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Earl of Surrey, The Second Book of Virgil's Aeneid (Laocoon and the Serpent)

ヘンリー・ハワード、サリー伯 (訳)
『ウェルギリウスのアエネイス第二巻』 より
(ラオコオンと蛇)

哀れなわたしたちを待ち受けていたのは、もっと恐ろしいこと、
予想外の悲しいできごとであった。
くじによってネプチューンの神官に選ばれていた
ラオコオンは、牛をいけにえにして
祭壇に捧げた。すると、突然、
見よ! テネドスから大きな輪を描きつつ、
静かな海を渡って二匹の大きな毒蛇が泳いできた。
岸に向かいつつ、思い出したくもないが、
海の上、胸から上をもちあげていた。
波の上に見えるのは残忍な顔で、
後ろの部分は、水のなか隠れていた。
身の毛もよだつようなその背中をからみあわせつつ、
砕ける波の音とともに蛇たちは岸にやってきた。
その目は、血と炎の色にギラギラしていた。
出たり入ったりする舌で、シューシューいいながら口をなめていた。
わたしたちは逃げた。顔からは完全に血の気が引いていた。
蛇たちは、まっすぐラオコオンに向かって飛んでいった。
そしてまず、それぞれ彼の小さな
二人の子のからだに巻きついた。
かわいそうに、蛇たちは彼らの手足をかみちぎり、食べてしまった。
そして、次にラオコオンに襲いかかる。こどもたちを助けるために
武器をもっていたが、そんな彼に、蛇たちは二重にからみつく。
からまったロープのように、しっぽ同士をつなげ、彼の腰を絞めつける。
うろこのある背中のところで彼の首を二重に絞めつける。
そしてのどをのばし、頭を高く掲げている。
ラオコオンは、両手でなんとか蛇をふりほどこうとした。
神官をあらわす頭の帯は、ほとばしる血と、
悪臭を放つ毒でベタベタに汚れていた。
空の星に向かい、彼はおぞましい最後の叫び声をあげる。
それは、まるでうなる牛の鳴き声、
いけにえの牛が祭壇であげる断末魔のうなり声のようであった、
首に突き刺さった斧をふり落とそうとしながら・・・・・・。
二匹の蛇は、跡を残しながら、あっという間に
女神アテナの神殿、彼女の高い塔のところに這っていった。
そしてこの厳格なる女神の足下、
彼女の盾の後ろに隠れた。
わたしたちの震える胸は、さらなる驚愕に襲われた。
みなはいった、ラオコオンは、みずからの悪事のために
こんな高い代償を払ったのだ、あの神聖なる木馬に
剣を向け、邪悪にも槍を投げつけたのだから、と。
そして、意見が一致したかのように、ひとりひとりが同じことを叫んだ、
あの木馬をアテナの神殿に招き入れよう、
そうして彼女の怒りを静めるのだ、と。

* * *
Henry Howard, Earl of Surrey
From the Second Book of Virgil's Aeneid
(Laocoon and the Serpent)

Us caitifes then a far more dredful chaunce
Befell, that trobled our vnarmed brestes.
Whiles Laocon, that chosen was by lot
Neptunus priest, did sacrifice a bull 255
Before the holy altar, sodenly
From Tenedon, behold! in circles great
By the calme seas come fletyng adders twaine,
Which plied towardes the shore I lothe to tell
With rered brest lift vp aboue the seas; 260
Whose bloody crestes aloft the waues were seen.
The hinder part swame hidden in the flood;
Their grisly backes were linked manifold.
With sound of broken waues they gate the strand,
With gloing eyen, tainted with blood and fire; 265
Whoes waltring tongs did lick their hissing mouthes.
We fled away, our face the blood forsoke;
But they with gate direct to Lacon ran.
And first of all eche serpent doth enwrap
The bodies small of his two tender sonnes, 270
Whoes wrectched limes they byt, and fed theron.
Then raught they hym, who had his wepon caught
To rescue them; twise winding him about,
With folded knottes and circled tailes, his wast;
Their scaled backes did compasse twise his neck, 275
Wyth rered heddes aloft and stretched throtes.
He with his handes straue to vnloose the knottes,
Whose sacred fillettes all be sprinkled were
With filth of gory blod, and venim rank,
And to the sterres such dredfull shoutes he sent, 280
Like to the sound the roring bull fourth loowes,
Which from the altar wounded doth astart,
The swaruing axe when he shakes from his neck.
The serpentes twain with hasted traile they glide
To Pallas temple, and her towres of heighte; 285
Under the feete of which the goddesse stern,
Hidden behinde her targettes bosse they crept.
New gripes of dred then pearse our trembling brestes.
They sayd Lacons desertes had derely bought
His hainous dede, that pearced had with stele 290
The sacred bulk, and throwen the wicked launce.
The people cried with sondry greeing shouts
To bring the horse to Pallas temple bliue,
In hope thereby the goddesse wrath tappease.

* * *
ラオコオンはトロイアの神官。この一節にあるように、
ギリシャ側の木馬の策略を見破ってこれを
焼こうとしたために(要確認?)、ギリシャ側についていた
女神アテナによって海蛇に絞め殺される。
http://www.theoi.com/Olympios/AthenaMyths3.html

* * *
英語テクストは、The Poems of Henry Howard,
Earl of Surrey (1920) より。一部修正。
https://archive.org/details/poemsofhenryhowa00surruoft

* * *
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Jonson (tr.), Horace, Ode 4.1 (To Venus)

ベン・ジョンソン (訳)
ホラティウス、オード 4.1 (ウェヌスに)

ウェヌス、また君は戦いをはじめようとしている。
長く休戦中だったのに。頼む、頼むから、やめてくれ!
わたしはもう違う、かつて、
あのすてきなキナラの虜だったころのわたしではない。やめてくれ、
甘い恋を生む意地悪な女神よ、やめてくれ、
男を虐げるのは。もう50なんだ。
凝り固まっていて、そんな甘い命令には応えられない。
他のところに行ってくれ。ほら、若い奴がやさしい声で君を呼び戻そうとしているぞ。
そうだ、輝く君の白鳥といっしょに
パウルス・マクシムスの家に行けばいい。
彼の客になって、いろいろごちそうになって、そして楽しくおしゃべりでもすればいい。
彼は恋に燃えたがってるから。
彼は身分が高くて、ルックスもいいし、何より若い。
困ってるときにいろいろ口を利いてくれたりもする。
まさに多才多芸で、君の旗持ちとして
あっちこっちで君のために戦ってくれる。
君が、他の男の贈りものより
彼の笑顔のほうをとるなら、
大理石で君の像をつくってくれるぞ、
アルバ湖の近く、オレンジの木の下に。
そこにいって、あふれんばかりのいい香りで
鼻をくんくんさせながら、君は
ハープとリュートにのせたやさしい歌でも聴けばいい。
フリギアのオーボエやフルートもあるだろう。
一日に二回、清らかなメロディにのせて、
少年少女たちが君への讃歌を歌うんだ。
そして軍神マルスの信者たちみたいに、
一日に三回集まって、象牙のようなきれいな足で踊るんだ。
わたしには、もう若い女の子や恋する少年なんて
どうでもいい。愛しあって楽しむ、なんてことはもう期待していない。
からだも健康ではないし、
きれいな花を頭に飾ろうとも思わない。
でもどうして? どうしてなんだ、リグリヌス君、
どうしてわたしの色あせた頬を涙がつたって流れるのだろう?
どうしてきれいな言葉が
口から出てこなくなる? どうしてみじめに黙ってしまう?
君は冷たいよ、リグリヌス君! 毎晩わたしは
君を抱きしめてる夢を見る! でも、君は夜明けとともに逃げていく。
でも、君が鳥になってマルスの野原へ飛んでいこうと、
魚になって曲がりくねったテヴェレ川を泳いでいこうと、わたしは君を追いかける。

* * *
Ben Jonson (tr.)
Horace, Ode 4.1 (To Venus)

Venus, again thou mov’st a war
Long intermitted, pray thee, pray thee spare!
I am not such, as in the reign
Of the good Cynara I was; refrain
Sour mother of sweet Loves, forbear
To bend a man, now at his fiftieth year
Too stubborn for commands so slack:
Go where youth’s soft entreaties call thee back.
More timely hie thee to the house
(With thy bright swans) of Paulus Maximus:
There jest and feast, make him thine host
If a fit liver thou dost seek to toast.
For he’s both noble, lovely, young,
And for the troubled client fills his tongue:
Child of a hundred arts, and far
Will he display the ensigns of thy war.
And when he, smiling, finds his grace
With thee ‘bove all his rivals’ gifts take place,
He’ll thee a marble statue make,
Beneath a sweet-wood roof, near Alba lake;
There shall thy dainty nostril take
In many a gum, and for thy soft ear’s sake
Shall verse be set to harp and lute,
And Phrygian hau’boy, not without the flute.
There twice a day in sacred lays,
The youths and tender maids shall sing thy praise!
And in the Salian manner meet
Thrice ‘bout thy altar, with their ivory feet.
Me now, nor girl, nor wanton boy
Delights, nor credulous hope of mutual joy;
Nor care I now healths to propound
Or with fresh flowers to girt my temples round.
But why, oh why, my Ligurine,
Flow my thin tears down these pale cheeks of mine?
Or why my well-graced words among,
With an uncomely silence, fails my tongue?
Hard-hearted, I dream every night
I hold thee fast! but fled hence with the light,
Whether in Mars his field thou be,
Or Tiber’s winding streams, I follow thee.

* * *
すべての、道を踏みはずしそうな中年以上の方に。

(ちなみに、「リグリヌス君」は男性。
実在かフィクションかは不明。
古代ローマの社会について、
別の意味でちょっと考えさせられる。)

* * *
19世紀末の詩人アーネスト・ダウソンの「シナラ」の
タイトルは、この詩の3-4行から。

Non sum qualis eram bonae
Sub regno Cinarae. . . .

* * *
英語テクストは次のURLのもの。
http://www.poets.org/poetsorg/
poem/book-4-ode-1-venus

* * *
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Philips (tr.), Sappho, "An Hymn to Venus"

アンブローズ・フィリップス (訳)
サッポー、「ウェヌスを称える歌」

ああ、ウェヌスさま、空にいる美しい女神さま、
みんなあなたを頼りにしてます。
やさしくほほえみ、楽しげに嘘をつく女神さま、
多くの手管で恋する者を惑わせる女神さま、
わたしの心を自由にして、
恋の痛みと悩みから。

もし恋に苦しむ人の歌が
あなたに届くなら、
どうかわたしの歌と祈りを聞いて。
お願い、女神さま、わたしの話を聞いて。
降りてきて、輝く女神さま、
美しく光を放ちながら。

いちばん偉いユピテル様のところから、
天の黄金のお城から、前にあなたは来てくれた。
恋するスズメがあなたの車を引いてきた、
軽やかに空を飛んで、
わたしの部屋まで羽ばたいて、
遊ぶように波うつ羽で。

仕事が終わった鳥たちは、あなたを残して
車を引いて帰っていった。
そしてあなたは、やさしく澄んだまなざしで、
本当に女神のようにほほえんで、
聞いてくれた、どんな新しい恋に悩んでいるの?
わたしにどうしてほしいの?

胸のなか、どんな狂おしい思いがあるの?
どうしたらそれは静まるの?
どんな高貴な彼を惹きつけたいの?
魔法で誰を手に入れたいの?
誰があなたの心を征服したの?
言ってみて、サッポーさん、それが誰か、教えて、ね。

今、彼は引き寄せるあなたの腕を避けてる、
でも、すぐにあなたのこと見直して言い寄ってくるわ。
今、彼はあなたの贈りものなんていらないと思ってる、
でも、すぐに彼のほうからあなたに捧げものをしてくるわ。
今、彼は氷のように冷たい。でも、すぐに恋に燃えあがる。
彼のほうがあなたの虜になるの。

天からのお客さま、もう一度
来てほしいの、お願いです。
本当にお願い、この苦しみを和らげて。
おかしくなりそうなわたしの心をなんとかして。
隠れて燃えるわたしの心に気がついて。
わたしの望みをみんなかなえて。

* * *
Ambrose Philips (tr.)
Sappho, "An Hymn to Venus"

O Venus, beauty of the skies,
To whom a thousand temples rise,
Gaily false in gentle smiles,
Full of love-perplexing wiles;
O goddess, from my heart remove
The wasting cares and pains of love.

If ever thou hast kindly heard
A song in soft distress preferred,
Propitious to my tuneful vow,
gentle goddess, hear me now.
Descend, thou bright immortal guest,
In all thy radiant charms confessed.

Thou once didst leave almighty Jove
And all the golden roofs above:
The car thy wanton sparrows drew,
Hovering in air they lightly flew;
As to my bower they winged their way
I saw their quivering pinions play.

The birds dismissed (while you remain)
Bore back their empty car again:
Then you, with looks divinely mild,
In every heavenly feature smiled,
And asked what new complaints I made,
And why I called you to my aid?

What frenzy in my bosom raged,
And by what cure to be assuaged?
What gentle youth I would allure,
Whom in my artful toils secure?
Who does thy tender heart subdue,
Tell me, my Sappho, tell me who?

Though now he shuns thy longing arms,
He soon shall court thy slighted charms;
Though now thy offerings he despise,
He soon to thee shall sacrifice;
Though now he freeze, he soon shall burn,
And be thy victim in his turn.

Celestial visitant, once more
Thy needful presence I implore.
In pity come, and ease my grief,
Bring my distempered soul relief,
Favour thy suppliant's hidden fires,
And give me all my heart desires.

* * *
英語テクストは Sappho (1920) から。
https://archive.org/details/sapphowharton00sappuoft

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Pound, "Homage to Sextus Propertius" VII

エズラ・パウンド (訳)
「セクストゥス・プロペルティウスを称えて」 (VII)
(プロペルティウス 2.15より)

幸せなぼく、幸せな夜、輝きに満ちた夜、
ほら、長いお楽しみのせいでベッドそのものもうれしそう。
ろうそくをたくさん費やし、どれほど語りあったことか。
明かりが消えたときにはもみくちゃになって。
今、この子は胸を出したままぼくを押さえつけてきた。
時間差でチュニックを広げて胸を隠して。
この子は眠りに落ちたぼくのまぶたを開く、
唇で。そしていった--「なに怠けてるの?」

なんていろんなかたちで抱きあったことか、腕をいろいろさしかえて、
キスも、たくさんたくさん、唇に感触が残るくらいに。
「ウェヌスに目隠ししちゃダメ。
目が愛を導くんだから。
パリスは、裸のヘレネがメネラオスのベッドから出てきたとこをつかまえたし、
裸のエンディミオンのからだも光ってて、それでディアナを惹きつけたのよ。」
--そう、確かにそんな話だった。

ぼくたちの運命がからみあっているあいだは、心ゆくまで見つめあおう。
長い夜が君にもやってくるから、
太陽が戻ってこない日がやってくるから。
神々がぼくたちを鎖でしばってくれますように。
いつまでもその鎖がほどけませんように。

愛の狂気を閉じこめるなんて、バカのすること。
太陽が黒い馬に乗って飛ぶようになったら、
大麦の種から小麦が育つようになったら、
川が上流に向かって流れるようになったら、
そしたら、愛も慎みを学ぶかも、
それか、魚が水のない川で泳ぐようになったら。
そう、ダメダメ、生きてていちばんいいことができるあいだは、
それをやめちゃいけない。

枯れた花冠から花びらが落ちる。
乾いた茎は編まれてバスケットになる。
今日、ぼくたちは、恋人同士、のんびりゆっくり安らいで、
でも明日になったら、運命がぼくたちをどこかに閉じこめてしまう。
君はぼくだけにキスしてくれるけど、
もっともっともっとして。

ぼくの切ない気持ちはこの子だけのもの。
ぼくはこの子のもののまま死にたい。
もしこの子がこんな夜を過ごさせてくれるなら、
ぼくの日々は長くなる、まるで何年もののように。
もしこんな夜がたくさんたくさんあったら、
ぼくは永遠に生きる神、そのときだけは。

* * *
Ezra Pound (tr.)
"Homage to Sextus Propertius" VII
(From Propertius 2.15)

Me happy, night, night full of brightness;
Oh couch made happy by my long delectations;
How many words talked out with abundant candles;
Struggles when the lights were taken away;
Now with bared breasts she wrestled against me,
Tunic spread in delay;
And she then opening my eyelids fallen in sleep,
Her lips upon them; and it was her mouth saying: Sluggard!

In how many varied embraces, our changing arms,
Her kisses, how many, lingering on my lips.
"Turn not Venus into a blinded motion,
Eyes are the guides of love,
Paris took Helen naked coming from the bed of Menelaus,
Endymion's naked body, bright bait for Diana,"
---such at least is the story.

While our fates twine together, sate we our eyes with love;
For long night comes upon you
and a day when no day returns.
Let the gods lay chains upon us
so that no day shall unbind them.

Fool who would set a term to love's madness,
For the sun shall drive with black horses,
earth shall bring wheat from barley,
The flood shall move toward the fountain
Ere love know moderations,
The fish shall swim in dry streams.
No, now while it may be, let not the fruit of life cease.

Dry wreaths drop their petals,
their stalks are woven in baskets,
To-day we take the great breath of lovers,
to-morrow fate shuts us in.
Though you give all your kisses
you give but a few.

Nor can I shift my pains to other
Hers will I be dead,
If she confers such nights upon me,
long is my life, long in years,
If she give me many,
God am I for the time.

* * *
これも「カルペ・ディエム」のテーマの一変奏。

パウンドはプロペルティウスのオリジナルに
だいぶ手を加えている。スタンザの順番を変えたり、
スタンザをほぼ丸ごと省いたり。

* * *
英語テクストは、Poems 1918-21 (c.1921) より。
https://archive.org/details/poemsbyezra00pounrich

* * *
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Jonson, "To Sir Robert Wroth"

ベン・ジョンソン
「ロバート・ロウス卿に」

田舎を愛する君は幸せだ、ロウス! たまたま田舎で
くらすことになっているにしろ、それが運命であるにしろ、両方であるにしろ!
街、宮廷の近くにいながら、
君はどちらの悪徳、娯楽にも染まっていない。
だから高位にあっても、君は長官の晩餐や
市長のパーティに出ていってゴマをすったりしない。
王の宮殿にかかっている豪華な織りものや、
りっぱな食器を見に行ったりもしない。
一夜かぎりの豪奢な仮面劇を
ひと目見に、群がったりもしない。
そこでは宝石やぜいたく品、苦労と知性が
無駄に浪費されるのみで、しかも支払いが済んでいないものもある!
君は、家で、より安全に、心安らかに、生きている。
買わなくてもいろいろな生産物に恵まれている。
豪奢な玄関もなく、金ピカの屋根もない屋敷で、
牛たちの声を聞きながら、牛たちとともに歩きながら。
君の屋敷には、巻き髪のような木々の森、花々で彩られた草原があり、
そこを蛇のような川が
涼しく気持ちのいい木陰に向かって流れている。
そこでは、眠りが眠り以上に心地いい。
あるいは、もし君が夜通しおきているなら、
雄鹿の大きな声がベッドまで聞こえてくる。
春、君の王の狩りのために、住みかから駆り出されていて。
王が来れば、君の屋敷は宮廷がわりとなる。
夏にも、君は友人と
順番に小鹿を狩ったりする。
秋には、鷹を飛ばせてヤマウズラを狩り、
これを客人が見て楽しむ。
冬に、君は、飛ぶように逃げる野ウサギを追いかける。
食べるために、というよりも、楽しみとして。
ウサギを追いかけながら、猟犬たちの
深く大きな声を聞くのが楽しいのだ。
川や茂みのところで鷹狩りをしたり、
一生懸命ツグミを狙って撃ったり、
君は一日を楽しく過ごす、
たとえ、それが一年でいちばん寒い日でも!
季節ごとに君は見る、
花咲く草原、緑の茂みを、
刈られた牧場にいる、毛を刈られた羊を、
そして草を刈る者、羊の毛を刈る者が楽しむごちそうを。
君は見る、あまり高くはなくとも熟れたトウモロコシを、
重そうにいろいろ実った畑を、
少しずつ収穫されるリンゴを、
木の実を食べて、太って帰ってくる豚を。
木が切り倒されて薪になるのを。木陰になってくれていた枝が、
今度は火になってくれるのだ。
こうして羊飼いの神パンと森の神シルヴァヌスへの儀式が済むと、
新たな楽しみを求めて享楽の神コウマスがやってくる。
そして、君の開かれたホールを楽しい浮かれ騒ぎで満たしてくれる。
まるでサトゥルヌスの時代、黄金時代であるかのように。
アポロンのハープ、ヘルメスのリラが鳴り響き、
詩神ムーサたちが歌う。
田舎の人々がどっと押し寄せ
(この時ばかりは無礼講だから)、
君の気高い奥方もていねいにもてなす。
彼女の一族の偉大な英雄たちも、
高位下位関係なく入り混じって席につく。
階級など関係なく、自由にふるまっていいのだ。
陽気に、ワインが何度もふるまわれ、
気がかりなど、そのワインのなかで溺れて沈む。
どっちの側の主張が通るか、
弁護士費用をどうするか、などということは、誰も考えない。
まさにかつてはそのような時代だった。
「黄金」と呼ばれる、一番最初の時代は。
そして、その時代であるかのように家の者たちを喜ばせてやれるのだから、
努力するのだ、ロウス、君自身、いつまでも清らかでいるように。
他の者たちにさせておけばいい、悪しき目的のために
武器をとって見張ったり、次々にふってくる命令にさらされたり、
戦って、荒れ狂う大砲に撃たれたり、ということは。
年をとってから古傷を抱えて眠り、
撃たれた羽飾り、破れた軍旗を見せびらかし、
これこそ生きがい、などとうそぶきたいだけなのだから。
放っておけ、法廷で汗をかいて争う者など。
あらゆる争いから少しでも利益をあげようとしているのだ。
そして、自分の言葉によって資産を得たり失ったりするのだ、
金や戦争や死によってではなく。
放っておけ、ひどい父が子に対してするように人の財産に手をつける者など。
得意に思っているのだ、
親を失った子や未亡人を破産させておいて。
まるで自分が運命の女神に匹敵する力をもっているかのように。
放っておけ、汚い富の山を築く者など。
盗みよりも悪質なかたちで強奪した富の山を
大事そうに、眠らずに守っているのだ。
そのような者にできるいいこととは、おそらく死ぬことだけだろう。
放っておけ、悪人におべっかを使う何千もの者たちなど。
大きな罪の片棒を担(かつ)いで利益をあげようとしているのだ。
役職や栄誉を求める者も放っておけ、夜、眠れなくなるような
秘密を抱えて喜んでいるのだ。
そのような者たちは、豪華な深紅の服を着て馬に乗る。食事には銀の皿を使う。
そして、ごちそうと思いながら毒を食べるのだ。
親愛なるロウスよ、わたしはこれが正論だと思うのだが、
君はこのような者たちを妬むことはない。
君は心安らかにくらしている。よい屋敷をもっているなら、
そこに住んだほうがいい。
神は、人が見知らぬ岸で難破することなど望みはしない。
神は人間を大切にしてくれている。人が自分に対してするよりも。
わたしたちにとって何が心地よいにしろ、
神は常に最良のものを与えてくれる。
それをきちんと用いることができる者が幸せになれる。君にはそうであってほしい。
朝夕に祈るとき、
神に感謝するのだ。そして心から求めるのだ、
健やかなからだを。そして、より健やかな心を。
自分の国のために働くのだ。自分を律するのだ。
そうすれば、恐くなどないだろう、
困窮も死も。君の砂時計の最後の砂が落ちるとき、
命とは天から借りたもの、と感じることだろう。

* * *
Ben Jonson
"To Sir Robert Wroth"

How blest art thou, canst love the country, WROTH,
Whether by choice, or fate, or both!
And though so near the city, and the court,
Art ta'en with neither's vice nor sport:
That at great times, art no ambitious guest
Of sheriff's dinner, or mayor's feast.
Nor com'st to view the better cloth of state,
The richer hangings, or crown-plate;
Nor throng'st (when masquing is) to have a sight
Of the short bravery of the night;
To view the jewels, stuffs, the pains, the wit
There wasted, some not paid for yet!
But canst at home, in thy securer rest,
Live, with unbought provision blest;
Free from proud porches, or their gilded roofs,
'Mongst lowing herds, and solid hoofs:
Along the curled woods, and painted meads,
Through which a serpent river leads
To some cool courteous shade, which he calls his,
And makes sleep softer than it is.
Or if thou list the night in watch to break,
A-bed canst hear the loud stag speak,
In spring, oft roused for thy master's sport,
Who for it makes thy house his court;
Or with thy friends, the heart of all the year
Divid'st, upon the lesser deer:
In Autumn, at the partridge mak'st a flight,
And giv'st thy gladder guests the sight;
And in the winter, hunt'st the flying hare,
More for thy exercise, than fare;
While all that follow, their glad ears apply
To the full greatness of the cry:
Or hawking at the river, or the bush,
Or shooting at the greedy thrush,
Thou dost with some delight the day out-wear,
Although the coldest of the year!
The whilst the several seasons thou hast seen
Of flowery fields, of cop'ces green,
The mowed meadows, with the fleeced sheep,
And feasts, that either shearers keep;
The ripened ears, yet humble in their height,
And furrows laden with their weight;
The apple-harvest, that doth longer last;
The hogs return'd home fat from mast;
The trees cut out in log, and those boughs made
A fire now, that lent a shade!
Thus Pan and Sylvan having had their rites,
Comus puts in for new delights;
And fills thy open hall with mirth and cheer,
As if in Saturn's reign it were;
Apollo's harp, and Hermes' lyre resound,
Nor are the Muses strangers found.
The rout of rural folk come thronging in,
(Their rudeness then is thought no sin)
Thy noblest spouse affords them welcome grace;
And the great heroes of her race
Sit mixt with loss of state, or reverence.
Freedom doth with degree dispense.
The jolly wassal walks the often round,
And in their cups their cares are drown'd:
They think not then, which side the cause shall leese,
Nor how to get the lawyer fees.
Such and no other was that age of old,
Which boasts t'have had the head of gold.
And such, since thou canst make thine own content,
Strive, Wroth, to live long innocent.
Let others watch in guilty arms, and stand
The fury of a rash command,
Go enter breaches, meet the cannon's rage,
That they may sleep with scars in age;
And shew their feathers shot, and colors torn,
And brag that they were therefore born.
Let this man sweat, and wrangle at the bar,
For every price, in every jar,
And change possessions, oftner with his breath,
Than either money, war, or death:
Let him, than hardest sires, more disinherit,
And each where boast it as his merit,
To blow up orphans, widows, and their states;
And think his power doth equal fate's.
Let that go heap a mass of wretched wealth,
Purchased by rapine, worse than stealth,
And brooding o'er it sit, with broadest eyes,
Not doing good, scarce when he dies.
Let thousands more go flatter vice, and win,
By being organs to great sin;
Get place and honor, and be glad to keep
The secrets that shall break their sleep
And so they ride in purple, eat in plate,
Though poison, think it a great fate.
But thou, my Wroth, if I can truth apply,
Shalt neither that, nor this envy:
Thy peace is made; and when man's state is well,
'Tis better, if he there can dwell.
God wisheth none should wrack on a strange shelf:
To him man's dearer, than t'himself.
And howsoever we may think things sweet,
He always gives what he knows meet;
Which who can use is happy: Such be thou.
Thy morning's and thy evening's vow
Be thanks to him, and earnest pray'r to find
A body sound, with sounder mind;
To do thy country service, thy self right;
That neither want do thee affright,
Nor death; but when thy latest sand is spent,
Thou may'st think life a thing but lent.

* * *
いわば、以下のようなギリシャ・ローマ古典の翻案の
詰めあわせのような作品。

ウェルギリウス、『農耕詩』(Georgics)2:493-540
ホラティウス、エポード (Epode) 2
マルティアリス 、エピグラム 1: 49, 3:58

ロバート・ロウス (c.1576–1614) は詩人メアリー・ロウスの夫。
ジョンソン曰く、「メアリー・ロウスさまは、お気の毒にも、意地悪な
夫とご結婚されている」。

* * *
英語テクストは次のもの。
http://www.luminarium.org/sevenlit/jonson/
robertwroth.htm

* * *
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Donne, ("Death be not proud")

ジョン・ダン (1572-1631)
「聖なるソネット IV」
(「〈死〉よ、思いあがってはいけない」)

〈死〉よ、思いあがってはいけない。おまえは強い、恐ろしい、
という人もいるが、本当はそうではない。
殺した、とおまえが思っている者も、
実は死んではいない。おまえはわたしを殺せない。
おまえの生き写しである〈眠り〉、〈休息〉は、
とても気持ちいい。だから、おまえ自身はもっともっと気持ちいいはずだ。
いちばんすぐれた人が最初におまえと行く。
骨が安らぎ、魂が解放されるということだ。
おまえは〈運命〉、〈偶然〉、王たち、絶望した人間の奴隷にすぎず、
おまえの仲間は、毒と戦争と病気くらいだ。
それに、アヘンやまじないのほうがよく眠らせてくれる、
おまえの一撃よりも。どうして図にのることができる?
少し眠ったら、わたしたちは永遠の世界で目を覚ます。
もはやそこに〈死〉はない。〈死〉よ、おまえのほうが死ぬのだ。

* * *
John Donne
Holy Sonnet VI
("Death be not proud")

Death be not proud, though some have called thee
Mighty and dreadfull, for, thou art not soe,
For, those, whom thou think'st, thou dost overthrow,
Die not, poore death, nor yet canst thou kill mee;
From rest and sleepe, which but thy pictures bee,
Much pleasure, then from thee, much more must flow,
And soonest our best men with thee doe goe,
Rest of their bones, and soules deliverie.
Thou art slave to Fate, chance, kings, and desperate men,
And doth with poyson, warre, and sicknesse dwell.
And poppie, or charmes can make us sleepe as well,
And better then thy stroake; why swell'st thou then?
One short sleepe past, wee wake eternally,
And death shall be no more, death thou shalt die.

* * *
英語テクストは、Poems (1633, STC 7045) より。
パンクチュエーションを一部修正。

* * *
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Calverley (tr.), "The Dead Ox" (Virgil, Georgics 3: 515ff.)

C・S・カーヴァリー (訳)
「死んだ牛」
(ウェルギリウス、『農事詩』 3:515ff.)

ああ、重く動かない犂(すき)の上に、牛が
倒れる。その口からは、血に染まった泡が吹き出している。
あえぎながら、牛は息を引きとる。悲しげな顔で農夫が
近づき、もう一頭、生きているほうの牛を
くびきからはずす。仕事の途中で、
犂は畑に放り出されたままだ。
森の奥の涼しいところも、気持ちのいい草原も、
もはや彼の気を惹かない。琥珀のように澄み、
崖の岩のところから平地にまで流れてくる川も、である。
大きな脇腹にはもう力が入らない。光のない目はガラスのよう。
重そうな首が低く、さらに低く、沈んでいく。
これまでしてきた仕事に対して、この牛はどれくらい感謝されるのか、
重くかたまった土を人間のためにずっと
耕してきたのに? しかも、牛たちは、イタリアのワインに酔いつぶれたり、
たくわえられたごちそうにおぼれたりしない。
緑の葉、汚れのない草だけを食べる。
澄んだ小川、気持ちよく流れる川の水だけを
飲む。罪がないからよく眠り、心配ごとで目を覚ますこともない。

* * *
C. S. Calverley (tr.)
"The Dead Ox" (Virgil, Georgics 3: 515ff.)

Lo! smoking in the stubborn plough, the ox
Falls, from his lip foam gushing crimson-stained,
And sobs his life out. Sad of face the ploughman
Moves, disentangling from his comrade's corpse
The lone survivor: and its work half-done,
Abandoned in the furrow stands the plough.
Not shadiest forest-depths, not softest lawns,
May move him now: not river amber-pure,
That volumes o'er the cragstones to the plain.
Powerless the broad sides, glazed the rayless eye,
And low and lower sinks the ponderous neck.
What thank hath he for all the toil he toiled,
The heavy-clodded land in man's behoof
Upturning? Yet the grape of Italy,
The stored-up feast hath wrought no harm to him:
Green leaf and taintless grass are all their fare;
The clear rill or the travel-freshen'd stream
Their cup: nor one care mars their honest sleep.

* * *
最後の数行は、人間よりも牛のほうが道徳的に
すぐれた生きかたをしている(のに、然るべく
評価されていない)、ということ。

* * *
英語テクストは、Verses and Translationsより。
https://archive.org/details/versesandtransla04096gut

* * *
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Dryden (tr.) Virgil, Georgics 3: 163-73 (259-74)

ジョン・ドライデン (1631-1700) (訳)
ウェルギリウス、『農事詩』 3:163-73

牛は、生まれついての性質・性格から
大地を耕すのに向いている。いわば農耕用の種である。
早くから学校に行かせよう。まだ若く、元気で、
いうことを聞くうちに、
農耕のしかたを教えるのである。
他の牛たちの悪い見本を見てしまう前に。
いうことを聞かないこどもをしつけるのは、早いほうがいい。
首が柔らかいうちに、柳でつくったやわらかい
首輪をつける。そして (うまくしつけてやれば、
しだいにいうとおりにかんたんな仕事をするようになるから)
機嫌をとりながら、だんだん働くことを教える。
同級生と二頭ずつ並べ、
最初は何も載っていない荷車を曳かせてみる。
埃が立たないくらい、あるのかないのかわからないくらい、軽いものを。
そのうち、今度は重いくびきでつないでやる。
そして、刃の輝く犂(すき)を曳かせ、土煙をあげながら畑を耕させるのである。

* * *
John Dryden (tr.)
Virgil, Georgics 3: 163-73 (259-74)

The calf, by nature and by genius made
To turn the glebe, breed to the rural trade. 260
Set him betimes to school; and let him be
Instructed there in rules of husbandry,
While yet his youth is flexible and green,
Nor bad examples of the world has seen.
Early begin the stubborn child to break;
For his soft neck, a supple collar make
Of bending osiers; and (with time and care
Inurd that easy servitude to bear)
Thy flatt'ring method on the youth pursue:
Join'd with his school-fellows by two and two, 270
Persuade them first to lead an empty wheel,
That scarce the dust can raise, or they can feel:
In length of time produce the lab'ring yoke,
And shining shares, that make the furrow smoke.

* * *
英語テクストはThe works of Virgil (1803) より
http://books.google.co.jp/books?id=7ykNAAAAYAAJ

* * *
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Milton, Paradise Lost (10: 914-36)

ジョン・ミルトン (1608-1674)
『楽園は失われた』 (10: 914-36)
(イヴ 「わたしがいけなかったの」)

こんなふうに見棄てないで、アダム、天に誓うわ、
あなたを愛してる、心の底から
尊敬してる。わたし、わけわかんないまま神さまに背いちゃった、
だまされちゃった、ほんと悲しい。お願い、
許して、行かないで。あなたが頼りなの、
やさしくわたしを見て、助けて、
わたし、ほんとにわからない、どうしたらいいの?
力になって支えてくれるのはあなただけなの。あなたに見棄てられたら、
わたし、どこに行けばいい? どこで生きていける?
わたしたちの命、あと一時間もないかも、でも、まだ生きているあいだ、
仲よくしたい、いっしょに
ひどい目にあったんだから、いっしょに
敵を憎んでいたい、あの蛇を。神さまも
そういってたよね? わたしだけ
憎まないで、こんな悲しいことになっちゃったけど、
わたしの命、もうおしまいなんだし、わたし、あなたよりも
つらいんだから。わたしたち、ふたりとも罪を犯したけど、あなたは
神さまに背いただけ、わたしは神さまとあなたに背いちゃった。
だからわたし、神さまに裁かれたとこにいって、
泣いて天にお願いする、あなたへの
裁きはなしにして、それをみんなわたしに
ください、って、だって、あなたを不幸にしたのはわたしだもの、
神さまが怒ってるのはわたしに対してだけだもの。

* * *
John Milton
Paradise Lost (10: 914-36)

Forsake me not thus, Adam, witness Heav'n
What love sincere, and reverence in my heart [915]
I beare thee, and unweeting have offended,
Unhappilie deceav'd; thy suppliant
I beg, and clasp thy knees; bereave me not,
Whereon I live, thy gentle looks, thy aid,
Thy counsel in this uttermost distress, [920]
My onely strength and stay: forlorn of thee,
Whither shall I betake me, where subsist?
While yet we live, scarse one short hour perhaps,
Between us two let there be peace, both joyning,
As joyn'd in injuries, one enmitie [925]
Against a Foe by doom express assign'd us,
That cruel Serpent: On me exercise not
Thy hatred for this miserie befall'n,
On me alreadie lost, mee then thy self
More miserable; both have sin'd, but thou [930]
Against God onely, I against God and thee,
And to the place of judgment will return,
There with my cries importune Heaven, that all
The sentence from thy head remov'd may light
On me, sole cause to thee of all this woe, [935]
Mee mee onely just object of his ire.

* * *
英語テクストは、以下のものを使用。
http://www.dartmouth.edu/~milton/
reading_room/pl/book_9/index.shtml

* * *
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Milton, Paradise Lost (10: 808-44)

ジョン・ミルトン (1608-1674)
『楽園は失われた』 (10: 808-44)
(アダム 「ぼくだけが罰を受ければいいのに」)

でも、さ、
「死」っていうのは、思ってたような、一度にガーンと来て、あっという間に
感覚を奪うようなものじゃなくって、今日からずっと
不幸せなまま生きてく、ってことなのかな? 今のぼくが
そうで、まわりのものもそうで、これが永遠につづく、って
ことなのかな? うわ・・・・・・また嫌なこと
思い出しちゃった。ノーガードの頭に、雷みたいに
こわい考えが落ちてくる・・・・・・ぼくと「死」は、
いっしょに、永遠に、生きつづけるのかな? 合体したみたいにひとつになって?
いや、ぼくだけじゃなくって、ぼくの子孫もみんな
いっしょに呪われるんだ。すてきな遺産を
残してしまったね、ぼくのこどもたち! こんな負の財産、
ぼくだけで使いはたして、なんにも残さなかったらよかったのに!
こんな財産、ないほうがありがたいよね。
うらまれて当然だよね! もうさ、ひとりの人間が罪を犯したからって、
なんで罪のない他のみんなが罰を受けることになるんだろ?
だって、みんなは悪くないのに? あ、ちがうか・・・・・・ぼくから生まれる人間は
みんな堕落してることになるよね。頭も心もみんな腐ってて、
考えることもやることもぼくと
おんなじなんだ。神さまの前で、無罪です!
なんていえるはずないんだ。はあ、結局、悪いのはぼくで、
神さまは悪くない、ってことか・・・・・・。どれだけ言い訳しても、
言い逃れしても、頭がこんがらがるだけで、最後は
ぼくが悪い、ってなっちゃうな。最初から最後まで、
ぼくが、ぼくだけが、悪いんだ。ぼくが悪の源、
みんなぼくだけのせいなんだ。だから、
ぼくだけが罰を受ければいいのに! ・・・・・・なんて無理だよね。ぼくだけで、
この大地より重い罰、
この世界よりもずっと重い罰を背負えるわけないし。あの悪い女と
ふたりでわけあったってね。もうさ、こうしたい、って考えても、
これは嫌だ、ってことを考えても、行きつくとこはおんなじだな。
もはや逃げ道なんてなくって、ぼくは過去にも
未来にも例がないほど悲惨で不幸、って思い知るだけなんだ。
こんな罪と罰に値するのなんて、ぼくを除けばサタンだけ・・・・・・。
ああ、ああ、良心的に考えてたら、
もう恐怖のどん底だ。出口もなく、
ただ深く、もっと深く、まっさかさまに落ちてくだけなんだ!

* * *
John Milton
Paradise Lost (10: 808-44)

. . . But say
That Death be not one stroak, as I suppos'd,
Bereaving sense, but endless miserie [810]
From this day onward, which I feel begun
Both in me, and without me, and so last
To perpetuitie; Ay me, that fear
Comes thundring back with dreadful revolution
On my defensless head; both Death and I [815]
Am found Eternal, and incorporate both,
Nor I on my part single, in mee all
Posteritie stands curst: Fair Patrimonie
That I must leave ye, Sons; O were I able
To waste it all my self, and leave ye none! [820]
So disinherited how would ye bless
Me now your curse! Ah, why should all mankind
For one mans fault thus guiltless be condemn'd,
If guiltless? But from mee what can proceed,
But all corrupt, both Mind and Will deprav'd, [825]
Not to do onely, but to will the same
With me? how can they then acquitted stand
In sight of God? Him after all Disputes
Forc't I absolve: all my evasions vain
And reasonings, though through Mazes, lead me still [830]
But to my own conviction: first and last
On mee, mee onely, as the sourse and spring
Of all corruption, all the blame lights due;
So might the wrauth. Fond wish! couldst thou support
That burden heavier then the Earth to bear [835]
Then all the World much heavier, though divided
With that bad Woman? Thus what thou desir'st,
And what thou fearst, alike destroyes all hope
Of refuge, and concludes thee miserable
Beyond all past example and future, [840]
To Satan only like both crime and doom.
O Conscience, into what Abyss of fears
And horrors hast thou driv'n me; out of which
I find no way, from deep to deeper plung'd!

* * *
イヴとはケンカ中。

* * *
英語テクストは、以下のものを使用。
http://www.dartmouth.edu/~milton/
reading_room/pl/book_10/index.shtml

* * *
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道端アート/素人アート + 自然 (19)

道端アート/素人アート + 自然 (19)



成田空港 1



成田空港 2
(意図はわかる気がするが、このキラキラした
雰囲気は日本的ではないと思う。)



ロンドンのホテル(きれいめ、安め)の玄関



サセックス大学



ロンドンのどこか 1



雲の上の夜明け

* * *
画像はわたしが撮影したもの。


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神話のつくりかた

神話のつくりかた

1. 布引の滝 (神戸)



この滝が



こうなる



読みやすく



またはこうなる



読みやすく


つまり、滝を天女の羽衣のようなものにたとえて語る、ということ。


* * *
2. Virgin Atlantic



この羽が



こうなる


さすがイギリス人。

* * *
画像はすべて私が撮影したもの。


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Brighton (and London)

Brighton (and London)
20140818-22

懐かしいところに、仕事で。









ブライトンの駅からまっすぐ歩く



ブライトンからファールマーへ



海辺の観覧車
(乗ったことはない)



ロイヤル・パヴィリオン、入口側
(入ったことはない)



ロイヤル・パヴィリオン、道路側
(イギリス人の友人曰く、「世界一趣味の悪い文化財」)

* * *
画像はすべて私が撮影したもの。


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花火 4 (熱海2014)

花火 4 (熱海)
20140806
















* * *
画像はすべて私が撮影したもの。


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Milton, Paradise Lost (10: 720-42)

ジョン・ミルトン (1608-1674)
『楽園は失われた』 (10: 720-42)
(アダム 「人間すべてが呪われてしまった」)

ああ、もう最悪だ、幸せだったのに。こんなことになるなんて、
この新しい、すばらしい世界と、その頂点に立ってたはずの
このぼくが・・・・・・。幸せの頂点から
呪いのどん底にまっさかさまだ。もう神さまに
顔向けできないな。神さまに会うことがいちばんの
楽しみだったのに。でも、それだけじゃないんだよな。
これくらいの不幸はぼくにとって当然の報いだから、
がまんしなくちゃね。でも、ぼくが耐えるだけじゃダメなんだ。
ぼくが食べるもの、飲むもの、ぼくから生まれるもの、
みんな呪われることになったんだから。前に聞いた
「産めよ、増えよ」、って言葉、
今聞いたら、それだけで死にそうだ。ぼくから産まれて
増えるのは、ぼくへの呪いだけだから。
これから先、生まれてくる者は、みんな
ぼくがもたらした不幸のなかで生きて、そして
ぼくを呪うんだ。汚れた祖先がバカなことをしたもんだ、
礼をいうぜ、アダム! ってね。ありがとう、とかいって
呪われるって、きついよね。つまりさ、
ぼくにふりかかる呪いに加えて、ぼくから生まれる者すべてに
ふりかかる呪いも、波みたいにぼくの上にかえってくるんだ。
重力の中心みたいに、ぼくの上に、
どーんって落ちてくるんだ。楽園の喜びなんて、あっという間に消えちゃった。
あっという間だったのに、その代償は高かったよな、永遠につづく苦悩なんだもんな。

* * *
John Milton
Paradise Lost (10: 720-42)

O miserable of happie! is this the end [720]
Of this new glorious World, and mee so late
The Glory of that Glory, who now becom
Accurst of blessed, hide me from the face
Of God, whom to behold was then my highth
Of happiness: yet well, if here would end [725]
The miserie, I deserv'd it, and would beare
My own deservings; but this will not serve;
All that I eat or drink, or shall beget,
Is propagated curse. O voice once heard
Delightfully, Encrease and multiply, [730]
Now death to hear! for what can I encrease
Or multiplie, but curses on my head?
Who of all Ages to succeed, but feeling
The evil on him brought by me, will curse
My Head, Ill fare our Ancestor impure, [735]
For this we may thank Adam; but his thanks
Shall be the execration; so besides
Mine own that bide upon me, all from mee
Shall with a fierce reflux on mee redound,
On mee as on thir natural center light [740]
Heavie, though in thir place. O fleeting joyes
Of Paradise, deare bought with lasting woes!

* * *
アダム(とイヴ)の原罪および死の運命が、彼らから
生まれるすべての人間に受け継がれることになる、
ということ。またその結果、すべての人間がアダムを
うらむことになる、ということ。

* * *
英語テクストは、以下のものを使用。
http://www.dartmouth.edu/~milton/
reading_room/pl/book_10/index.shtml

* * *
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