20年前、診療所長が「第三なんとか骨が折れてるんだとよ。どこ撮れば良いんだ?」と言いながら、競馬場から帰ってきた馬の腕節のX線写真を撮っていた。
異常はなくて、「第三なんとか骨は球節だとよ」と言いながら球節を撮りなおしに行っていた。
第三なんとか骨には、第三頚椎(くび)、第三手根骨(腕節)、第三中手・中足骨(管骨)、第三指・趾骨(蹄骨)、第三肋骨、第三胸椎、第三腰椎、第三・・・・
20年前はのんびりしていたなと思い出した。
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競走馬は第三中手骨を球節の外側関節面から縦に割ってしまうことがある。ひびだけで済んでいることが多いが、完全に割れてしまうと球節の中の関節面がずれることがあり、それを整復してから固定する必要がある。
この症例は 関節面が開いていたが、大きくはずれていなかったので(左;矢印が骨折線)、そのまま球節を内外から骨鉗子で圧迫し、骨折線がさらに閉じたのを確認し、近位側からスクリュー固定を始めた(右;矢印が骨折線)。
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骨折してから日数が経っていたので、スクリューをかなり締めても近位よりの骨折線は閉じなかった。
こういう症例でも、関節面さえずれがなければ、骨折線や関節を開いて間を鋭匙でひっかいて・・などとはしない方が良いと考えている。
皮膚を切るのは、スクリューを入れるための4ヶ所と、関節鏡を入れるための孔だけだ。
皮膚を長く切らない、骨膜を剥がさない、関節を開かない。など、外科侵襲を小さくすることは早く、楽に治癒させるために大事なことだ。
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う~ん・・・
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右は手術後キャストを巻いた状態で、覚醒し起立したところ。
第三中手骨と第一指骨が直線状になるようにし、蹄底にはヒールブロックを付けた。
対側肢の蹄尖部は短く切っておいた。負重性の蹄葉炎を予防するために。
発症から数日経っていたが、対側肢に蹄の熱感や指動脈の拍動はない。
しかし、飼料は草だけにして蹄葉炎には注意してもらうよう指示した。
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