魂は空気のように自由に飛びまわる、
からだは壁に閉じこめられていても。
心のなかに王がいれば
ひとりでも孤独ではない。
壁のなか、わたしはさえずり、歌う--
反逆者ども恥を知れ。王に栄光あれ。

王に会えなくてもいい、
ご本人に、あるいは硬貨の肖像として。
強い思いには力があるから、
そこにないものもそこにある。
王とわたしは一心同体、
王は心に刻まれている。

わたしは敵につながれた鳥、
自由がない。
だが、からだは閉じこめられていても、
お生憎さま、魂は自由。
逆賊はわたしのからだをしばればいい。
わたしの心をとらえるのは王だけだから。

*****
Roger L'Estrange
"The Liberty and Requiem of an Imprisoned Royalist"

BEat on proud Billows, Boreas blow,
Swell curled Waves, high as Iove's roof,
Your incivility doth show,
That Innocence is tempest proof.
Though surly Nereus frown, my Thoughts are calm,
Then strike Affliction, for thy wounds are balm.

That which the World miscalls a Goal,
A Private Closet is to me,
Whilst a good Conscience is my Bail,
And Innocence my Liberty:
Locks, Bars and Solitudes together met,
Make me no Prisoner, but an Anchorit.

I whilst I wisht to be retir'd,
Into this Private Room was turn'd;
As if their Wisdoms had Conspir'd,
The Salamander should be Burn'd.

The Cynick hugs his Poverty,
The Pelican her Wilderness,
And 'tis the Indian's Pride to be
Naked on Frozen Cancasus.
Contentment cannot smart, Stoicks we see
Make Torments easie to their Apathy.

These Menacles upon my Arm,
I as my Mistris's favours wear;
And for to keep my Ankles warm,
I have some Iron Shackles there.
These Walls are but my Garrison; this Cell
Which men call Goal, doth prove my Cittadel.

So he that strook at Iason's Life,
Thinking he had his purpose sure:
By a malicious friendly Knife,
Did only wound him to a Cure.
Malice I see wants wit, for what is meant,
Mischief, oft times proves favour by th' event.

I'm in this Cabinet lock't up,
Like some High Prized Margaret,
Or like some great Mogul Or Pope,
Am Cloystered up from publick sight.
Retirement is a piece of Majesty,
And thus proud Sultan, I'm as great as thee.

Here Sin for want of Food must starve,
Where tempting Objects are not seen;
And these Strong Walls do only serve,
To keep Vice out, and keep Me in.
Malice of late's grown Charitable sure,
I'm not Committed, but I'm kept Secure.

When once my Prince Affliction hath,
Prosperity doth Treason seem;
And to make smooth so tough a Path,
I can learn Patience from him.
Now not to suffer, shews no Loyal Heart,
When Kings want Ease, Subjects must bear a Part.

Have you not seen the Nightingale,
A Pilgrim koopt into a Cage;
How doth she Chant her wonted Tale,
In that her Narrow Hermitage,
Even then her Charming Melody doth prove,
That all her Boughs are Trees, her Cage a Grove.

My Soul is free as the Ambient Air,
Although my Baser Part's Immur'd;
Whilest Loyal Thoughts do still repair,
T' Accompany my Solitude.
And though Immur'd, yet I can Chirp and Sing,
Disgrace to Rebels, Glory to my King.

What though I cannot see my King,
Neither in his Person or his Coin;
Yet contemplation is a Thing,
That renders what I have not, Mine.
My King from me what Adamant can part,
Whom I do wear Engraven on my Heart.

I am that Bird whom they Combine,
Thus to deprive of Liberty;
But though they do my Corps confine,
Yet maugre Hate, my Soul is Free.
Although Rebellion do my Body Binde,
My King can only Captivate my Minde.

https://quod.lib.umich.edu/e/eebo/A48790.0001.001

*****
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Brown (tr.), Catullus 92

トマス(トム)・ブラウン(1663-1704)(訳)
カトゥルス92
(「レズビアはいつもぼくにひどいことを言う」)

I
いつも長い一日の終わりに
レズビアはぼくの不幸を祈ってくれる。
そして心から罵ってくれる。
でも、命を賭けてもいい、目を、
魂を、その他大事なものすべてを賭けてもいい。
レズビアはぼくが大好きなはず。

II
どうしてそう言える? と思うだろう。
でも、それがあの娘とぼく、としか言えない。
いつもそんな感じだから。
呪われてもいい。神が与える、人に耐えうる
すべての呪いを受けてもいい。
変だけど、ぼくはあの娘が好き、というのが嘘だったら。

*****
Thomas (Tom) Brown (tr.)
Catullus 92
("Lesbia mi dicit semper male")

1.
Each moment of the long-liv'd day
Lesbia for me does backwards pray,
And rails at me sincerely;
Yet I dare pawn my life, my eyes,
My soul, and all that Mortals prize,
That Lesbia loves me dearly.

2.
Why shou'd you thus conclude, you'll say,
Faith 'tis my own beloved way,
And thus I hourly prove her;
Yet let me all those curses share
That heav'n can give, or man can bear,
If I don't strangely love her.

http://quod.lib.umich.edu/e/eebo/A29769.0001.001
1699

*****
Sir Thomas Browne (1605-82) とは別人。

*****
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Sarbiewski, "The Praise of a Religious Recreation"

マチェイ・カジミェシュ・サルビェフスキ
(マサイアス・カジミア・サービュースキー)
「ホラティウスのエポード2番に対する返歌:
宗教的な楽しみを称える」

違います、ホラティウス、もっと幸せなのは
山のような心配ごとを棄て、
先祖代々の土地を遠く離れた人。法的な
争いには関わらず、弁護士に金を払う必要のない人です。
焦がすような夏の暑さや、冬の冷たい風で
畑がダメになったり、自分が病気になったりしない人です。
あらゆる競争を避け、欲望渦巻く
罪深き宮廷などには絶対に近づかない人です。
汚らわしい楽しみに耽って過ごした昼と夜について
深く嘆き悲しみながら生きる人です。
人の世から退き、迷子の羊のようにさまよう
己の心のかけらを探しながら生きる人です。
良心にしたがって、正しいおこないを喜び、
また過ちをきちんと償うことができる人です。
夕方、夜の訪れを告げるかのように
空に星の明かりが灯る時、
彼は神の光の訪れ、
大いなる輝きを見つめ、称えます。
とめどなく涙が流れ、だからこそ彼には見えます、
光り輝く天の宮殿が。
彼は礼拝します。ああ、キリストさま、永遠の生の
後継者たるあなたを、彼は崇め奉るのです!
星たちは金の車輪で走り抜け、
追放者である彼はその下にひれ伏します。
顔は涙にまみれ、
眠ることすら忘れ、祈り続けます。
太陽神アポロンが
インダス川で洗ったばかりの顔をのぞかせる時、
魂の底から遜(へりくだ)り、
神々の怒りを鎮めます。
太陽が輝き、空が澄みわたり、
四月の祭がはじまると、
天を見上げてばかりいた目を下ろし、
広いこの世界を見ます。
野原を見て、そして驚いて立ちつくします、
そこに輝く神の姿が見えるからです。
彼は言います、「揺れ動くすべての草が
星空めざして昇ろうとしてる。
天から遠く離れてしまい、みな泣いてる。まるで野原が
神を求めて泣き崩れてるよう。
白い花の忍冬(すいかずら)と顔を赤らめた薔薇は、
空で蔦と枝をからみあわせてる。
白い顔をして頭を垂れてる百合は
星たちに何か話しかけてる。
夜には神に静かにささやき、
朝には涙を流してる。
ぼくひとりだけ? 天からはぐれ、重荷とともに
大地に縛られてるのは?」
彼は木々に向かって、泉に向かって
こう言います。そして川に沿って走り、
偉大なる創造主の姿を追い求めます、
きれいな足跡を残しながら。
彼は、ルキスクスやネメチニのような田舎で、
明かりの灯った邸宅に住んで蜂のようにのんびり暮らします。
食卓には、実り多きベズダンの畑からの
質素な作物がふんだんにあります。
田舎には田舎のごちそうがあるのです。
雨のない八月、焼けつくように暑くても、
ちょうどドアの前、葉の生い茂る
ポプラの陰のテーブルに、
お客のためにいろんな食べものが並びます。
貝殻のなかの上質な塩や
焼きたてのパン、それから召使いの女の子が茨(いばら)から
とってきたばかり苺など。もちろん、お小遣いもあげて、です。
できたてのチーズもあって、ブリキのコップや
グラスもきれいに洗って置いてあります。
ルクリヌス湖の高級魚などは特に不要です。
大きく育った武鯛(ぶだい)や鯔(ぼら)はいりません。
丸々太った森鳩や灰色の雉鳩(きじばと)、
小川にやってくる白鳥で十分です。
舌の肥えた人にはあわない豆や
野菜がたくさんあればいいのです。
摘んだばかりの葡萄も山のようにあります。
まだ潰されてワインになっていません。
午後になると、彼は楽しげに
丘を、川岸を、
樫の木の森を、歩きます。強い南風のこない
木陰で休みます。
それから森の湖の岸に行き、
小舟を走らせます。
時には釣りもします。餌を投げこむと
釣られて楽しげな魚が糸を震わせます。
広い森にこだましています、
牛たちの太く大きな声と、
川のほうから鳴く羊たちの声が。小夜啼鳥(さよなきどり)も
茂みから悲しい物語を歌います。
羊飼いは笛を吹き、
藪に迷いこんだ羊たちを駆りたてて集めます。
畑を歩く農民たちが
ひとりひとり歌って笛に応えます。
畑の畝を凹ませながら、よく育った玉蜀黍(とうもろこし)で
山積みの荷車が通ります。小屋にあふれるほどの豊作です。
仕事が終わったら、みなひとりで帰るのではなく、
仲間たちが楽しく集まります。
もったいぶってだらだら話を引き延ばしたりはしません。
毒のない笑い話をして楽しく時を過ごします。
ちょうどいい塩加減の話をすれば、擦(こす)られても
頬が少し赤くなるだけで、むかついたりはしないのです。
あの金持ちの金貸しがこんな暮らしを目にしたら、
田舎暮らしをするために
十日過ぎにあちこちから必死で回収したお金を、
翌月の一日にまた貸しはじめたりなどしなかったでしょう。

*****
Maciej Kazimierz Sarbiewski
(Mathias Casimire Sarbiewski)
"A Palinode to the Second Ode of the
Booke of Epodes of Q. H. Flaccus:
The Praise of a Religious Recreation"
(Tr. G. Hils)

But, Flaccus, now more happy he appeares,
Who, with the burthen of his cares,
Farre off hath left his father’s ground, set free
From the fierce wrangling Lawyer’s fee;
No scorching heat, nor blasts of Winter Jove,
Doth hurt his fruit, or him can move:
Hee shuns all strifes, and never doth resort
The sinfull gates o’th’ greedy Court.
But either doth bewayle those dayes and nights,
Lost by him in prophane delights; 10
Or else retyr’d, strives to collect and find
The dispers’d flock of’s wandring mind;
Having first fairly pois’d the recompence
And gaines of a good conscience.
At evening, when the harbinger of night
The torches of the sky doth light,
How he admires th’immortall rayes breake forth,
And their bright Orbes, more large then earth;
How through his trickling teares, he heips his sight,
Unto the open Courts of light, 20
Which with thy selfe, ô Christ, thy selfe in pray’r
He’ Adores, t’Eternall life an heire!
The Starres with golden wheeles, are hurried by,
And let their prostrate exile lye,
Over whose face, the plenteous teares doe stray,
Which chase all drowsie sleepe away;
Assoone as Phœbus head begins t’appeare,
Lately in Indus streames made cleare,
From depth of soule, lesse then himselfe he lies,
And bends the angry pow’rs with cryes: 30
Or when the Sun shines cleare, the aire serene,
And Aprill Festivals begin,
His eyes, so us’d to Heaven, he downe doth throw,
On a large prospect here below:
He viewes the fields, and wondring stands to see
In’s shade the shining Deitie.
See how (saies he) each herb with restlesse leaves
To th’ starres doth strive and upward heaves:
Remov’d from heaven they weep, the field appeares
All o’re dissolv’d in pious teares: 40
The white-flowr’d Woodbine, and the blushing Rose
Branch into th’aire with twining boughs;
The pale-fac’d Lilly on the bending stalke,
To th’starres I know not what doth talke;
At night with fawning sighes they’expresse their fears
And in the morning drop downe teares.
Am I alone, wretch that I am, fast bound
And held with heavy weight, to th’ground?
Thus spake he to the neighbouring trees, thus he
To th’Fountaines talk’d, and streames ran by, 50
And after, seekes the great Creator out
By these faire traces of his foot.
But if a lightsome Country house that’s free
From care, such as Luciscu’s bee,
Or Nemicini’s, if Besdan’s fruitfull field
Can Grace to his rude table yeild,
To his plaine board with country dainties set,
In August’s dry and parching heat;
Even at his dore, under a private shade
By a thick pleasant Poplar made, 60
Provision of all sorts, expect their guest,
A shell with salt, pure and the best,
New bread, for which, ’midst the thin bryars, the Mayd
Picks Strawberries, and’s gladly payd.
Cheese newly press’d, close by, the friendly Cann
With Cup cleane wash’d, doth ready stan’.
With me the Lucrine dainties will not downe,
The Scare, nor Mullet that’s well growne;
But the Ring-dove plump, the Turtle dun doth looke,
Or Swan, the sojourner o’th’ brooke, 70
A messe of Beanes which shuns the curious pallet,
The cheerfull and not simple sallet;
Clusters of grapes last gathered, that misse
And nothing owe to th’weighty presse.
Then after noone he takes a kind of pride
To th’Hills to walke, or River side,
And ’midst the pleasant Okes, a shade doth find,
T’avoyd the blasts o’th’ Southern wind;
To th’darksome shore, by the deep poole he goes,
And through, with nimble Boat he rowes; 80
Sometimes the sporting fish, his baite thrown in,
Hee plucks up with his trembling line.
Meane while th’ spacious woods with ecchoing note
Doe answer to the Bulls wide throat,
The shady rivers bleat; the Nightingale
I’th’ bushes chirps her dolefull tale.
With’s hastning pipe the sheapheard drives away
His flocke, which through the thickets stray:
To which as from the field they passe along,
Each mower sings by course, his song; 90
O’re yeilding furrowes, carts full press’d with corne
Groane, and are like to breake the barne.
Our worke once done, we doe not silent sit,
When knots of our good fellowes meet;
Nor is our talke prolong’d with rude delay;
In harmlesse jests we spend the day;
Jests dip’d in so much salt, which rubbing shall
Onely make fresh our cheeks, not gall.
If that rich churle, this had but seen, when hee
A Country man began to be, 100
The money which i’th’ Ides hee scraped in
Next month hee’d not put out agen.

https://www.gutenberg.org/ebooks/25055

*****
ホラティウスのエポード2「幸せな人」(ベアトゥス・イッレ)に
キリスト教道徳/ネオ・プラトニズムを接ぎ木した作品。

Cf.
Jonson (tr.), "The Praises of a Country-life" (Horace, Epode 2)

サルビェフスキ(1595-1640)は、ヨーロッパ各国に
多大な影響を及ぼしたネオラテン詩人。
「ポーランド版ホラティウス」と呼ばれた。
英語訳は1646年出版。

*****
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Horace, Ode 1.11 (tr. Hawkins)

ホラティウス、オード1.11
(トマス・ホーキンズ訳)

気にするな、レウコノエ、神々が
君やぼくに用意している最期のことなど。
星占いも当てにするな、
今後のことを知ろうとして。
まだたくさん冬を越せるかもしれないし、テュレニアの波が
岸の岩に投げつけるこの冬が最後かもしれない。
賢く、何も心配せず、飲もう。こんな短い人生だから、
遠い先の希望をもってもしかたがない。
こうして話しているうちにも意地悪な〈時〉は流れ去っていく。
今日があったからといって、明日はあるとはかぎらない。

*****
Horace, Ode 1.11 (tr. T[homas] H[awkins])

Strive not (Leuconoe) to know what end
The Gods above to thee or me will send:
Nor with Astrologers consult at all,
That thou may'st better know what can befall.
Whether, thou liv'st more winters, or thy last
Be this, which Tyrrhen waves 'gainst rocks do cast;
Be wise, drink free, and in so short a space,
Do not protracted hopes of life embrace.
Whilest we are talking, envious Time doth slide:
This day's thine own, the next may be deny'd.

http://name.umdl.umich.edu/A44478.0001.001

*****
カルペ・ディエム "carpe diem" のフレーズを含む
オード1.11の英語版の最初のもの。1666年出版。
それ以前の選集に含まれていないということは、
この詩が特に評価されていなかったということ。
上記のとおり、「今日という花を摘もう」という
表現もここには入っていない。(同書にある別訳
では "Live well to day".)

OEDによれば、"carpe diem" というフレーズが
定着したのは19世紀以降。初出はバイロン。

*****
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Corbett, "The Distracted Puritan"

リチャード・コーベット
「頭のおかしいピューリタン」

フェスト閣下、わたしは狂ってるんでしょうか?
熱く信じ、神についてもよく知ってますので、
教皇と論争しても
勝てそうな気がします。
エマニュエル・カレッジのいちばんのエリートにも負けません。
みなの者、よく聞きなさい。十字架などいりません。牧師の白衣もいりません。
司教の冠もマントもいりません。
一日九回わたしの祈りを聞きにきなさい。
編みものだけをしてなさい。

聖なるエマニュエルの家で
わたしは教えを受けました。
友だちは、わたしの目はくらんでるといってました。
啓示を見てしまったから、と。
みなの者、よく聞きなさい……(以下略)

友だちは、狂ってるといってわたしを縛り、
鞭で打ちました。
神を信じてこれに耐えつつ、
わたしは確信しました、
わたしはフォックスの描いた殉教者なのだ、と。
みなの者、よく聞きなさい……(以下略)

わたしは耐えています、
そんな反キリストの輩の迫害に。
こんな鎖などはずしなさい。
ローマだって、スペインだって、
むしろわたしが征服してやります。
みなの者、よく聞きなさい……(以下略)

獣の十本の角のうち--われらに神の祝福あれ!ーー
わたしはすでに三本打ち倒しました。
このままいけば、すべて打ち倒せるでしょう。
みんなは、わたしが過激すぎるといってます。
みなの者、よく聞きなさい……(以下略)

七つの丘の町を襲ったとき、
わたしは大きな赤い龍に会いました。
その龍はわたしに手出しできませんでした。
わたしが無敵の鎧を着ていたからです。
今ではボロ服すら着てませんが。
みなの者、よく聞きなさい……(以下略)

炎の剣と盾をもって
わたしは龍と戦いました。
が、傲慢の子たちは
わたしの熱い信仰をあざけります。
わたしの偉業をちゃんと聞いてくれません。
みなの者、よく聞きなさい……(以下略)

わたしはバビロンの娼婦を馬から引きずりおろしました。
神の息吹きの槍で攻めました。
この女の汚らわしさを知らしめ、
吐き気のする酒の入った
杯をひっくり返しました。
みなの者、よく聞きなさい……(以下略)

幻のなか、わたしは二人の油をそそがれた者を見ました。
二人のあいだに巻物が飛んでいました。
わたしは絶望しました、
この一年に五回ほど。
でも、グリーナム師の本を読んで立ち直りました。
みなの者、よく聞きなさい……(以下略)

パーキンズの図を見て、
わたしは地獄落ちの系譜を理解しました。
そのゆがんだ血筋が
頭に焼きついて離れませんでした。
わたしは神に棄てられているのではないかと思いました。
みなの者、よく聞きなさい……(以下略)

聖なるカナン人の言葉を読むと
このうえなく楽しく感じました。
だから足に刺青を彫りました。
ヘブライ語を入れました。
むちゃくちゃ血が出ました。
みなの者、よく聞きなさい……(以下略)

大主教ロードと
高等宗教裁判所のところへ行きましたが、
わたしは彼を祝福せず、
こういってやりました、
「このカトリック野郎め!」
みなの者、よく聞きなさい。十字架などいりません。牧師の白衣もいりません。
司教の冠もマントもいりません。
一日九回わたしの祈りを聞きにきなさい。
編みものだけをしてなさい。

* * *
Richard Corbett
"The Distracted Puritan"

Am I mad, O noble Festus,
When zeal and godly knowledge
Have put me in hope
To deal with the pope,
As well as the best in the college?
Boldly I preach, hate a cross, hate a surplice,
Mitres, copes, and rochets;
Come hear me pray nine times a day,
And fill your heads with crochets.

In the house of pure Emanuel
I had my education,
Where my friends surmise I dazel'd my eyes
With the sight of revelation.
Boldly I preach, &c.

They bound me like a bedlam,
They lash'd my four poor quarters;
Whilst this I endure,
Faith makes me sure
To be one of Foxes martyrs.
Boldly I preach, &c.

These injuries I suffer
Through antichrist's perswasion
Take off this chain,
Neither Rome nor Spain
Can resist my strong invasion.
Boldly I preach, &c.

Of the beast's ten horns (God bless us!)
I have knock'd off three already;
If they let me alone I'll leave him none:
But they say I am too heady.
Boldly I preach, &c.

When I sack'd the seven-hill'd city,
I met the great red dragon;
I kept him aloof
With the armour of proof,
Though here I have never a rag on.
Boldly I preach, &c.

With a fiery sword and target,
There fought I with this monster:
But the sons of pride
My zeal deride,
And all my deeds misconster.
Boldly I preach, &c.

I un-hors'd the Whore of Babel,
With the lance of Inspiration;
I made her stink,
And spill the drink
In her cup of abomination.
Boldly I preach, &c.

I have seen two in a vision
With a flying book between them.
I have been in despair
Five times in a year,
And been cur'd by reading Greenham.
Boldly I preach, &c.

I observ'd in Perkin's tables
The black line of damnation;
Those crooked veins
So stuck in my brains,
That I fear'd my reprobation.
Boldly I preach, &c.

In the holy tongue of Canaan
I plac'd my chiefest pleasure:
Till I prick'd my foot
With an Hebrew root,
That I bled beyond all measure.
Boldly I preach, &c.

I appear'd before the archbishop,
And all the high commission;
I gave him no grace,
But told him to his face,
That he favour'd superstition.
Boldly I preach, hate a cross, hate a surplice,
Mitres, copes, and rochets:
Come hear me pray nine times a day,
And fill your heads with crotchets.

http://www.exclassics.com/percy/perc117.htm

* * *
フェスト閣下
使徒行伝(使徒言行録)26:25-26参照。

エマニュエル・カレッジ
ケンブリッジ大学のなかでもっともピューリタン的だった
カレッジ。

フォックス
John Fox--The Book of Martyrs『殉教者の書』の著者。

獣の十本の角
ヨハネの黙示録13:1参照。一部のピューリタン(終末論者)は
獣=ローマ教皇、角=カトリック諸国、などと考えたりした。
その後、内乱・共和国期には獣=チャールズ1世、後にクロムウェル、
角=諸王国、などと解釈が移行していった。

赤い龍
ヨハネの黙示録12:3参照。獣と同様、悪の権化的なもの。

バビロンの娼婦
ヨハネの黙示録17:1-5参照。カトリック教会のこと。

パーキンズの図:
http://brbl-dl.library.yale.edu/vufind/Record/3544432
William Perkins--ケンブリッジ大学クライスト・カレッジの
フェロー。16世紀末のイギリスでもっとも高く評価されていた
神学者(ピューリタン)。

* * *
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Browne, "Epitaph on the Countess Dowager of Pembroke"

ウィリアム・ブラウン
「ペンブルック伯爵未亡人の墓碑銘」

この墓の暗い陰の下、
すべての詩に歌われた方、
シドニーの妹、ペンブルック伯の母が眠る。
〈死〉よ、これほど美しく、賢く、善良な人を
おまえが殺すことはもうなかろう。
その前におまえのほうが死んでいるだろう。

大理石の墓碑など、
この方にはいらない。いずれ
同じくらいやさしい女性が
この銘を読み、ニオベのように
涙を流して石になり、こうして墓参りをしながら、
同時にこの方のお墓となってくれるだろうから。

* * *
William Browne (of Tavistock)
"Epitaph On the Countess Dowager of Pembroke"

Underneath this sable herse
Lies the subject of all verse:
Sidney's sister, Pembroke's mother:
Death, ere thou hast slain another,
Fair and learn'd, and good as she,
Time shall throw a dart at thee.

Marble piles let no man raise
To her name: for after days
Some kind woman born as she,
Reading this, like Niobe
Shall turn marble, and become
Both her mourner and her tomb.

(http://www.gutenberg.org/ebooks/22001)

* * *
ニオベはギリシャ神話に出てくる女性。
太陽神アポロンと月の神アルテミスの母レトに
対して子だくさんを自慢して怒りを買い、
その結果アポロンとアルテミスにその子を
すべて殺される。これを悲しみ泣きつづけ、
最終的に石になる。

* * *
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