馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

AED救急蘇生講習会・馬の循環器病の診断・治療

2017-11-03 | 講習会

地元獣医師会の講習会。

午前中は消防組合の消防士さんを講師に迎えて、AEDの使い方と救急蘇生の実習をやってもらった。

 

よく誤解されているのだが、AEDは止まった心臓を再び動かせる機械ではない

「今、仔馬が死んだんだけどよ、あれよ、あのガシャンってやつやって生き返らせてくれよ」、と電話がかかってきたことがある。

AEDは除細動器であって、適応になるのは心室細動と無脈性心室頻脈だけ。

そのヘンの誤解は、数多い医療ドラマの責任もあると思う。

AEDは適応かどうかの判断も自動でやってくれて、音声で知らせてくれる。

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心室細動は、胸に衝撃が当たっただけでも起こることがある(心臓震盪)。

そのとき、周囲の人が胸骨圧迫を迅速に始めて、AEDを使えるかどうかに命がかかっている。

馬に蹴られて心室細動を起こすこともあるはず。

そのとき獣医さんがそばに居たので助かった、さすが、となれば喜ばしい。

反面、いつも聴診器持ち歩いているのに、おろおろするばかりだった、となっては残念だ。そして、取り返しが付かない。

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が、往診先にはそうそうAEDは近くにない。

救急車を急いで呼んで、到着までは胸骨圧迫を続けることになる。

これは・・・・やったことがないとうまくできない。たいへんさもわからない。

田舎では救急車が来るまで10分どころではないだろう。

体験した人ならわかる。

やったことがなければ有効に胸骨圧迫するのは難しいし、

胸骨圧迫を一人で10分も続けるのは無理。やってる方が倒れてしまう;笑

交代しながらやるしかないだろうね。

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心臓がいかに大事なポンプか体験していただいたところで昼食。

そのあとは・・・・(つづく)

 

 



2 コメント

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Unknown (はとぽっけ)
2017-11-03 08:43:55
 うぉー!いいですね。いちいち頷いて拝読。
 蘇る金狼の松田優作さん、電話してきた方、亡骸を見た彼らの心情は察するに余りある。
 まずは講習受けて「難しい」という先入観を払うのは大事ですよね。小児にも慌てず対応しないと。牧場の方々も講習を受けている方々は多いそうですね。
 馬だってAEDで助かることもあるんじゃないだろかと考えたことがあるのですが、蘇生後が大変そうだ、と考えたり。
 あきらめたら終わりだけど、AEDも再生、蘇生を保証するものではないんだよね。hig先生も日ごろの健康管理、はとぽっけもこちらいい一日を!
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>はとぽっけさん (hig)
2017-11-03 17:29:17
AEDの使い方や胸骨圧迫は、実習しておかないととてもできると思えません。普通の人より医学的知識があるであろう獣医さん達ですから、万一のときに役立つことがあれば、と思いました。
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