数年前から私もやっているし、このブログでも以前に書いたこともある。
その手技の効果をパデュー大学のグループが評価して報告している。
こちらの方が後発なので、Dr.Hoganらの発表と実践を検証する意図があるのだろうと思う。
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Evaluation of the effects of transendoscopic diode laser palatoplasty in clinical, histologic,
magnetic resonance imaging, and biomechanical findings in horses.
馬のヴィデオスコープを通したダイオードレーザーによる口蓋形成術の効果の臨床的、組織学的、MRI、生体力学的評価
Am J Vet Res 2010 May;71(5):575-82.
目的:
馬における軟口蓋のダイオードレーザーによる口蓋形成術の効果を明らかにすること。
動物:
6頭の正常な馬と6頭の他の研究により安楽死した馬。
方法:
6頭はダイオードレーザーによる口蓋形成を行った(処置馬);3頭は低出力のレーザー処置(1,209J[ジュール]から1,224J)、3頭は高出力のレーザー処置を行った(2,302Jから2,420J)。
残る6頭は処置しなかった(対照馬)。
すべての処置馬の上部気道は手術後すぐに(0日)と2,7,14,21,30,45日に検査した。
馬は45日に安楽殺され、頭部のMRIを行った。
処置馬と対照馬から軟口蓋を切除し、肉眼的に検査し、浮腫、炎症、瘢痕をスコアした。
全馬の軟口蓋は組織学的・生体力学的評価のために切り出した。
成績:
内視鏡的検査では、7日までに処置馬において軟口蓋の瘢痕の明らかな増加と、浮腫と炎症の減弱が認められた。
肉眼的剖検所見はMRI所見と一致した。
肉眼的、組織学的検査は、45日での瘢痕、浮腫、炎症の明らかな増加を示した。
高出力での処置馬の口蓋組織の組織学的評価では、筋線維の萎縮を伴う骨格筋の全層の損傷が判明し、低出力で処置した馬の所見は骨格筋への表面的損傷が示唆された。
術後は、処置馬は、対照馬に比較して明らかな軟口蓋の弾性率の減弱を示した。
結論と臨床的関連:
レーザーによる口蓋形成術は軟口蓋の線維組織形成と骨格筋損耗を起こす。しかしながら、線維組織形成は軟口蓋の弾性率の増加にはつながらない。
DDSPを起こす馬の軟口蓋は、気道が陰圧になると大きく持ち上がる。
そこで、軟口蓋を硬くしたり、縫い縮めたりする手技が報告されてきた。
レーザーによる焼烙もそのひとつだ。
内視鏡で観ながら軟口蓋を焼烙していると、焼烙したところが収縮していくのが如実にわかる。
軟口蓋のどの部位を、どのくらいの強さで焼烙するべきかはまだ定説がないように思う。
今回のパデューからのリポートは、焼烙によるダメージ(変化)を客観的にとらえようとしたものだが、
DDSPへの効果の臨床的評価と併せながら、この治療方法が評価されていかなければならないだろう。
(病理組織がどうでも、治ればいいんだから・・・・・・・・笑)
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12月2日にDr.Richardson先生が静内ウェリントンで午後6時から馬の骨折について講演してくれます。
この講演は獣医師以外の方にも聴いていただきたいと思っています。
(手違いで申し込んでいただくよう案内がでていますが)
参加申し込みは不要です。
今、馬の骨折がどこまで治せるかという話が聴けると思います。
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13日午後北海道大学で馬の臨床について話します。
いまだに馬の骨折や障害がどれほど治せないか話そうと思います(笑)。