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Crashaw, "On the Water of Our Lord's Baptism"

リチャード・クラショー (1613-1649)
「われらが主を洗礼した水について」

一滴一滴の幸せな水が、主の手足にふれて
洗礼されている。彼を洗礼しながら。
主の手足にふれているとき、ひとつひとつの水滴は宝石のよう。
そこから落ちるとき、それは涙のよう。

* * *

Richard Crashaw
"Divine Epigrams: On the Water of Our Lords Baptisme"

Each blest drop, on each blest limme,
Is washt it selfe, in washing him:
Tis a Gemme while it stayes here,
While it falls hence 'tis a Teare.

* * *

4
水滴が涙のように落ちるという比喩に加え、
キリストのからだから離れて、それが悲しんでいる
ということ。

* * *

実際にそんな作品がぱっと浮かぶわけではないが、
ラヴ・ソングにもありそうなネタ。

(タイトルと、1行目の二つ目のblestをfairなどに
変えたら、そのままいける。)

* * *

英語テクストは、Steps to the Temple: Sacred Poems, with Other Delights
of the Muses (1646, Wing C6836) より。

* * *

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Crashaw, "On Our Crucified Lord"

リチャード・クラショー (1613-1649)
「裸で十字架にかけられて血を流す我らが主について」

彼らはあなたを裸にした、主よ。むしろ裸にしただけならよかった!
このような服など、あなたに与えなければよかったのだ。
あなたを、あなた自身で、彼らは豊かに装った、
あなたの脇腹という真紅のたんすを開いて。
これほどあなたに似合う服はどこにもないだろう、
あなた自身の血という服ほどには――。

* * *

Richard Crashaw
"On Our Crucified Lord Naked and Bloody"

They've left Thee naked, Lord; oh that they had!
This garment, too, I would they had denied.
Thee with thyself they have too richly clad,
Op'ning the purple wardrobe of thy side.
Never could be found garments too good
For Thee to wear, but these of Thine own blood.

* * *



この詩のポイントは、子音の/d/音や/ð/をきわめて
多用することにより、イエスを殴り、引きずるようすを
連想させているところ。

/w/音や/ou/音は、イエスのうめき声。
(/ou/ の /o/ は、schwa[eを上下ひっくり返した記号]に
したいが、出てこないようなので /o/ で代用。)

* * *

画像は自粛するが、ルーベンスの「キリスト降架」など、
キリスト処刑の場面を描く宗教画に対応する詩。

http://commons.wikimedia.org/wiki/
File:Descent_From_The_Cross.jpg

(この絵はまだきれいなほう。クラショーのほうが、
見方にもよるが、リアリズム的、あるいは悪趣味。
痛々しいのでおすすめはしないが、社会問題にも
なった映画『パッション』など、参考になる。)

* * *

英文テクストは、The Poetical Works of Richard Crashaw
and Quarles' Emblems (1857) より。
http://archive.org/details/poeticalworksofr00crasuoft

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