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音楽

音楽

わたしが聴きたい音は
電気を使わない
ひとつかふたつの楽器の奏でる
ありのままの音

わたしが聴きたい歌は
電気を使わない
ひとつかふたつの楽器の奏でる
ありのままの音
といっしょに聞こえる
ありのままの歌
ありのままの声

心に響くのは
心を鳴らすのは
心を歌わせるのは
心を震えさせるのは
未完成で
ぎこちない
きれいすぎない
人のように自然な
そんな音
そんな調べ

人にしか出せない音
人にしか出せない声
人にしか歌えない歌

ただ楽しみのため
ただ喜びのため
ただ悲しみのため
ただ慰めのため
ただ安らぎのため

好きでしかたがない
奏でずにいられない
歌わずにいられない
そんな音
そんな歌

いつか誰かが
弾いてくれた(かもしれない)
弾いてくれる(かもしれない)
そんな音

いつか誰かが
歌ってくれた(かもしれない)
歌ってくれる(かもしれない)
そんな歌

*****
20190427-28

*****
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詩と音楽 II-4 (音楽のみ、2019 春)

詩と音楽 II-4 (音楽のみ、2019 春)

https://tinyurl.com/y38nryb8

*****
1 Moon Blue (E、原型)
2 涙の理由は片思い (GEM, バラード、部分)
3 (ピアノ 1) (E)
4 子守り歌 (E)
5 Gray, "Sonnet on the Death of Mr Richard West"
6 Moon Blue (GEM, 原型)
7 Shakespeare, Richard III, 1.1
8 (ピアノ 2) (E)
9 涙の理由は片思い (ロック)
10 涙の理由は片思い (E, バラード)
11 Wordsworth, ("I wandered lonely as a Cloud")
12 (声) (E)
13 de la Mare, "Faint Music"
14 子守り歌 (GEM)
15 Moon Blue (GEM, 静渾沌)
16 Moon Blue (E, 静渾沌)
17 涙の理由は片思い (GEM, バラード)
18 涙の理由は片思い (EM, バラード)
19 (ピアノ 3) (E)

*****
G: 曲(3, 19以外)、詩(日本語)、ギター、声、編集
E: 曲(3, 19以外)、ピアノ、声、ヴァイオリン
M: 曲(3, 19以外)、ピアノ、声、タンバリン

0313(ホール機材録音)

*****
授業用サンプル(の土台)、ほか。
よろしければBGMにでも。

*****
盗用・商用・悪用禁止。


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詩と音楽 II-3 (音楽のみ、2019 春)

詩と音楽 II-3 (音楽のみ、2019 春)

https://tinyurl.com/y6hnb9c3

*****
1 Moon Blue (部分)
2 Wordsworth, ("I wandered lonely as a Cloud")
3 Shakespeare, Richard III, 1.1
4 Gray, "Sonnet on the Death of Mr Richard West"
5 涙の理由は片思い (E, ロック)
6 涙の理由は片思い (GEM, バラード)
7 子守り歌
8 de la Mare, "Faint Music"
9 Moon Blue
10 涙の理由は片思い (GEM, ロック)
11 涙の理由は片思い (M, バラード)

*****
G: 曲、詩(日本語)、ギター、声、編集
E: 曲、ピアノ、声、ヴァイオリン
M: 曲、ピアノ、声、タンバリン

0313(PC録音)

*****
授業用サンプル(の土台)、ほか。
よろしければBGMにでも。

*****
盗用・商用・悪用禁止。


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詩と音楽 II-2 (音楽のみ、2019 春)

詩と音楽 II-2 (音楽のみ、2019 春)

https://tinyurl.com/y4s3nd55

*****
1 de la Mare, "Faint Music" (EM, 部分)
2 子守り歌 (EM)
3 Wordsworth, ("I wandered lonely as a Cloud")
4 Gray, "Sonnet on the Death of Mr Richard West"
5 Shakespeare, Richard III, 1.1
6 de la Mare, "Faint Music"
7 子守り歌(GEM)
8 de la Mare, "Faint Music" (GEM, 部分)

*****
G: 曲、詩(日本語)、ギター、編集
E: 曲、ピアノ、声
M: 曲、ピアノ、声、タンバリン

0312(ホール機材録音)

*****
授業用サンプル(の土台)、ほか。
よろしければBGMにでも。

*****
盗用・商用・悪用禁止。


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詩と音楽 II-1 (音楽のみ、2019 春)

詩と音楽 II-1 (音楽のみ、2019 春)

https://tinyurl.com/yysa8t7u

*****
1 Gray, "Sonnet on the Death of Mr Richard West"
2 子守り歌
3 Shakespeare, Richard III, 1.1
4 de la Mare, "Faint Music"
5 Wordsworth, ("I wandered lonely as a Cloud")

*****
G: 曲、詩(日本語)、ギター
E: 曲、ピアノ、声
M: 曲、ピアノ、声、タンバリン

0312(PC録音、ギター中心)

*****
授業用サンプル(の土台)、ほか。
よろしければBGMにでも。

*****
盗用・商用・悪用禁止。


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詩と音楽 I (2018 夏)

詩と音楽 I (2018 夏)

https://tinyurl.com/yyx6gazu

*****
1 Mudarra, Fantasia X
2-9 音楽
- Marlowe, Doctor Faustus
- Shakespeare, Romeo and Juliet, 1.5
- Shakespeare, Two Gentlemen of Verona, 3.1
- Milton, Paradise Lost, bk. 9
- Byron, "Stanzas to Augusta"(sts. 1, 4, 6)
- Shelley, "To Jane" ("The keen stars were twinkling")
- Tennyson, "Claribel" (Take 3)
- Tennyson, "Claribel" (Take 4)
10 夢(ギター、歌)
11-17 詩と音楽
- Marlowe, Doctor Faustus
- Shakespeare, Romeo and Juliet, 1.5
- Shakespeare, Two Gentlemen of Verona, 3.1
- Milton, Paradise Lost, bk. 9
- Byron, "Stanzas to Augusta"(sts. 1, 4, 6)
- Shelley, "To Jane" ("The keen stars were twinkling")
- Tennyson, "Claribel"
18 夢(歌、ギター)

G: 曲(1以外)、詩(日本語)、ギター、声
M: 曲(1以外)、ピアノ、声
I: 声
F: 声

*****
授業用サンプル、ほか。
よろしければBGMにでも。

*****
盗用・商用・悪用禁止。


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詩と音楽 I (デモ、2018夏まで)

詩と音楽 I (デモ、2018夏まで)

https://tinyurl.com/yasybmbg

*****
1-12 音楽
- Byron, "Stanzas to Augusta"(sts. 1, 4, 6)
- Shelley, "To Jane" ("The keen stars were twinkling")
- Tennyson, "Claribel"
- Marlowe, Doctor Faustus
- Shakespeare, Romeo and Juliet, 1.5
- Shakespeare, Two Gentlemen of Verona, 3.1
- Milton, Paradise Lost, bk. 9 (I)
- Shelley, "To Jane" ("The keen stars were twinkling")
- Tennyson, "Claribel"
- Marlowe, Doctor Faustus
- Shakespeare, Romeo and Juliet, 1.5
- Milton, Paradise Lost, bk. 9 (II)
13 夢

*****
GT: 曲、ギター、声

*****
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Dickinson, "I taste a liquor never brewed"

エミリ・ディキンソン(1830-1886)
「この世にないお酒を飲んだ」

この世にないお酒を飲んだ--
ブリキのコップ、真珠のお酒--
フランクフルトのぶどうだって
こんなすてきなお酒にならない!

空に酔っぱらって--ひっく、わたし--
露に飲んだくれて--
もうふらふら--夏が終わらないって最高--
青い空であちこち飲み屋に入りびたり--

酔っ払いの蜂が
ジギタリスの花の店から追い出されてる--
蝶々は--もうお酒はやめよう、って--
じゃあ、わたしが飲んであげる!

天使が白い帽子を振ってる、雪みたい--
聖人さまは--窓のところ--
わたし見られちゃった、酔っぱらって
もたれてるのを--太陽に!

*****
Emily Dickinson, 1830 - 1886
"I taste a liquor never brewed" (214)

I taste a liquor never brewed –
From Tankards scooped in Pearl –
Not all the Frankfort Berries
Yield such an Alcohol!

Inebriate of air – am I –
And Debauchee of Dew –
Reeling – thro’ endless summer days –
From inns of molten Blue –

When “Landlords” turn the drunken Bee
Out of the Foxglove’s door –
When Butterflies – renounce their “drams” –
I shall but drink the more!

Till Seraphs swing their snowy Hats –
And Saints – to windows run –
To see the little Tippler
Leaning against the – Sun!

https://www.poets.org/poetsorg/poem/i-taste-liquor-never-brewed-214

*****
学生の方など、自分の研究・発表のために上記を
参照する際には、このサイトの作者・タイトル・
URL・閲覧日など必要な事項を必ず記し、
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薔薇と犬の歌

1. 赤い薔薇の歌

声はもう
出ないけど
歌ってる
歌ってる

ひとりで
歩けないけど
踊ってる
踊ってる

瞳は
光らないけど
見つめてる
見つめてる

唇は
動かないけど
キスしてる
キスしてる

赤い薔薇は赤い薔薇
美し朽ちる赤い薔薇
雨に香る赤い薔薇
夢に傷つく赤い薔薇

だから
もっと
ずっと
ぎゅっと
抱きしめて

だから
もっと
ずっと
いつまでも
そばにいて

*****
2. 青い犬の歌

遠吠え
するだけで
歌えない
歌えない

ひとりで
歩けるけど
踊れない
踊れない

瞳を
光らせて
下を見る
下を見る

裂けた口
長い舌
キスしたい
キスしたい

痩せ犬負け犬青い犬
孤独に朽ちる青い犬
雨打たれ誇る青い犬
夢溺れ沈む青い犬

だから
もっと
ずっと
ぎゅっと
抱きしめて

だから
もっと
ずっと
いつまでも
そばにいて

*****
1990
20190420-27

*****
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眠りのワルツ

眠りのワルツ

長い旅
遠い町
夜の明かり
声もなく
歌わせて
眠りのワルツ

月の色
星の数
心残り
音もなく
踊らせて
眠りのワルツ

かすれて
見えない
消えてく
この世界で何よりも好きだった人たち

白い雲
白い風
朝の香り
まだうまく
歌えない
眠りのワルツ

淡い夢
淡い日々
胸の痛み
まだうまく
踊れない
眠りのワルツ

*****
20190413-16

*****
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Poe, "Annabel Lee"

エドガー・アラン・ポー
「アナベル・リー」

何年も何年も、何年も前、
この海の近くの王国で、
女の子がひとり住んでいた。知ってるかもしれない、
名前はアナベル・リー。
あの子は生きていた、ただ
ぼくを愛するため、ぼくから愛されるため。

ぼくはこどもで、あの子もこどもだった、
この海の近くの王国で、
でもぼくたちは愛しあっていた、それ以上だった……
ぼくとぼくのアナベル・リー……
愛しあっていた、翼のある天使たちが
あの子とぼくをほしがるくらいに。

だから、ずっとずっと前、
この海の近くの王国で、
雲から風が吹いてきて、凍ってしまった、
ぼくのかわいいアナベル・リー。
それであの子のお金持ちの親戚がやってきて、
ぼくからあの子を奪っていって、
お墓のなかに閉じこめた、
この海の近くの王国で。

天国にいても、天使たちはぼくたちの半分も幸せじゃなかった、
あの子とぼくがうらやましかった……
そうに決まってる! ……だから(みんな知ってる、
この海の近くの王国では)
夜に雲から風が吹いてきて、
ぼくのアナベル・リーを凍らせて殺した。

でもぼくたちの愛にはかなわない、
大人たちの愛も……
頭のいい人たちの愛も……
だから、天国の天使たちも、
海の底の悪霊たちも、
切り離せない、ぼくの魂を
かわいいアナベル・リーの魂から。

だから、月が明るく光る夜、いつもぼくは
かわいいアナベル・リーの夢を見る。
だから、星が空に昇る時、いつもぼくは
かわいいアナベル・リーの目を感じる。
だから、夜、ぼくは寝る、
大好きな……大好きな……命より大事な妻といっしょに、
海の近くのお墓のなか……
波響く海の近くのお墓のなか。

*****
Edgar Allan Poe
"Annabel Lee"

It was many and many a year ago,
In a kingdom by the sea,
That a maiden there lived whom you may know
By the name of Annabel Lee;
And this maiden she lived with no other thought
Than to love and be loved by me.

I was a child and she was a child,
In this kingdom by the sea,
But we loved with a love that was more than love—
I and my Annabel Lee—
With a love that the wingèd seraphs of Heaven
Coveted her and me.

And this was the reason that, long ago,
In this kingdom by the sea,
A wind blew out of a cloud, chilling
My beautiful Annabel Lee;
So that her highborn kinsmen came
And bore her away from me,
To shut her up in a sepulchre
In this kingdom by the sea.

The angels, not half so happy in Heaven,
Went envying her and me—
Yes!—that was the reason (as all men know,
In this kingdom by the sea)
That the wind came out of the cloud by night,
Chilling and killing my Annabel Lee.

But our love it was stronger by far than the love
Of those who were older than we—
Of many far wiser than we—
And neither the angels in Heaven above
Nor the demons down under the sea
Can ever dissever my soul from the soul
Of the beautiful Annabel Lee;

For the moon never beams, without bringing me dreams
Of the beautiful Annabel Lee;
And the stars never rise, but I feel the bright eyes
Of the beautiful Annabel Lee;
And so, all the night-tide, I lie down by the side
Of my darling—my darling—my life and my bride,
In her sepulchre there by the sea—
In her tomb by the sounding sea.

https://www.poetryfoundation.org/poems/44885/annabel-lee

*****
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Dickinson, "Tell all the truth"

エミリ・ディキンソン
「本当のことしか言わないで、でもはっきり言わないで……」

本当のことしか言わないで、でもはっきり言わないで……
いつでも、うまく行くのは遠回り
明るすぎて目が痛い、楽しくない
そんな真理の急襲
稲妻が落ちる時のよう、優しい話に
安心してきたこどもたちに
まぶしすぎる真理の光には少しずつ慣れないと
でないと目がつぶれてしまう……

*****
Emily Dickinson
"Tell all the truth but tell it slant — " (1263)

Tell all the truth but tell it slant —
Success in Circuit lies
Too bright for our infirm Delight
The Truth's superb surprise
As Lightning to the Children eased
With explanation kind
The Truth must dazzle gradually
Or every man be blind —

https://www.poetryfoundation.org/poems/56824/tell-all-the-truth-but-tell-it-slant-1263

*****
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Dickinson, "I’m Nobody! Who are you?"

エミリ・ディキンソン (1830-1886)
「わたしは名なし、あなたは誰?」

わたしは名なし、あなたは誰?
あなたも……名なし?……もしかして?
おんなじね!
しーっ! 内緒……ばらされちゃうと嫌だから!

ほんと嫌……よね……自分が誰か、人に知られるなんて!
人前にしゃしゃり出る……蛙みたい……
ゲコゲコ名前を言って……六月じゅうずっと……
泥沼にちやほやされて!

*****
Emily Dickinson (1830-1886)
"I’m Nobody! Who are you?" (260)

I’m Nobody! Who are you?
Are you – Nobody – too?
Then there’s a pair of us!
Don’t tell! they’d advertise – you know!

How dreary – to be – Somebody!
How public – like a Frog –
To tell one’s name – the livelong June –
To an admiring Bog!

https://www.poets.org/poetsorg/poem/im-nobody-who-are-you-260

*****
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Grey, CR, "To Adversity"

キャサリン・レベッカ・グレイ (1766?-1852)
「〈不幸〉の女神に」

ようこそ、青白い妖精のあなた。俯(うつむ)いて、
黒い服で、頭を上げられないあなた。
冷たくて優しい〈不幸〉の女神さま!
馬鹿な人にいろいろ教えてくれる先生!

あなたは、暗い〈誤り〉の膜(まく)を
勘違いした若者の目から剥がしてくれる。
〈傲慢〉の心に人の痛みを教えてくれる。
道に迷った人を〈真理〉に導いてくれる。

お金で買える〈お世辞〉や〈嘘〉は
あなたの神殿に来ない。
孤独なあなたの家に来るのは、いつも〈憐れみ〉、
それから真の〈友情〉。
純金かどうか火で調べるように、
本当の愛は〈不幸〉の試験でわかる。

*****
Catherine Rebecca Grey, Lady Manners
"To Adversity"

HAIL, pallid nymph, with downcast eye,
With sable garb, and head reclin'd,
Severely kind Adversity,
Preceptress of the thoughtless mind!

'Tis thine to draw dark Error's veil
From the deluded eyes of youth;
To teach the heart of Pride to feel,
And lead the wanderer to Truth.

Though venal Flattery and Deceit
Ne'er offer incense at thy shrine,
Pity still seeks thy lone retreat,
And real Friendship still is thine.
For, as pure gold by fire we prove,
Adversity's the test of love.

https://www.eighteenthcenturypoetry.org/works/pcm93-w0120.shtml

*****
ストレス・ミーター(四拍子)、または四歩格のソネット。
脚韻はイギリス式。

*****
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渡辺信二 「花の精」ほか

渡辺信二
「花の精」ほか

2018年2月9日、フェリスにおける渡辺信二さんの最終講義にて、
信二さんの詩5篇に曲をつけて朗読するというパフォーマンスをした。
詩を選び、読んだのは学生たちで、曲と演奏は私と音楽学部の
川本聡胤さんが担当した。演奏には文学部事務のMTさん
(フェリス音楽学部卒)にも一部参加していただいた。
https://tinyurl.com/yce76qgz

後日、川本さんからの提案で、同じ5篇の朗読・演奏を
スタジオであらためて録音した。朗読は、上の最終講義全体の
企画者であった文学部の由井哲哉さん(専門はイギリス演劇)
とMTさんが担当。 中年・老年男性の詩を由井さんが、
女性的・中性的な詩をMTさんが読んだ。ギター2本は
一発録りで、その上に朗読とピアノを重ねた。
「今日この頃」のみ、クラシック・ギターと朗読を
一発録り、そのうえに歌とエレキ・ギターを重ねている。

以下、信二さんご許可の下、これらの詩と曲をご紹介。

曲つきの詩の朗読、歪んだエレキ・ギターとクラシック・
ギターのスタジオ・ライヴ、などというあまり例のない形式
について、また時系列的・物語的に偶然--本当に偶然--
まとまった内容について、曲・演奏担当一同、とても
誇らしく思っている。

また、上記最終講義当日のパフォーマンスのために、
作品によって数日から10日程度の時間で朗読を
完璧に仕上げてくれた信二さんのゼミの学生たちに
心からの感謝を捧げたい。みなとても頼もしく、
教員として幸せに感じたひと時であった。

*****
https://drive.google.com/drive/folders/1IFiG2ci28OZbDm1rrmWTzIvlE1BCMpyY?usp=sharing

*****
1. 家出未遂

小学校3年生のとき 家出した
母の叱り方が理不尽だったから
明日から学校に行かなくても平気
3か月くらい本を読まなくても平気
3年くらい人と話さなくても平気
暗くなっても平気だった
何でも平気だった
ラーメン屋の屋台の匂いだって
平気だったけど
歩き疲れるとお菓子屋の裸電球がゆらゆら揺れて
商品棚のアンパンが美味そうに見える
遠くから味噌汁が匂ってくると
知らない家でも上がり込みたいと思う
由美ちゃんちの玄関で
かがんでカギ穴を覗くと
ちょうどあの階段で 由美ちゃんが
お休みなさいと言っていた
暗い神社の境内 手水で喉を潤す
ここではよく 隠れん坊をした
いっそずうっと隠れて姿を現さなきゃよかった
だから おれが帰ったんじゃない
空腹がおれを連れ帰ったんだ
うちの晩ご飯が済んだかどうか
知りたかっただけだ
うちは 平屋建ての市場につながる
狭い6畳の部屋 家族5人の家だった
家? 確かに 家だったのか?
背伸びして窓から中を覗くと
父が遅い晩飯だった
母が正座して お櫃から茶碗に
ご飯をついでいた
膝の上には縫い物が見えた
弟たちは 既に蒲団で寝ている
自然な家族の夜の姿
おれがいなくても 自然なのだ
けっきょく おれは
窓ガラスをこつこつと叩いた
父を迎えに 遠くの駅まで歩いて行ったので
こんなに遅くなったのだと嘘をついた
それから がむしゃらに空腹を満たす
味など分からなかった昭和33年の夏だった

だが今考えるなら
あれは 未遂ではなかった
あの時から 誰を 何を
迎えに行くのか 知り始めたのだから

- 詩誌『立彩』10号

曲:川本聡胤
朗読:由井哲哉
ギター:川本聡胤、冨樫剛

*****
2. シャボン玉から 

わたしは シャボン玉
悲しみが ゆっくり膨らむように
だいじに空に浮かびましょう
表面張力と風の微妙なバランス
たゆたう5秒間

そして 弾ける

でも 弾けるのは わたしではない
青い空 白い雲 あなたがたの夢
もしも弾けるのが 
あなたがたの胸の中なら
そこに穴を開けましょう

だけど わたしは シャボン玉
わたしが弾ける時は 何もない空の下
探しても探しても 誰の胸も見つかりません

- 詩誌『立彩』11号

曲:冨樫剛
朗読:MT
ギター:川本聡胤、冨樫剛

*****
3. 今日この頃は  

今日この頃は やけに霧が多い
通勤の朝 歩道を歩いていても
目的を見失って彷徨っているようで
どの樹も孤独 どの家も寂しい
不意に 歩行者とぶつかりそうになる

去年までは すれ違うたびに
「おはよう」と明るかったのに
今はみな 不思議な笑いようをして
姿を消してゆく 言葉も消えてゆく

先の見えない不安 
先の読めない不安
それでも 先人の歩みを知る限り
覚悟はできる と呟く

- 詩誌『立彩』12号

曲:冨樫剛
朗読:由井哲哉
歌:MT
ギター:川本聡胤、冨樫剛

*****
4. わがひとに与える挽歌

もしもおれたち 余命2年と言われたなら
18階建てマンション最上階の
南東角部屋に引越して
朝日を毎日 2人で迎えよう

見張らせば 遠くに 
凹凸の地平線が広がり
親と暮らした年月よりも
おれたち 一緒に暮らした年月が
すでに もう 17年も長いから

部屋の壁には おまえとおれの写真を
たくさん鋲で飾ろう
楽しいだけじゃない
辛くて苦しい思い出がずうっと多いが

それも おれたちの生きてきた
懐かしい大事な1コマひとコマだから
陽光をリビングいっぱいに広げ
ひがな1日 写真を眺めていよう

そして 定めの時が来れば
2人 手を繋ぎ このヴェランダから
番いの小鳥のように
潔く 晴れた空へと飛び立とう

悔いはない と言えば 嘘だ
来世で会おう も 実現できるかどうか
今はただ 手を繋ぐ この世のかたさをよすがに
晴れた空 遍く太陽に 魂を委ねる

- 詩誌『立彩』11号

曲:川本聡胤
朗読:由井哲哉
ギター:川本聡胤、冨樫剛

*****
5. 花の精

おれは二度 
花の精を見た  
「あと6ヶ月」と診断された病院からの帰り道
おまえを正視できずに 
メトロの窓ガラスに映る姿を盗み見た

そのとき おまえは ほの暗いガラスを背景にして 
まるで 古代ローマ女性のテュニカ姿で 
ぼんやり白く青く ふわりと浮かぶ妖精だった  
首元がぽつんと赤かった

二度目は 花に埋まった死化粧のおまえに
白くて青い姿が 重なるように
ふわりと浮かんでいた
赤い口紅を差した唇は 今にも花開きそうだった

おれは もう一度 
あのメトロに乗って時間をさかのぼりたい
あれは花の精を乗せたまま
今でもごうごうと 暗闇を突き進んでいるのだろうか

- 渡辺信二『アシャーの湖』(松柏社、2015)
http://www.shohakusha.com/detail.php?id=a9784775402276

曲:冨樫剛
朗読:由井哲哉
ピアノ:MT
ギター:川本聡胤、冨樫剛

*****
録音協力:ミュージックスクール M-Bank
エンジニア:寺内克久

*****
このような機会を与えてくれた信二さんと
信二さんの作品にあらためて心からの感謝を。

いろいろなめぐりあわせに驚きと感謝を。

*****
更新
20190401
20190829

*****
著作権はそれぞれ作者・出版社が保持。
盗用・商用・悪用禁止。


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