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馬医者残日録

サラブレッド生産地の元大動物獣医師の日々

相棒の急変

2022-01-13 | ワンコ修行

私が休みの日、昼前から元気がなく、食欲もなくなった。

小動物病院を予約したが、混んでいるようで夕方、合間に診てくれることになった。

結果・・・・超音波検査で、腹腔内出血を起こしていて、脾臓に塊があるのも見つかった。

その夜、緊急で開腹手術してもらうことになった。

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脾臓に3cmの塊ができていて、そこから出血していたそうだ。

脾臓には他にも5mmの塊が2つほど。

肝臓には、同じ性質のものかどうかわからないが小さい塊があった、とのこと。

夜11時に手術が終わり、夜中1時頃に意識が戻ったそうだ。

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翌朝、会いに行った。

座っていたが、私の顔を見て立ち上がった。

腹腔内には800mlほど出血していて、危ない量だったそうだ。

その血液を静脈へ戻す処置をした。

                 -

2/3の法則、というのがあるらしい。

犬の脾臓腫瘍の2/3が悪性腫瘍で、その2/3が血管肉腫。

現実には効果的な治療法がない腫瘍なのだろう。

病理組織検査してもらうが、結果が出るのはあとになる。

入院前、元気を取り戻していた。

昼に食べなかったフードも、病院へ来る前に完食してきていた。

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4月には10歳になる。

神様からの贈り物と言われる時間を過ごせると思っていたのだけれど・・・ 

                -

輸血体制が整っているのは大学病院なのだそうだ。

しかし、大学病院への受診を待っていたら、夜中に死んでいただろう。

夜間に開腹手術してくれた先生に感謝したい。

 

 


犬の年齢をヒトに換算する新しい方法

2021-12-05 | ワンコ修行

年齢は健康にも、精神的成熟にも影響をあたえる。

それで、動物の年齢がヒトで何歳に相当するか、よく考えられる。

単純には7をかける。

つまり、1歳はヒトの7歳。5歳はヒトの35歳、10歳はヒトの70歳。

ゴールデンレトリーバーの飼主である私の印象でいうと、それほど違和感はない。

1歳まではガキンチョ。2歳までは子供。3歳で若者。4歳で大人。7歳くらいから衰えが見え、9歳はだいぶくたびれている;笑

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もうちょっと正確に。とか、近年は小型犬が多く、小型犬は長生きするので、だろう。考えられているのは

小型犬・中型犬は

24+(年齢-2)×4

大型犬は

12+(年齢-1)×7

とされている。

・小型犬の方が老化が遅い。

・3歳くらいまでは大型犬の方が成熟が遅い。

しかし、大型犬でも15歳前後まで生きる個体もいる。

たしかにヒトでも100歳がいっぱい居る時代だけど。

                 -

カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究でDNAのメチル化をもとに年齢を考える方法が考案された。

詳細はなかなか難しいが、実際にはこうだ

この研究に使われたのはほとんどラブラドール・レトリーヴァーだったらしい。

馬、サラブレッドについても研究してもらえないかと思う。

                 -

しかし、そもそもヒトはかつてと同じように成長し、かつてと同じように老化しているか?

平安時代の日本人は40歳くらいで死んでいたらしい。

織田信長は人生五十年と舞ってから殺された。

厚労省の統計を見ても、昭和20年ころ、男の平均寿命は50過ぎ。

女性との差が3歳しかないから、戦死は含まれていないのだろう。

                ー

動物の年齢をヒトに換算しようとすると、

成長や老化とは何か?

寿命とは何か?

なぜヒトもイヌも長生きするようになったのか?

という根源的な問題に突き当たるように思う。

                /////////////

二人出勤の土曜日。

午前中、肢軸異常の当歳のsingle screw 手術。左右。

トリプルドリップ麻酔で。

昼、血液検査業務。

午後、当歳馬の腰痿のX線撮影。

つづいて、1歳馬の屈腱鞘鏡手術。

            

 

 

 

 

 


compensatory lameness 代償性跛行

2019-09-15 | ワンコ修行

8月9日から左後ろを跛行している相棒。

突然だったし、その後は少しずつ良くなりつつあるので、股関節をひねったのだと思うが、

もともと股関節形成不全があったかもしれない。

子犬の頃からお尻をふりふり歩いている。

明らかに左後ろの跛行なのだが、歩いていると点頭運動もある。

馬の速歩だと、左後ろの跛行だと見かけ上の左前の跛行が起こることが多い。

それはcompensatory lameness 代償性跛行と呼ばれる。

            ー

左後ろが痛いと、左後ろを免重するために同時に着地する右前の荷重が増える。

それで、左前の跛行に見える点頭運動が起こるのだ。

しかし、うちの相棒は・・・・・

散歩で歩いているとき、側対歩。

それで、左後ろをかばうために左前の荷重を増やすために右前の跛行に見える。

できるだけ走らせないようにしているが、走ると、もう跛行はわからないくらいになった。

跛行診断は難しいね。

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これ食べられるだろうか?

 


安静が大事

2016-11-11 | ワンコ修行

土曜日に捻挫して、日曜日までは負重不能。

月曜あたりから肢をつけるようになって、水曜にはもう散歩に行っても痛みも見せないし、大丈夫だなと思っていた。

今朝はこの冬一番の冷え込み。氷の上でゴロゴロ。

                    -

しかし、まだ右の足根下腿関節は腫れていたし、熱感もわずかにあった。

今朝、シカを見て追いかけたがるので放してやった。

すごいスピードで走っていった。すぐあきらめて戻ってきたのは本調子ではなかったのかも。

それでも、こんだけ走れるならフリスビーして遊んでもイイナと、遊んでやった。

何せ元気が余っている感じだった。

そしたら、昼には肢を痛がって、少し浮かせていた。

捻挫して靭帯損傷しているのだろうし、まだ関節液が増えているように触るのは関節内に出血もしていたのだろう。

やっぱり安静にしていないとダメだね。

いつも牧場にはそう言ってるのに・・・・・・畜主側の気持ちと、安静の大切さを理解した今日でした。

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今日は、当歳馬の種子骨炎の関節鏡手術。

まだ原因もわかっていない難しい嫌な病気だ。

午後は、当歳馬の創傷性角膜炎の検査と結膜下チューブ留置。


飛節軟腫 ワンコの

2016-11-07 | ワンコ修行

今年は急に寒くなったし、相棒は皮膚炎の影響か冬毛の伸びが悪いような気がする。

そんなこともあり、夜は玄関フードに入れてやることが多い晩秋だった。

毛布をかけてやったりはしません。

この写真はいたずら。

雨の土曜日の朝、外へ出したら急いで戻ってきて、玄関の段差を上りそこねたのか戸にぶつかった。

左後肢をぶつけたと思ったのに、そのあとから右後肢を着けなくなった。

しばらく様子を観たが、痛くて肢を着けない。

触ると痛がる。

異常可動はなさそうだが・・・・

Dyson先生の8段階グレードで言うと、7/8かな。

まったく負重できないが、身動きできないわけではない。

X線撮影してもらった。

うわっ!中足骨が何本もあるよ。が、馬のじゅういさんの見立て。

真面目にしげしげと見ても骨折はしていないようだ。

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翌日曜日は若い獣医さんたちを集めてのX線撮影の研修会。

借りた実習馬で50回近くのX線撮影をした。

相棒は夕方は少し痛みがひいたようだった。

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今朝のようす。

右の下腿足根関節が腫れている。

たぶん濡れた玄関の段差を上り損ねて捻挫したのだ。

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まだひどい跛行なのだが、動き出すと痛みを忘れるらしい。

散歩に連れ出すまでもなく、リードもつけずに逃げ出した。

やれやれ、きのうキャストを巻いたりしなくて良かった。

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小動物外科の教科書のコピーをもらった。

イヌの足根関節も靭帯損傷や脱臼・亜脱臼がけっこうあるらしい。

靭帯再建手術や関節鏡手術や関節固定手術が載っている。

獣医学って進んでるのね・・・・・