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Petrarca, Canzoniere 302

フランチェスコ・ペトラルカ
『カンツォニエーレ』302
(英語訳アントニー・モーティマー)

想いに乗って、あの人のいるところに昇った。
もう地上で会えないあの人は
第三の天球にいた。
あの人は前よりきれいで、そして前より優しかった。
ぼくと手をつないで、こう言った。「希望を信じて。
手に入らなかったものが、ここでは手に入るの。
わたし、あなたに冷たかった。
そして、冷たいまま死んじゃった。
でも、思ってもみなかったくらい、ここでは幸せ。
待ってるね。あなたが以前愛してくれた
体は下の世界においてきちゃったけど。」
え、どうして手を離すの? もう声は聴けないの?
あの人の言葉、真っ白な手……
ぼくはそこに、天国に、ずっといたかったのに。

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Francesco Petrarca (Petrarch)
Canzoniere 302
(Tr. Anthony Mortimer)

絶版のペンギン版より。
https://quizlet.com/62328491/3810-poems-flash-cards/

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「第三の天」は天国。パウロ曰く、そこに昇った人は
「言葉ではあらわせないこと、人が語ってはならない言葉」
を聞く(2コリント人12.2)。

同時にそれは天動説の第三の天球。
金星、つまり愛と美の女神ウェヌスの星、
のあるところ。

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Ramie Targoff, Posthumous Love (2014) を読んでいる。
これはいい本。

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