1ヶ月半前に右後肢を負重できないほど傷めたが、徐々に良くなったという1歳馬。
もう調教していた馬だが、朝、馬房内で跛行しているのを見つけたそうだ。
後膝以下はすでにX線撮影されている。
後から臀筋を観ると、右がわずかに萎縮している。
「骨盤を撮りましょう」
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で、股関節臼の外尾側縁に骨折がみつかった。
股関節唇と呼ばれる組織ではないようだ。
左へ傾けて撮ると、腸骨、恥骨、坐骨のつながりの形状に大きな異常はないことがわかる。
跛行はかなり良くなってきているので、まだまだ大事にして安静を続けるように勧めた。
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後肢のかなりの履跛行が続いても、骨盤や股関節に問題がなければ臀筋の萎縮は(なかなか)起こらない。
骨盤や股関節の障害を疑うかどうか、診断上のポイントだ。
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私たちが使っている大型X線撮影装置は、もう製造中止になる、とのこと。
今でさえ、股関節はこの程度の画像しか得られないので、いずれX線撮影による診断は厳しくなるかもしれない。
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日曜日、夜、繁殖雌馬の開腹手術で起こされる。
2日前から軽度の疝痛を示していた12歳の妊娠馬。
てっきり結腸捻転かと思って開腹したら、盲腸がひどく膨満していた。
盲腸便秘だ。
盲腸を体外へ出し、馬を左に傾けて、盲腸尖を切開して、ホースで水を入れながら排泄して盲腸を盲腸底まで空にした。
(これだけのことなのだが、経験が少なかった頃、盲腸便秘を汚さずにすることは難しかった)
内容には葉状条虫が含まれていた。
葉状条虫寄生で、盲腸の動きが悪くなって盲腸便秘になったのだと思う。
この初冬は、盲腸結腸重積が4頭(これも葉状条虫症だと考えている)、回盲部重積もあったのだったか?
それに盲腸便秘だ。
この春から夏は雨が異常に多かった。
葉状条虫を媒介するササラダニが増殖しやすかったのではないか。
プラジクワンテルが入った合剤(エクイバランゴールドorエクイマックス)で葉状条虫をしっかり駆虫した方が良い。
そうでないと、分娩近くの盲腸破裂も増えるだろうし、若馬の回盲部の重積もまだまだ起こるだろう。
講習会で話したんだけどな・・・・・・・
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新芽、花芽が準備されているモクレン。
春のために、備えましょ。
講演したことが実践されていないと、かなりがっかりしちゃいますか?診療所には、そういうおんまさんしか来ないですよね。
モクレンの毛深いふっくらつぼみ、大きなシャクトリムシのこと、心配したりもしたけど、咲きそうですね。
おなかふっくらの(毛深い?)繁殖馬さんも無事にいい子を出産できますように。
往々にして講習会を聴きに来る牧場は管理が良かったりします;笑 何事も実践されないと意味はないですよね。
モクレンは数本あるのですが、来春花が咲くかどうか・・・
ヒトには必要がない出力なのでしょうし、ヒトは今や何でもCTのようです。
馬も股関節の辺縁、それも背側半分は診れますが、診ている本人も確信を持ちにくいし、ましてや第三者には説得力がありませんよね。
臀筋が萎縮していたら。。が今回の書きたかったことなんです。