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ビーズ・アクセサリー作家M.Y.

ビーズ・アクセサリー作家M.Y.



作品1



作品2(制作前)



サンプル兼自分用の品いろいろ

* * *

マリコさんは長いつきあいの友人で、とても多才。

* * *

転載などは、なし、ということでお願いします。


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道端アート/素人アート (12)

道端アート/素人アート (12)



遊具



和食器(600円くらい)



身内のアーティストS



家人の友人の友人の作品
(無断掲載、お許しを。)

* * *

画像は私が撮影したもの。

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Shelley, "Arethusa"

パーシー・B・シェリー (1792-1822)
「アレトゥーサ」

1.
アレトゥーサは立ちあがった、
雷に打たれたような
エピラス山脈の雪のベッドから。
雲から、とがったところばかりの
岩の崖から、彼女は立ちあがった、
輝く泉の水を引きつれて。
そして彼女は、岩を飛びこえておりてきた、
虹色の髪で、
川の水のなかを流れて。
下までつづく渓谷は、彼女の足に踏まれて
緑に包まれた。
そんな渓谷が、日に照らされた西の海までつづいていた。
すべるように、はねるように、
彼女は来た、眠りのような
静かなささやき声でずっと歌いながら。
大地は彼女に恋をしたかのようで、
空も彼女にほほえみかけた、
海に向かってゆっくり進むアレトゥーサに。

2.
大胆なアルペイオスは、
冷たい氷河の上に立ち、
三つ又の矛(ほこ)を山に打ちこんだ。
岩のあいだに
裂け目が開き、痙攣して
エリュマントス山が山ごとふるえた。
すると、封印を解かれた
黒い南風が、
音もなく雪をふらせる壺の後ろから流れはじめた。
さらに、地震と雷が、
地中の泉を閉じこめていた
氷の鉄格子をバラバラに壊した。
そして・・・・・・ひげと髪を水になびかせ、
川の神アルペイオスが流れはじめた。
はやく、強く、広い川のなかに。
彼は追いかけ、つかまえようとする、
足の速いアレトゥーサを。
彼女の母、海の神ドーリスのところまで逃げていくこのニンフを。

3.
「助けて! 連れていって!
海深くわたしを隠して!
もう髪をつかまれそうなの!」
海の神はこの願いを聞き、大きな音をたて、
震え、ゆすり、
海の底深くまで道をつくった。
水のなか、
大地の白い娘は
日の光の筋のように逃げた。
後ろには
彼女の波、
黒い川アルペイオスと交わっていない波をなびかせて。
エメラルド色の海のなか、
暗くにごったしみのように、
彼はアレトゥーサのあとをすごい勢いで追う。
それはまるで、ワシが
ハトを追って滅ぼすときのよう、
雲と風の流れのなかで。

4.
海のなかの樹木の下、
海の神々が
真珠で飾られた玉座に座っているところを--
サンゴの森、
転げまわる波のあいだ、
はかりしれない価値のある、山積みの宝石の上を--
うす暗い光が
流れる水のなかに
織りなす色とりどりの網のあいだを--
ほら穴の下、
陰になった波が
まるで夜の森のような緑色をしているところを--
サメより速く、
黒いメカジキより速く、
海の泡の下を通り、
山の崖の
裂け目を通ってのぼり--
ふたりはドーリスの故郷に向かっていった。

5.
そして今、ふたりの泉から、
エンナの山のあいだ、
〈朝〉がひなたぼっこをする、とある谷にあるふたりの泉から、
一度離れ離れになりつつも
ふたたび心が通うようになった友だち同士のように、
彼らはいっしょに、絶えず流れ出ている。
太陽とともに彼らは飛び出す、
崖のように立っているベッドから、
丘の坂にあるほら穴から。
真昼になると、彼らは流れる、
森を通って、
アスフォデルの咲く草地を通って。
夜には眠る、
ゆれる海の下深くで、
オルテュギアの岸の下で。
まるで死んだ者たちの魂が、
澄みわたる青空の上で横になり、
もう生きていないのに愛しあうときのように。

* * *

Percy Bysshe Shelley
"Arethusa"

1.
Arethusa arose
From her couch of snows
In the Acroceraunian mountains,―
From cloud and from crag,
With many a jag, _5
Shepherding her bright fountains.
She leapt down the rocks,
With her rainbow locks
Streaming among the streams;―
Her steps paved with green _10
The downward ravine
Which slopes to the western gleams;
And gliding and springing
She went, ever singing,
In murmurs as soft as sleep; _15
The Earth seemed to love her,
And Heaven smiled above her,
As she lingered towards the deep.

2.
Then Alpheus bold,
On his glacier cold, _20
With his trident the mountains strook;
And opened a chasm
In the rocks―with the spasm
All Erymanthus shook.
And the black south wind _25
It unsealed behind
The urns of the silent snow,
And earthquake and thunder
Did rend in sunder
The bars of the springs below. _30
And the beard and the hair
Of the River-god were
Seen through the torrent's sweep,
As he followed the light
Of the fleet nymph's flight _35
To the brink of the Dorian deep.

3.
'Oh, save me! Oh, guide me!
And bid the deep hide me,
For he grasps me now by the hair!'
The loud Ocean heard, _40
To its blue depth stirred,
And divided at her prayer;
And under the water
The Earth's white daughter
Fled like a sunny beam; _45
Behind her descended
Her billows, unblended
With the brackish Dorian stream:―
Like a gloomy stain
On the emerald main _50
Alpheus rushed behind,―
As an eagle pursuing
A dove to its ruin
Down the streams of the cloudy wind.

4.
Under the bowers _55
Where the Ocean Powers
Sit on their pearled thrones;
Through the coral woods
Of the weltering floods,
Over heaps of unvalued stones; _60
Through the dim beams
Which amid the streams
Weave a network of coloured light;
And under the caves,
Where the shadowy waves _65
Are as green as the forest's night:―
Outspeeding the shark,
And the sword-fish dark,
Under the Ocean's foam,
And up through the rifts _70
Of the mountain clifts
They passed to their Dorian home.

5.
And now from their fountains
In Enna's mountains,
Down one vale where the morning basks, _75
Like friends once parted
Grown single-hearted,
They ply their watery tasks.
At sunrise they leap
From their cradles steep _80
In the cave of the shelving hill;
At noontide they flow
Through the woods below
And the meadows of asphodel;
And at night they sleep _85
In the rocking deep
Beneath the Ortygian shore;―
Like spirits that lie
In the azure sky
When they love but live no more. _90

* * *

死後出版された作品。ギリシャ神話を(想像上の)自然現象に重ねる。

神話の基本的なエピソードは割とそういうもの。空を旅する
アポロンとか、西風の神ゼピュロスと花のニンフのクロリス
(ローマ神話ではフローラ)のエピソードとか。

* * *

Arethusa
ギリシャ神話に出てくる泉のニンフ。

Alpheus
川の神。

* * *

(授業の課題用なので、解説などは2月以降に。)

* * *

英語テクストは、The Complete Poetical Works of
Percy Bysshe Shelley, vol. 2 (1914) から。
http://www.gutenberg.org/ebooks/4798

* * *

学生の方など、自分の研究/発表のために上記を参照する際には、
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剽窃行為のないようにしてください。

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Jonson, "On Court-Worm"

ベン・ジョンソン(1572-1637)
「宮廷虫」(エピグラム XV)

すべての人はイモムシのようなものである。が、この宮廷虫はただの人、
ただのイモムシではない。まず絹につつまれて、乳のように白い姿で、
宮廷にやってきた。そして、しばらくして蝶になった。
イモムシだったのに。そのように色づき、そしていずれ死に、また白い布に
包まれることだろう。

* * *

Ben Jonson
"On Court-Worme" (Epigram XV)

All men are wormes: But this no man. In silke
'Twas brought to Court first wrapt, and white as milke;
Where, afterwards, it grew a butter-fly:
Which was a cater-piller. So 'twill dye.

* * *

1 All men are wormes
ヨブ記25: 5-6, 詩篇22: 6参照。

4 so
そのように。下のdyeの二つの意味にあわせて--

(1)
白いまゆにつつまれたイモムシが、きれいな蝶になるように。

(2)
宮廷に来たときと同じように。
つまり、白い布に包まれて。
白い絹のまゆにつつまれて宮廷にやってきて、
そして白い死に装束に包まれて去っていく。

5 dye
ふたつの意味が重ねられている。
= dye 染まる。
= die 死ぬ。

* * *

20120806の記事を修正。

* * *

英文テクストは、The Workes of Benjamin Jonson
(1640, STC 14753) より。

* * *

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Yeats, "To an Isle in the Water"

ウィリアム・バトラー・イェイツ (1865-1939)
「湖のなかの島に」

はにかみやさん、こわがりやさん、
ぼくの愛しのはずかしがりやさん、
火の明かりのなか、動いている、
考えながら、みんなから離れて。

あの子は皿をもってきて、
きれいに並べてくれる。
湖のなかの島に
あの子と行きたい。

あの子はろうそくをもってきて、
部屋を照らして、カーテンを閉めてくれる。
ドアのところのはにかみやさん、
暗いところにいるはずかしがりやさん。

ウサギのようなはにかみやさん、
仕事ができて、はずかしがりで。
湖のなかの島に
あの子と飛んで行きたい。

* * *

William Butler Yeats
"To an Isle in the Water"

Shy one, shy one,
Shy one of my heart,
She moves in the firelight
pensively apart.

She carries in the dishes,
And lays them in a row.
To an isle in the water
With her would I go.

She carries in the candles,
And lights the curtained room,
Shy in the doorway
And shy in the gloom;

And shy as a rabbit,
Helpful and shy.
To an isle in the water
With her would I fly.

* * *

声に出して読んでみる。

冒頭のShy one, shy oneのくり返し、
および散発的な "sh"(/ʃ/)の音で、
湖の水の「シャワシャワ」感を表現。

* * *

英語テクストはYeats, Collected Poems (1956) より。
http://www.ota.ox.ac.uk/text/3019.html
(スペリングのミスは修正。)

* * *

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Rossetti, CG, "Confluents"

クリスティーナ・ロセッティ(1830-1894)
「合流」

川は海を求めて進む、
自分よりずっと深い海を。
そのようにわたしの心は君を求めて進む、
遠くまで。
流れる川は悲しい声をあげる、
ひとりで流れながら。
そのようにわたしも悲しい声をあげる、
ひとり残されて。

か弱く美しいバラは、
やさしく強い太陽に、
みずからを開く、
横に、縦に。
そのようにわたしの心も、君に向かって開く、
何ひとつ隠さず。
君に対して、
何も隠さず。

朝露は蒸発する、
太陽に向かって、汚れなく、何にも邪魔されず。
そのようにわたしの心も消える、
君を追って。
朝露は跡を残さない、
緑の大地の顔の上に。
わたしも跡を残さない、
あなたの顔に。

どこに行けばいいか、川は知っている。
朝露も道を知っている。
太陽の光はバラをあたため、なぐさめる、
彼女が咲いているとき。
わたしは? ひとりで悲しいときが過ぎたら、
最後には君を見つけられる?
悲しみを通り過ぎたら、
君を見つけられる?

* * *

Christina G. Rossetti
"Confluents"

As rivers seek the sea,
Much more deep than they,
So my soul seeks thee
Far away:
As running rivers moan
On their course alone
So I moan
Left alone.

As the delicate rose
To the sun's sweet strength
Doth herself unclose,
Breadth and length:
So spreads my heart to thee
Unveiled utterly,
I to thee
Utterly.

As morning dew exhales
Sunwards pure and free,
So my spirit fails
After thee:
As dew leaves not a trace
On the green earth's face;
I, no trace
On thy face.

Its goal the river knows,
Dewdrops find a way,
Sunlight cheers the rose
In her day:
Shall I, lone sorrow past,
Find thee at the last?
Sorrow past,
Thee at last?

* * *

ポイントは、川も、バラも、朝露も、実際には
相手(海、太陽)にたどりつけない、ということでは。

川は、海に向かって永遠に流れつづける。
バラは枯れる(最終スタンザ4行目)。
朝露は、太陽にたどり着く前に消える。

* * *

英文テクストは、Poems by Christina G. Rossetti
(1906) より。
http://www.gutenberg.org/ebooks/19188

* * *

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Blake, "Sick Rose"

ウィリアム・ブレイク(1757-1827)
「病めるバラ」

ああ、バラ、君は病んでしまった!
目に見えないヘビが、
夜に飛び、
うなる嵐のなか、

君のベッド、
真っ赤なよろこびのベッドを見つけてしまった。
そして彼の暗い、秘密の愛が、
君の命を、壊す。

* * *

William Blake
"The Sick Rose"

O rose, thou art sick!
The invisible worm,
That flies in the night,
In the howling storm,

Has found out thy bed
Of crimson joy,
And his dark secret love
Does thy life destroy.

* * *

2 worm
ヘビ(OED 1)。ミミズ(OED 3)。寄生虫(OED 4)。
ウジ、イモムシなど、生きものの肉や葉などを食べる幼虫。

6 crimson
血の色(OED A2)。バラの花の色と重ねて。

* * *

象徴的な読み方を誘う作品。

バラは何をあらわす?
(バラはアプロディテ=ウェヌス=ヴィーナスの花)

見えないヘビ=ウジ=イモムシは?
(創世記のヘビは、アダムとイヴを悪に誘惑して堕落させる。)

嵐の夜に飛ぶって、どういうこと?
真っ赤なよろこびのベッドって、何のこと?
見えないヘビの暗い、秘密の愛って?

* * *

頭韻:
dark-Does-destroy
love-life

視覚的には:
Dの三角形のなかにlifeが閉じこめられている。
彼のloveは、それをDの三角形の外からながめているよう。

Dが三つ。ふと頭に浮かぶ四つ目、五つ目ののDは・・・・・・。

* * *

英文テクストは、William Blake, Songs of Innocence
and Songs of Experience (1901)より。
http://www.gutenberg.org/ebooks/1934

* * *

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きくち ひさえ 「12月のひぐらし」

きくち ひさえ
「12月のひぐらし」

















「かなた」

* * *

きくち ひさえさんは、神田(東京)のとあるカフェのアーティスト。
偶然入ったときに、偶然展示の準備をされていて。

* * *

すべて(c)きくち ひさえ
転載などは、なし、ということでお願いします。

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Thompson, "The Poppy"

フランシス・トムソン(1859-1907)
「ケシ」(モニカに)

夏が裸の大地の胸にキスすると、
その跡が赤いケシになる。
燃えるあくびのように、ケシは草のなかに生え、
風にあおがれてふくらみ、炎のようにゆれる。

ライオンのような赤く燃える口で、ケシは
太陽の血を飲み干す。太陽は死んで沈む。
東の空にワインが流れると、
ケシは、花のカップを輝く深紅に浸す。

やがて激しいまでの幸せに、ケシは力を失い、
疲れたジプシーのように熱くなり、
荒々しくも眠たげにまどろむ。
焼き焦がすキスを求め、くちびるをつき出して。

女の子が男と歩いていた。肩をならべ、
夕暮れの端のところを。
つないだ手と手のあいだに
20年の枯れた月日があったが、二人は気づいていなかった。

豊かな南国風の黒髪をゆらし、女の子が脇を見ると、
そこには、眠るジプシーのようなケシの実があった。
そして、子どもらしい思いつきでこれをすばやく折ってとり、
彼にわたした。こういいながら--「死ぬまで大事にして!」

水浴びからあがるニンフたちのように、
彼のほほえみが、ふるえながら涙の海から立ちあがった。
そしてよろこびが、沖の海にゆられるカモメのように、
とまどう彼の心の波にゆれた。

それは彼が知っていたから。彼女の知らないことを。
みずからの熱で火がついたかのように、
端からしおれたケシの実のなかに、まだ火がくすぶっていることを。

そして彼は気づく、手と手のあいだにある
20年の枯れた日々に。
花ではなく、しおれた20年の日々。

「はじめてだ」
彼は心に小さくつぶやく、「眠りの
花が目ざめを、
忘却の花が記憶をもたらしたのは。」

「はじめてだ、
足が赤くなるほど長いあいだケシに浸ってきているのに。」
そして彼は心に、さらに小さくつぶやく、
「ねえ、モニカ、ぼくはひとを愛する。愛するし、愛を知っているから。」

「君はひとを愛していないし、まだまったく知らない、
〈愛の神〉の宮殿にはいろんな部屋があることを。
早起きなひともいるが、ずっといるひとはほとんどいないということを。
みんなかなり違うニュアンスで聞き、理解するということも、
聖霊のように降ってくる〈愛の神〉のことばを。」

「君はまだ恋人と友だちの違いを知らない。
ひとが話すようなぼくと、本当のぼくの違いも知らない。
本当にぼくにぴったりのプレゼントなんだ、
君がくれた、この枯れた夢の花は。」

「ねえ、素直で移り気で、移り気だけど嘘のない君、
月日が経ったら、君はどうなるかな?
君は誰を、どんなかたちで、好きになるかな?
ねえ、素直で移り気で、移り気だけど嘘のない君?」

「ぼくを愛してくれたね、生まれてから死ぬまで、三回分--つまり、この三日間。
そんな気持ちは、ぼくの顔が見えなくなったら消えるはず。
でも、ぼくには、どこに行っても君の顔が見える。
ぼくが裏切らないように見張ってるんだ。」

「ぼくは、ね、君の恋人のただの代理。
何年か経ったら、
君はぼくの前から消えて、誰かのところに行く。
でも、ぼくは育ての母のように君のことを知ってる。そして愛してる。」

「だから、素直で移り気で、移り気だけど嘘のない君、
短い一生のあいだ、ぼくは君がくれた
このプレゼントをとっておくよ。たぶん、ぼくに
ぴったりの、この夢のつまった、枯れた花を。」

* * * * * *

眠りの花は小麦畑で頭をゆらす。
夢がつまって重い頭を。小麦にパンがつまっているように。
実った小麦、陽に赤く染まる眠りの花、
ともに刈られる。そして刈った人も〈時間〉に刈られる。

ぼくも人々のなか、無用な頭を垂れる。
ぼくが生むのは夢。小麦がパンを生むように。
育った人々、陽に焦げた眠りの花、
ともに〈時間〉に刈られる。でも、その後で
誰かが集めてくれたら。死んで眠るぼくが残したものを。

ねえ、かわいいモニカ、君のくれた枯れた夢の花は、
詩の本のなか、ずっと残る。
詩の隅に閉じこめられ、守られて。
刈りとる人からも、人を刈りとる〈時間〉からも。

かわいいモニカ、ぼくは時間の爪につかまる。
でも、詩の本のなかに残る、
認めてもらえたぼくの一部が--
ぼくの枯れた、枯れた夢が。

* * *

Francis Thompson
"The Poppy: To Monica"

Summer set lip to earth's bosom bare,
And left the flushed print in a poppy there;
Like a yawn of fire from the grass it came,
And the fanning wind puffed it to flapping flame.

With burnt mouth red like a lion's it drank 5
The blood of the sun as he slaughter'd sank,
And dipped its cup in the purpurate shine
When the eastern conduits ran with wine.

Till it grew lethargied with fierce bliss,
And hot as a swinked gipsy is, 10
And drowsed in sleepy savageries,
With mouth wide a-pout for a sultry kiss.

A child and man paced side by side,
Treading the skirts of eventide;
But between the clasp of his hand and hers 15
Lay, felt not, twenty withered years.

She turned, with the rout of her dusk South hair,
And saw the sleeping gipsy there;
And snatched and snapped it in swift child's whim,
With---"Keep it, long as you live!"---to him. 20

And his smile, as nymphs from their laving meres,
Trembled up from a bath of tears;
And joy, like a mew sea-rocked apart,
Tossed on the wave of his troubled heart.

For he saw what she did not see, 25
That---as kindled by its own fervency---
The verge shrivelled inward smoulderingly:

And suddenly 'twixt his hand and hers
He knew the twenty withered years---
No flower, but twenty shrivelled years. 30

"Was never such thing until this hour,"
Low to his heart he said; "the flower
Of sleep brings wakening to me,
And of oblivion memory."

"Was never this thing to me," he said, 35
"Though with bruisèd poppies my feet are red!"
And again to his own heart very low:
"O child! I love, for I love and know;

"But you, who love nor know at all
The diverse chambers in Love's guest-hall, 40
Where some rise early, few sit long:
In how differing accents hear the throng
His great Pentecostal tongue;

"Who know not love from amity,
Nor my reported self from me; 45
A fair fit gift is this, meseems,
You give---this withering flower of dreams.

"O frankly fickle, and fickly true,
Do you know what the days will do to you?
To your Love and you what the days will do, 50
O frankly fickle, and fickly true?

"You have loved me, Fair, three lives---or days:
'Twill pass with the passing of my face.
But where I go, your face goes too,
To watch lest I play false to you. 55

"I am but, my sweet, your foster-lover,
Knowing well when certain years are over
You vanish from me to another;
Yet I know, and love, like the foster-mother.

"So, frankly fickle, and fickly true! 60
For my brief life-while I take from you
This token, fair and fit, meseems,
For me---this withering flower of dreams."

* * * * * *

The sleep-flower sways in the wheat its head,
Heavy with dreams, as that with bread: 65
The goodly grain and the sun-flushed sleeper
The reaper reaps, and Time the reaper.

I hang 'mid men my needless head,
And my fruit is dreams, as theirs is bread:
The goodly men and the sun-hazed sleeper 70
Time shall reap, but after the reaper
The world shall glean of me, me the sleeper!

Love, love! your flower of withered dream
In leavèd rhyme lies safe, I deem,
Sheltered and shut in a nook of rhyme, 75
From the reaper man, and his reaper Time.

Love! I fall into the claws of Time:
But lasts within a leavèd rhyme
All that the world of me esteems---
My withered dreams, my withered dreams. 80

* * *

ケシ:
その一種がアヘンの原料となる。畑によく咲く(ヒナゲシ: corn poppy,
field poppy)。

ぼく:
トムソン。医者の息子で浮浪者あがりで、
アヘン中毒の詩人・批評家。このとき詩に描かれた
できごとがあったとき(1891年)、31歳。


モニカ:
トムソンを援助していた雑誌編集者夫妻の子。
このとき、11歳くらい。

* * *

いろいろ特殊で、内容的にもやや錯綜している詩。

解説など今後。

* * *

英語テクストは、Poems (1893) より。
http://archive.org/details/poemsthomrich

* * *

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道端アート/素人アート + 自然(11)

道端アート/素人アート + 自然 (11)
20121209 京都 嵐山



生け花 1



生け花 2







最後のもみじ



広沢池(ひろさわのいけ)付近





* * *

画像は私が撮影したもの。

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Keats, "Ode on a Grecian Urn"

ジョン・キーツ (1795-1821)
「ギリシャの壺についてのオード」

1.
君は、いまだ犯されずに残る〈静寂〉の花嫁。
君は、〈沈黙〉とゆっくり流れる〈時間〉の養子。
森の物語を語る者、君は描く、
花いっぱいに飾られた物語を、ぼくたちの詩よりも甘く。
君のまわりで木の葉で縁どられているのは、どんな話?
神々の物語? 人間たちの? それとも両方?
舞台はテンペやアルカディアの谷だよね?
この人たちは誰? どんな神? せまられて嫌がっているこの女の子たちは誰?
誰が誰を狂ったように追ってる? どうして一生懸命逃げている?
笛を吹いているのは、太鼓をたたいているのは、誰? みんな、まさに無我夢中!

2.
音楽は美しい。でも聴こえない音楽は
もっと美しい。だから、笛は静かに鳴りつづけて。
耳に聴こえるようにではなく、もっときれいに、
音のない、心で聴く歌にあわせて鳴りつづけて。
木々の下のすてきな少年、君はずっと
歌いつづけ、この木々もずっと生い茂ったまま。
恋する男、君はけっして、けっして、キスすることができない、
あとほんの少しでできそうだけど--でも悲しまなくていい、
君の恋人は年をとらないから、君の手には入らなくても。
君はずっと愛しつづけ、この子もずっときれいなまま!

3.
ああ、幸せな木々! 葉を散らす
こともなく、春に別れを告げることもけっしてない。
幸せな笛吹き、君は、疲れることなく、
いつまでも新しい曲をいつまでも吹きつづける。
ずっと幸せな愛、この世のものよりずっと幸せな、幸せな愛!
いつでも、いつまでも、あたたかく、心楽しく、
いつでも、いつまでも、息を切らせていて、若々しく--
息をして生きているぼくたち人間の愛より、はるかにいい。
この世の愛は、幸せとともに悲しみももたらす。満たされると嫌になる。
はずかしさで燃えるように顔が赤くなり、舌がカラカラに渇く。

4.
いけにえの儀式に向かうこの人たちは誰?
どんな緑の祭壇に、誰とも知れぬ神の司祭よ、
あなたは導く、空に向かって鳴く牝牛の子を?
絹のようにきれいなその腹を花の輪で飾って?
川や海沿いのどんな小さな町が、
あるいは平和な要塞のある山のどんな町が、
この儀式の朝に空っぽになっているのだろう? この人々が出てきてしまってるのだから。
そんな小さな町よ、君の通りから人の声が聞こえることは、
もう永遠にない。もう誰ひとり帰らない、
君が廃墟のようになった理由を告げる者は。

5.
ああ、古代アテナイの壺! その美しい姿! まわりに
編みこまれているのは、大理石の男たち、女の子たち、
それから森の木々の枝や、足もとで踏まれている雑草。
沈黙したかたちである君、君を見ていると、思考が引き裂かれるよう。
まるで永遠を見ているかのよう。牧場、田園の冷たい歌!
ぼくたちの世代が年をとって滅んでも、
君は残る、ぼくたちと同じように悲しい
別の人たちのあいだに。そして、いうだろう、
美しいものだけが真実、真の意味で存在するのは美しいものだけ--人が
知っているのはこのことだけ、知るべきなのはこのことだけ。

* * *
John Keats
"Ode on a Grecian Urn"

1.
Thou still unravish'd bride of quietness,
Thou foster-child of silence and slow time,
Sylvan historian, who canst thus express
A flowery tale more sweetly than our rhyme:
What leaf-fring'd legend haunts about thy shape
Of deities or mortals, or of both,
In Tempe or the dales of Arcady?
What men or gods are these? What maidens loth?
What mad pursuit? What struggle to escape?
What pipes and timbrels? What wild ecstasy?10

2.
Heard melodies are sweet, but those unheard
Are sweeter; therefore, ye soft pipes, play on;
Not to the sensual ear, but, more endear'd,
Pipe to the spirit ditties of no tone:
Fair youth, beneath the trees, thou canst not leave
Thy song, nor ever can those trees be bare;
Bold Lover, never, never canst thou kiss,
Though winning near the goal―yet, do not grieve;
She cannot fade, though thou hast not thy bliss,
For ever wilt thou love, and she be fair!20

3.
Ah, happy, happy boughs! that cannot shed
Your leaves, nor ever bid the Spring adieu;
And, happy melodist, unwearied,
For ever piping songs for ever new;
More happy love! more happy, happy love!
For ever warm and still to be enjoy'd,
For ever panting, and for ever young;
All breathing human passion far above,
That leaves a heart high-sorrowful and cloy'd,
A burning forehead, and a parching tongue.30

4.
Who are these coming to the sacrifice?
To what green altar, O mysterious priest,
Lead'st thou that heifer lowing at the skies,
And all her silken flanks with garlands drest?
What little town by river or sea shore,
Or mountain-built with peaceful citadel,
Is emptied of this folk, this pious morn?
And, little town, thy streets for evermore
Will silent be; and not a soul to tell
Why thou art desolate, can e'er return.40

5.
O Attic shape! Fair attitude! with brede
Of marble men and maidens overwrought,
With forest branches and the trodden weed;
Thou, silent form, dost tease us out of thought
As doth eternity: Cold Pastoral!
When old age shall this generation waste,
Thou shalt remain, in midst of other woe
Than ours, a friend to man, to whom thou say'st,
Beauty is truth, truth beauty,―that is all
Ye know on earth, and all ye need to know.50

* * *
1
古代ギリシャにつくられた壺(=「君」)がこわれずに残っている
ということ。壺は何もいわない=〈静寂〉と結婚している。
[Q]uietnessは小文字のままだが、おそらくアレゴリー。

1 unravish'd
いろいろな意味が重ねられている。Ravish:
(女性を)強奪する(そして犯す)、死が人を連れ去る(OED 2a)。
地上から天国に連れ去る(OED 3a)。
略奪して奪い去る(OED 4a)。

2
壺が〈沈黙〉と〈時間〉によって育てられた
=何もいわないものとしての壺が2,000年近く保存されてきた。
[S]ilenceとtimeも小文字のままだが、おそらくアレゴリー。

3 historian
物語(story)を語る人(OED 2)。
古代ギリシャの物語だから、歴史historyという意味も
重なっている。

4 flowery
花の装飾がある(OED 5)(壺に)。
表現が華々しい(OED 6)(壺の絵の)。
花々のような(OED 3)(何が、ということなく全体の雰囲気として)。

5-7
主部:
What leaf-fring'd legend Of deities or mortals,
or of both, In Tempe or the dales of Arcady

述部:
haunts about thy shape?

7 Tempe
ギリシャの神々のいるオリュンポス山の近くの谷。

7 Arcady
理想的で楽園的な田園地域。羊・羊飼い・森の神パンがいたところ。

8 What maidens loth
構文は、What maidens [are these who are] loth
[to be seduced, etc.]?

12 soft
(音やメロディが)静かで心地よい(OED 3a)。
ここでは、壺に描かれた笛からは音が聞こえない(、でも聴こえる)
ということ。

14 to
・・・・・・にあわせて(OED, prep, etc., 15b)。

26 warm
(抱きしめあったり、キスしたりすることにより、
こころとからだが)あたたかい(OED 2d)。
愛に満ちてやさしい(OED 12a)。
性欲がある(OED 13)。

27
構文は、
far above All breathing human passion
前置詞がその目的語の後ろにくる構文は、ミルトンの「ラレグロ」
L'Allegro)52などに例がある。

29 high-
いろいろな意味が重ねられていて、あいまいだがニュアンスに富んでいる(と思う)。

形容詞として:
重大な、深刻な(OED 6b)。
豊かな、味わい深い(OED 8a)。
激しい、強い(OED 10a)。
陽気な、気分がもりあがっている(OED 16a)。
酒に酔っていて楽しい(OED 16b)。

副詞として:
とても、強く、高度に(OED 2a)。
豊かに、過度に(OED 2c)。

30 A burning forehead
額は、はずかしさで赤くなるところ(OED 2)。

30 a parching tongue
(おそらく)キスのしすぎで舌が渇いて痛い、ということ。

31-40
このスタンザから、壺の絵のなかに負のイメージの
ものを見るようになる、というところがポイント。

31 sacrifice
いけにえ。死をともなうので負のイメージ。
スタンザ1-3では、壺の絵のなかは死のない、
永遠の世界だった。

34 all her silken flanks with garlands drest
絹とか花とか、いけにえの儀式の前の描写がきれいで
具体的であるほど、その後におこることとが想起され、
両者間の対比が際立つ。

その後におこること:
いけにえの牛のお腹が切られ、内臓がとり出されて焼かれる。
(このときの煙のようすを見て、神がこのいけにえをよろこんで
受けとったかどうかを判断する。)

もちろん、血が流れ、死をともなうので負のイメージ。

いけにえの儀式については、さしあたり大英博物館の
次のページを参照:
http://www.ancientgreece.co.uk/gods/story/sto_set.html

37-40
町が空っぽ、廃墟のよう、というのも当然、負のイメージ。
しかも、永遠に町に人がいない、というのは、壺の絵が
いけにえの儀式の場面で永遠に固定しているからおこること。

つまり、スタンザ1-3の木々や歌や恋愛の描写でたたえられていた
壺の絵の永遠の世界が、ここではマイナス面をもつもの
として表現されている。

41-42
構文は、overwrought with brede Of marble
men and maidens.

41
Attic, attitudeという語の選択は頭韻のためのもの。
([A]ttitude = 絵などに描かれた人の姿勢、という語を、
若干強引に壺全体のかたちにあてている。)

42 marble men and maidens
大理石の男・女の子については、たとえばミロのヴィーナスや
ダビデ像など、古代の白い彫刻を想像すると、雰囲気が
よくわかる。きれいだけど、色がなく、かたく、冷たい感じ。
瞳がなく、生気がない。もちろん、生きていない。
(OED 7bも参照。「白く、かたく、冷たい」。)

43 branches
ポイントは、スタンザ3にある語boughより、branchesのほうが
小さい枝をあらわすこと(OED branch, n1)。スタンザ1-3より、
壺の絵の世界の価値が下がっている。

43 trodden weed
ポイントは、スタンザ1のflowery, leaf-fring'd,
スタンザ3のleavesより、ランクが下がっていること。
美しくない草、雑草。しかも、踏みつけられている。
つまり、スタンザ1-3より、壺の絵の世界の価値が下がっている。

44 tease
・・・・・・の繊維をわける、引き離す(くしなどで)(OED 1a)。
小さな、しかし継続的なかたちで、困らせる、悩ませる(OED 2a)。

キーツの別の詩「J・H・レイノルズに」でも、同様にtease us
out of thoughtといっており、そこでは、「思考や想像力が
みずからの限界を超えつつそのなかにおさまっている、というような、
どっちつかずの、ある種煉獄的な、なんともいえない状態」を
あらわしている。

45 Cold
ポイントは、スタンザ3までは、壺の絵の世界は熱い、
あたたかい、ものだったこと。スタンザ1で狂ったように
女の子を追いかけ、我を忘れて楽器を鳴らし、スタンザ2-3で
永遠に幸せな恋をして、興奮して息を切らしていて、
またスタンザ3でいうように、いつまでも春で。
それが、スタンザ5では冷たく見える、と。

以上、スタンザ4-5において壺のなかの永遠の世界への
憧れが醒めていった後に、もう一度スタンザ1で
描写された絵を見てみる。神か人間かわからない
男たちに、狂ったように追いかけられている女の子たちは、
永遠にそのままでいたいと思うだろうか?
(フェリス生AK, 201301エッセイ)

49-50
いろいろな編者が、引用符で壺の言葉がどこからどこまでかを
示してきているが、オリジナルのもの(Annals of the Fine
Arts 4 [1820])やそれ以前の手稿には引用符がないので、
それを尊重すべきと思う。

Annalsはここに。
http://books.google.co.jp/books?hl=ja&output=text&
id=hV8tAAAAMAAJ

壺の言葉は、最後のknowまでと解釈。Thouとyeの使い分けや、
最後だけこの詩の「ぼく」Iが読者に話しかける、という考えの不自然さ
などから。

加えて、この「美は真理で、真理は美」という壺の言葉を、
この詩全体の内容、つまり、冷たく凍ったかたちで永遠に生きる
ほうがいいか、あるいは遠からずはかなく滅ぶことになっているにしろ、
また幸せがあってもすぐに色あせてしまうにしろ、現実の生を
生きるほうがいいか、という問いに結びつけなくてもいいと思う。

キーツの手紙などから見て、「美は真理で、真理は美」というのは
彼がもともともっていた考えで、ギリシャの壺に関する思考の
論理的帰結として必然的に導かれるものではなさそうだから。
(これらの手紙について、いつか追記。)

「美は真理で、真理は美」という命題と、死と永遠の問題が、
なんとなくつながっているような、でもつながっていないような、
そんなあいまいさがあるから、逆にこの詩は生きている。

死と永遠について思考を刺激して結論を出さず、
さらに、美と真理という、また別の結論の出ない問いを
投げかける・・・・・・。

永遠がいい、とか、現世がいい、という二者択一的で、
道徳的に明白すぎる結末だったら、読者が限定されて
しまったはず。

* * *
考えてみる。実際、壺の絵や大理石のようにかたまって
永遠に生きるほうがいいか、あるいはこの世で(それなりに)
熱く生きて、死んでいくほうがいいか。

キーツのように、23-24歳で、結核にかかっていて、
遠からず死ぬことがわかっていたら? 恋人がいても
一緒になれないことがわかっていたら?

(この詩が書かれたのは1819年。結核の発症は1820年の
はじめだが、1819年を通じてキーツは、体調がおかしい
ことを自覚していた。)

「薄幸の詩人」というようなキーツのイメージは、あまり
正しくない、ともいうが。

* * *
・・・・・・以上のように読んできた上で、ちょっと
冷静に、詩から離れて考えてみる。そもそも壺やそこに
描かれた絵は本当に永遠か?

明らかにちがう。落としたら、ハンマーなどで
たたいたら、かんたんに割れて粉々になり、
ただの陶器のかけらになる。

そのような、人が考えるような「永遠」の虚構性、
嘘、はかなさのようなものなども視野に入れて、
この詩は書かれているのでは?
(フェリス生YY, 201301エッセイ)

* * *
ドラマティックな構成--この詩は、音のない
状態(1-2行のquietness, silence)からはじまり、
壺の絵のなかの歌、音楽が鳴り響き、そして
沈黙(44行目のsilent form)で終わる。

歌、音楽の描写は、壺の絵の世界の魅惑に対応。

「ぼく」がそちらに惹かれているあいだのみ
歌と音楽が聞こえている。意識が醒めてきて
現実に帰ってくると、もう音は聞こえない。

* * *
英文テクストは、Keats, Keats: Poems Published
in 1820, ed. M. Robertson (Oxford, 1909) より。
http://www.gutenberg.org/ebooks/23684
(一部修正)

* * *
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