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Jonson, ("This motion was of Love begot")

ベン・ジョンソン
(「この踊りは、〈愛〉の神から生まれたもの」)
仮面劇 『〈愛〉がふたたび王の座に』 より

この踊りは、〈愛〉の神から生まれたもの。
空気のように軽やかで、清らかで。
〈愛〉の羽が、みなの足に撃ちこまれたかのよう。
〈愛〉の神が、みなの血に入ってきたかのよう。
どのようにして、なんて訊かないで。見ればわかるから--
〈愛〉がみなのなかにあることが、みなが愛していることが。

* * *
Ben Jonson
("This motion was of Love begot")
From Love Restored

This motion was of Love begot,
It was so airy, light, and good,
His wings into their feet he shot,
Or else himself into their blood.
But ask not how: the end will prove,
That Love's in them, or they're in Love.

* * *
富よりも愛が大切、という内容の仮面劇より。
最後のダンスのための曲につけられた歌詞のひとつ。

* * *
英語テクストは次のURLのページより。
http://www.luminarium.org/editions/loverestored.htm

* * *
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Jonson, "To Celia" (II) ("Kiss me, sweet")

ベン・ジョンソン
「シーリアに」(II)
(キスしてください)

キスしてください--愛しい人--用心深い男は、
あなたのご好意をきちんと秘密にします。
誰にでも声をかける、カケスのようにルックスだけいい男は、
あなたがどんなことをしてくれたか、みな口外してしまうところですが。
キスしてください、もう一度--誰も来ませんから。
キスしてください、そして数えましょう、わたしの唇に
たくさんくださるキスの数を--ほとんど口づけしたまま、ですよね、
あなたが息をするあいだも。まず百回、キスしてください。
次に千回、そしてまた
百回。さらに、先ほどの千回に
また千回を足してください。こんなかたちでキスをつづけましょう、
たくさんくださるキスが、
ラムニーに生える草の葉の数ほどになるまで。
チェルシーの砂の数ほど、
銀色に輝くテムズ川のしずくの数ほどになるまで。
音のない夏の夜に、テムズのしずくをみな
金色につつむ星の数ほどになるまで。
そんな夜、若者たちはよろこびのキスを盗みとるのです。
邪魔者たちがのぞきこんでも、
テムズを流れるしずくのように、数えられないほどのキスを。
嫉妬に狂う夫たちがその数を
知ったら、苦悩でやつれて死んでしまうほどのキスを。

* * *
Ben Jonson
"To Celia" (II)
("Kiss me, sweet")

Kiss me, sweet: the wary lover
Can your favors keep, and cover,
When the common courting jay
All your bounties will betray.
Kiss again: no creature comes.
Kiss, and score up wealthy sums
On my lips, thus hardly sundred,
While you breathe. First give a hundred,
Then a thousand, then another
Hundred, then unto the other 10
Add a thousand, and so more:
Till you equal with the store,
All the grass that Rumney yields,
Or the sands in Chelsea fields,
Or the drops in silver Thames,
Or the stars that gild his streams,
In the silent Summer-nights,
When youths ply their stolen delights;
That the curious may not know
How to tell 'em as they flow, 20
And the envious, when they find
What their number is, be pined.

* * *
「百回、千回、百回、千回・・・・・・のキス」の
元ネタは、古代ローマの詩人カトゥルス(Catullus)の
歌5番(Carmen V)。
http://rudy.negenborn.net/catullus/text2/e5.htm

12行目以降の元ネタは、同じくカトゥルスの歌7番
(Carmen VII)。
http://www.negenborn.net/catullus/text2/e7.htm

最後の四行は、喜劇『ヴォルポーネ』にも用いられている。
ヴォルポーネがシーリアを誘惑する場面に。

* * *
英語テクストは、The Works of Ben Jonson (1853) より。
http://www.luminarium.org/sevenlit/jonson/celia1.htm

* * *
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Jonson, "To Celia" ("Come, my Celia, let us prove")

ベン・ジョンソン
「歌--シーリアに--」

シーリア、さあ、しましょう、
できるあいだに、楽しい愛のお遊びを。
〈時〉はずっとぼくたちの味方、ではありません。
時間がたてば、いずれ、ぼくたちの気持ちも離れてしまいます。
だから、〈時〉の贈りものは、大切にしないといけません。
太陽は、沈んでも、またのぼります。
でも、ぼくたちがこの命の明かりをなくしたら、
その後はずっと夜なんです。
楽しみやよろこびを先送りしてたら、ダメではありませんか?
評判や噂なんて、気にすることはありません。
だませばいいんです、
家にいる二、三人のスパイの目なんて、
それから、君の旦那の耳もです。かんたんですよ、
うまくあざむいて、もうずっと遠くにいますから。
愛の果実を盗むこと、これは罪ではありません。
この甘い窃盗行為が表に出たら、それが罪になるんです。
つかまった、見つかってしまった--
罰せられるのは、そういう人たちなのです。

* * *
Ben Jonson
"Song: To Celia"

Come, my CELIA, let us prove,
While we may, the sports of love;
Time will not be ours for ever:
He at length our good will sever.
Spend not then his gifts in vain.
Suns that set, may rise again:
But if once we lose this light,
'Tis with us perpetual night.
Why should we defer our joys?
Fame and rumor are but toys.
Cannot we delude the eyes
Of a few poor household spies;
Or his easier ears buguile,
So removed by our wile?
'Tis no sin love's fruit to steal,
But the sweet theft to reveal:
To be taken, to be seen,
These have crimes accounted been.

* * *
喜劇『ヴォルポーネ』の挿入歌。

金持ちのヴォルポーネは、本当は健康体なのに、
病気で瀕死、というふりをしている。生きているあいだに
やさしくしておけば遺産を残してくれるかもしれない、
と期待して寄ってくる者たちから、逆に金品を巻きあげるため。

そんな遺産目当ての男のひとりが、自分の妻のシーリアを
ヴォルポーネにさし出す。(!)

この男が妻を残して去ると、ヴォルポーネは、ベッドから
飛びはねて出てきていう--「君があまりにもきれいだから、
病気が治っちゃったよ、まさに奇跡だね」。(!)

そして、この歌で誘惑しようとする。(シーリアは拒む。)

もちろん、こんなヴォルポーネを笑う場面だが、
「金のために君を売るような、本当の愛を知らない
あいつより、熱く、気高く、そして陽気なぼくの
ほうがいいよ」、という彼のセリフには、無駄に
説得力があって、少し考えさせられたりする。
(何を?)

* * *
「カルペ・ディエム」のテーマの、いけない方向への一変奏。

人の生を昼間に、死を夜にたとえる箇所の元ネタは、
古代ローマの詩人カトゥルス(Catullus)の歌5番(Carmen V)。

* * *
英語テクストは、The Works of Ben Jonson (1853) より。
http://www.luminarium.org/sevenlit/jonson/celia1.htm

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閲覧日など必要な事項を必ず記し、剽窃行為のないように
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