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馬医者残日録

サラブレッド生産地の元大動物獣医師の日々

Farley Mowat 犬になりたくなかった犬

2014-01-15 | ワンコ修行

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犬になりたくなかった犬

The Dog Who wouldn't be

ファーレイ・モウワットによる少年記。

1930年代のカナダ・サスカチワン州サスカトゥーンへ引っ越した家族の、一匹の犬との生活が描かれている。

登場するマットという犬は、決して駄犬ではなく、それどころかとても優秀な猟犬だった。

それだけでなく塀の上を歩いたり、独立心が強かったりで、個性的な犬だった。

作者の父親がまた変わった人だったようで、鳥撃ち猟を愛し、船と航海を愛し、言語にこだわる図書館司書だった。

そのころのサスカチワン州サスカトゥーンの様子も私には興味深かった。

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マットとの別れを描いた最終章だけが文章も内容も他の章とは趣きが異なっている。

そして、それは愛犬を亡くしたことが作者にとっていかに大きなことだったかを示している。

わたしとマットの固い契りは永遠に終わり、

マットをなくしたわたしはただ一人で、

だんだん暗くなる、

その後の歳月のトンネルにはいっていったのだった。」

愛するものを失ったら、時が経っても立ち直ったりしない。

辛さは薄らいでも、もとの、あの頃の自分には戻らない。のだ、たぶん。

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Photo_3
作者のファーレイ・モウワットは、あの「オオカミよ、なげくな」の作者でもある。

「あの」と言っても知っている人は少ないだろう。

本ももう絶版になっている。

この本は映画化もされた。

観たかったが、まだ観れないでいる。

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延々と、わたしの中では、アムンゼンまで続く志向なのだ。

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ゆうべは難産で起こされた。

1月末分娩予定だったが、2週間早く分娩が始まってしまった。

早期胎盤剥離で、最初から子馬は死んでいたようだった。

枠場でやってみたが直せないので、全身麻酔して後肢をひっぱり挙げて、両腕節が屈曲していたのを整復して引っ張り出した。

と言っても私は麻酔を担当し、産道には手を入れていない。

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そろそろ難産の季節なのかもしれない。

まだ厳寒期だが、夜明けは早くなり、日暮れは遅くなったのを感じる。

「犬になりたくなかった犬」の最終章には北国の冬の陰鬱さとそれが終わった春の泥濘が描かれている。

そして不慮の事故によるマットとの別れ。

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さて、まだ時間に余裕がある季節のうちに、Foal in Mare を観て正常な分娩と異常分娩への対応を勉強してはどうでしょう?

YouTube: FOALinMARE extended trailer


植村さんとイヌ

2014-01-14 | ワンコ修行

Photoこれは山岳部員時代に読んだ植村直己本。

けっして優秀な山岳部員ではなかった植村直己さんが、どのように海外での登山までするようになったのかが書かれている。

登山に興味がない人でも、一人の若者の記録として面白く読めると思う。

文章もとても上手で読みやすいし、

植村さんの人柄が行動に表れているように思う。

不器用だけど、一生懸命で、人にも自分にもとても誠実。

登山の記録より、荷物の超過料金を取られないように空港でめいっぱい服を着込んだり、スキーなどできないのに「できる」と言ってアルプスのスキースクールで雇ってもらって頑張って働いたり。

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エベレストが登られてしまったあとの世界の登山は、難しい岩壁を攀じ登ることや、ヒマラヤ奥地の未踏峰を探すことや、あるいは一人で冬に登るとか、さらには無酸素で8000m峰に登るとかを課題にしていく。

植村直己さんはかわっていて、北極圏へ行って、エスキモーに犬ぞりの技術を習い、水平長距離の冒険を企てる。

それはいずれ南極大陸の最高峰に上りたいという目的もあったようだが、

グリーンランドを単独で横断することもたいへんな冒険だった。

この「極北に駆ける」はその準備編なのだが、本としてはこちらの方が面白い。

冒険紀行そのものではなく、エスキモーと生活し、犬ぞりについて学んでいく過程が描かれているからだと思う。

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こちらはその北極圏の冒険の本編。12

書評をみると、イヌを犠牲にしているとか、イヌが可哀そうとかで評判はあまりよろしくない。

が、それは価値判断の基準がずれている。

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さて、アムンゼンから辿って長くなった。

しかし、読んだ本は意識しなくても私の志向と嗜好と思考と試行の基礎になっているように思う。

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昨夜は0:02に起こされた。

妊娠後期の馬の空腸近位腸間膜ヘルニア。

3人がかりで腸間膜の孔は完全に閉じた。

White先生との検討会でも出ていた課題だった。

White先生は「縫えないなら大きくしておく」と述べておられた。

私は、妊娠末期の馬でないなら縫えると思っている。

ただし、助手が2人必要で、結腸を切開して空にしなければならない。

そして、3時間を超える重労働になる。

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今日は、明け1歳馬の飛節OCDの関節鏡手術。

右後肢の距骨外側滑車の大きな離断骨片だったので、例のずるいうまい方法で。

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高みをめざすのは

本能だよね。


ヒトが動物を飼い始めた起源 イヌとネコ

2013-11-26 | ワンコ修行

ヒトはいつから動物を飼い始めたのか?

どういう動物を、いつ頃から、どのように飼い始めたのか?

そのことはヒトと家畜のつながりの本質の一面を教えてくれるように思う。

今でこそ、コンパニオンアニマル(伴侶動物)とフードアニマル(食用動物)とか、小動物と産業動物とか区別されたりするが、

ヒトが動物と暮らしてきた歴史は?

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が、どうもよくわかっていないらしい;笑。

そりゃ、数千年とか、1万年とか前の話で、記録は残っているはずも無いので、遺跡や化石から想像するしかない。

有名なラスコーの洞窟の壁画は、ウシやウマやシカが描かれているが、猟の様子であって、家畜化していたわけではないらしい。

それは旧石器時代で1万5000千年ほど前。

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しかし、そのような古い遺跡は他には見つかっていない。

遺跡や化石以外の考察材料は遺伝子解析で、現在の家畜を含めた動物の遺伝子を調べて、類縁から派生を想像していくとどの地域から広がったか推測できるらしい。

これはあてにならないか、あるいは膨大な調査がまだまだ必要なようだ。

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イヌがもっとも古くにヒトと暮らし始めた動物なのは定説になっているようだ。

1万5-6000年前に東アジアでイヌが家畜化されたのではないか ということらしい。

が、イヌがヒトと暮らし始めた時期と地域は諸説あるらしい。

1万9000年から3万2000年の間にヨーロッパでハイイロオオカミが家畜化されたのが始まりという新しい説も発表されている。

3万3000年前のイヌの化石をロシアで見つけたという報告もあり、こうなるとよくわかっていないと思っていたほうが良いようだ。

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コンラート・ローレンツ博士でも「人、イヌにあう」を書いた頃には、イヌはオオカミから来た系統とジャッカルから来た系統がある。としている。

ローレンツ博士もあとになって考えを訂正したそうだし、現在では遺伝子解析でイヌがオオカミから派生したことが確認されている。

ローレンツ博士も書いているように、採取狩猟生活をしている人間にとって、周りをうろつき始めた好奇心旺盛で攻撃性が少ないオオカミに残飯を与えて手なずけることは、他の野生動物から野営地を守るために役立ち、あるいは獲物を追跡するにも役立ったのかもしれない。

オオカミの一部がイヌとしてヒトに飼われるようになったのは、デンプンを消化できるようになったからだという説も、オオカミとイヌの遺伝子の異なりから唱えられている。

もっとも、狩に役立てたり番犬として使うだけではなく、イヌを食べることもあったようだ。

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古代人がイヌを食べていたことは、もっと年代が新しい遺跡からばらばらになったイヌの骨が見つかることでわかるそうだ。

埋葬したのなら骨格は崩れず、丸ごとイヌの体が見つかるはずで、イヌの骨が貝塚からばらばらに見つかるのなら、それはやはりイヌを食べたのだろう。

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こうやって、太古の歴史を知ることで見えてくることもある。

イヌはオオカミだから純粋に肉食で、炭水化物を与えるのは望ましくない。というのも正しくないようだし、

イヌは昔からヒトの友達で本来の伴侶動物だ。というのもどうかと思うし、

イヌを食べる習慣や文化を一概に非難したり軽蔑するのも間違いかもしれない。

だからって、イヌを動物性蛋白抜きで育てられるとは思えないし、これからもイヌ食文化が続いていくべきだとは思わないけどね。

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採集狩猟生活の頃からヒトに近づいたイヌと違って、ネコは農耕が始まってから飼いならされたらしい。

ヒトが決まった場所に定着し、穀類を貯蔵するようになると、忍び込んでくるネズミが大敵で、ネコを飼うようになったのだろうということだ。

9500年前の遺跡からネコの飼育の跡が見つかっているということだから、かなり古い印象を受ける。

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Pb245351スタンレー・コレン先生が「犬語の話し方」で紹介している研究結果なのだが、

犬種の中で、幼体成熟傾向を強く示しているスパニエルやテリアは、オオカミと共通する行動言語(ボディーランゲージ)をあまり使わず、

幼体成熟傾向をあまり示していない犬種の方が、優位性や服従性を示すための行動言語を使ったそうだ。

ゴールデンレトリーバーは研究対象とした15種の中で、シベリアンハスキーに次いで2番目にオオカミと共通するボディランゲージを使った。

続いて、ジャーマンシェパード、ラブラドール・レトリーバー。

垂れ耳なんだけどネ~


川修行

2013-07-17 | ワンコ修行

きょうは、1歳馬の飛節OCDの関節鏡手術。

当歳馬の肢軸異常を手術後の経過観察。

午後は、血液検査業務をこなして、

当歳馬の肢軸異常のスクリュー抜去手術。

1歳馬の臍ヘルニアの手術。

繁殖雌馬の胸部の大きな腫瘤の再診。

当歳馬の肢軸異常のスクリュー抜去手術。

きょうは涼しくて、肌寒いくらいだった。

例年このレポジトリーの頃にはアブが発生していて気になるのだが、今年はとても少ない。

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P7154626 休みの日、相棒と川へ修行に行って来た。

カヌーをスタート地点において、ゴール予想地点まで車で戻り、

そこからスタート地点までサイクリング。

もっともそれは人だけで相棒はひたすら走る。

これは1回目の休憩の図。

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P7154628 そのうち勝手に草むらに入って休憩するようになった。

水を飲ませて、体にも水をかけてやるが、ブルブルして水気を切ってしまう。

濡れてた方が涼しいんだけどな~

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P7154630 この川は日本一の清流の支流。

地域の水道の水源にもなっている。

以前から砂防ダムがある。

あまり役にたっているとは思えないのだが、その砂防ダムは改修工事中だった。

これもアベノミクスかね。

体を水に漬けて涼む相棒。

ついでに用足しをしているように見えるのは気のせいです;笑。

                         -P7154633

このところ各地で水の事故が起きている。

水辺へ遊びに行くときはPFD Personal Floating Device を!

救命胴衣。というと事故のときの救命だけが目的になってしまうが、PFDを着けていると水に浮けるので遊ぶこと自体を面白くできる。

ワンコだってPFD.

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P7154637 水はチョーきれい。

おまけに泳いでも冷たくも寒くもない。

シュノーケルも着けてみたが、魚の姿は見えなかった。

釣り人が多すぎるのだ。

P7154638       -

相棒はまだ好んで泳ぐというわけではない。

カヌーにおいていかれそうになったり、おもちゃを投げられたり、

父ちゃんが泳いでいると恐々泳ぐだけ。

特訓するスイミングプールが欲しいね。

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水はきれいだったが、川下りには水量が不足でずいぶんカヌーを引張って歩かされた。

P7154640 おかげで腕も肩も背中も腹筋も足腰もヘロヘロ。

泳いで遊んでいた時間も含めて8kmほどを4時間の川下りだった。

頑張ったイイ子にはとくべつご褒美!

ソフトクリーム初体験。

P7154641 なんじゃコリャ?

食べれるのか?

ペロッ

そのあとはスプーンごとかじって放しませんでした;笑。

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抜け毛の季節

2013-03-14 | ワンコ修行

P3133911冬毛が抜けるこの季節。

馬も犬も、被毛のお手入れが必要だろう。

こちらは馬用。

さすがにデカイね。

大型犬なら馬用を使うのも良いかもしれない;笑。

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P3133909 右は標準的なワンコ用ブラシ。

毛のブラシと、針金のブラシが裏表になっている。

クラシックだけれど、基本性能は素晴らしい。

抜け毛はとてもよく取れる。

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P3133906 こちらはゴムの突起が歯になっているブラシ。

子犬のむく毛のときはよく取れたような気がする。

長いしっかりした毛はそれほど取れない。

ブラシについた毛は取り易い。

このタイプはブラシの面積や突起の大きさなどもいろいろあるようなので試してみると良いかもしれない。

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P3133908 今のところ、まったくの期待はずれはこれ。

マッチ棒状の頭がついた細い針金のブラシが広く並んでいる。

でもあまり抜け毛は取れない。

針金が細くて柔らかすぎるのかもしれない。

ブラシに着いた毛をはずすための仕掛けもあるのだが、

肝心な毛があまり取れないと、ね~

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P3133907 こちらは毛玉ほどき用。

毛玉に引っ掛けて、ほぐしてください。ということらしいが・・・

残念ながらゴールデンの内股にできた毛玉は解けそうにない;笑。

もうすこし暖かくなったら、切るしかなさそうだ。

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P3133905_2 画期的なのはファーミネーター(右)。

バリカンの片歯のような櫛。

抜け毛を90%取るという謳い文句だが、

抜け毛だけじゃなくて毛をすき刈っている感じ。

どんどん使うとたぶん毛の量はかなり減るだろう。

バリカンの歯の様なので、使っていると「切れ味」が落ちるんじゃないかと思うがこれはもっと使ってみないとわからない。

毛の量を減らしたいときには良いかもしれない。

これは6月になってサマーカットしたいときに重宝するかも。

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  このところ毎日ブラシをかけている。

でないと、その抜け毛・・・・凄まじい・・・・

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