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Ronsard, "Sonnet à Marie" ("Je vous envoie un bouquet")

ピエール・ド・ロンサール
「マリーへのソネ」(あなたに花束を贈ります)

あなたに花束を贈ります。今から
出かけて摘んできます。
今夜摘まなければ
明日にはもう枯れて落ちてしまっているでしょうから。

そんな花とまったく同じです。
あなたの美しさも、花のように
あっという間にしおれて落ちてしまいます。
花と同じで急に滅びていくのです。

時は流れていきます、去っていきます、ですよね?
でも、時だけじゃないんです! ぼくたちも
すぐに墓石の下で動かなくなるんです。

ぼくたちが語る愛も
一度死んだらもうよみがえりません。
だから、ぼくを好き、といってください。君が美しいあいだに。

*****
Pierre de Ronsard
"Sonnet à Marie"

Je vous envoie un bouquet que ma main
Vient de trier de ces fleurs épanies;
Qui ne les eût à ce vêpre cueillies
Chutes à terre elles fussent demain.

Cela vous soit un exemple certain
Que vos beautés bien qu'elles soient fleuries
En peu de temps cherront toutes flétries
Et comme fleurs périront tout soudain.

Le temps s'en va, le temps s'en va, ma Dame,
Las! le temps non, mais nous, nous en allons,
Et tôt serons étendus sous la lame;

Et des amours desquelles nous parlons,
Quand serons morts, n'en sera plus nouvelle;
Pour ce, aimez-moi cependant qu'êtes belle.

http://www.bacdefrancais.net/envoie-un-bouquet-ronsard.php

*****
学生の方など、自分の研究/発表のために上記を
参照する際には、このサイトの作者、タイトル、URL,
閲覧日など必要な事項を必ず記し、剽窃行為のないように
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Wyatt, "Of the Mean and Sure Estate"

トマス・ワイアット
「中庸で確かな生きかた」

滑る車輪のうえに立ちたければどうぞ、
高い地位とはそんなもの。ぼくはここでいい、
ずっとここで静かに暮らしていたい。
淫らで楽しくてくだらない宮廷とは関わりたくない。
誰も知らないところでゆっくり生きて、
面倒なこともなく年老いて、
ふつうの人と同じように死んでいきたい。
死につかまえられてつらい思いをするのは、
みんなが知っている有名な人。かわいそうに、そういう人は、
自分が何者かわからないまま死ぬ、麻痺した心で、怯えた顔で。

*****
Thomas Wyatt
"Of the Mean and Sure Estate"

STAND, whoso list, upon the slipper wheel
Of high estate; and let me here rejoice,
And use my life in quietness each dele,
Unknown in court that hath the wanton toys:
In hidden place my time shall slowly pass,
And when my years be past withouten noise,
Let me die old after the common trace;
For gripes of death doth he too hardly pass,
That knowen is to all, but to himself, alas,
He dieth unknown, dasèd with dreadful face.

http://www.luminarium.org/renlit/meanandsure.htm

*****
『トテル撰集』 Tottel's Miscellany 128.
セネカ、『テュエステス』二幕のコロスの歌。
以下も参照のこと。

From Heywood, J (tr.), Thyestes, act 2
Marvell (tr.), Seneca, Thyestes, Second Chorus
Pope, "Ode on Solitude"

*****
キーワード:
幸せな人 beatus ille
隠遁 retirement
心の安定 ataraxia
満ち足りたくらし content
死の恐怖 the fear of death
古典 classics
ホラティウス Horace
ルクレティウス Lucretius
セネカ Seneca
マルティアリス Martial

*****
行1が top で終わる別バージョンあり。

*****
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Howard, "The Means to Attain a Happy Life"

ヘンリー・ハワード、サリー伯
「幸せな暮らしに必要なもの」

マルティアリス、幸せな暮らしに
必要なのは次のようなものじゃないかな。
親からの財産、働いて手に入れたものでなく。
豊かな土地、落ちついた心。

同じ階級の友がいて、怨みや争いがないこと。
支配や統治の重責がないこと。
病がなく健康なこと。
同じところに住み続けること。

ほどほどの食事で贅沢しないこと。
賢く素朴に考えること。
夜に心配ごとなく、寛げること、
ワインを飲みすぎないですむように。

妻が浮気をしないこと、やかましくないこと。
寝ていることを忘れるくらいぐっすり眠れること。
自分の暮らしに満足していること。
死を望まず、また恐れないこと。

*****
Henry Howard, Earl of Surrey
"The Means to Attain a Happy Life"

MARTIAL, the things that do attain
The happy life, be these, I find:
The riches left, not got with pain;
The fruitful ground, the quiet mind:

The equal friend, no grudge, no strife;
No charge of rule, nor governance;
Without disease, the healthful life;
The household of continuance:

The mean diet, no delicate fare;
True wisdom join'd with simpleness;
The night discharged of all care,
Where wine the wit may not oppress:

The faithful wife, without debate;
Such sleeps as may beguile the night.
Contented with thine own estate;
Ne wish for Death, ne fear his might.

http://www.luminarium.org/renlit/martial.htm

*****
マルティアリス、エピグラム10.47の翻訳
Martial, Epigram 10.47

Tottel's Miscellany (1557) に所収。
ここからマルティアリスの翻訳・翻案がはじまった。

ホラティウスのエポード2からのフレーズで知られる
「幸せな人」(Beatus ille: ベアトゥス・イッレ)の
主題を広めた作品のひとつ。翻訳としては
このエポードよりも先に。

死の恐怖のところはルクレティウスとも関連。

16世紀から18世紀まで、この主題を扱う詩が
本当に多い。天国における死後の幸せを生きる
目標とするキリスト教に対し、この世の幸せを
正当化する思想として刺激的・現実的・理知的な
ものとしてとらえられたのだろう。

*****
キーワード:
幸せな人 beatus ille
隠遁 retirement
心の安定 ataraxia
満ち足りたくらし content
死の恐怖 the fear of death
古典 classics
ホラティウス Horace
ルクレティウス Lucretius

*****
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まちがいさがし

まちがいさがし


違いは どこに いくつ ある?
どこに いくつ ある?
いくつ ある?
ある?


1
罪と違反
罪と逸脱
罪と過失
罪と悪癖
罪と悪戯

2
正義と道理
正義と批判
正義と攻撃
正義と傲慢

3
正義と義務
正義と仕事
正義と遊戯

4
正義と報復
正義と抑圧
正義と苛め
正義と破壊

5
正義と真理
正義と美
正義と自然
正義と知恵
正義と利害

6
「かわいい」と「好き」
「好き」と恋
恋と「あれ」
「あれ」と結婚
結婚と愛
愛と幸せ

7
能力と運
能力と結果
能力と評価
能力と地位
能力と富
能力と人格
能力と幸せ

8
人生と夢

9
夢と幸せ
理想と幸せ
希望と幸せ
目標と幸せ
現実と幸せ


こたえは あなたの こころの どこかに
あなたの こころの どこかに
こころの どこかに
どこかに


*****
20170225

*****
盗用・商用・悪用以外でしたら、好きにしてください。

(もちろん、ふつうの言葉そのものは
わたしのものではありません。)


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Watts, "The Adventurous Muse"

アイザック・ワッツ
「詩神が飛翔する」

詩神ウラーニアが夜明けに舞いあがる、
比類ない翼を羽ばたかせ。
立ちのぼる朝の光の大洪水のなか、
彼女は道を切りひらく。
明けていく空の色にあわせ、不死なる賛歌を詩神は歌う。
ラパンの規則に反して飛び、パーセルのメロディを無視して歌う。

ウラーニアは尋ねない、気にしない、恐れない、
尖った岩山、呑みこむ流砂がどこにあろうが。
澄みわたる水のような空の空気の山を登り、
下りてくる天使とすれちがう。
道を尋ねたりしない、天使の国はどこ?
海標はどこ? などと。
天高くから降る光を浴びて
詩神は舞いあがり、迷うことなく永遠の光の国に向かう。
白い羽の帆を広げ、
大胆で確かな舵とりで、天上の陸に向かって飛んでいく。

小さな舟はこの世の海の岸沿いを行く。
慎ましく、仲よく並んで、這うように、
互いのオールを見ながら進む。
深くはてしない海に旅立つ度胸はない。
まさにこれが野望をもたない詩人たち。
硬い頭蓋骨のなかに引きこもり、
高ぶることなく、とぼとぼ進む。
全速力でも蝸牛(かたつむり)以下。
がんばってがんばって彼らがつくるものは、正しく、そしてつまらない。

来たれ、天の戦車。輝く車輪で
道なきところに道を拓(ひら)け。限界などない。
永遠に枯れない丘から高く舞いあがり、
雲を突き抜けていけ。星を越えていけ。
来たれ、詩神。気高き力を揮え。
縛られることなく
未踏の道を進め。
批評という鉄の鎖を壊せ。
陶酔を心にもたらせ。楽園に連れていってくれ。

そこに行けばミルトンに会える。人にして
人に不可能な世界を歌ったあのお方。
誰も知らなかった恐怖と栄光が
すべての詩葉に輝いている。輝く情景が
目の前を駆けめぐり、言葉も心も奪い去る。
見よ、詩神は飛ぶ、
目には見えない〈渾沌〉の海、波が轟くそのなかを、
夜の未知なる王国を。
詩神は道なき輝く道を行く、
恐れを知らぬミルトンの霊に手を引かれ。
そして見る、戦場と化した天国を、打ち倒された天使たちを。
至高の詩神は自分で自分の型をつくる。今を生きる詩人たち、
あるいは死んだ者たちから、なにかを借りたりしない。
気高きミルトンは憎んだ、意味を失った脚韻を。
そんな束縛の鎖を断ち切り、崇高なる詩を打ち立てた、
連句では登りえない高みにそびえ立つ、まさに記念碑たる詩を。
彼は嘆いた、地上の楽園が失われたことを。
(そう、この地が悲しい歌の舞台。)
しかし、今、天国の幸せに彼の血潮は高鳴っている。
そう、今、失われたエデンはふたたび彼の手のなかに。
ミルトンは今も歌う、他の追随を許さぬ勝利の高みから。

不滅の大詩人ミルトン! 以上があなたの使者ラファエルの歌。
彼も規則になど従わない。心の炎に従うのみ。
天は静まり、気高き弦の音を聴く。
語りえぬことを語る歌を聴く。
はてしなく美しく、導かれぬままその指は駆けめぐる、
縦横無尽に、黄金の竪琴の上を。
その音色ひとつひとつが生むのは信仰。
そして広がっていく陶酔と調和と愛、
聴き入る天使たちのなかに。

*****
Isaac Watts
"The Adventurous Muse"

Urania takes her morning flight
With an inimitable wing:
Through rising deluges of dawning light
She cleaves her wondrous way,
She tunes immortal anthems to the growing day;
Nor Rapin gives her rules to fly, nor Purcell notes to sing.

She nor inquires, nor knows nor fears,
Where lie the pointed rocks, or where th' ingulfing sand;
Climbing the liquid mountains of the skies
She meets descending angels as she flies,
Nor asks them where their country lies,
Or where the sea-marks stand.
Touched with an empyreal ray
She springs unerring upward to eternal day,
Spreads her white sails aloft, and steers
With bold and safe attempt to the celestial land.

Whilst little skiffs along the mortal shores
With humble toil in order creep,
Coasting in sight of one another's oars,
Nor venture through the boundless deep:
Such low pretending souls are they
Who dwell inclosed in solid orbs of skull,
Plodding along their sober way;
The snail o'ertakes them in their wildest play,
While the poor labourers sweat to be correctly dull.

Give me the chariot whose diviner wheels
Mark their own route, and unconfined
Bound o'er the everlasting hills,
And lose the clouds below, and leave the stars behind.
Give me the Muse whose generous force
Impatient of the reins
Pursues an unattempted course,
Breaks all the critic's iron chains,
And bears to paradise the raptured mind.

There Milton dwells: the mortal sung
Themes not presumed by mortal tongue;
New terrors and new glories shine
In every page, and flying scenes divine
Surprise the wond'ring sense, and draw our souls along.
Behold his Muse sent out t' explore
The unapparent deep where waves of Chaos roar,
And realms of night unknown before.
She traced a glorious path unknown,
Through fields of heav'nly war, and seraphs overthrown,
Where his advent'rous genius led:
Sovereign, she framed a model of her own,
Nor thanked the living nor the dead.
The noble hater of degenerate rhyme
Shook off the chains, and built his verse sublime,
A monument too high for coupled sounds to climb.
He mourned the garden lost below
(Earth is the scene for tuneful woe);
Now bliss beats high in all his veins,
Now the lost Eden he regains,
Keeps his own air, and triumphs in unrivalled strains.

Immortal bard! Thus thy own Raphael sings,
And knows no rule but native fire:
All heav'n sits silent while to his sovereign strings
He talks unutterable things;
With graces infinite his untaught fingers rove
Across the golden lyre:
From every note devotion springs,
Rapture and harmony and love
O'erspread the list'ning choir.

http://poetrynook.com/poem/adventurous-muse

*****
キーワード:
オード ode
ピンダリック Pindaric
崇高 sublime
ミルトン Milton
『失楽園』 Paradise Lost
詩論 poetics
文学史 literary history

語りえぬもの、人智を超えた世界を
視覚的・聴覚的に鮮烈なかたちで描いた
大詩人としてミルトンを称える作品。

ミルトンからシェリーへの中継点のひとつ。
いわば、ここから宗教性が抜ければロマン派。

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