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Yeats, "Leda and the Swan"

ウィリアム・バトラー・イェイツ
「レダと白鳥」

急襲--羽ばたく大きな羽の下
少女はよろめく。太ももを
水掻きで撫でまわし、首をくちばしにはさみ、
胸を胸に押しつける。もうなすすべがない。

恐怖で指に力が入らない、そんな手で
光る神の鳥をはねのけるなんて無理。足の力も抜けていく。
白い鳥に襲われ抱かれ、
聞いたことのない心臓の音を聞く。

腰のなかで鳥が震え、少女は孕む。
それでトロイアの壁が壊れ、屋根と塔が燃え、
アガメムノンが殺される。
--このように空にさらわれ、
神の獣の力に支配された
レダはゼウスの知恵と力を手に入れた?
何も考えない・感じない彼がくちばしから彼女を落とす前に?

*****
William Butler Yeats
"Leda and the Swan"

A sudden blow: the great wings beating still
Above the staggering girl, her thighs caressed
By the dark webs, her nape caught in his bill,
He holds her helpless breast upon his breast.

How can those terrified vague fingers push
The feathered glory from her loosening thighs?
And how can body, laid in that white rush,
But feel the strange heart beating where it lies?

A shudder in the loins engenders there
The broken wall, the burning roof and tower
And Agamemnon dead.
Being so caught up,
So mastered by the brute blood of the air,
Did she put on his knowledge with his power
Before the indifferent beak could let her drop?

https://www.poets.org/poetsorg/poem/leda-and-swan

*****
レダはスパルタの王テュンダレオスの妻。
"Girl" ではない。

レダの娘は、トロイア戦争の原因となったヘレネと、
トロイア戦争のアテネ軍総大将アガメムノンの妻で
後に夫を殺すことになるクリュタイムネストラ。

*****
学生の方など、自分の研究/発表のために上記を
参照する際には、このサイトの作者、タイトル、URL,
閲覧日など必要な事項を必ず記し、剽窃行為のないように
してください。

ウェブ上での引用などでしたら、リンクなどのみで
かまいません。

商用、盗用、悪用などはないようお願いします。


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Yeats, "A Crazed Girl"

ウィリアム・バトラー・イェイツ
「狂った子」

あの狂った子が歌ってる。
あの子の詩が岸辺で踊ってる。
自分で自分がわからない魂が、
どこか知らないところに昇って、落ちる。
蒸気船の荷物のどこかに隠れたり、
膝の骨を折ったり。あの子は
気高く、美しい。心が
迷子になって、そして保護された、そんな英雄。

何があろうとおかまいなし。
あの子は立ちつくして絶望うぉうぉう
の歌を、ある種の勝利の歌を、歌う。
船荷の包みやかごが転がるなか、
わけのわからない言葉で。ぼくにわかったのは
ここだけ--「うぉうぉう飢え死にの海、腹ペコの海」。

*****
William Butler Yeats
"A Crazed Girl"

That crazed girl improvising her music.
Her poetry, dancing upon the shore,
Her soul in division from itself
Climbing, falling she knew not where,
Hiding amid the cargo of a steamship,
Her knee-cap broken, that girl I declare
A beautiful lofty thing, or a thing
Heroically lost, heroically found.

No matter what disaster occurred
She stood in desperate music wound,
Wound, wound, and she made in her triumph
Where the bales and the baskets lay
No common intelligible sound
But sang, 'O sea-starved, hungry sea.'

https://en.wikisource.org/wiki/A_Crazed_Girl

*****
キーワード:
心の安定 ataraxia
抑えられない感情 passion
理性 reason
感受性 sensibility

*****
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かまいません。

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Yeats, "To an Isle in the Water"

ウィリアム・バトラー・イェイツ (1865-1939)
「湖のなかの島に」

はにかみやさん、こわがりやさん、
ぼくの愛しのはずかしがりやさん、
火の明かりのなか、動いている、
考えながら、みんなから離れて。

あの子は皿をもってきて、
きれいに並べてくれる。
湖のなかの島に
あの子と行きたい。

あの子はろうそくをもってきて、
部屋を照らして、カーテンを閉めてくれる。
ドアのところのはにかみやさん、
暗いところにいるはずかしがりやさん。

ウサギのようなはにかみやさん、
仕事ができて、はずかしがりで。
湖のなかの島に
あの子と飛んで行きたい。

* * *

William Butler Yeats
"To an Isle in the Water"

Shy one, shy one,
Shy one of my heart,
She moves in the firelight
pensively apart.

She carries in the dishes,
And lays them in a row.
To an isle in the water
With her would I go.

She carries in the candles,
And lights the curtained room,
Shy in the doorway
And shy in the gloom;

And shy as a rabbit,
Helpful and shy.
To an isle in the water
With her would I fly.

* * *

声に出して読んでみる。

冒頭のShy one, shy oneのくり返し、
および散発的な "sh"(/ʃ/)の音で、
湖の水の「シャワシャワ」感を表現。

* * *

英語テクストはYeats, Collected Poems (1956) より。
http://www.ota.ox.ac.uk/text/3019.html
(スペリングのミスは修正。)

* * *

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Yeats, "The Witch"

ウィリアム・バトラー・イェイツ (1865-1939)
「魔女」

汗水たらして働いて金持ちになる、
それは、まさに寝ることのよう。
醜い魔女と。
そして、すべて吸いとられて干からびた後に、
連れていかれることのよう。
寝室に。そこでは、
ずっと好きだった人が横になっている。
絶望のなかで。

* * *

William Butler Yeats
"The Witch"

Toil and grow rich,
What's that but to lie
With a foul witch
And after, drained dry,
To be brought
To the chamber where
Lies one long sought
With despair?

* * *

ベン・ジョンソンのエピグラムの現代版、というような
雰囲気。短くて、教訓的で、ひねりがきいていて。

* * *

リズムについて。



ストレス・ミーター(四拍子)にのせようと思えば
のるのかもしれないが、この詩のいちばんのポイントは、
強音節しかない7行目。

* * *

英語テクストはYeats, Collected Poems (1956) より。
http://www.ota.ox.ac.uk/text/3019.html

* * *

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Yeats, "Youth and Age"

ウィリアム・バトラー・イェイツ (1865-1939)
「若さと老い」

ずいぶん怒り狂ってた、若かった頃。
社会が潰しにきてたから。
でも今、その社会がお世辞をいって
去りゆく客を急かしてくる。

*****
William Butler Yeats
"Youth and Age"

Much did I rage when young,
Being by the world oppressed,
But now with flattering tongue
It speeds the parting guest.

http://www.ota.ox.ac.uk/text/3019.html

*****
20180923 修正

*****
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Yeats, "Those Dancing Days Are Gone"

ウィリアム・バトラー・イェイツ (1865-1939)
「踊るような日々は過ぎ去って」

ねえ、耳元で歌っていい?
踊るような日々は過ぎ去って、
シルクやサテンの服も
石の上でしゃがんでいる。
きたないからだをつつむ
きたないボロ布のように。
ね、聴いて--ぼくの金のコップには太陽が、
銀の袋には月がある--

どれだけ君にけなされても最後まで歌うよ。
あのゴロツキ野郎、
君をいちばんよろこばせたあの野郎と、
彼に産んだ子どもたちが、
どこかでじっとコマみたいに寝てたって、もうどうでもいいよね?
どこかの大理石の敷石の下で。
ね、聴いて--ぼくの金のコップには太陽が、
銀の袋には月がある--

今日、よく考えた。
真っ昼間に、
もうカッコつけるのはやめよう。
杖をついてる男は、
歌って、くたばるまで歌って、いればいい。
若い女の子や、いじわるなばあさんに。
こんな感じで--ぼくの金のコップには太陽が、
銀の袋には月がある--

* * *

(別の口調で。)

のう、耳元で歌っていいかの?
踊るような日々は過ぎ去っての、
シルクやサテンの服も
石の上でしゃがんじまって。
まるできたないからだをつつむ
きたないボロ布じゃ。
さ、聴いてくれ--わしの金のコップには太陽が、
銀の袋には月がある--

どんだけけなされても最後まで歌うからの。
あのゴロツキ野郎、
君をいちばんよろこばせたあの野郎と、
彼に産んだ子どもたちが、
どこかでじーっとコマみたいに寝てたって、もうどうでもよかろ?
どこかの大理石の敷石の下での。
さ、聴いてくれ--わしの金のコップには太陽が、
銀の袋には月がある--

今日、よーく考えたんじゃ。
真っ昼間に、
もうカッコつけるのはやめよってな。
杖をついてるじいさんは、
歌っていれば、くたばるまで歌っていれば、いいってな。
若い女の子や、いじわるなばあさんにさ。
こんな感じにじゃ--わしの金のコップには太陽が、
銀の袋には月がある--

* * *

William Butler Yeats
"Those Dancing Days Are Gone"

Come, let me sing into your ear;
Those dancing days are gone,
All that silk and satin gear;
Crouch upon a stone,
Wrapping that foul body up
In as foul a rag:
I carry the sun in a golden cup.
The moon in a silver bag.

Curse as you may I sing it through;
What matter if the knave
That the most could pleasure you,
The children that he gave,
Are somewhere sleeping like a top
Under a marble flag?
I carry the sun in a golden cup.
The moon in a silver bag.

I thought it out this very day.
Noon upon the clock,
A man may put pretence away
Who leans upon a stick,
May sing, and sing until he drop,
Whether to maid or hag:
I carry the sun in a golden cup,
The moon in a silver bag.

* * *

1-6, 9-14
いろいろ構文的に不明確だが、内容としては、
男性の老人である「わたし」が、夫や子どもを亡くして
そのお墓のところに来ている女性の老人である「君」に対して、
軽口、憎まれ口をたたきつつ口説いているようす。
この男性は昔からこの女性が好きで、という
イェイツの生涯にも重なる設定。(たぶん。)

3-4
3行目末のセミコロンで区切られているが、
上の訳では、主部=All that silk and satin gear
述部=Crouch upon a stoneとして解釈。

かつてはシルクやサテンの服で着かざっていたような
「君」が、今は年老いて、そして夫の墓(地面に埋まっている
敷石=flagのようなタイプ)のところに来てその死を悼んでいる、
そんなようす。

それに対して「わたし」が、ボロな体をボロに包んで、
と憎まれ口をたたいているのが5-6行目。

4 stone
ここでは、墓石のこと。14行目のmarble flagと同じ。
こういうタイプ。


http://commons.wikimedia.org/wiki/
File:Roger_Casement-Grave_in_Glasnevin.jpg

10 the knave
「君」と呼ばれている女性の夫のこと。

13 sleeping like a top
Sleep like a topは慣用句。うまくまわしたコマは
まったく動いていないように見えるが、そのように
じっと、まったく動かずにぐっすり眠る、ということ。

ここでは、死んで、墓石の下で。

* * *

別に、具体的な場面を想像する必要もないだろうが、
こういうのは、やはり時と場合と自分の資質と、
それから相手との関係によって、アリだったり
ナシだったりするはず。

それにしても、すごいふっきれ方だな、と。

* * *

この詩は、カーラ・ブルーニ、『ノー・プロミセズ』
(Carla Bruni, No Promises, 2007)の一曲目に
とりあげられている。

これは、イェイツ、オーデンなどの詩に(確か)ブルーニ自身が
曲をつけて、ギターで弾き語りに近い音で演奏したアルバム。
(確か、ギターを弾いているのもブルーニ。)

(国会図書館の所蔵データ)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000008548338-00

ブルーニのような女性の場合、歌詞や曲や音に関係ないかたちで
注目されてしまうが、これは、静かで飾り気のない、いいアルバム。
特に複雑なことは考えず、好きな音楽を好きなように、
無理なくできる範囲で、演奏している感じ。

(売れなくてもいい人の余裕というか。ブルーニは、モデルで
ミュージシャンで、フランスの元大統領サルコジ氏の奥さん。)

* * *

英文テクストはYeats, Collected Poems (1956) より。
http://www.ota.ox.ac.uk/text/3019.html

* * *

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Yeats, "After Long Silence"

ウィリアム・バトラー・イェイツ (1865-1939)
「長い沈黙の後」

長い沈黙の後、話そう--そう、
恋人たちがみな別れたり死んだりした後、
意地悪な明かりを鎖(とざ)して、
意地悪な夜に幕を引いて、
話そう、語ろう、
気高いことについて、芸術や歌について。
体の老い、それは知恵。若い頃には
愛しあい、そして無知だった。

*****
William Butler Yeats
"After Long Silence"

Speech after long silence; it is right,
All other lovers being estranged or dead,
Unfriendly lamplight hid under its shade,
The curtains drawn upon unfriendly night,
That we descant and yet again descant
Upon the supreme theme of Art and Song:
Bodily decrepitude is wisdom; young
We loved each other and were ignorant.

http://www.ota.ox.ac.uk/text/3019.html

*****
3 lamplight / shade
太陽/夜の闇のこと?

3-4
つまり、光も夜もありがたいものでなくなったときに、
ということ。光がありがたくない、というのは、
たとえば、年老いた姿を照らしてしまうから。

*****
20180923 修正

*****
必要以上に、というか、別に、芸術や歌や知恵が
美化されているわけではないところがポイント。

結局のところ、若くてバカで愛しあっていた頃の
楽しさ、よろこびに勝るものはない、という
(正面からは認められない、認めたくない)意識が
にじみ出ている感じ。

*****
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Yeats, "The Four Ages of Man"

ウィリアム・バトラー・イェイツ (1865-1939)
「人間の四つの時代」

人はからだと戦った。
からだが勝った。だからそれは立って歩く。

それから、彼は心と戦った。
汚れのなさと安らぎが去った。

それから、彼は思考と戦った。
そして、傲慢な心を彼は捨てた。

今、神との戦いがはじまる。
真夜中の一撃で神が勝つだろう。

* * *

William Butler Yeats
"The Four Ages of Man"

He with body waged a fight,
But body won; it walks upright.

Then he struggled with the heart;
Innocence and peace depart.

Then he struggled with the mind;
His proud heart he left behind.

Now his wars on God begin;
At stroke of midnight God shall win.

* * *

3 the heart
意志、欲望(OED7)。
感情の宿る場所としての心(OED 9a)。
愛情の宿る場所(OED 10a)。

5 the mind
意識、思考、意志の宿る場所としての心(OED 17a)。

7 God
日本人は、「仏」と読みかえてもいいと思う。

不信仰から信仰への移行を「戦い」とたとえるところが
キリスト教的。Church militantということばとか。

もちろん、この詩では、成長あるいは時間的変化の
すべての過程が、戦いという比喩で語られているわけだが。

よく知らないが、ほかの宗教はどうだろう。

* * *

まとめ。人間の四つの時代。

1
人(魂)は、みずから望んだわけではないが、
からだをもつことになった。

2
人は、みずから望んだわけではないが、
感情をもつようになり、邪悪なことを考えたり、
心を乱されたり、するようになった。

3
人は、みずから望んだわけではないが、
思慮をもつようになり、強い感情でも押し殺したり
無視したりできるようになった。

4
人は、みずから望んで、ではないが、
信仰をもつようになるだろう。

* * *

英文テクストはYeats, Collected Poems (1956) より。
http://www.ota.ox.ac.uk/text/3019.html

* * *

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Yeats, "The Mermaid"

ウィリアム・バトラー・イェイツ (1865-1939)
「人魚」

人魚は泳いでいる少年を見て、
つかまえて自分のものにした。
からだを彼のからだに押しつけ、
笑った。そして頭から海にもぐった。
残酷な幸せのなか、忘れてしまって。
恋する男でも溺れることを。

* * *

W. B. Yeats
"The Mermaid"

A mermaid found a swimming lad,
Picked him for her own,
Pressed her body to his body,
Laughed; and plunging down
Forgot in cruel happiness
That even lovers drown.

* * *

英文テクストはYeats, Collected Poems (1956) より。
http://www.ota.ox.ac.uk/text/3019.html

* * *

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Yeats, ("I thought no more was needed")

ウィリアム・バトラー・イェイツ
「歌」(それだけでいいと思っていた)

それだけでいいと思っていた。
若くいるためには、
ダンベルとフェンシングの剣があればいい、
それでからだを若くしていればいい、と。
思ってもみなかった、
心も年をとるなんて。

おしゃべりならできるが、
それだけでは女の人は満足しない。
あまりにきれいで気が遠くなる、なんてことがもうないから。
となりにいても。
思ってもみなかった、
心も年をとるなんて。

欲望がなくなったわけではない。
が、以前もっていたような熱い心が、
からだを焼き尽くすと思っていた。
死の床で。
思ってもみなかった、
心も年をとるなんて。

* * *

W. B. Yeats
"A Song" ("I thought no more was needed")

I thought no more was needed
Youth to prolong
Than dumb-bell and foil
To keep the body young.
Oh, who could have foretold
That the heart grows old?

Though I have many words,
What woman's satisfied,
I am no longer faint
Because at her side?
Oh, who could have foretold
That the heart grows old?

I have not lost desire
But the heart that I had,
I thought 'twould burn my body
Laid on the death-bed.
But who could have foretold
That the heart grows old?

* * *

英文テクストは、The Wild Swans at Cooleより。
http://www.gutenberg.org/ebooks/32491

* * *

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Yeats, "Cloths of Heaven"

W・B・イェイツ (1865-1939)
「もし空色の布をもっていたら」

もし、大空のように刺繍された布をぼくがもっていたら、
金色、銀色の光で飾られた
青い布、薄明るい布、暗い布、
夜や、光や、たそがれ時の色の布を、もしもっていたなら、
ぼくは、それを君の足の下に広げてあげることだろう。
でも、貧しいから、ぼくにあるのは夢だけで、
それを君の足の下に広げてきた。
静かに歩いて、ぼくの夢を踏んでいるのだから。

* * *

William Butler Yeats,
"He Wishes for the Cloths of Heaven"

Had I the heavens' embroidered cloths,
Enwrought with golden and silver light,
The blue and the dim and the dark cloths
Of night and light and the half light,
I would spread the cloths under your feet:
But I, being poor, have only my dreams;
I have spread my dreams under your feet;
Tread softly because you tread on my dreams.

* * *

イェイツ曰く、「こういうことをしていると女性にふられる」。

Jeffares, A Commentary on the Collected
Poems of W.B. Yeats
(Stanford, 1968), p. 84;
Ross, Critical Companion to William Butler
Yeats
(New York, 2009) p. 284.

(君のために自分の夢を、もっているものすべてを、
犠牲にしてるんだからやさしくして、という取り引き的な
ところがダメ? 自分の夢を、もっているものすべてを、
犠牲にするという行為が、実はダメ? あるいは、
大空のように刺繍された布をもっていない、などと
認めるところがそもそもいけない?)

* * *

以下、訳注。

タイトル
初出時のタイトルは "Aedh Wishes for the Cloths
of Heaven". 1906年のPoetical Works以降、AedhがHeに。
(Aedhというのはイェイツの作品に出てくる神話的なキャラクター。
この辺、詳しくないので、さらっと。)

1-5
いわゆる仮定法の構文。1-4行目が仮定節(If I had. . . )で
5行目が帰結節。

1 heavens
タイトルではHeavenと単数形で、ここでは複数形。意味は同じで、
「太陽や月や星のある、大きな丸屋根のように見える空の広がり」
OED 1a, 1c)。(上の日本語訳では、あえて「天」という
言葉をはずしています。)

2
[T]he heavens' embroidered clothsを後ろから説明。
(日本語訳では3-4行目にかけています。)

金色銀色の光とは、太陽や月や星の光のこと。
慣例的に、太陽の光は金色、月の光は銀色。

3-4
1行目のthe heavens' embroidered clothsと同格。
いい換えているだけ。

青は昼間の空の色。薄明るい(dim)のは夜明けや夕暮れ、
太陽が昇る直前あるいは沈んだ直後の空の色。
(いわゆるtwilight.)

* * *


http://commons.wikimedia.org/wiki/
File:Dscf1869.jpg


By Fir0002
http://commons.wikimedia.org/wiki/File:April_dawn.jpg


By George Groutas
http://commons.wikimedia.org/wiki/
File:Jorge-11_-_Night_Skies_(by).jpg

こんな色の布など、もちろん誰ももっていないわけで・・・・・・。

* * *

女性による朗読では、視点と雰囲気が変わってきます。

http://www.gutenberg.org/files/20591/mp3/20591-02.mp3
http://www.gutenberg.org/files/20591/mp3/20591-03.mp3
http://www.gutenberg.org/files/20591/mp3/20591-04.mp3
http://www.gutenberg.org/files/20591/mp3/20591-05.mp3

* * *

リズムについて。



ストレス・ミーター(四拍子)だが、弱強格、強強格、
弱弱強格を効果的に配置することにより(特に行末)、
各ビート(拍子)のあいだを不均一にしている。
(歌のように一定のリズムで読むと不自然。)

また、行末が、前半四行(仮定節の部分)は強強格
(特に3-4行目)、後半四行は弱弱強格(特に6, 8行目)、
と統一されているのが特徴的。前半と後半で雰囲気が
まったく違う。

* * *

英文テクストは、Yeats, The Wind Among the Reeds,
4th ed. (1903)より。
http://www.gutenberg.org/files/32233/
32233-h/32233-h.htm

* * *

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Yeats, "Her Anxiety"

ウィリアム・B・イェイツ (1865-1939)
「彼女の不安」

美しく装った大地は、
春の帰りを待つ。
すべての真の愛は死ぬ、
よくても変わる、
より劣ったものに--
こんな話、嘘だと証明して。

恋人たちにはからだがあり、
多くを求める息があり、
だからふれあい、ため息をつく。
二人がふれあうたび、
愛は死に近づく--
こんな話、嘘だと証明して。

* * *

William B. Yeats
"Her Anxiety"

Earth in beauty dressed
Awaits returning spring.
All true love must die,
Alter at the best
Into some lesser thing.
Prove that I lie.

Such body lovers have,
Such exacting breath,
That they touch or sigh.
Every touch they give,
Love is nearer death.
Prove that I lie.

* * *

以下、訳注と解釈例。

これは、"Words for Music Perhaps" と
題された一連の詩のひとつ(10番)。

1-2
大地が春を待つのは冬の季節で、
そのとき大地は、実際には美しく装っていない
(草木は枯れている)。たとえば
きれいに装って恋人を待つ女性と
大地を重ねているから、論理的に
ゆるくあいまいな感じになっているのかと。
(議論ではなく歌、ということで。)

3-5
1-2行目に暗示されている季節の変化と
恋愛関係の変化を重ねている。
「草木や花が枯れ、しおれ、散るように、
愛も・・・・・・」。

7-9
Such . . . that . . . の構文。
最初のsuchはso greatのような意味で、
That節は結果をあらわす(OED, "Such" 13a)。

直訳すれば、「恋人たちはそんなからだと、
そのようにexactingな息をもっているから、
ふれあい、ため息をつく」。

最初のSuchに、後から次行のSuch exactingが
重なり、あ、そういうことか、とわかる。つまり、
そのようにexacting = 多くを要求する、犠牲を強いる、
ということか、と(OED, "Exacting," ppl.a 3)。

まとめ: 7-9行目は、「恋人たちは身体的に
多くを求めあうからふれあう。また精神的にも
多くを求めあうから(そして求めるものを相手から
得られないから)ため息をつく」というような意味。

* * *

意味的に響きあう脚韻:
dressed - best
returning spring - lesser thing
die - lie
have - give
breath - death
sigh - lie

リズムはストレス・ミーター(四拍子)。
歌なので。

* * *

詩のリズムについては、以下がおすすめです。

ストレス・ミーターについて
Derek Attridge, Poetic Rhythm (Cambridge, 1995)

古典韻律系
Paul Fussell, Poetic Meter and Poetic Form, Rev. ed.
(New York, 1979)

その他
Northrop Frye, Anatomy of Criticism: Four Essays
(Princeton, 1957) 251ff.
(後日ページを追記します。和訳もあります。)

Joseph Malof, "The Native Rhythm of English Meters,"
Texas Studies in Literature and Language 5 (1964):
580-94

(日本語で書かれたイギリス詩の入門書、解説書の多くにも
古典韻律系の解説があります。)

* * *

英文テクストは、W. B. Yeats, Collected Poems,
1889-1939
<http://www.archive.org/details/
WBYeats-CollectedPoems1889-1939> より。

* * *

学生の方など、自分の研究/発表のために上記を参照する際には、
このサイトのタイトル、URL, 閲覧日など必要な事項を必ず記し、
剽窃行為のないようにしてください。

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Yeats, "Sweet Dancer"

ウィリアム・B・イェイツ (1865-1939)
「踊り子」
(「バルセロナにて」)

あの子が踊っていく、そこ、
木の葉が散りばめられた庭の、刈られたばかりの、きれいな
草のところを。
若さの苦痛から逃れて、
とりまく人々から逃れて、
自分の黒い雲からも。
--ああ、美しい踊り子よ。

変わった人たちが出てきて、
あの子を連れていこうとしても、いわないで、
あの子、おかしいから幸せなんだ、と。
彼らにはそっと脇にそれてもらって、
あの子に最後まで踊らせてあげて。
最後まで踊らせてあげて。
--ああ、美しい踊り子よ。

* * *

William B. Yeats
"Sweet Dancer"
("At Barcelona")

The girl goes dancing there
On the leaf-sown, new-mown, smooth
Grass plot of the garden;
Escaped from bitter youth,
Escaped out of her crowd,
Or out of her black cloud.
Ah, dancer, ah, sweet dancer!

If strange men come from the house
To lead her away, do not say
That she is happy being crazy;
Lead them gently astray;
Let her finish her dance,
Let her finish her dance.
Ah, dancer, ah, sweet dancer!

* * *

伝記的には、イェイツが1930年代に知りあった
マーゴット・ラドック(Margot Ruddock)という
女優/詩人が、この詩の「踊り子」とされています。
一応、参照までに以下のものを。(ゴシップ的な
側面のあるエピソードですので、特におすすめはしません。)

McHugh, ed. Ah, Sweet Dancer: W. B. Yeats,
Margot Ruddock: A Correspondence
(1970).

Ross, Critical Companion to William Butler Yeats
(2009) 77.

The Times (20030903の記事)
http://entertainment.timesonline.co.uk/tol/
arts_and_entertainment/books/article1069084.ece
(改行を入れています。)

* * *

以下、解釈例。

4 bitter
"Sweet" の反意語(OED 1)。

(5 her crowd
この踊り子のモデルのラドックが女優だったことを
考えると、この "crowd" に「観客」の意を読みこんで
いいかも。
OED 1b])

(8-13
イェイツと知りあった数年後に、ラドックが
精神科に入院したことを背景とする表現として解釈。
"[T]he house" は病院、"strange men" は、医師や
親族、知人たちかと。)

11 lead astray
下記の通り、"astray" についてOEDには「正しい道から
はずれて」、「正道からそれて誤りや悪に向かって」という
二つの定義しかない。

Astray: 1. Out of the right way, away from
the proper path, wandering; 2. Away from
the right; in or into error or evil.

もちろん、ここでは1の定義で考えるべきであろうが、
"wandering" というニュアンスは、やや文脈にそぐわないようにも
思われる。「少し仕事を忘れてもらって」という表現にすれば、
2の定義のほうがよりふさわしく見えたりもする。

・・・などということと同時に勝手に頭に浮かんでくるのは、
ミルトンの「思いにふける人」("Il Penseroso," 1645)。そこでは、
タイトルにある「思いにふける人」が、夜更けにナイチンゲール
(という鳥)の声を聴きたくて、森をひとり歩く・・・・・・が、
それは聴こえてこない・・・・・・そのまま、きれいに刈られた
緑の草地("smooth-shaven green")を歩きながら「さまよう月」
("the wandering moon")を見る・・・・・・ その月は、まるで
天の広き道なき道から迷い出た("led astray")かのよう・・・・・・。

---
ついでに道からそれますが、「天の広き道なき道から迷い出た」
("led astray / Through the heaven's wide pathless way")
という表現はすごくないですか? 広い夜空には、道とは
見えませんが星たちの通る決まった道があって、でもやはり
月など明るい星は、自分の道からさまよい出たように見えて。

「思いにふける人」の、この夜の森のナイチンゲールと
月の場面は、コールリッジの「ナイチンゲール」に
引用/言及されています(表向きは批判的に)。そちらも
よろしければ。

ちなみに "planet" という語は、ギリシャ語の "lead astray,"
"wander" という言葉からきているそうです(OED, "planet")。
「惑星」という言葉も、その直訳なんですね。たぶん。
---

英文テクストは、W. B. Yeats, Collected Poems,
1889-1939
<http://www.archive.org/details/
WBYeats-CollectedPoems1889-1939> より。

* * *

以下、リズムの解釈例。





基調はストレス・ミーター(四拍子)。
ペンで机をコツコツする、手をたたくなど、
上のスキャンジョンのBのところで拍子をとりながら、
以下を読んでみてください。

行によって複数のビート・パターンを示しました。
いろいろ試していただければと思います。
読み方ひとつで雰囲気が大きく変わります。
(たとえば8ビートの曲を4ビートや16ビートで演奏できたり
するようなもので、どれが正しいかということは、
特に考える必要ないと思います。)

先にあげたミルトンの「五月の朝」やジョンソンの
「こだま」は、ストレス・ミーターの行と五歩格の行を
混在させることによりリズムに変化を与えていました。
このイェイツの詩は、四拍子という枠のなかで
構文と各行の音節/ビート数を変化させることにより、
それからストレスのある音節とビートの位置を散らすことにより、
リズムと雰囲気に変化を与えています。

* * *

1
ふつうに(歌のようにではなくふつうの発話として)読むと
girl goes dancing の強音節すべてにビート(拍)を
感じると思うが、次行以降、最後まで声に出して読み、
再度この行に帰ると、この詩全体のスピードはその半分、
girl と dancing の強音節のみにビートをあわせる感じと
わかる。

2-3
いわゆる「行またがり」(enjambment)でつながっていて
(run-on になっていて)、3行目のフレーズの切れ目(plot)まで
つづけてふつうに読むと、そこにちょうど四拍子の句切れ目が
聞こえる。

[G]arden の後に記した(B)(B)(B)は、もしこの詩を
四拍子の曲にのせるなら、of the garden で一行分に
する必要があるかも、という勝手なアイディア。

(第1スタンザ、第2スタンザとも、それぞれ前半の1-3行目/
8-10行目には行またがりがあり、意味的/リズム的に
後半4-7行目/11―14行目とは大きく異なる。)

4-7
構文もリズムBBB(B)もそろえてある。が、4-6行目では
四つのビート BBB(B) のうちの二つ目の位置が
行ごとに変えられている。(ストレスのある音節の場所--
bitter, out, black--の操作により。)
こうして出てくる独特の浮遊感は、描かれている女の子の
踊りの不規則性を暗示するものと思う。

---
なお、構文的には、4-5行目の最初、Escaped の前に、
She has (か Having か何か)が省略されています。
ここの Escape は自動詞(「逃れて自由になる」 OED 1a)
なので、Escaped from . . . は、受け身の分詞構文では
ありません。

(どこで読んだか忘れましたが)少し後の世代の詩人オーデンは、
時としてイェイツが、構文や内容の明瞭さより音やリズムを
優先することを批判していました(確か)。この「踊り子」にも、
そんなイェイツの特徴がうかがわれように思います。
---

11―13
第1スタンザの4-6行目と異なり、この三行ではストレスの位置と
ビートの位置がそろっている。行頭の音も /l/ でそろえてある。
8-10行目で strange men が出てきたからか、
女の子の踊りから自由な不規則性がなくなっているような、
そんな印象を受ける。

12―13
内容語(ストレスあり)と機能語(ストレスなし)の中間に位置する
微妙な let (動詞だけど機能語的)にビートをおくかどうかで
だいぶ印象が変わる。 個人的には、ビートもストレスもおかずに
読んだときのつぶやきのような雰囲気がいい感じかと思う。
踊っていた女の子が医師たちに連れもどされそうになっているのを見て、
「・・・最後まで踊らせよう・・・最後まで・・・」みたいな。

* * *

響きあう母音/子音の重なり各種--

girl - goes
leaf-sown - new-mown - smooth
Grass - garden
crowd - black - cloud
away - say
happy - crazy - astray
Lead - gently - let

(頭韻、行内韻、母音韻、子音韻、パラライムなどの
用語は定義があいまいなので使いません。)

* * *

詩のリズムについては、以下がおすすめです。

ストレス・ミーターについて
Derek Attridge, Poetic Rhythm (Cambridge, 1995)

古典韻律系
Paul Fussell, Poetic Meter and Poetic Form, Rev. ed.
(New York, 1979)

その他
Northrop Frye, Anatomy of Criticism: Four Essays
(Princeton, 1957) 251ff.
(後日ページを追記します。和訳もあります。)

Joseph Malof, "The Native Rhythm of English Meters,"
Texas Studies in Literature and Language 5 (1964):
580-94

(日本語で書かれたイギリス詩の入門書、解説書の多くにも
古典韻律系の解説があります。)

* * *

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Yeats, "When You Are Old"

ウィリアム・B・イェイツ (1865-1939)
「君が老いたとき」

君が年老いて、髪も灰色になって、眠気に満ち、
暖炉のそばでうとうとしているときには、この本を棚からおろして、
ゆっくり読んで、そして夢のなかで思い出して、
昔の君の目の穏やかなまなざしのことを、その深いかげのことを--

美しい頃のわたしに惹かれ、愛してくれた人は何人いたかしら、
美しい頃のわたしを、いつわりでも、本気でも、何人愛してくれたかしら、
でも、巡礼みたいなわたしの心を愛してくれた人もいたわ、
あの人は、老けていくわたしの顔のかげにひそむ悲しみを愛してくれた--

そして赤くなった暖炉の柵のそばでかがみ、
少し寂しげにつぶやいて。〈愛〉は逃げてしまい、
頭の上の山の上を歩いていて、
そして星たちのなかに顔を隠してしまった、と。

* * *

W. B. Yeats (1865-1939)
"When You Are Old"

When you are old and gray and full of sleep,
And nodding by the fire, take down this book,
And slowly read, and dream of the soft look
Your eyes had once, and of their shadows deep;

How many loved your moments of glad grace,
And loved your beauty with love false or true;
But one man loved the pilgrim soul in you,
And loved the sorrows of your changing face.

And bending down beside the glowing bars
Murmur, a little sadly, how love fled
And paced upon the mountains overhead
And hid his face amid a crowd of stars.

* * *

以下、解釈例。

第2スタンザは、第1、第3スタンザの命令文
(命令ではないけど)に挿入されている感じで、
第2スタンザ全体で第1スタンザ3行目の動詞
dream(夢見て)の内容をややぼんやりと
あらわしている。

5行目 glad: 異性を惹きつける(cf. OED, "glad" 4d)

7行目 pilgrim soul 巡礼のような心(魂)
巡礼はエルサレムやカンタベリーなどの宗教的聖地に
向かう。つまり、この詩の「君」もなにか神聖な目的に
向かっていた(いる)、ということ。

10行目 love このテクストでは小文字だが、
キューピッドとして擬人化されていると思われる。
(後の版では大文字でLoveと印刷されている。)

11行目 キューピッドが「頭の上の山の上を歩いて」いると
いうことは、たとえば、「君」にはもう手の届かないところに
いる、ということ。

12行目 キューピッドが「星たちのなかに顔を隠して
しまった」ということは、たとえば、今、星のように
輝いている若者たちに矢を放って恋愛させている、
ということ。つまり、年老いた「君」はもうキューピッドの
矢のターゲットではない、ということ。

英文テクストはW. B. Yeats, Poems (London: Unwin, 1912)
p. 136より。

この詩が最初に出版されたのは1892年。 書かれたのは1891年、
イェイツがモード・ガンMaud Gonneと いう女性にプロポーズして
拒まれた年(David A. Ross, Critical Companion to William Butler
Yeats
[New York: Infobase, 2009] 284)。

このCompanionの第3スタンザの解釈は私の日本語訳とは異なり、
またこの詩の元ネタである16世紀フランスの詩の英語訳を
全文あげてくれているので、関心があればご一読を。

* * *

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剽窃行為のないようにしてください。


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