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Milton, From A Mask (659-65)

ジョン・ミルトン (1608-1674)
『ラドロウ城の仮面劇』より
(659-65)

(コウマス)
ダメですよ、お姫さま、さあ、お座りくださいませ。わたしがこの杖をひと振りしたら、
あなたの神経なんて、みんな固まってしまいますよ?
真っ白な大理石の彫刻みたいにね。そう、アポローンから
逃げたダプネーみたいに、足に根っこが生えてきて、動けなくなってしまうんです。

(少女)
愚か者! いばるのはやめなさい!
おまえなんか、わたしの自由な心には指一本ふれさせないわ。
魔法を使っても無駄よ。たとえこのからだが
鎖でつながれたとしてもね! 神さまがちゃんと見ててくださるんだから!

* * *
John Milton
From A Mask Presented at Ludlow Castle, 1634
(659-65)

Comus.
Nay Lady sit; if I but wave this wand,
Your nerves are all chain'd up in Alabaster, [660]
And you a statue; or as Daphne was
Root-bound, that fled Apollo,

La[dy].
Fool do not boast,
Thou canst not touch the freedom of my minde
With all thy charms, although this corporal rinde
Thou haste immanacl'd, while Heav'n sees good. [665]

* * *
アポローンとダプネーの物語への言及。
(オウィディウス『変身物語』第1巻参照)。

コウマスは宮廷人風の悪い魔法使い。
少女は貴族の家の子で15歳。

* * *
アポローンとダプネーの物語
(オウィディウス、『変身物語』第1巻より)

1.
太陽神アポローンは、愛の神クピード-を
バカにしていう、「おまえみたいな子どもの矢で
何が打てるんだ?」

2.
クピードーは、「おまえを打っちゃうぞ!」
といって、金の矢でアポローンを、鉛入りの
矢でダプネーを打つ。金の矢は恋をかきたてる矢で、
鉛の矢は恋を嫌うよう仕向けるものだった。

3.
こうしてアポローンはダプネーに恋をし、
ダプネーは彼から逃げることになる。

4.
ダプネーを追いかけながら、アポローンはいう--

「ぼくは子羊を追いかけているオオカミとは違うよ!」

「転ばないように気をつけて! あ、ぼくが追いかけてるから、
いけないのか!」

「ぼくのお父さんはゼウスだよ! ぼく、未来に
ついて予言したりできるんだよ! ぼくは音楽の神でも
あるんだよ!」

「ぼくは医療の神なんだよ! でも、病気の薬は
つくれても、恋の病に効く薬がつくれないなんて、
変だよね!」

5.
そんなアポローンを恐がり、ダプネーはひたすら逃げる。
アポローンはひたすら追いかける。そして、とうとう
つかまってしまう、というとき、ダプネーは自分の父である
川の神ぺーネイオスに祈る、「わたしの姿を何か
他のものに変えて!」。

6.
これが聞き入れられ、ダプネーは月桂樹の木に変身する。
アポローンはその木を抱き、キスしようとするが、いやがられる。

7.
さらにアポローンはその木にいう、「ぼくのお嫁さんには
なってくれなかったけど、ぼくの木になってくれる?」。
するとその木は、いいわ、といっているかのようにゆれる。

* * *
何かと微妙で複雑なエピソードなので、少し分解してみる。

1-3
突然、みずからの意に反して、恋におち、
そして一心不乱にダプネーを追うアポローン。
そんな彼の思いは、はじめからかなえられないものと
定められている。ダプネーは必死に逃げる。

4
自分をこわがって逃げている女の子に対して、
「ぼく、こわくないよ!」とか、「ケガしちゃうから
止まって!」とか。
(いわば、ひとりでボケ・ツッコミ。)

ダプネーに好かれるために、家柄のよさを主張。

ダプネーに好かれるために、人にはない能力を主張。
(「ぼく音楽の神」を現代風にいうなら、たとえば、
「ぼくギター弾けるんだ」。)

医療の神なのに恋の薬をつくれない。
(ひとりでボケ・ツッコミ。)

5-6
ダプネーの父が彼女を救う。(が、本当は父は、
ダプネーをだれかと結婚させたがっていた。
「孫が見たい」などといって。)

6-7
木になったダプネーに対してアポローンは
思いを寄せつづける。ダプネーは、性的には
彼を拒絶。しかし、性的ではない関係なら、
いっしょにいてもいい(?)。

* * *
まとめると--

(アポローンの視点から見れば)
報われない恋の物語。

(ダプネーの視点から見れば)
好きでもない男性に執拗に追われる恐怖の物語。

(アポローンの描写)
高貴な生まれ、多彩な能力。恋愛において一途。
(おそらくルックスもいい。) ダプネー自身の
気持ちに対して無神経・鈍感(だが、それは
クピードーの矢によるもので、見方によっては
彼の非ではない)。

(ダプネーの描写)
美しい。逃げる姿も美しい。男嫌い(だが、それは
クピードーの矢によるもの。彼女の意志によるもの
ではない)。

(結末)
アポローンにとっては残念な結果?
ダプネーにとっては望みどおりの結果?
すべての意味で微妙な描写になっている。

(ペーネイオスにとっては?)

* * *
アポローンとダプネーを扱う美術作品


ニコラ・プッサン 「アポローンとダプネー」
http://www.nicolaspoussin.org/Apollo-and-Daphne-1625.html

クピードーがアポローンを恋の矢でうつところ
から、彼が月桂樹を身につけるところまで(アポローンの
頭には月桂冠)、二人のエピソードの全場面を、
時間の流れを無視して一画面にまとめた作品。

この絵は、あえてペーネイオスを前面に主人公として
描く。(壺から流れる水は川をあらわす。彼は川の神。)

上の物語をペーネイオスの視点で読み直してみる。

彼は、娘が結婚して子どもを産み・・・・・・ということを
期待していた。が、アポローンから必死で逃げる娘の願いを
聞き、彼女を月桂樹に変身させる。こうして彼は、みずからの
手により娘を失うことになる。その娘を救うために。

ふだん特にとりあげられないが、このようなやりきれない
立場にあるペーネイオスにプッサンは注目している。

---

ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス 「アポローンとダプネー」
http://www.jwwaterhouse.com/view.cfm?recordid=93

ダプネーが木に変わりはじめているところを描く。
(ふたりのエピソードを扱う絵のほとんどがこのパターン。)

この絵のポイント 1
アポローンのいい男ぶり。

ポイント 2
ダプネーの右手。アポローンの右手を握り返そうと
していて、でもためらっている、というようす。
(ウォーターハウスの描く人物の動きや姿勢は
とても表情豊か。下に見るように、もちろん顔も。)

ポイント 3
ダプネーの左手。このポーズがあらわすのは
どんな感情?

ポイント 4
ダプネーの顔。左手とあわせて、この表情が
あらわすのはどんな感情? おそらく、こんな感じ。

「え・・・・・・」

「うそ・・・・・・」

つまり、ウォーターハウスは、追いかけられて
追いかけられて、必死で逃げてきたダプネーが、
最後の最後にアポローンを好きになって、という
シナリオでこの絵を描いている。

「やめて! やめて! やめて! 来ないで! 来ないで! 来ないで!」

「いや! いや! いやよ! 」

「いやよ! いや・・・・・・・・・・・・えっ?」

「うそ・・・・・・」

ポイント 5
ダプネーの足。左足しかない。右足はすでに
木になっている。(木のなかにうっすら見える。)

つまり、追いかけられて追いかけられて、必死で
逃げてきたダプネーが、最後の最後にアポローンを
好きになって、というときには、もうすでに
手遅れだった--すでに彼女は木になりかけていて、
二人はけっして結ばれないことになってしまっていた--
ということ。

ウォーターハウスは、アポローンにとっての
報われない恋の物語を、ダプネーにとっても
報われない恋の物語へと改作した。しかも、
ダプネーみずからの意志によってそうなってしまった、
という物語に。(これもまた切ない。)

より大きな図版で確認を。

http://commons.wikimedia.org/wiki/File:Apollo_and_Daphne_waterhouse.jpg

基本的にウォーターハウスは、いつも正しく、
正確に、女性を描く。彼の描く女性は、みな
日常的な姿勢・しぐさ・表情をしている。
気づかないうちにとられた写真のように。
力が抜けて猫背になっていたり、寝転がって
いたり。

(つづく)

* * *
英語テクストは、Milton Reading Roomより。
http://www.dartmouth.edu/~milton/reading_room/comus/index.shtml

少しスペリングを修正。

* * *
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Rossetti, DG, "Blessed Damozel" (英語テクスト)

Dante Gabriel Rossetti
"The Blessed Damozel"

The blessed damozel leaned out
From the gold bar of Heaven;
Her eyes were deeper than the depth
Of waters stilled at even;
She had three lilies in her hand,
And the stars in her hair were seven.
(1-6)

Her robe, ungirt from clasp to hem,
No wrought flowers did adorn,
But a white rose of Mary's gift,
For service meetly worn;
Her hair that lay along her back
Was yellow like ripe corn.
(7-12)

Herseemed she scarce had been a day
One of God's choristers;
The wonder was not yet quite gone
From that still look of hers;
Albeit, to them she left, her day
Had counted as ten years.
(13-18)

(To one, it is ten years of years.
. . . Yet now, and in this place,
Surely she leaned o'er me―her hair
Fell all about my face. . . .
Nothing: the autumn-fall of leaves.
The whole year sets apace.)
(19-24)

It was the rampart of God's house
That she was standing on;
By God built over the sheer depth
The which is Space begun;
So high, that looking downward thence
She scarce could see the sun.
(25-30)

It lies in Heaven, across the flood
Of ether, as a bridge.
Beneath, the tides of day and night
With flame and darkness ridge
The void, as low as where this earth
Spins like a fretful midge.
(31-36)

Around her, lovers, newly met
'Mid deathless love's acclaims,
Spoke evermore among themselves
Their heart-remembered names;
And the souls mounting up to God
Went by her like thin flames.
(36-42)

And still she bowed herself and stooped
Out of the circling charm;
Until her bosom must have made
The bar she leaned on warm,
And the lilies lay as if asleep
Along her bended arm.
(43-48)

From the fixed place of Heaven she saw
Time like a pulse shake fierce
Through all the worlds. Her gaze still strove
Within the gulf to pierce
Its path; and now she spoke as when
The stars sang in their spheres.
(49-54)

The sun was gone now; the curled moon
Was like a little feather
Fluttering far down the gulf; and now
She spoke through the still weather.
Her voice was like the voice the stars
Had when they sang together.
(55-60)

(Ah sweet! Even now, in that bird's song,
Strove not her accents there,
Fain to be hearkened? When those bells
Possessed the mid-day air,
Strove not her steps to reach my side
Down all the echoing stair?)
(61-66)

'I wish that he were come to me,
For he will come,' she said.
'Have I not prayed in Heaven?―on earth,
Lord, Lord, has he not pray'd?
Are not two prayers a perfect strength?
And shall I feel afraid?
(67-72)

'When round his head the aureole clings,
And he is clothed in white,
I'll take his hand and go with him
To the deep wells of light;
As unto a stream we will step down,
And bathe there in God's sight.
(73-78)

'We two will stand beside that shrine,
Occult, withheld, untrod,
Whose lamps are stirred continually
With prayer sent up to God;
And see our old prayers, granted, melt
Each like a little cloud.
(79-84)

'We two will lie i' the shadow of
That living mystic tree
Within whose secret growth the Dove
Is sometimes felt to be,
While every leaf that His plumes touch
Saith His Name audibly.
(85-90)

'And I myself will teach to him,
I myself, lying so,
The songs I sing here; which his voice
Shall pause in, hushed and slow,
And find some knowledge at each pause,
Or some new thing to know.'
(91-96)

(Alas! We two, we two, thou say'st!
Yea, one wast thou with me
That once of old. But shall God lift
To endless unity
The soul whose likeness with thy soul
Was but its love for thee?)
(97-102)

'We two,' she said, 'will seek the groves
Where the lady Mary is,
With her five handmaidens, whose names
Are five sweet symphonies,
Cecily, Gertrude, Magdalen,
Margaret and Rosalys.
(103-8)

'Circlewise sit they, with bound locks
And foreheads garlanded;
Into the fine cloth white like flame
Weaving the golden thread,
To fashion the birth-robes for them
Who are just born, being dead.
(109-14)

'He shall fear, haply, and be dumb:
Then will I lay my cheek
To his, and tell about our love,
Not once abashed or weak:
And the dear Mother will approve
My pride, and let me speak.
(115-20)

'Herself shall bring us, hand in hand,
To him round whom all souls
Kneel, the clear-ranged unnumbered heads
Bowed with their aureoles:
And angels meeting us shall sing
To their citherns and citoles.
(121-26)

'There will I ask of Christ the Lord
Thus much for him and me:―
Only to live as once on earth
With Love,―only to be,
As then awhile, for ever now
Together, I and he.'
(127-32)

She gazed and listened and then said,
Less sad of speech than mild,―
'All this is when he comes.' She ceased.
The light thrilled towards her, fill'd
With angels in strong level flight.
Her eyes prayed, and she smil'd.
(133-38)

(I saw her smile.) But soon their path
Was vague in distant spheres:
And then she cast her arms along
The golden barriers,
And laid her face between her hands,
And wept. (I heard her tears.)
(139-44)

* * *
The Complete Writings and Pictures of Dante
Gabriel Rossetti, ed., Jerome J. McGann,
http://www.rossettiarchive.org/docs/1-1881.
1stedn.rad.html


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Rossetti, DG, "Blessed Damozel" (解説)

ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ (1828-1882)
「天国の女の子」 (解説)

ロセッティの詩人としての代表作。

ペトラルカやダンテが描いた、死んでしまった女性に
男性が愛の歌を捧げる、というパターンを裏返して、
死んでしまった女性の視点を中心として書かれた作品。
(ペトラルカやダンテの場合、女性は自分の恋人ではないが。)

* * *
タイトル
blessed
天国にいて幸せな(OED 3b)。

1-2
絵のほうの "Blessed Damozel" を参照。
http://www.rossettiarchive.org/zoom/
s244.fogg.img.html
ロセッティの描く人物は、表情がかたまっていて
感情が読みにくい。(この絵の中心の少女は、
読めるほう。後ろの恋人たちに比べれば。)

4 waters
複数形で海や川で流れる水をあらわす(OED 6b)。

5 lilies
ユリは、純潔をあらわす聖母マリアの花。
三は三位一体の三?

6 seven
絵のほうの "Blessed Damozel" を参照。
http://www.rossettiarchive.org/zoom/
s244.fogg.img.html
プレイアデス星団(すばる)のように並んだ星が
髪に飾られている。この絵の星が六しかないのは、
すばるのなかのメロペーは肉眼では見えないから。

神話上では、すばるはアトラスの七人の娘。
オーリーオーンに追いかけられて困っていたので、
ゼウスによって天にあげられて星になった。

メロペーが見えないのは、彼女だけが人間と
関係をもって、それを恥じているから。
(その他の説もいろいろ。)

ロセッティの絵においては、「天国の女の子」が
このメロペー。六個の星とこの子で「すばる」、
ということ。この子は、この詩の「ぼく」の恋人だから。

次のページを参照。
http://www.theoi.com/Nymphe/Nymphai
Pleiades.html

7 from clasp to hem
from A to B の構文か、「hemするclasp」か、
少し迷う。

19-24
この詩における( )は、地上に残された
「ぼく」の視点からの言葉をあらわす。

19 of
多くのもののなかでも特別であることを
あらわす(OED "Of" 43d)。

20 the autumn-fall of leaves
顔に落ちてきた枯れ葉を、死んでしまった恋人の
髪のように感じた、ということ。

44 charms
多くの鳥たちの歌声や羽の音(OED, "charm" n2, 1)。
鳥などの群れ(OED, "charm" n2, 3)。
天国の恋人たちの魂を鳥にたとえている。

魂を鳥にたとえることについては、George Herbert,
"Death" などを参照。聖霊 = 鳩のイメージも。

50 shake
行く、旅する(OED 1, 古語、詩語)。

55-66
ロセッティはこの詩を1846年頃に書き、いろいろな
ところに掲載しながら修正を重ね、最終的に
1881年に内容を確定している。

天国の女の子が話す内容に入る直前の
この部分も、後から加えられたもの。すぐに彼女の
話した内容に入るのではなく、まず、それが地上の
「ぼく」に届いていることを示す。星の光が
天から地上に届くように。

62 accent
言葉(トーン+内容)(OED 5)。

69-71
マタイ書18章19節への言及。 「もしあなたが
たのうちのふたりが、どんな願い事についても
地上で心を合わせるなら、天にいますわたしの父は
それをかなえて下さるであろう」。

77 a stream
神の国にある命の川(黙示録21-22章)。

78 bathe
洗礼のイメージ。

144
タイトルを確認。ポイントは、この女の子が
全然幸せではないこと。自分は天国にいても、
恋人と離れてしまっているから。

* * *
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Shelley, "Autumn: A Dirge"

パーシー・B・シェリー(1792-1822)
「秋--葬送の歌--」

1.
あたたかい太陽が力を失い、冷たい風が悲しみに泣き声をあげ、
葉を失った枝がため息をつき、花が色あせ、死につつあり、
そして〈一年〉が
死の床である大地に、経帷子として死んだ葉を身にまとい、
横たわっている。
来て、〈月〉たち、〈十一月〉から
〈五月〉までの〈月〉たち、さあ、出てきて、
いちばん暗い色の服を着て。
ついて行こう、
死んで冷たくなった〈一年〉の棺の車に。
そして影のように闇にまぎれて、お墓のところでお通夜をしよう。

2.
冷たい雨が落ち、凍えた虫たちがはいまわり、
川は大きくうねり、雷が弔いの鐘を鳴らしている、
〈一年〉のために。
陽気なツバメたちは飛んでいってしまい、トカゲもみな
住みかに帰っていった。
来て、〈月〉たち、出てきて、
白、黒、灰色の服を着て。
軽やかで明るいお姉さん・妹たちは遊ばせておいて。
さあ、ついて行こう、
死んで冷たくなった〈一年〉の棺の車に。
そして涙に涙を流し、〈彼女〉のお墓を緑の草で飾ろう。

* * *
Percy Bysshe Shelley
"Autumn: A Dirge"

1.
The warm sun is failing, the bleak wind is wailing,
The bare boughs are sighing, the pale flowers are dying,
And the Year
On the earth her death-bed, in a shroud of leaves dead,
Is lying.
Come, Months, come away,
From November to May,
In your saddest array;
Follow the bier
Of the dead cold Year,
And like dim shadows watch by her sepulchre.

2.
The chill rain is falling, the nipped worm is crawling,
The rivers are swelling, the thunder is knelling
For the Year;
The blithe swallows are flown, and the lizards each gone
To his dwelling;
Come, Months, come away;
Put on white, black, and gray;
Let your light sisters play---
Ye, follow the bier
Of the dead cold Year,
And make her grave green with tear on tear.

* * *
「雲」と同様、自然現象を擬人化して語る詩。

過ぎゆく〈一年〉を女性--おそらく母--として擬人化し、
同じく擬人化された〈月〉たち--ひと月ひと月、おそらく
娘たち--が嘆き、弔う場面を描く。

(日本語訳における〈 〉は擬人化されていることを
あらわす。)

この弔いに呼ばれているのは、〈十一月〉、〈十二月〉、
〈一月〉・・・・・・〈五月〉。つまり秋から春までの〈月〉。

明るく暑い、楽しげな夏の〈月〉たち、〈六月〉から〈八月〉
--これがlight sisters--は、弔いの場に
似あわないので、呼ばれていない。

最後の最後に次の一年・次の春をあらわす「緑」にふれて、
ほんの少しだけ希望のようなものを暗示。

* * *
英語テクストは、The Complete Poetical Works of Percy
Bysshe Shelley, vol. 2 (Oxford, 1914) より。
http://www.gutenberg.org/ebooks/4798

* * *
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詩人のことば (9) --Keats on Imagination--

詩人の言葉 (9)
ジョン・キーツ (1795-1821)
(想像力について)

ぼくが確信しているのは、心動かす感情がもつ
神のような力と、想像力が真実・現実を生み出す
力だけです。想像力が美しいととらえたものは、
本当に美しいに違いありません--もともと存在
するものであろうと、そうでなかろうと、です。
愛など、ぼくたちを動かすすべての感情についても、
そう思っています。ぼくたちの感情はみな、それが
もっとも高まったとき、本質的に美しいもの、
美の本質ともいえるものを生み出すのです。
・・・・・・想像力は、アダムの夢[ミルトン、
『失楽園』8:452ff.]のようなものかもしれません。
夢を見て、そして目を覚ますと、それが現実に
なっている、というように。想像力が真実や現実を
つくると、ぼくは本当にそう思っています。というのも、
理性でいろいろ考えつづけても、ものごとが真に、
現実に、それら自身であると、本物であると、
確信できたことがありませんから--本物ということに
しておかなくてはならないのでしょうが。

* * *
John Keats
(On Imagination)

I am certain of nothing but of the
holiness of the Heart's affections,
and the truth of Imagination. What
the Imagination seizes as Beauty
must be truth---whether it existed
before or not,---for I have the same
idea of all our passions as of Love:
they are all, in their sublime,
creative of essential Beauty. . . .
The Imagination may be compared to
Adam's dream,---he awoke and found
it truth:---I am more zealous in
this affair, because I have never
yet been able to perceive how
anything can be known for truth by
consecutive reasoning---and yet it
must be.

* * *
ベンジャミン・ベイリーへの手紙より(1817/11/22)。

理性的な思考ではなく想像力によって生み出される
ものこそ真実、という内容。

以下のような他の箇所も参照。

ああ、思考ではなく、感覚的・感情的刺激に
満ちた生き方をしたいのです!
O for a life of Sensations rather than of Thoughts!

(こういうことを考えていいのは、実際にこういう
ことを考えるのは、多かれ少なかれ思考によって
生きることができる人だけ。)

想像力によって何かを生み出すことは、人として
生きることそのものです。想像力が生んだものに
ついて頭の中で思いをめぐらし、それによって
天国のいるかのような幸せが感じられるとしたら、
それは魂のレベルで生をくり返していることに、
つまり二倍以上生きていることになります。
Imagination and its empyreal reflection, is the same
as human life and its spiritual repetition.

(想像力によって生み出されたものにあふれている
今の社会を見たら、キーツはなんというだろう?)

* * *
(訳注)

この文章については、truthという語の訳し方が
ポイント。OEDで関係する定義は以下の通り。

4.
嘘をつかない、ということ。

5a.
事実に沿う、現実と一致する、ということ。

7.
本物・本当・真実・現実である、ということ、
実際に存在する、ということ。

11.
本物・真実・現実であるようなものごと。

12a.
事実。

12b.
それをあらわす概念・記号などにきちんと
対応するものごと。

the truth of Imagination
想像力が生み出すものは本物・真実である、
ということ(5a)。

What the Imagination seizes as Beauty must be truth
想像力が美ととらえるものは、本当に、真に、
事実として美しい(12b)。

whether it existed before or not
想像力によって生み出される以前に存在
するもの--普通の意味で実在するもの--
であれ、そうでないものであれ。

it must be
= it [i.e., anything] must be [known for truth by
consecutive reasoning]. (???)

* * *
「ギリシャの壷」の最後のフレーズ、Beauty is truth,
truth, beautyのtruthも、上記のような線でとらえる
べき--「美こそ真に存在するもの、真の意味で
存在するのは、美しいものだけ」。

* * *
英語テクストは、Letters of John Keats to
His Family and Friends, ed. Sidney
Colvin (1925) より。
http://www.gutenberg.org/ebooks/35698

(詩ではなく散文。改行は任意。)

* * *
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Shakespeare, from Romeo and Juliet

ウィリアム・シェイクスピア (1564-1616)
『ロミオとジュリエット』より

ロミオ
罪深いぼくの手で、神聖なおからだを
汚してしまったらごめんなさい。できるだけやさしくふれてますし、
もし傷つけてしまったなら、赤い顔した二人の巡礼……
のようなぼくの唇が、すぐにやさしいキスで治します。

ジュリエット
巡礼さま、ちょっと手に対していいすぎです。
あなたの手は、控えめながら立派にお勤めを果たしています。
聖人の手は巡礼がふれていいものですし、
手と手をあわせることは清らかなキスのようなものですし。

ロミオ
聖人さまは唇を使わないのですか? 巡礼も唇を使ってはいけませんか?

ジュリエット
もちろんいいですよ。お祈りには必要ですし。

ロミオ
では聖人さま、手がしていることを、唇でしてもいいですか?
祈りますから応えてください。でないと、信仰が絶望に変わってしまいます。

ジュリエット
わたしは動けませんが、祈りにはお応えします。

ロミオ
では、しばらくじっとしていてください。祈ってご利益をいただきます。[キスする]
これでぼくの唇から罪が消えました。あなたの唇によって。

ジュリエット
じゃ、その罪はわたしの唇に来たのね。うつっちゃった。

ロミオ
うつっちゃった、って、かわいすぎ! 悪に誘いすぎです!
その罪、やっぱり返してください! [キスする]

ジュリエット
うふ、キスしてるのに、なんだか、まじめなことしてるみたいだね。

乳母
お嬢さーん! お母さまがお話ですってよー!

*****
William Shakespeare
From The Tragedie of Romeo and Juliet

Rom.
If I prophane with my vnworthiest hand,
This holy shrine, the gentle sin is this,
My lips to blushing Pilgrims did ready stand,
To smooth that rough touch, with a tender kisse.

Jul.
Good Pilgrime, you do wrong your hand too much.
Which mannerly deuotion shewes in this,
For Saints haue hands, that Pilgrims hands do tuch,
And palme to palme, is holy Palmers kisse.

Rom.
Haue not Saints lips, and holy Palmers too?

Jul.
I Pilgrim, lips that they must vse in prayer.

Rom.
O then deare Saint, let lips do what hands do,
They pray (grant thou) least faith turne to dispaire.

Jul.
Saints do not moue, though grant for prayers sake.

Rom.
Then moue not while my prayers effect I take.
Thus from my lips, by thine my sin is purg'd.

Jul.
Then haue my lips the sin that they haue tooke.

Rom.
Sin from my lips? O trespasse sweetly vrg'd:
Giue me my sin againe.

Jul.
You kisse by'th' booke.

Nur.
Madam your Mother craues a word with you.

* * *
ロミオとジュリエットが交わす最初の対話で、
それがソネットになっている場面。Then moue not の
行まででソネットひとつ。

[T]his-kissの脚韻を二人でくり返しているところなど、
出会ったばかりなのに、すでに両想い的な関係に
あることを暗示。(このthis -kissのところで、
シェイクスピア式ソネットの脚韻パターン
ababcdcdefefggが崩れている。)

Thus from my lips の行から二つ目のソネットが
はじまっているが、おじゃま虫な乳母のせいで中断。

*****
(訳注)
(行数は、If I prophaneの行を1行目としてカウント。)

2 shrine
聖人の遺物など、神聖なものが収められて
いる箱など(OED 2a)。ジュリエットの聖なる
魂が入っているからだ、というニュアンス。
聖人像(OED 5b)。

2 gentle
ジュリエットの手をロミオがにぎる、その
にぎり方をあらわすことば。
[G]entle touch - tender kiss という対応関係。

(話の流れでroughともいわれているが。)

9-11
[T]oo, doの脚韻がポイント(doは行内でも
くり返されている)。/u:/ でキスを求める口の
かたちになる。

18 the booke
聖書(OED 5)。聖書にしたがって =
いいこと、りっぱなことをしているかのように。
(「ホントはちょっといけないことをしている
はずなのに、えへ」、みたいな。)

*****

いっていることはとても簡単。

ロミオ
手にぎっていい? 手にキスしていい?

ジュリエット
うん。

ロミオ
ね、唇にもキスしていい?

ジュリエット
えっと・・・・・・うん。

これを、巡礼と聖人像に関する比喩に発展させているが、
その比喩が上手とはいえないところが、この劇にとっては
大切と思われる。十代そこそこの男の子・女の子が、
詩として完璧に洗練された言葉を交わしたら、とても
不自然。

現代でいえば、十代の男女のアイドルがあまり上手とは
いえない演技をしていて、でもそれが初々しくていい感じ、
というのに近いのでは。

*****
英語テクストは、Shakespeare's First Folioより。
http://www.gutenberg.org/ebooks/2270
改行、パンクチュエーション、スペリングなど、若干修正。

20180807 修正

*****
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From Byron, Don Juan, Canto 1

バイロン卿ジョージ・ゴードン (1788-1824)
『ドン・ジュアン』 第1歌より
(ドン・ジュアンとドンナ・ジュリア)

72
彼に会っても、もう彼女は、ほほえみかけたりしなかった。
が、その悲しげな表情は、むしろほほえみよりも美しかった。
まるで、彼女の心には深い思いがあって、
しかし、それを認められないかのようであった。そんな思いが
心の中心で抑えられ、凝縮され、そして燃えているかのようであった。
罪のない思いも、実はいろいろずるいことを考える。
だから、それは、みずからを信用したりしない。本当の気持ちを自分に打ちあけたりしない。
生まれて間もないときから、なぜか、愛は偽善を知っている。

81
愛、そう、しかるべき限度内で愛することを、
罪のないジュリアは心に決めた。
それは、若いドン・ジュアンのため--そんな愛の
経験は、ときとして彼のために役立つはず--
汚れのない神殿に灯された愛の炎は、一点のくもりのない
天の輝きとともに、甘く説き諭すように、
彼に教えるはず--愛と彼女が、力をあわせて、彼に教えるはず・・・・・・
何を? わたしにはわからないし、実際ジュリアにもわかっていなかった。

92
彼は、自分について考えた。大地について考えた。
すばらしい人について、星について、考えた。
いったい、どのように星は生まれたのだろう?
それから、彼は、地震について考えた。戦争について考えた。
月の周囲は何マイルなのかを考えた。
彼は、気球について考えた。いったいどれだけ学べば、
はてしない空について完璧に理解できるのだろう?
そして、彼は・・・・・・ドンナ・ジュリアの瞳について考えた。

94
彼は、木の葉をじっと見た。花をじっと見た。
風が吹くたび、彼には誰かの声が聞こえた。それから
彼は考えた、森の精の女の子たちや、神々のくつろぐ木陰について。
女神たちが人間のところにやってきて、などということも。
彼は、道を見失い、時間がたつのも忘れ、
そして、ふたたび時計を見たときに
気がついた、〈時〉の神に完全に出し抜かれたことに--
夕食も逃してしまったことに。

105
彼女は座っていた。ひとりではなかった。わたしも詳しくは知らない、
どういう経緯で二人がこのように会うことになったのか。
知っていても、いうべきではないだろう--
どんなときでも、みな口は慎むべきなんだ。
どのようにして、また、なぜ、こうなったにしろ、
ジュリアとジュアンは二人でいた、向かいあって。
そのようなとき、できることなら、
たがいに目は閉じたほうがいい。まあ、難しいだろうが。

106
彼女はなんてきれいなんだろう! ジュアンの気持ちを意識して、ジュリアも
頬を赤く、熱く、していた。しかし、それがいけないこととは思っていなかった。
ああ、〈愛〉の神よ! 君の魔法は不思議で、そして、なんて強力なんだろう!
弱き者に力を与え、強き者を踏みつぶし・・・・・・。
なんて見事な嘘を自分にいい聞かせることか! もっとも賢い
人々だって、君の誘惑にかかってしまったら!
今、ジュリアが立っているのは、とてつもなく高い崖の上。
なのに、自分には罪がないと、彼女は強く信じている・・・・・・。

113
太陽は沈み、黄色い月がのぼる。
月には悪魔がいて、悪へと人を誘う。みな、
月の女神アルテミスは「純潔」、というが、それはたいした
早とちりだ。昼間になされる、
もっとも長い6月21日の昼間に
なされる、悪しくも真剣なお遊びは、
月あかりのほほえむたった三時間になされるものの半分にすら満たないはず--
そんなことを見ながら、月の女神は慎み深い顔をしているのだから。

114
そんな夜の時間には、危険な沈黙がある。
静けさのなか、魂がみずからを完全に広げ、
さらし出してしまう。そうなると、
もう完全には自分をコントロールできない。
銀色の月の光は、木や塔を神聖な色で輝かせ、
すべてのものを美しく、深く、やさしく見せる。
心にも息を吹きかけ、愛しく、
けだるく、しかし落ちつかない空気でつつむ。

115
こうして、ジュリアはジュアンと座っていた。半分抱きしめられつつ、
赤熱する彼の腕から半分逃れつつ。
彼の腕は震えていた。それがふれている彼女の胸も震えていた。
それでもジュリアは、いけないことをしているとは思っていなかったに違いない。
そう思っていたなら、ただ腰を引けばよかったのだから。
しかし、これは、確かに心惑わす状況だ。
そして、それから、--さあ、どうなる?--もう書かないほうがいいだろう。
そもそも、こんな話、はじめちゃいけなかったんだ。

* * *
George Gordon Lord Byron
From Don Juan, Canto 1

72
And if she met him, though she smiled no more,
She look'd a sadness sweeter than her smile,
As if her heart had deeper thoughts in store
She must not own, but cherish'd more the while
For that compression in its burning core;
Even innocence itself has many a wile,
And will not dare to trust itself with truth,
And love is taught hypocrisy from youth.

81
Love, then, but love within its proper limits,
Was Julia's innocent determination
In young Don Juan's favour, and to him its
Exertion might be useful on occasion;
And, lighted at too pure a shrine to dim its
Ethereal lustre, with what sweet persuasion
He might be taught, by love and her together---
I really don't know what, nor Julia either.

92
He thought about himself, and the whole earth
Of man the wonderful, and of the stars,
And how the deuce they ever could have birth;
And then he thought of earthquakes, and of wars,
How many miles the moon might have in girth,
Of air-balloons, and of the many bars
To perfect knowledge of the boundless skies;---
And then he thought of Donna Julia's eyes.

94
He pored upon the leaves, and on the flowers,
And heard a voice in all the winds; and then
He thought of wood-nymphs and immortal bowers,
And how the goddesses came down to men:
He miss'd the pathway, he forgot the hours,
And when he look'd upon his watch again,
He found how much old Time had been a winner---
He also found that he had lost his dinner.

105
She sate, but not alone; I know not well
How this same interview had taken place,
And even if I knew, I should not tell---
People should hold their tongues in any case;
No matter how or why the thing befell,
But there were she and Juan, face to face---
When two such faces are so, 't would be wise,
But very difficult, to shut their eyes.

106
How beautiful she look'd! her conscious heart
Glow'd in her cheek, and yet she felt no wrong.
O Love! how perfect is thy mystic art,
Strengthening the weak, and trampling on the strong,
How self-deceitful is the sagest part
Of mortals whom thy lure hath led along---
The precipice she stood on was immense,
So was her creed in her own innocence.

113
The sun set, and up rose the yellow moon:
The devil's in the moon for mischief; they
Who call'd her CHASTE, methinks, began too soon
Their nomenclature; there is not a day,
The longest, not the twenty-first of June,
Sees half the business in a wicked way
On which three single hours of moonshine smile---
And then she looks so modest all the while.

114
There is a dangerous silence in that hour,
A stillness, which leaves room for the full soul
To open all itself, without the power
Of calling wholly back its self-control;
The silver light which, hallowing tree and tower,
Sheds beauty and deep softness o'er the whole,
Breathes also to the heart, and o'er it throws
A loving languor, which is not repose.

115
And Julia sate with Juan, half embraced
And half retiring from the glowing arm,
Which trembled like the bosom where 't was placed;
Yet still she must have thought there was no harm,
Or else 't were easy to withdraw her waist;
But then the situation had its charm,
And then―――God knows what next―――I can't go on;
I'm almost sorry that I e'er begun.

* * *
16歳のドン・ジュアンと23歳の人妻ドンナ・ジュリアが
恋に落ちていく場面。

* * *
(訳注)
(番号はスタンザをあらわす。)

72
look
表情や視線によってあらわす(OED 1h)。

compress
凝縮する(OED 2)。抑圧する(OED 5)。

92
([T]he whole earth[,] / Of man the wonderful のところが、
まだよくわからない。)

94
"[A] voice"
あえて誰の声か明確にしていないところがポイント。
ドン・ジュアン自身、誰の声が頭に残っているか、
よくわかっていない = ジュリアにとらわれている
ことがまだ自分でもわかっていない、ということ。

106
conscious
ジュアンの気持ちを知っている、ということ。

Strengthening the weak, and trampling on the strong
キリスト教の神や、どこかの正義の味方について
いわれるようなことを、ここでは皮肉をこめて。
「弱き者に力を与えて」(悪いことをさせる・・・・・・)。

113
business
真剣に、集中してなされるような仕事。遊びの正反対
のもの(OED 13a)。いわゆる不倫のような、道から
はずれた恋愛はもちろん仕事とは正反対のはずだが、
仕事並みに、あるいはそれ以上に、そんな恋人・愛人たちは
真剣、ということを(いやみなかたちで)表現。

最後の行のsheはthe moon. 月の女神アルテミス = ディアナ
として擬人化。

all the while
月夜の三時間にいけないことがなされているあいだじゅう。

115
sate
大きなソファなどに座っているところをイメージ。

were
= would be.

* * *
英語テクストは、Byron, Don Juan より。
http://www.gutenberg.org/ebooks/21700

* * *
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