The Dog Who wouldn't be
ファーレイ・モウワットによる少年記。
1930年代のカナダ・サスカチワン州サスカトゥーンへ引っ越した家族の、一匹の犬との生活が描かれている。
登場するマットという犬は、決して駄犬ではなく、それどころかとても優秀な猟犬だった。
それだけでなく塀の上を歩いたり、独立心が強かったりで、個性的な犬だった。
作者の父親がまた変わった人だったようで、鳥撃ち猟を愛し、船と航海を愛し、言語にこだわる図書館司書だった。
そのころのサスカチワン州サスカトゥーンの様子も私には興味深かった。
-
マットとの別れを描いた最終章だけが文章も内容も他の章とは趣きが異なっている。
そして、それは愛犬を亡くしたことが作者にとっていかに大きなことだったかを示している。
「わたしとマットの固い契りは永遠に終わり、
マットをなくしたわたしはただ一人で、
だんだん暗くなる、
その後の歳月のトンネルにはいっていったのだった。」
愛するものを失ったら、時が経っても立ち直ったりしない。
辛さは薄らいでも、もとの、あの頃の自分には戻らない。のだ、たぶん。
---
作者のファーレイ・モウワットは、あの「オオカミよ、なげくな」の作者でもある。
「あの」と言っても知っている人は少ないだろう。
本ももう絶版になっている。
この本は映画化もされた。
観たかったが、まだ観れないでいる。
-
延々と、わたしの中では、アムンゼンまで続く志向なのだ。
////////
ゆうべは難産で起こされた。
1月末分娩予定だったが、2週間早く分娩が始まってしまった。
早期胎盤剥離で、最初から子馬は死んでいたようだった。
枠場でやってみたが直せないので、全身麻酔して後肢をひっぱり挙げて、両腕節が屈曲していたのを整復して引っ張り出した。
と言っても私は麻酔を担当し、産道には手を入れていない。
-
そろそろ難産の季節なのかもしれない。
まだ厳寒期だが、夜明けは早くなり、日暮れは遅くなったのを感じる。
「犬になりたくなかった犬」の最終章には北国の冬の陰鬱さとそれが終わった春の泥濘が描かれている。
そして不慮の事故によるマットとの別れ。
-
さて、まだ時間に余裕がある季節のうちに、Foal in Mare を観て正常な分娩と異常分娩への対応を勉強してはどうでしょう?