10月に入って、世間は消費税10%で騒がしい。
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この3日間、他の地域のNOSAIから馬臨床高度化研修の獣医師が4名見えている。
初日は2歳競走馬の喉頭片麻痺のTieback&Cordectomy 喉頭形成・声帯切除手術を観ていただいて、
そのあと、馬の麻酔の講義。
馬の診療をするなら全身麻酔できるようにしておかないと、外傷縫合や臍ヘルニアにも対応できない。
午後は1歳馬の臍ヘルニア。
プロポフォールを用いたTIVA 全静脈麻酔。
プロポの呼吸抑制が強く出て、気管挿管とデマンドバルブが必要になるところも観ていただけた。
覚醒が良好なところも。
そのあと、準急患で1歳馬の下顎骨折。
蹴られたのだろう。
下顎がずれてしまっている。
餌は食べられない。
水も飲んでいないのだろう。便もコロコロだった。
乳を飲んでいる子馬とちがって、草を食べなければならない育成馬や成馬は下顎が完全に割れて食べられなくなると痩せ衰えてしまう。
骨癒合が早ければ良いが、ずれてグラグラしているようだとなかなか骨癒合せず、口の中からも感染が進んで化膿する。
だから、固定して、骨折線をできるだけ閉じて感染の重篤化を抑え、骨癒合を進めて早く食べられるようにしてやった方が良い。

整復してDCPを当てて固定し、さらに骨折線の両側の臼歯をワイヤーで締結した。

牛や重種馬では、このような下顎骨折はまず起こらないのかもしれないが、プレート固定の適応が肢の骨折だけではないことを観ていただけた。
そのあいだに、肢軸異常の左右球節にscrewを入れていた当歳馬からのscrew抜去。
サラブレッドの当歳馬でも立位で鎮静と局所麻酔でscrew抜去できることを・・・・併行していたので観ていただく暇はなかった;笑
馬の生産地では二次診療のニーズが充分あり、多様な事故に対応していることを観ていただけたと思う。
洗浄・消毒、切開・縫合、麻酔・覚醒起立、といったわれわれにはルーティンワークも、牛地帯とはかなりやり方が異なっていると思う。
その差を観て、地元で生かせることは採用して普及させていただければ、このような研修も意義があるのかな、と思う。
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うちの会社や地元の馬獣医師は観ておかなくて良いのか?;笑