今日は、
下顎が腫れた当歳馬の検査。
腫れた部分に熱感はない。圧痛はある。抑えると圧痕がつく。
全身の発熱はない。
X線撮影や超音波ではっきりした所見はない。
何による腫れか難しい・・・・炎症?腫瘍?浮腫?リンパ節?唾液腺?・・・・
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続いて気管の中にできた腫瘍を摘出したい繁殖雌馬。
しかし、気管胸部でアプローチが難しい。
パイオプシーでは線維肉腫が疑われる。
Laserで切除しようとするとかなり出血する。
さて、どうする・・・・・
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馬は腫瘍性疾患がすくない動物だとされている。
しかし、本当にどうかはわからない。
皮膚にできるSarcoidはよくあるし、
葦毛馬にはmelanomaがつきものだ。
若い馬のリンパ腫も珍しくはない。
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ここ数年、仕事関係での知り合いにずいぶん腫瘍性疾患が多い。
高齢になっていれば仕方がないことでもあるのかもしれないが、私と同世代の人も多い。
人の衛生環境は良くなり、とくに日本ではひどい感染症はほとんど克服されていて、健康上問題になるのは生活習慣病と、あとは腫瘍性疾患くらいのものなのかもしれない。
しかし、あまりに「また?」「あの人も?」「まだ若いのに」と聞くと、すこしでも予防できないものかと思う。
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発がん性物質はできるだけ採らない方が良い。
タバコはもちろんだが、われわれの業界で使われている農薬は大丈夫か?
牧柵の防腐剤として知られているクレオソートは発がん性が言われている。
その原料のコールタールは発がん性物質が癌をつくることを初めて証明する実験に使われた物質だ。
腐りにくい注入木材にもかつては発がん性が知られているヒ素が含まれていた。
規制されるようになったのは2000年代に入ってかららしい。
獣医師はX線撮影の放射線被爆にも気をつけた方が良いだろう。
そして、腫瘍も免疫機能で抑えられているので、体調に気をつけ、あまり無理をしないことが大切かもしれない。