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Jonson, "Echo's Song"

ベン・ジョンソン(1572-1637)
「こだま」の歌

透明な泉……ゆっくり……ゆっくり……わたしの塩の涙と同じ速さで。
もっとゆっくり、お願い、弱く、優しい、泉のような涙、
静かな、沈んだ曲にあわせて。
〈悲しみ〉も泣きながら歌を重ねてくれるから。
うなだれて、草花。
降ってきて、嘆きの雨。
美しいものはみな消えていく。
ああ、わたし、
(岩の丘で溶ける雪のように)
ぽとり……ぽとり……ぽとり……と、滴って消えたい。
この世で一番きれいな人は、今はもう、枯れた水仙。

*****
(20110521)

ゆっくり……ゆっくり……澄んだ泉よ、
塩辛いわたしの涙とリズムをあわせて。
もっとゆっくり、お願い、
弱々しく、穏やかな泉のように流れる涙よ。
この曲の静かな、沈んだ旋律をよく聴いて。
「悲痛」も泣きながらメロディを重ねるから。

草花よ、うなだれて。
悲しみよ、雨になって降ってきて。
美しいものはみな消えてしまう。

ああ、わたしも、
(けわしい岩の丘で溶ける雪のように)
ポト……ポト……ポト……ポト……と滴って消えてしまいたい。
この世で一番美しかった人が、枯れた水仙になってしまったのだから。

*****
Ben Jonson
"Echo's Song" (from Cynthia's Revels)

Slow, slow, fresh fount, keep time with my salt tears;
Yet slower, yet, O faintly gentle springs:
List to the heavy part the music bears,
Woe weeps out her division, when she sings.
Droop herbs and flowers;
Fall grief in showers;
Our beauties are not ours:
O, I could still
(Like melting snow upon some craggy hill,)
Drop, drop, drop, drop,
Since nature's pride is, now, a wither'd daffodil.

---
英文テクストは、Ben Jonson, Cynthias Revels:
Or, The Fountayne of Selfe-Loue
, in
The Workes of Benjamin Jonson (London, 1616) を
ベースに編集。
- スペリングは現代のものに修正。
- コンマ、コロンなどのパンクチュエーションは原文通り。
- 5-7行目の歌を示す二重引用符は削除(ミスプリントと思われる。)
- 行頭のスペースは削除。

これが1616年版の原文。


******
まず、オウィディウスの『変身物語』第3巻から
「こだま」の話を。

もともと「こだま」はニンフのひとりでとてもおしゃべり。
ユピテル(ローマの最高神)とニンフたちの浮気の現場を
彼の妻ユノーがおさえそうなとき、いつも「こだま」はくだらない
おしゃべりで彼女を引きとめてニンフたちに逃げる時間を与えていた。
しかし、このようなトリックもやがてユノーにばれてしまう。
怒った彼女により、「こだま」の話す能力は奪われる。
そして「こだま」は自分から話せないように、他の人の話の
最後の言葉をくり返すいわゆる「こだま」に、なってしまう。

そんな「こだま」はナルキッソスに恋するが相手にされず、
やつれていき、やがて骨と声だけになり、そしてその骨も
石にかわって最終的には声だけの存在になる。

他方、ナルキッソスは泉の水に映る自分の姿を愛し
(ナルシズムの語源)、それに恋い焦がれるあまり
やつれて死んでしまう。そのあとには一輪の水仙が咲いていて……。
この一部始終をを見ていた「こだま」はさらに嘆き悲しむ。

Ovid, Metamorphoses (Penguin Classics, 1955)
Ovid, Metamorphoses, Books I-VIII (LCL 42, 1916)
オウィディウス 『変身物語(上/下)』 中村善也訳 (岩波書店、1981年)

---
図版を数点。

ニコラ・プーサン(プッサン、プサン)(1594-1665, フランス)
『エコーとナルキッソス』(1628-30)

http://www.nicolaspoussin.org/Echo-and-Narcissus-1628-30-large.html
岩になった「こだま」の描き方に工夫が。

水仙

http://commons.wikimedia.org/wiki/File:Narcissus_asturiensis.jpg
By flickr-user Juan_Sanchez (Juan José Sánchez)

*****
以下、解釈例。

1行目 fresh
淡水の。fresh fount と salt tears が対になっている。

1行目 fount
ナルキッソスが自分を見つめて死んだ泉。

2行目 faintly (adj)
弱々しい--流れる涙が、それから1-4行目の音楽の比喩に
そって、涙の奏でる音楽が。

2行目 springs
複数形なので、1行目の塩からい涙があふれる泉としての
「わたし」(「こだま」)の両目。(神話ではこのときすでに
「こだま」にはからだがないはず、などと興ざめなことは考えない。)

3行目 heavy
遅い、生き生きしていない / 重苦しい、耐えがたい。
OED, "heavy" a.1, 19, 20)。

3行目 the music
この詩はCynthia's Revelsという劇中で実際に
歌われたものなので、その曲そのもの、またはそのときの
伴奏のこと。(このような背景を無視して、「こだま」の
悲しい気持ちが音楽にたとえられている、と考えてもいい。)

1-3行目
「こだま」は、まず泉に対して、自分の涙とリズムをあわせて、といい、
次に自分の涙(目)に対して、劇中の曲(とそれがあらわす心の
悲しみ)にあわせて、といっている。悲しみと涙と泉の三重奏。

4行目 Woe
女性として擬人化された「悲痛」。

4行目 division
早くて華やかでメロディアスな音楽の一節。
特に、主旋律やシンプルな歌にかぶせられる装飾的な
ものとして(OED 7)。

つまり、静かで遅く沈んだ主旋律に対して、「悲痛」が、悲しくも
装飾的な(おそらく短音階の)副旋律を重ねる、フィルインを入れる、
ということ。たとえば、悲しい気持ちでいるときに、時折特に
強い悲しみがこみあげてきて涙があふれる、ということのたとえ。

5-7, 10行目(+ 8, 11行目)
上記の通り、この詩はCynthia's Revelsという
劇のなかで、登場人物の「こだま」が歌う歌の歌詩だが、
音声から構成を見ると、そのなかでも語りの部分と歌の部分が
わかれている。その歌のなかの歌がこの部分。
(8行目、11行目も歌かも。以下を参照。)

*****
以下、スキャンジョンなど。





1-4
散文的な弱強五歩格で語り口調から入る。特に1行目は、
コンマによる休止やストレスのある音節が多く、また
弱強格がひとつもなく、強強格(spondee)で強調的に、
かつ文字通り、ゆっくり……ゆっくり……静かに……。

5-7
5行目からストレス・ミーター(四拍子)になり、歌のなかの
歌がはじまる。(上のスキャンジョンのB=beatのところで
手拍子を打ちながら読めば、明確なリズムが聞こえてくるはず。)

8
この行は、解釈によっていろいろな扱い方ができるので、
行の下に二種類の拍子を示す。上のBBB(B)のかたちでよめば、
5-7行目と同じリズムで歌うことができる。同時に、このページの
上部にあげた1616年のジョンソン全集における活字の組み方を
見ると、歌の途中に少し休止を入れてこの行を語る、
という読み方をうながしているようにも思われる。
(おそらく、それゆえ5-7行目とは脚韻を踏んでいない。)

9
カッコに入れられていることからも、ここは明らかに
歌の途中に入るつぶやきのような語り。リズムもストレス・
ミーターではなく、より散文的な弱強五歩格に転調。

10
ストレス・ミーターの歌に戻る。水が一滴ずつ
ポト……ポト……と落ちるようすをあらわすように、
コンマを強調して読む。

11
この行も解釈によって複数の扱い方が可能。エンディングで
あることを強調する弱強六歩格(たとえばスペンサー連の
最終行のような)とも考えられるし、Bで示したように、
歌として5-7(+8)行目のリズムを二回くり返しているとも
考えられる。個人的は、後者のようにも聞こえる前者、
という雰囲気かと思う。(上記の通り、これまた微妙な
8行目と脚韻を踏んでいることからも。)

---
詩のリズムについては、以下の入門書がおすすめ。

ストレス・ミーターについて
Derek Attridge, Poetic Rhythm (Cambridge, 1995)

古典韻律系
Paul Fussell, Poetic Meter and Poetic Form, Rev. ed.
(New York, 1979)

*****
響きあう母音/子音の重なり各種--

Slow - slow - salt
fresh - fount
slower - O
faintly - gentle (- springs)
Woe - weeps
flowers - Fall - grief
Drop - pride (- daffodil)

(頭韻、行内韻、母音韻、子音韻、パラライムなどの
用語は定義があいまいなので使わない。)

*****
Henry Youll, Canzonets to Three Voices, (1608) に
この曲のスコアがある、ということなど、Oxford Poetry
LibraryシリーズのBen Jonsonに情報があり。
ご参考まで。

*****
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Jonson, Cynthia's Revels (Echo)

ベン・ジョンソン
『キュンティアの宴』より

メルクリウス:
さて、仕事、仕事。--エコーさん、エコーさん、
メルクリウスです。悲しい妖精さん、
くり返し響く声で答えてください。
教えてください、どこの洞穴に
あなたはいるのですか?
あなたと話せる場所はどこです?

(下から)エコー:
ここです。

メルクリウス:
うわ、近い!

エコー:
はい。

メルクリウス:
はじめまして、ユピテルさまのところから来ました。
日々大きくなっていく悲しみの重荷につぶされそうな
あなたがかわいそう、とユピテルさまはおっしゃっています。
ナルキッソスが死んだ悲しみを言葉にできないのですから。
それで、千年後の今、
ユノさまのお怒りもそろそろお鎮まりなので、
あなたに体を与えて天に戻そう、ということになりました。
言いたいことも言えるようにして、です。
善は急げ、です、エコーさん、この羽のある杖で三回
地面を叩いたら、すぐに出てきてください。
出てきて、悲しみを語ってください、この泉のほとりで。
あなたが好きだったナルキッソスはここで死んだんですよね。
彼のことは今でもみんな知っています。
この黄色い花に残っていますから、彼の名前。

(下からあらわれて)エコー:
彼の名前が聞こえた? 生き返って出てきちゃった。
どこ行こう?
何をどう話せばいいのかな?
どうしたら早く忘れられる?
大きすぎる悲しみを?
あ、あそこの朝の泉、涙みたい。
美しすぎるナルキッソスは若かったのに死んだ。
自己愛の犠牲になって、自然の傑作が奪われた、みたいな。
今、彼はこのうつむく花になってる。
後悔で頭を垂れて、泉の反対を見てる。
こう言ってるみたい、「こんな水の鏡のなかで
美化された自分を見なければよかった!」。 ああ、ナルキッソス、
好きだった、いいえ、今でも好き、ナルキッソス。
あなたの考えていることを知っていたら、
わたし、涙になってぽたぽた落ちて、
全部水になってしまいたかった。そしたら、
鏡みたいにわたしを見てくれたはずだから。
わたしは、きれいなあなたをもっときれいに映してあげたはずだから。
でも、自分が好きな人には真実が見えない、
泣きながら、涙を通して、でないと。自分に都合のいい
嘘と自己愛は双子。どちらにも真実が見えてない。
そして切り離されたら、どっちも死ぬ。
どうして神々はあなたを神みたいに美しくしたの?
でも、どうしてふつうの人みたいに傲慢にしたの?
訊くだけ無駄。みんな知ってる。
きれいな人はみんな同じ。みんな思いこんでる、
自分は人とは違う、って。
ナルキッソス、神さまたちの贈りものの意味がわかっていたら、
あなた、それを正しく使えたかも。
何でもほしがるバカで貪欲な人みたいに、
宝石のように光る自分の顔を見て死んだりしなかったかも。
むしろ他の人を見てあげればよかったのに。それで世界じゅうの人が
喜んだはず。飢えたあなたの心は満たされなかったけど。
人にないものをもってても、それだけじゃ意味がないのよね!
若く美しかったあなたは誰も幸せにしないまま死んだ。
まるで、自分の火で焼かれるろうそくみたいに。

メルクリウス:
ちょっと話が長いです、エコーさん。ユノさまに
聞かれたら、またユピテルさまとけんかになってしまいそうです。

エコー:
そうですね、メルクリウスさん、永遠の時間と同じくらい
手短にします。でも、ナルキッソスに最後の儀式を捧げたいんです。
彼が変身した花にキスして、歌ってあげたいんです、
水の棺のところで。

メルクリウス:
わかりました。
ぼくもユピテルさまの子なので、気持ちはわかります。
はじめてください。きれいな声が映えるように、
湿った空気で静かな曲を奏でましょう、
悲しい歌詞にあわせて。それから、響け、天球の音楽!
黄金のメロディで我々の耳を満たせ!

(曲が流れる)

エコー:
透明な泉……ゆっくり……ゆっくり……わたしの塩の涙と同じ速さで。
もっとゆっくり、お願い、弱く、優しい、泉のような涙、
静かな、沈んだ曲にあわせて。
〈悲しみ〉も泣きながら歌を重ねてくれるから。
うなだれて、草花。
降ってきて、嘆きの雨。
美しいものはみな消えていく。
ああ、わたし、
(岩の丘で溶ける雪のように)
ぽとり……ぽとり……ぽとり……と、滴って消えたい。
この世で一番きれいな人は、今はもう、枯れた水仙。

メルクリウス:
終わります? そろそろ。

エコー:
終わります、そろそろ。ヘルメスさん、もう少し待って。
もう少し見つめさせて。目が飢えているの。
この景色を呑みこんでしまいたい。そしたら消えるから。

メルクリウス:
もう自由に話すのをやめたほうがいいですよ、
楽しく暮らしたいなら、ここで。

エコー:
ここ……でアクタイオンは死んだわ。犬に追われて、噛み殺されて。
犬より怖いキュンティアを怒らせたから。
そうよ、ここは呪われてる。ほら、そこで
ニオベが泣いてる。プリュギアの山じゃなくて
ここにいるの。強くて嫌味なポイベのせい。
残酷な復讐の記念碑ね。

メルクリウス:
ねえ、少しは聞いてます?

エコー:
少しは聞いてます。そう、ここは自己愛の泉。
ラトナとか、何も考えていないニンフたちとか、
わたしの悲しみなんてまったく気にせずに、
楽しく水浴びしにきたりして。

メルクリウス:
もう、べらべらしゃべりすぎ!
ちょっと今話せるからって、調子にのったらダメじゃない?
そういう口ばっかりの者が多いから
天の神々はお怒りです。さあ、もう行って、
命令です。ユピテルさまは、もう待ってくれません。

エコー:
もう、待ってくれません? わたしの思いはひとつだけ、その
思いに空気の服を着せて発したいの。そしたら本当に帰る。
この裏切り者の殺し屋の泉は、今後、
「自愛泉」と呼ばれるといいわ。
水にも呪いをかけてあげる。
災いの呪い。この泉からほんの
一滴でも水を飲んだら、その瞬間にその人は
馬鹿みたいに自分が好きになってしまえ。
さ、ヘルメス、言いたいことは以上よ。

メルクリウス:
では、もう
話せなくなります。エコーさん、あなたは
今までどおり、最後の言葉をくり返すことしかできません。
これからもお元気で。

(消えながら)エコー:
お元気で。

*****
Ben Jonson
From Cynthia's Revels (Echo)

MERCURY.
Now to my charge. --- Echo, fair Echo speak,
'Tis Mercury that calls thee; sorrowful nymph,
Salute me with thy repercussive voice,
That I may know what cavern of the earth,
Contains thy airy spirit, how, or where
I may direct my speech, that thou may'st hear.

ECHO. [BELOW]
Here.

MER.
So nigh!

ECHO.
Ay.

MER.
Know, gentle soul, then, I am sent from Jove,
Who, pitying the sad burthen of thy woes,
Still growing on thee, in thy want of words
To vent thy passion for Narcissus' death,
Commands, that now, after three thousand years,
Which have been exercised in Juno's spite,
Thou take a corporal figure and ascend,
Enrich'd with vocal and articulate power.
Make haste, sad nymph, thrice shall my winged rod
Strike the obsequious earth, to give thee way.
Arise, and speak thy sorrows, Echo, rise,
Here, by this fountain, where thy love did pine,
Whose memory lives fresh to vulgar fame,
Shrined in this yellow flower, that bears his name.

ECHO. [ASCENDS.]
His name revives, and lifts me up from earth,
O, which way shall I first convert myself,
Or in what mood shall I essay to speak,
That, in a moment, I may be deliver'd
Of the prodigious grief I go withal?
See, see, the mourning fount, whose springs weep yet
Th' untimely fate of that too beauteous boy,
That trophy of self-love, and spoil of nature,
Who, now transform'd into this drooping flower,
Hangs the repentant head, back from the stream,
As if it wish'd, "Would I had never look'd
In such a flattering mirror!" O Narcissus,
Thou that wast once, and yet art, my Narcissus,
Had Echo but been private with thy thoughts,
She would have dropt away herself in tears,
Till she had all turn'd water; that in her,
As in a truer glass, thou might'st have gazed
And seen thy beauties by more kind reflection,
But self-love never yet could look on truth
But with blear'd beams; slick flattery and she
Are twin-born sisters, and so mix their eyes,
As if you sever one, the other dies.
Why did the gods give thee a heavenly form,
And earthly thoughts to make thee proud of it?
Why do I ask? 'Tis now the known disease
That beauty hath, to bear too deep a sense
Of her own self-conceived excellence.
O, hadst thou known the worth of heaven's rich gift,
Thou wouldst have turn'd it to a truer use,
And not with starv'd and covetous ignorance,
Pined in continual eyeing that bright gem,
The glance whereof to others had been more,
Than to thy famish'd mind the wide world's store:
So wretched is it to be merely rich!
Witness thy youth's dear sweets here spent untasted,
Like a fair taper, with his own flame wasted.

MER.
Echo be brief, Saturnia is abroad,
And if she hear, she'll storm at Jove's high will.

ECHO.
I will, kind Mercury, be brief as time.
Vouchsafe me, I may do him these last rites,
But kiss his flower, and sing some mourning strain
Over his wat'ry hearse.

MER.
Thou dost obtain;
I were no son to Jove, should I deny thee,
Begin, and more to grace thy cunning voice,
The humorous air shall mix her solemn tunes
With thy sad words: strike, music from the spheres,
And with your golden raptures swell our ears.

ECHO. [ACCOMPANIED]
Slow, slow, fresh fount, keep time with my salt tears:
Yet, slower, yet; O faintly, gentle springs:
List to the heavy part the music bears,
Woe weeps out her division, when she sings.
Droop herbs and flowers,
Fall grief and showers;
Our beauties are not ours;
O, I could still,
Like melting snow upon some craggy hill,
Drop, drop, drop, drop,
Since nature's pride is now a wither'd daffodil. ---

MER.
Now have you done?

ECHO.
Done presently, good Hermes: bide a little;
Suffer my thirsty eye to gaze awhile,
But e'en to taste the place, and I am vanish'd.

MER.
Forego thy use and liberty of tongue,
And thou mayst dwell on earth, and sport thee there.

ECHO.
Here young Acteon fell, pursued, and torn
By Cynthia's wrath, more eager than his hounds;
And here --- ah me, the place is fatal! --- see
The weeping Niobe, translated hither
From Phrygian mountains; and by Phoebe rear'd,
As the proud trophy of her sharp revenge.

MER.
Nay but hear ---

ECHO.
But here, O here, the fountain of self-love,
In which Latona, and her careless nymphs,
Regardless of my sorrows, bathe themselves
In hourly pleasures.

MER.
Stint thy babbling tongue!
Fond Echo, thou profan'st the grace is done thee.
So idle worldlings merely made of voice,
Censure the powers above them. Come away,
Jove calls thee hence; and his will brooks no stay.

ECHO.
O, stay: I have but one poor thought to clothe
In airy garments, and then, faith, I go.
Henceforth, thou treacherous and murdering spring,
Be ever call'd the FOUNTAIN OF SELF-LOVE:
And with thy water let this curse remain,
As an inseparate plague, that who but taste
A drop thereof, may, with the instant touch,
Grow dotingly enamour'd on themselves.
Now, Hermes, I have finish'd.

MER.
Then thy speech
Must here forsake thee, Echo, and thy voice,
As it was wont, rebound but the last words.
Farewell.

ECHO. [RETIRING.]
Well.

https://www.gutenberg.org/files/3771/3771-h/3771-h.htm

*****
ヘルメス ≒ メルクリウス。
ヘルメスはギリシャ名、
メルクリウスはローマ名。

*****
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Jonson, "Charis 7: Begging Another [Kiss]"

ベン・ジョンソン
「カリスを称える歌10篇」
7. やり直し、もう一回キスして

わたしが好きなら、もう一回キスしてください。
もうがまんできません。
誰も見ていません。
何を心配しているのですか? 早く。
蜂のように、軽くならいいですよね。
花にふれた瞬間にどこか飛んでいきます。

もう一回、もう一回だけ、本当です、それで帰ります。
好きなんですから、求めないなんて無理です。
いやいやいやいや、今のではダメです。
それじゃ嬉しくありません。
今のはただの、キスの半分。
一回だけしかしないのですから、長くしないと。

だから、やり直しです。よく聞いてください、
どこにどうすれば幸せか。
くちびるにくちびるを重ねて、そして
おたがいの息を吸いこむんです。
そして舌をからませる、逝きそうなくらいに。
そのまま死ね、って言われそうなくらいに。

*****
Ben Jonson
"A Celebration of Charis in Ten Lyric Pieces"
7. Begging Another, on Colour of Mending the Former

For Love's sake, kiss me once again,
I long, and should not beg in vain,
Here's none to spy or see;
Why do you doubt or stay?
I'll taste as lightly as the bee,
That doth but touch his flower, and flies away.

Once more, and, faith, I will be gone,
Can he that loves ask less than one?
Nay, you may err in this,
And all your bounty wrong:
This could be called but half a kiss,
What we're but once to do, we should do long.

I will but mend the last, and tell
Where, how it would have relished well;
Join lip to lip, and try:
Each suck the other's breath,
And whilst our tongues perplexed lie,
Let who will think us dead, or wish our death.

http://www.luminarium.org/sevenlit/jonson/begging.htm

*****
カリスCharisへの詩の7番。
Cf.
Jonson, "Charis II"
https://blog.goo.ne.jp/gtgsh/e/dedf28c8d4f79150103ba0ec20eaced7
Jonson, "Charis IV: Her Triumph"
https://blog.goo.ne.jp/gtgsh/e/96fec6bc20674f2e30793ba439dc408e

セクンドゥス、『バーシア』 3, 5, 19の組みあわせ。
著作中に言及はないが、ジョンソンはこの本の1582年版を
所有していた。
Dougall Crane, Johannes Secundus (1931), pp. 57-58.

Secundus
Basia

*****
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From Jonson (tr.), Horace, of the Art of Poetry

Ben Jonson (tr.)
From Horace, of the Art of Poetry

技を凝らしてきれいな詩をつくるだけでは
不十分。聴く人・読む人を楽しませていい気分にして、
自由自在に操るのがいい作品。
人は笑顔の人といれば
笑うもの。悲しい人といれば悲しむもの。
つまり、わたしを泣かせたいと思うなら、まず君が
涙に溺れること。それでこそ君の傷、ペレウスや
テレポスの不幸でわたしも痛くなる。君の詩が変だったり
下手だったりしたら、わたしはたぶん寝る。それか笑う。
悲しい言葉は悲しい顔にふさわしい。脅し文句は
怒った顔に、軽口は楽しげな顔に。
厳格な人にはいつも重い言葉を。
…………………
上手な文章の根幹・源泉は
知恵と知識、書きたいことについてまずよく知ること。
ソクラテスの書いたものがいい手本。
いつだって主題が決まれば
言葉は出てくるもの、ほとんど自然に、自分から。
国に、友だちに、どれだけ借りがあるか、
どれほどの愛を親に返すべきか、
国民が、外国人が、お客が、
それぞれ政治家に何を進言するか、
法官の仕事は何か、勇敢な将軍は
戦場でどうふるまうかーーこういうことを
きちんと考えたことがあれば、誰だって
ちゃんと人の姿が描けるはず。
賢い作家になりたいなら
人・人のふるまいを模範としてよく見て学び、
そして正確な描写をするように。というのも、
たとえ技巧・装飾がなかったとしても、
もっともな主題を扱い、人物を正しく描いた作品のほうが、
往々にして人を楽しませ、
また人の心に残るものだから。内容のない、
くだらない、言葉だけきれいな雑音のような作品よりも。

詩の女神はギリシャ人に知恵のみならず
それをうまく声にあらわす口を与えた。
彼らが求めたのは人の称賛のみだった。
ここローマのこどもたちは、
ちまちまと計算して
どう器用に1ポンドを百にわけるか習う。
アルバヌス君、5オンスから
1オンス引いたらいくつかな? 12の1/3の
4オンスです。よくできました。
偉いね、これなら君はだまされない。では次に、
そこに1オンス足したらいくつ? ちょうど半ポンド、
6オンスです。お、そうくるか。一度金やものへの欲で
心が腐って錆びてしまったら、
杉の脂(やに)に浸して
きれいな糸杉の箱に入れておきたいような
詩が誰にできる?
詩人の仕事は、ためになることをいって楽しませること。
楽しく学ばせて、正しい生きかたを教えること。

…………………
教えたかったら話は短く。やる気のあるうちに
学べば、学んだことを
しっかり守る。話が長いと
頭からあふれて流れて何も残らない。

楽しい話でも事実に近く。
読者につくり話を本当だと
思わせないこと。ラミアが
こどもを生きたまま食べるとか、ありえない。
まじめな人曰く、教育的意義のない物語には
意味がない。でも意義深くても、つまらなかったら
まじめな人しか相手にしない。他の人には無視される。
結局誰もが求めるのは、
蜜と鞭が混ざった作品。
学びと楽しみは二つでひとつ。

(つづく)

*****
Ben Jonson (tr.)
From Horace, of the Art of Poetry

https://books.google.co.jp/books?id=7D3FGdMj7KwC
pp. 599ff.

*****
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Jonson, Epigram 70 ("To William Roe")

ベン・ジョンソン
エピグラム70
「ウィリアム・ロウに」

老いや病でもう息絶えるという時に人生をはじめようとしても
遅いよ、ロウ君! 生きている時間というのは、
それを使える人のものだ。チャンスをいかせるのは
そういう人なんだ。手遅れになったら駄目だ。
後回しはよくない。自信をなくすのはもっとよくない。人に頼るのは最悪だ。
いちばんいい日は、いちばん先に過ぎていく。
他の多くの者よりぼくたちはこういう真理を知っているのだから、
人生は短いかもしれないけど、そうならないようにしよう。

*****
Ben Jonson
Epigram 70
"To William Roe"

When nature bids us leave to live, 'tis late
Then to begin, my ROE! He makes a state
In life, that can employ it; and takes hold
On the true causes, ere they grow too old.
Delay is bad, doubt worse, depending worst;
Each best day of our life escapes us, first:
Then, since we, more than many, these truths know;
Though life be short, let us not make it so.

http://www.luminarium.org/sevenlit/jonson/epigram70.htm
一部修正

*****
Cf.
1 Seneca, On the Shortness of Life

Ch.3
How late it is to begin to live just when
we must cease to live!
もう生きられない、というときに生きはじめよう
としても遅すぎる。

Ch.9
They form their purposes with a view to
the distant future; yet postponement is
the greatest waste of life; it deprives them
of each day as it comes, it snatches
from them the present by promising
something hereafter. The greatest hindrance
to living is expectancy, which depends upon
the morrow and wastes to-day. . . .
See how the greatest of bards cries out, and,
as if inspired with divine utterance, sings
the saving strain:

The fairest day in hapless mortals' life
Is ever first to flee.

"Why do you delay," says he, "Why are you idle?
Unless you seize the day, it flees." Even though
you seize it, it still will flee; therefore you must
vie with time's swiftness in the speed of using it,
and, as from a torrent that rushes by and will not
always flow, you must drink quickly.

https://en.wikisource.org/wiki/On_the_shortness_of_life

2. Virgil, Georgics

Bk. 3
Ah! life's best hours are ever first to fly
From hapless mortals; in their place succeed
Disease and dolorous eld; till travail sore
And death unpitying sweep them from the scene.
あああ! 人生のうち、いちばんいい時間はいつも
いちばん先に過ぎ去っていく。人とは哀れなもの。
その後つづくのは病と老齢であり、やがて苦しみと
容赦のない死が彼をこの世からさらっていく。

https://en.wikisource.org/wiki/Georgics

*****
セネカ、ウェルギリウスも「カルペ・ディエム」。

*****
20180702 修正

*****
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Jonson, "On Lip the Teacher"

ベン・ジョンソン
エピグラム 75
「説教師〈炎〉」

思うんだが、人が言うほどピューリタンと
役者は対立してないんじゃないか。
聖ポールにいる〈炎〉って奴、聖書から脱線して
役者をこき下ろしてばかりだが、あれこそ演技だろ?

*****
Ben Jonson
Epigram 75
"On Lip the Teacher"

I cannot think there's that antipathy
'Twixt puritans, and players, as some cry;
Though Lip, at Paul's, ran from his text away,
T'inveigh 'gainst players: what did he then but play?

https://www.poetrynook.com/poem/lip-teacher

*****
Lip: lippus = bleary, inflamed から。
(ここでは、自分のことが見えていないということ。)

*****
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Jonson, "To the Parliament"

ベン・ジョンソン
エピグラム 24
「議会に」

あなたがたはしっかりした法をつくらなくてはならない--
人々のモラルがかつてないほど低下しているのは、
まさにあなたがたのせいだから。

*****
Ben Jonson
Epigram 24
"To the Parliament"

There's reason good, that you good laws should make:
Men's manners ne'er were viler, for your sake.

*****
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Jonson, "To My Book"

ベン・ジョンソン
エピグラム 2
「この本に」

たぶん、「エピグラム集」という題と
わたしの名を見て、人は思うだろう、
おまえは厚かましく言いたい放題で、嫌味で苦々しくて、
火を噴くようで、刺すようで、そして牙で噛みつくような本だ、と。
礼儀知らずにインクと皮肉を撒き散らし、まるで
頭のおかしい奴がむやみやたらに石を投げまくるような本だ、と。
そういう意地悪な期待を裏切ってやれ。
はるかに知的な内容を見せつけて、教えてやれ、
人の評価などいらない、
誰かを貶めて自分を上げるようなことはしない、と。
性や罪やその他くだらない話で
人目を惹いたり笑わせたりとか、そんな馬鹿なことはしない、と。
人の道からはずれてまで
世間を喜ばせるなんて、まさに高すぎる買い物だ。

*****
Ben Jonson
Epigram 2
"To My Book"

It will be look'd for, BOOK, when some but see
Thy title, EPIGRAMS, and named of me,
Thou shouldst be bold, licentious, full of gall,
Wormwood, and sulphur, sharp, and tooth'd withal ;
Become a petulent thing, hurl ink, and wit,
As madmen stones ; not caring whom they hit.
Deceive their malice, who could wish it so ;
And by thy wiser temper, let men know
Thou art not so covetous of least self-fame,
Made from the hazard of another's shame ;
Much less, with lewd, profane, and beastly phrase,
To catch the world's loose laughter, or vain gaze.
He that departs with his own honesty
For vulgar praise, doth it too dearly buy.

http://www.luminarium.org/sevenlit/jonson/tomybook.htm

*****
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Jonson, "On Something, that Walks Somewhere"

ベン・ジョンソン
エピグラム 10
「どこかを歩くなにかについて」

宮廷でそいつに会った。立派な格好をしていて、
宮廷人っぽかった。まじめな顔をしていて
政治家っぽくもあった。近寄っていくと
偉そうな顔で見てきた。名前を尋ねると、
大きい声でいった、「貴族だ、肉と血のなかに埋葬されておる。
わたしは人にいいことなんかしない。
そんな気はまるでない。悪いこともしない。
そんな度胸もない」。貴族殿、そのまま死んでいてくれ。

*****
Ben Jonson
Epigram 11
"On Something, that Walks Somewhere"

At court I met it, in clothes brave enough,
To be a courtier; and looks grave enough,
To seem a statesman: as I near it came,
It made me a great face; I ask'd the name.
A Lord, it cried, buried in flesh, and blood,
And such from whom let no man hope least good,
For I will do none; and as little ill,
For I will dare none: Good Lord, walk dead still.

http://www.luminarium.org/sevenlit/jonson/something.htm

*****
逆にいえば、役職、とりまとめ役というのは
本当に大変、つらいもの。

*****
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Jonson, ("It is not growing like a tree")

ベン・ジョンソン(1572-1637)
(「木のように育ち」)

木のように育ち
大きくなれば、よい人になれるわけではない。
樫のように長く三百年立っていればいいわけでもない。
いずれ枯れて葉を失い、倒れて丸太になるだけだから。
一日しか咲かない
五月の百合のほうがずっと美しい、
たとえ咲いた日の夜に折れて死んでも……
その日は光り輝いていたのだから。
小さくても完璧で美しい、そんなものがある。
短くても完璧で美しい、そんな人生もある。

* * *
Ben Jonson
("It is not growing like a tree")
From "To the Immortall Memory, and Friendship of
That Noble Pair, Sir Lucius Cary and Sir H. Morison"

It is not growing like a tree
In bulk, doth make man better be;
Or standing long an oak, three hundred year,
To fall a log at last, dry, bald, and sere:
A lily of a day
Is fairer far in May,
Although it fall and die that night―
It was the plant and flower of Light.
In small proportions we just beauties see;
And in short measure life may perfect be.

* * *
7 fall / die
仮定法(shouldなどが前に省略)。

8 was
仮定法(= would be, would/could/must have been)?

* * *
英語テクストは、Leaves of Life (1914) より。
http://www.gutenberg.org/ebooks/14849

* * *
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Jonson, "To My Beloved Master William Shakespeare"

ベン・ジョンソン
「敬愛するウィリアム・シェイクスピア君と
彼の遺した作品を記念して」

君の名を汚してしまうといけないから、
君と君の本について長めに語ります。
君の著作は
詩や散文でどれだけ称えても称えきれないので。
本当にそうです。誰もが認めることです。でも、ただ褒め言葉を
並べることはしません。
それでは無知蒙昧な者と変わらないので。いいことを言っても、
実は誰かが言ったことをくり返しているだけ、というような。
それに、闇雲にすばらしいと言ってもけっして真理は
伝わらないので。あたっていてもせいぜい偶然、という。
また、称えるふりをして貶すという器用なこともありえますから。
褒めて殺す、というように。
ポン引きや娼婦に称えられても、まじめなご婦人に
とっては迷惑な話でしかないでしょう?
君はもっと高いところにいます。そう、もはや
よくも悪くも褒められる必要がないのです。
ということで、はじめます。この時代の魂である君!
演劇を称えられるもの、しかも楽しいものにしてくれた奇跡の人!
シェイクスピア君! 甦ってください! 君はチョーサーやスペンサーの
隣で眠っていてはいけない。ボーモントにも
ちょっとどいてもらいましょう。
君自身が記念碑のようなものだから、君に墓はいらない。
君は死んでいないのです、君の本が読まれ続けるかぎり、
わたしたちが読み続け、称え続けるかぎり。
考えるに、君を同列に考えることはできません、
偉大な、しかし常に偉大とはいえない作家たちとは。
次世代以降のために
君を他の者たちと比べて、こう言いましょう、
君はリリーよりはるかに優れていた、
楽しげなキッドや強力な詩を書くマーロウよりはるかに輝いていた、と。
ラテン語はたいして知らず、ギリシャ語はもっとダメだったけど、
それでも優れている作家はたくさんいるので、いちいち名前を
挙げません。むしろ雷のように言葉を轟かせたアイスキュロス、
エウリピデス、ソポクレスを呼び出しましょう。
パクウィウスとアッキウスとコルドバのセネカを墓から
生き返らせましょう。そして君の悲劇に舞台が
震えるのを見せてやりましょう。喜劇についても、
君ひとりで打ち負かしてやってください、
傲慢で偉そうなギリシャ・ローマ人が書いた作品すべてを。
さらに、その灰からできた翻案のすべてを。
喜べ! 勝ち誇れ! 我が国ブリテン! シェイクスピア君が
ヨーロッパ中で称えられているのだから。
彼の作品は今だけではなく永遠のものなのだから!
他の作家たちが活躍するなか、シェイクスピア君は
あらわれました。アポロンのようにわたしたちを
熱狂させ、メルクリウスのように心を奪いました。
〈自然〉の女神から見ても彼の劇は自然であって、
だから彼女は彼の言葉のドレスを着て喜んでいました!
あまりにも豊かな言葉の糸であまりにも上手に編まれていたから、
もう彼女は他の人のドレスを着なくなりました。
ギリシャ喜劇、きつめのアリストパネスや無駄のない
テレンティウス、言葉巧みなプラウトゥスなど、もう今では面白くない。
古臭くて誰も見たいと思いません。
〈自然〉の家系とは違うから。
でも、自然であるだけではダメですよね。シェイクスピア君、
君の技巧も称えないといけません。
詩人は自然を題材とし、
そこに技巧を凝らして作品をつくる。だから生きた詩を
書こうと思ったら、鍛冶部屋で汗を流しつつ、
君のように鉄鎚(かなづち)で何度も
詩を打たなくてはなりません。旋盤にかけて
つくらなくてはならない、作品を、そして自分を。
でないと嘲笑されるだけです。
優れた詩人には生まれながらの才能とともに努力がいるのです。
そう、まさに君こそそんな詩人でした! 父の面影が
子に見えるように、シェイクスピア君の
想いと人となりが輝いています、
ていねいに磨かれた美しい詩のなかに。
その一行一行のなか、彼は槍を振るっています。
無知と戦っているのです。
エイヴォン川の美しい白鳥であった君!
もう一度君がやってきてくれたなら!
もう一度テムズの岸で君が舞ってくれたなら!
かつてエリザベス女王、そしてジェイムズ王をあれほど魅了したように!
いや、やっぱりいいです。今、君は天球の
向こう側にいて、すでに星座になっていますから!
そこで輝いてください、詩人たちの憧れの星である君。激しく、優しく、
落ちこんでいる今の演劇界を叱って、励ましてください。
君が去ってからずっと悲しみに暮れ、いつも夜のように
真っ暗なんです、君の作品集が照らしてくれないかぎり。

*****
Ben Jonson
"To the Memory of My Beloved Master William Shakespeare,
and What He Hath Left Us"

To draw no envy, SHAKSPEARE, on thy name,
Am I thus ample to thy book and fame;
While I confess thy writings to be such,
As neither Man nor Muse can praise too much.
'Tis true, and all men's suffrage. But these ways
Were not the paths I meant unto thy praise;
For seeliest ignorance on these may light,
Which, when it sounds at best, but echoes right;
Or blind affection, which doth ne'er advance
The truth, but gropes, and urgeth all by chance;
Or crafty malice might pretend this praise,
And think to ruin where it seemed to raise.
These are, as some infamous bawd or whore
Should praise a matron; what could hurt her more?
But thou art proof against them, and, indeed,
Above the ill fortune of them, or the need.
I therefore will begin: Soul of the age!
The applause! delight! the wonder of our stage!
My SHAKSPEARE rise! I will not lodge thee by
Chaucer, or Spenser, or bid Beaumont lie
A little further, to make thee a room:
Thou art a monument without a tomb,
And art alive still while thy book doth live
And we have wits to read, and praise to give.
That I not mix thee so my brain excuses,
I mean with great, but disproportioned Muses:
For if I thought my judgment were of years,
I should commit thee surely with thy peers,
And tell how far thou didst our Lyly outshine,
Or sporting Kyd, or Marlowe's mighty line.
And though thou hadst small Latin and less Greek,
From thence to honour thee, I would not seek
For names: but call forth thund'ring Aeschylus,
Euripides, and Sophocles to us,
Pacuvius, Accius, him of Cordova dead,
To life again, to hear thy buskin tread
And shake a stage: or when thy socks were on,
Leave thee alone for the comparison
Of all that insolent Greece or haughty Rome
Sent forth, or since did from their ashes come.
Triumph, my Britain, thou hast one to show
To whom all Scenes of Europe homage owe.
He was not of an age, but for all time!
And all the Muses still were in their prime,
When, like Apollo, he came forth to warm
Our ears, or like a Mercury to charm!
Nature herself was proud of his designs,
And joyed to wear the dressing of his lines!
Which were so richly spun, and woven so fit,
As, since, she will vouchsafe no other wit.
The merry Greek, tart Aristophanes,
Neat Terence, witty Plautus, now not please;
But antiquated and deserted lie,
As they were not of Nature's family.
Yet must I not give Nature all; thy art,
My gentle Shakspeare, must enjoy a part.
For though the poet's matter nature be,
His art doth give the fashion: and, that he
Who casts to write a living line, must sweat,
(Such as thine are) and strike the second heat
Upon the Muses' anvil; turn the same,
And himself with it, that he thinks to frame;
Or for the laurel he may gain a scorn;
For a good poet's made, as well as born.
And such wert thou! Look how the father's face
Lives in his issue, even so the race
Of Shakspeare's mind and manners brightly shines
In his well torned and true filed lines;
In each of which he seems to shake a lance,
As brandisht at the eyes of ignorance.
Sweet Swan of Avon! what a sight it were
To see thee in our waters yet appear,
And make those flights upon the banks of Thames,
That so did take Eliza, and our James!
But stay, I see thee in the hemisphere
Advanced, and made a constellation there!
Shine forth, thou Star of Poets, and with rage
Or influence, chide or cheer the drooping stage,
Which, since thy flight from hence, hath mourned like night,
And despairs day, but for thy volume's light.

http://www.luminarium.org/sevenlit/jonson/benshake.htm

*****
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From Jonson, Hymenaei

ベン・ジョンソン
『結婚式』より

〈思いこみ〉:
花があるとします。ひっそりと秘密の場所で咲いていて、
牛に踏まれることもなく、犂に打たれることもありません。
風に優しく撫でられ、太陽と雨の力で大きく育っています。
そんな花を男の子も女の子も欲しがります。
でも、残酷にも一度摘まれて枯れてしまったら、そんな花は
もう男の子も女の子も欲しがりません。
処女も同じです。誰にもふれられていないうちは
みんなに大事にしてもらえます。でも、からだが汚れ、
純潔の花をなくしてしまったら、もう
男の子にとって魅力なく、女の子にも大事にされません。
この戦いに勝って栄冠を手にしたいと思いますので、
さあ、処女の子たち、婚姻の神に近づいてはいけません。逃げるのです。

〈真理〉:
いいえ、処女の子たち、婚姻の神の前にひざまずくのです。
不毛な野原にひとりで立つ葡萄の木は、
きれいな枝を誰かに見せることなく、豊かな
実をつけることもありません。ただ重たい頭を真っ逆さまに
か細いからだから垂らし、いちばん高いところの芽も
あっという間に枯れた根のところまで降りてきてしまいます。
そんな木に農夫は寄ってきません、既婚者だって、若者だって。
でも、運よく幸せに結婚し、
楡(にれ)の木を夫にできたなら、既婚・未婚の
農夫がたくさん近くに引っ越してきます。
同じことです。処女の子は誰にもふれられないまま、
放っておかれたまま、年老いていきます。傲慢なのです。
そうでなく、同じ地位の相手と然るべき時に結婚できるよう
努力して、また運をつかめば、
両親や夫に大事にしてもらえるでしょう。
さあ、処女の子たち、婚姻の神の前にひざまずくのです。

*****
Ben Jonson
From Hymenaei

Opinion:
Looke how a Flower, that close in Closes growes,
Hid from rude Cattell, bruised with no Ploughes,
Which th' Ayre doth stroke, Sun strengthen, Showers shoot higher,
It many Youths, & many Maids desire;
The same, when cropt by cruell hand is wither'd,
No Youths at all, No Maydens have desir'd:
So a Virgin, while vntouch'd she doth remaine,
Is deare to hers; but when with Bodyes stayne
Her chaster Flower is lost, she leaves to appeare
Or sweete to Yong Men, or to Maydens deare.
That Conquest then may crowne me in this Warre,
Virgins, O Virgins fly from HYMEN farre.

Truth:
Virgins, O Virgins, to sweete HYMEN yeeld,
For as a lone Vine, in a naked Field,
Never extols her branches, never beares
Ripe Grapes, but with a headlong heavinesse weares
Her tender bodie, and her highest sproote
Is quickly levell'd with hir fading roote;
By whom no Husband-men, no Youths wil dwell;
But if, by fortune, she be married well
To th Elme, her Husband, many Husband-men,
And many Youths inhabite by her, then:
So whilst a Virgin doth, vntouch't, abide
All vnmanur'd, she growes old, with hir pride;
But when to equall Wedlocke, in fit Time,
Her Fortune, and Endeuor lets her clime
Deare to her Loue, and Parents, she is held.
Virgins, O Virgins, to sweete HYMEN yeeld.

http://quod.lib.umich.edu/e/eebo/A04654.0001.001
適宜修正

*****
カトゥルス62の部分的翻訳。
カルペ・ディエム + 結婚、という主題の例。

*****
キーワード:
カルペ・ディエム carpe diem
結婚 marriage / wedlock
カトゥルス Catullus

*****
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Jonson, Epigram 94 ("To Lucy, Countesse of Bedford")

ベン・ジョンソン
エピグラム 94
「ベッドフォード伯爵夫人ルーシーに捧げる詩、
ダン氏の諷刺詩とともに」

ルーシーさま、まさにこの世に光り輝く星、
詩神たちの太陽であり、夜明けの星であるあなた!
もし(詩人でなく)詩が自分の主題を選べるならば、
誰の詩だってあなたを歌いたいと願うでしょう。
これらダン氏の諷刺詩にも、あなたがご所望という事実によって、
諷刺以外の内容が与えられています。稀有な詩とは稀有な人を歌うもの。
逆に諷刺においては、ほとんどの人が否応なく
その主題として皮肉に描かれ、稀有な人は出てきません。
醜いところを暴かれて喜ぶ人はおらず、
むしろ嘲笑されれば腹を立てるものですから、
ダン氏に諷刺される人々のなかで生きていて、
そしてこれらの詩を求め、読み、楽しむことが
できる人は、必然的に、最高に優れた少数のお方ということに
なります。そんな最高のなかの最高のお方、それがあなたです。
ルーシーさま、まさにこの世に光り輝く星、
詩神たちの太陽であり、夜明けの星であるあなたなのです。

*****
Ben Jonson
Epigram 94
"To Lucy, Countesse of Bedford, with Mr. Donnes Satyres"

Lucy, you brightnesse of our spheare, who are
Life of the Muses day, their morning Starre!
If works (not th' authors) their own grace should look,
Whose poems would not wish to be your book?
But these, desir'd by you, the maker's ends
Crowne with their own. Rare poems aske rare friends.
Yet, Satyres, since the most of mankind bee
Their un-avoided subject, fewest see:
For none e'er tooke that pleasure in sins sense,
But, when they heard it tax'd, tooke more offence.
They, then, that living where the matter is bred,
Dare for these Poemes, yet, both aske, and read,
And like them too; must needfully, though few,
Be of the best: and 'mongst those, best are you;
Lucy, you brightnesse of our spheare, who are
The Muses evening, as their morning-starre.

http://www.luminarium.org/sevenlit/jonson/lucy2.htm

*****
キーワード:
エピグラム epigram
称賛詩 panegyric
諷刺詩 satire

*****
「諷刺」というと文学的に古風で高尚な感じがして
どうも堅苦しい。よりふつうの感覚で理解するために、
たとえば、「お笑い」といいかえたらどうだろう。

あるいは逆に、エピグラムや喜劇やでジョンソンが
試みたのは「お笑い」を芸術の領域にまで高めること
であった、と想像してみてはどうか。ギリシャ・ローマの
古典の力を借りつつ。

(以上、少し話はそれるが。)

*****
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Jonson (tr.), "The Praises of a Country-life" (Horace, Epode 2)

ベン・ジョンソン(訳)
「田舎生活礼賛」
(ホラティウス、エポード2)

幸せな人--それは商売などに関わることなく、
昔の人々のように
家の土地を牛で耕す人。
借金をしていない人。
兵士のように戦いに駆り出されず、
また船荷を流す嵐に気を揉んだりしないですむ人。
法廷で偉そうにしている裁判官や
町のお役人たちに媚を売らずに生きる人。
背の高いポプラに
よく育った葡萄の蔦(つた)を夫婦のようにからませたり、
育ちの悪い枝を切って、
かわりに元気な枝を接ぎ木したり、
ゆるやかな谷で
草を食べる羊たちを眺めたり、
蜂蜜をきれいな陶器の瓶に集めたり、
若い羊の毛を刈ったりして暮らす人。
秋になってりんご畑のあちこちに
王冠のような実がなる頃には、
自分が接ぎ木した梨や
紫色を競いあう葡萄が収穫できる。これは嬉しいに決まっている!
その葡萄は豊穣の神プリアポスに捧げ、
また土地を守ってくれる森の神シルウァヌスにも捧げる。
時に彼は大きな樫の木の下に、
また時には大地によく根づいた草の上に、横たわる。
丘からは川が流れ、
森では鳥たちが片思いの歌をやさしく歌う。
泉の水音、川の音、
すべてが彼を眠りに誘う。
冬が来て、雷を轟かせつつ、ゼウスが雪や夕立を
何時間も降らせるようになったら、
彼は、猟犬をあちこち走らせて、
猪を網に誘いこむ。
小さな熊手に細かい網を張って、
あるいは落とし穴をつくって、鶫(つぐみ)をつかまえる。
臆病な兎や渡ってきた鶴にも罠をしかける。
つかまえられたら最高のご褒美だ。
こういう楽しい暮らしのなかでも、
つらい恋の悩みからは逃れられないもの。
しっかりした奥さんがいて、
家やかわいいこどもたちの世話をしてくれるならいいのだが。
たとえばサビニの女、あるいは元気で
気の利くプッリャ出身の日焼けした子のような妻なら、
台所の聖なる火を守り、
疲れて帰ってくる夫をやさしく迎えてくれるだろう。
楽しげな羊たちを柵に帰らせ、
乳搾りもしておいてくれるだろう。
桶から初物のワインを汲み、
家でとれたもので食事をつくってくれるだろう。
ルクリヌス湖の牡蠣(かき)などいらない。
鮃(ひらめ)やキラキラした遍羅(べら)もいらない、
冬に荒れて輝く波が
そんな魚たちを届けてくれたとしても。
イオニアの尾黒鴫(おぐろしぎ)やギニアの雌鶏だって
特にありがたいわけじゃない。
むしろ、いちばん育った枝からとったばかりの
オリーヴの実のほうがいい。
あるいは、いつも牧場に生えている姫酸葉(ひめすいば)や
病気を治してくれる銭葵(ぜにあおい)のほうがいい。
境界の神テルミヌスの祭りで生贄にされる子羊や
狼から横取りした子山羊の肉でもいい。
こういう食事をしながら、お腹いっぱい食べて
帰ってくる羊たちを見るのはいいものだろうな!
軛(くびき)をはずしても逃げないくらい、牛はへとへとに
疲れてるんだろうな! 犂(すき)をカラカラ引きずってな!
いいもの食べてる農奴の連中も戻ってきて、
湯気立つ炉端でワイワイやってたりして、こりゃ最高だな!
……こんなことを金貸しのアルフィウスが言って
農家になりたいと思うのは、いつも決算間近の
十日過ぎ。それで彼は貸している金を必死になって回収する。
でも、翌月の一日頃にはまた金を貸しはじめてる、というわけだ。

*****
Ben Jonson (tr.)
"The Praises of a Country-life"
(Horace, Epode 2)

Happy is he, that from all Business clear,
As the old Race of Mankind were,
With his own Oxen tills his Sires left Lands,
And is not in the Usurers Bands:
Nor Soldier-like started with rough Alarms,
Nor dreads the Seas inraged harms:
But flees the Bar and Courts, with the proud bords,
And waiting Chambers of great Lords.
The Poplar tall, he then doth marrying twine
With the grown issue of the Vine;
And with his Hook lops off the fruitless Race,
And sets more happy in the Place:
Or in the bending Vale beholds a-far
The lowing Herds there grazing are:
Or the prest Honey in pure Pots doth keep
Of Earth, and shears the tender Sheep:
Or when that Autumn, through the Fields lifts round
His Head, with mellow Apples crown'd,
How plucking Pears, his own hand grafted had,
And Purple-matching Grapes, he's glad!
With which, Priapus, he may thank thy Hands,
And, Sylvane, thine that keptst his Lands!
Then now beneath some ancient Oak he may
Now in the rooted Grass him lay,
Whilst from the higher Banks do slide the Floods;
The soft Birds quarrel in the Woods,
The Fountains murmur as the Streams do creep,
And all invite to easie sleep.
Then when the thundring Jove, his Snow and Showers
Are gathering by the Wintry hours;
Or hence, or thence, he drives with many a Hound
Wild Boars into his Toils pitch'd round:
Or strains on his small Fork his subtil Nets
For th' eating Thrush, or Pit-falls sets:
And snares the fearful Hare, and new-come Crane,
And 'counts them sweet Rewards so ta'en.
Who (amongst these delights) would not forget
Loves cares so Evil, and so great?
But if, to boot with these, a chaste Wife meet
For Houshold aid, and Children sweet;
Such as the Sabines, or a Sun-burnt-blowse,
Some lusty quick Apulians Spouse,
To deck the hallow'd Harth with old Wood fir'd
Against the Husband comes home tir'd;
That penning the glad flock in Hurdles by
Their swelling Udders doth draw dry:
And from the sweet Tub Wine of this year takes,
And unbought Viands ready makes:
Not Lucrine Oysters I could then more prize,
Nor Turbot, nor bright Golden Eyes:
If with bright Floods, the Winter troubled much,
Into our Seas send any such:
Th' Ionian God-wit, nor the Ginny-hen
Could not go down my Belly then
More sweet than Olives, that new gather'd be
From fattest Branches of the Tree:
Or the Herb Sorrel, that loves Meadows still,
Or Mallows loosing Bodies ill:
Or at the Feast of Bounds, the Lamb then slain,
Or Kid forc't from the Wolf again.
Among these Cates how glad the sight doth come
Of the fed Flocks approaching home!
To view the weary Oxen draw, with bare
And fainting Necks, the turned Share!
The wealthy Houshold swarm of Bondmen met,
And 'bout the steeming Chimney set!
These thoughts when Usurer Alphius, now about
To turn more Farmer, had spoke out
'Gainst th' Ides, his Moneys he gets in with pain,
At th' Calends puts all out again.

http://4umi.com/jonson/countrylife

*****
学生の方など、自分の研究/発表のために上記を
参照する際には、このサイトの作者、タイトル、URL,
閲覧日など必要な事項を必ず記し、剽窃行為のないように
してください。

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かまいません。

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Jonson, "Ode: To Sir William Sidney, on His Birth-Day"

ベン・ジョンソン
「オード:ウィリアム・シドニー卿の誕生日に」

暖炉では王冠のような炎がほほえみ、
飲む者、踊る者、
話す者、
歌う者、
みなが喜びを
さらに盛りあげようとしています。
わたしも黙って
立っているわけにはいきませんよね?
わたしだって、人に劣らず
この家の方々を愛し、そして今日この日を祝いたいと思っています。

グラスをください。ヘリコン山の泉の水をください。
シドニーに歌いたいのです。
今日が
意味することを
彼に考えて
ほしいのです。
このいわば強制的な
盛りあがりが
静まり去った後、あのすばらしい守護霊の方と
二人きりになって思いをめぐらせてほしいのです。

さて、今日が意味することとは、これまでの楽しい年月、
あなたを育ててきた年月の成果をきちんと示せ、ということです。
あなたは
今、
すべての正しい道において、
友たちの前に立つことを誓わなくてはなりません。
欲に駆られて道を誤る者、
あるいは立ち止まってしまう者は、
みな少しばかり引き返す
必要があるからです。

そのような者たちには、あなたが
おもちの、そしてみながもつべき、高貴な美徳がありません。
あなたの血筋は
すばらしく
偉大で、だからあなたはさらなる善と
徳を積まねばなりません。
過去の人々の偉業に安んじ、
たるんでいてはいけません。
先祖代々の墓に新たな灰を加えるだけではいけません。
墓に入るためだけに生きるのではありません。

あなたの姓を忘れてはいけません。あなたが誰の子で、
誰の甥で、誰の孫なのか、忘れてはいけません。
正しく生きれば、
人はみな
言うでしょう、あなたはよい家に生まれ、
そして立派に名を継いだ、と。
今日から始めるのです。
一族の先人を見習うのです。
明日に先延ばししていては、
今日と明日の二日を失うことになります。

この真理を胸に刻み、
名のみならず栄誉ある生きかたをしてください。
そうすれば今日
この日は
より喜ばしく、長く記憶される日となるでしょう。
愛の炎で
明るく照らされることでしょう。
まさに祝いの焚火(たきび)の
光のように! 誕生日に輝くのは、
薪ではなく、みなの明るい顔であってほしいのです。

*****
Ben Jonson
"Ode: To Sir William Sidney, on His Birth-Day"

Now that the hearth is crown'd with smiling fire,
And some do drink, and some do dance,
Some ring,
Some sing,
And all do strive to advance
The gladness higher ;
Wherefore should I
Stand silent by,
Who not the least,
Both love the cause, and authors of the feast ?

Give me my cup, but from the Thespian well,
That I may tell to SIDNEY what
This day
Doth say,
And he may think on that
Which I do tell ;
When all the noise
Of these forced joys,
Are fled and gone,
And he with his best Genius left alone.

This day says, then, the number of glad years
Are justly summ'd, that make you man;
Your vow
Must now
Strive all right ways it can,
T' outstrip your peers :
Since he doth lack
Of going back
Little, whose will
Doth urge him to run wrong, or to stand still.

Nor can a little of the common store
Of nobles' virtue, shew in you ;
Your blood
So good
And great, must seek for new,
And study more :
Not weary, rest
On what's deceas't.
For they, that swell
With dust of ancestors, in graves but dwell.

'Twill be exacted of your name, whose son,
Whose nephew, whose grandchild you are ;
And men
Will then
Say you have follow'd far,
When well begun :
Which must be now,
They teach you how,
And he that stays
To live until to-morrow', hath lost two days.

So may you live in honor, as in name,
If with this truth you be inspired ;
So may
This day
Be more, and long desired ;
And with the flame
Of love be bright,
As with the light
Of bonfires ! then
The birth-day shines, when logs not burn, but men.

http://www.luminarium.org/sevenlit/jonson/forest14.htm

*****
これもピンダロス風オードの簡略版。
ウィリアム・シドニーはフィリップ・シドニーの甥。

*****
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