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Campion, ("Harden now thy tyred hart")

トマス・キャンピオン
(「まただ、心を石にしろ」)

まただ、心を石にしろ。怒れ。火打石より硬くなれ。
あの子の嘘泣きに騙されていつもの悲しみを忘れてはだめだ。
本当に幸せだった、あの子が優しくて浮気しなかった頃は。
ふたりでひとりだった。口も耳も心もひとつだった。
でもそんなきらきらの日々はもう終わり。二度と戻らない。
あの子の浮気を悲しむ以外、今、何ができる?

裏切り者の馬鹿女め、今後誰の肩に頭をのせるつもり?
誰に可愛く話しかける? 誰の耳に歌う?
きらきらした目を誰が褒めてくれる? 誰が喜んでキスしてくれる?
誰が毎日来て「君だけだ」とか言ってくれる?
そんなのは過去のこと。残念、もう終わったこと。
ぼくのことをいつも思い出すだろう、たぶん。

*****
Thomas Campion
("Harden now thy tyred hart")

Harden now thy tyred hart, with more then flinty rage;
Ne'er let her false teares henceforth thy constant griefe asswage.
Once true happy dayes thou saw'st when shee stood firme and kinde,
Both as one then liu'd and held one eare, one tongue, one minde:
But now those bright houres be fled, and neuer may returne;
What then remaines but her vntruths to mourne?

Silly Traytresse, who shall now thy carelesse tresses place?
Who thy pretty talke supply, whose eare thy musicke grace?
Who shall thy bright eyes admire? what lips triumph with thine?
Day by day who'll visit thee and say 'th'art onely mine'?
Such a time there was, God wot, but such shall neuer be:
Too oft, I feare, thou wilt remember me.

http://www.luminarium.org/renlit/hardennow.htm

*****
カトゥルス8番の翻案。

「君が年をとったら」のパターンでまとめているが、
原作はちょっと違う。棄てられた自分に対して、
男らしくあきらめろ、しっかりしろ、と言っている。

*****
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Campion, ("Come, you pretty false-ey'd wanton")

トマス・キャンピオン
(「悪い目をしたいたずらなあなた」)
(『歌の本』2.18)

悪い目をしたいたずらなあなた、
そんなふうにずるく微笑むのはやめてください。
ぼくからうまく逃げるつもりですか?
あいまいな言葉でお茶を濁して?
そうはいきません。前もそうでした、
ぼくをふりはらって逃げていきました。
でも、今日はつかまえました。
羽を切って飛べなくしてしまいます。
息ができないほどキスします、
助けを求めて叫べないくらいに。

数えてみてください、星の数を、
降りそそぐ雹の数を、
テムズ川の柳の枝の数を、
ドーヴァ―の岸を呑みこんでいる砂の数を。
それよりたくさんのキスを雨のように注ぎます、
あなたの唇が疲れるくらいに。
過去最高の豊作のように
たくさんで、とても気持ちいい。
でも刈りとったらすぐに食べて消えてしまう--
貯めておけない恋の宝はそんなもの。

今、誰にも聞かれない真夜中で、
みんな寝ていたら、
ここが砂漠で
誰も見ていなかったら、
欲望のまま、したい放題させていただきます。
君が叫んでも、ぼくは余裕で笑います。
もしいけないことをしてしまったら、
それは恋のせい。
ぼくはあなたの召使いになりたいのです。
あなたを新しい聖人として崇めたいのです。

*****
Thomas Campion
("Come, you pretty false-ey'd wanton")
Books of Airs 2.18

Come, you pretty false-ey'd wanton,
Leaue your crafty smiling:
Thinke you to escape me now
With slipp'ry words beguiling?
No; you mockt me th'other day;
When you got loose, you fled away;
But, since I haue caught you now,
Ile clip your wings for flying:
Smothring kisses fast Ile heape,
And keepe you so from crying.

Sooner may you count the starres,
And number hayle down pouring,
Tell the Osiers of the Temmes,
Or Goodwins Sands deuouring,
Then the thicke-showr'd kisses here
Which now thy tyred lips must beare.
Such a haruest neuer was,
So rich and full of pleasure,
But 'tis spent as soone as reapt,
So trustlesse is loues treasure.

Would it were dumb midnight now,
When all the world lyes sleeping:
Would this place some Desert were,
Which no man hath in keeping.
My desires should then be safe,
And when you cry'd then would I laugh:
But if ought might breed offence,
Loue onely should be blamed :
I would liue your seruant still,
And you my Saint vnnamed.

http://www.luminarium.org/renlit/comepretty.htm

*****
カトゥルス 7 と 48 の翻案。

16-17世紀イギリスにおいてカトゥルスがもっていた
意味は、上のように翻訳・翻案された詩よりも、
そうされなかった詩から推しはかるべき。

全訳が18世紀末までつくられなかったのは、
それどころか当初ほんの一握りの詩しか訳され
なかったのは、カトゥルスの詩がしばしば
猥雑だから。

*****
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Campion, ("My sweetest Lesbia, let vs liue and loue”)

トマス・キャンピオン
(「いちばんかわいいレズビア、生きて愛しあおう」)

いちばんかわいいレズビア、生きて愛しあおう。
りっぱな人たちはぼくらのことを責めるけど、
気にしたら負けだから。空の明かり、大きな星たちは
西に沈んで、そしてまたすぐに生き返る。
でも、命の小さな明かりが沈んだら、
ぼくたち、永遠の夜を寝てすごすことになってしまう。

もし、みんながぼくのように愛のなかに生きたなら、
剣や鎧が血に染まることなんてない。
寝てて太鼓やラッパでたたき起こされる、なんてこともない。
愛の戦いだったら話は別だけど。
命の明かりを無駄にするなんて、ただの馬鹿。
わざわざ痛い思いして、永遠の眠りを求めるなんて。

いずれ死んでぼくの人生が終わる、ってとき、
棺桶のまわりに友だちが集まってきて悲しむのはいやだな。
むしろ、たくさんの恋人たちにおしゃれしてきてほしい。
そして楽しく遊んで、幸せなぼくが入る墓をにぎやかにしてほしい。
そして、ね、レズビア、君がぼくの小さな命の明かりを消すんだ。
そして、ぼくの永遠の夜を愛の冠で飾ってほしいんだ。

* * *
Thomas Campion
(“My sweetest Lesbia, let vs liue and loue”)

My sweetest Lesbia, let vs liue and loue,
And though the sager sort our deedes reproue,
Let vs not way them: heau'ns great lampes doe diue
Into their west, and straight againe reuiue,
But soone as once set is our little light,
Then must we sleepe one euer-during night.

If all would lead their liues in loue like mee,
Then bloudie swords and armour should not be,
No drum nor trumpet peaceful sleepes should moue,
Vnles alar'me came from the campe of loue:
But fooles do liue, and wast their little light,
And seeke with paine their euer-during night.

When timely death my life and fortune ends,
Let not my hearse be vext with mourning friends,
But let all louers rich in triumph come,
And with sweet pastimes grace my happie tombe;
And Lesbia close vp thou my little light,
And crown with loue my euer-during night.

* * *
カトゥルス5番の翻案。元は同じ詩であるJonson,
"To Celia" ("Come, my Celia, let us prove") とは
まったく別のオチとなっていることに注目。

このCampionの作品は、まだペトラルカ的な純愛の
枠のなかで書かれている。死ぬのが愛されている女性
(ラウラ、ベアトリーチェなど)ではなく詩人である、
という点がおそらく新機軸。

* * *
英語テクストは次のページより。
http://www.luminarium.org/renlit/lesbia.htm

* * *
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