馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

第三中手骨遠位のSCL  PRP療法はじめました

2018-09-24 | 整形外科

第三中手骨の遠位関節面に軟骨下嚢胞性病変 Subchondral Cystic Lesion が見つかった2歳馬。

関節内のブロックで跛行が消えたそうだ。

屈曲させて、外内方向でX線撮影した。

透過性が亢進した部分が病変だ。

この位置なら、屈曲させておけば関節鏡手術で開口部からデブリドできる。

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これらの撮影は、管電圧を60kvに落として撮影した。

80kvで撮影するよりコントラストが強い描出ができる。

DRのデジタル画像処理でコントラストを強くするより鮮明にSCLが見える。

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珍しく関節鏡手術を助手つきでやって、球節を屈曲させてもらっておいて病変をデブリドした。

灌流液をエアに切り替えて、関節液や灌流液を排出させて、病巣にPRP Platelet-Rich Plasma 多血小板血漿を注入した。

そう、大谷君が肘の靭帯損傷に受けた治療方法だ。

血小板には組織の治癒を促進させるサイトカインほかの生理活性物質が含まれている。

SCLが埋まるのを促進してくれることを期待している。

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『冷やし中華はじめました』 の季節じゃないけど、”PRP療法はじめました”。

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地元獣医師会では、帯広畜産大学産業動物臨床施設の見学と研修を企画しました。

10月31日です。

お隣の獣医師会会員諸氏にも案内が届くはず。

super な指導医も赴任されるらしい。

一度自分の目で観ておいても損はないはず。

 

 



6 コメント

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>zebraさん (hig)
2018-09-28 04:37:13
第一指骨外側関節面には問題ないでしょう。

病理やバイオプシー的な研究も報告はありますが、デブリド、ステロイド、PRP、またそれらの組み合わせも、臨床例で試していくしかなさそうです。

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>ハリケーンドクターさん (hig)
2018-09-28 04:31:26
確かに!今度、長時間手術でもぜひお願いします。体力と根性は証明済みですから。
でもウェアはウェットスーツにしておきましょう;笑。
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>はとぽっけさん (hig)
2018-09-28 04:27:33
角膜潰瘍にPRPですか?自家血清を点眼することはよくやるのですが、それは角膜溶解を抑えるためです。PRPが悪化させないか、ステージや併用剤など検討が必要な気がします。
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Unknown (zebra)
2018-09-26 08:06:22
斜向かいの基節外側の透過性はこんなものなのでしょうか。
ポータブルの電圧の差はわずかな様でも写りはかなり変わりますよね。
3乗位の差はあるんじゃないですかね。

掻爬が良いのかステロイドが効くのかPRPかどの領域の外科でも試されますがどれなんでしょうね。
選択肢ができるのは良い事ですよね。
限局領域なので穿刺検査で内容物から得られるヒントが有ったりするとその有効性と獣医師の信用も相乗的になるのだろうと思います。
進歩著しい馬獣医療ならなんとかなりそうですけれど。

スーパーな指導医さんで北の大地は魅力マシマシですね。
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助手はじめました (ハリケーンドクター)
2018-09-25 21:12:54
考えてみたらアイアンマンフィニッシャー同士の手術は珍しいのではないでしょうか。
灌流液がピューしそうな手術は水着で行くのでいつでも言ってください。水着得意なんで(笑)
手術を受け入れてくださり、そして貴重な経験を本当にありがとうございました。
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Unknown (はとぽっけ)
2018-09-25 19:34:36
 さっきコメントしようとして接続が切れている間に考えた。
 軟骨には血管はないのになぁ、と。そして30年以上前、角膜には血管はないのになぁ、と同じことを考えたことに思い至りました。とさ。角膜潰瘍には効いてましたよ、きっとこのおんまさんも。
 
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