goo blog サービス終了のお知らせ 

馬医者残日録

サラブレッド生産地の元大動物獣医師の日々

Dr.Scott Morrison症例検討会

2009-02-05 | 講習会

P2040352 今日午後からは、きのうに続いて蹄病の勉強会。

今日はDr.Scott Morrisonを囲んで症例検討会だった。

1時から6時までたいへん密度の濃いディスカッションを聞くことができた。

きのうから聴いていて安心したのは、まったく知らない話はほとんどなかったということ。P2040354

しかし、症例の多さ、手法の豊富さはかなわない。

解説抜きでは理解できない部分があったのかもしれないが、JRA桑野先生や青木先生の解説を加えてもらい、考え方も理解することができた。

                         -

 その後は場所を移してディスカッションの続き。

Dr.にも通訳の方にも申し訳ないような気がしたが、質問攻めにしてしまった。

・蹄葉炎の深指屈腱切断術で、支持靭帯だけ、あるいは支持靭帯を残して深屈腱だけ切ることもやってみたが良いかもしれない。

・蹄底に板を当てる方法も使っている。キャストをした対側肢や、蹄葉炎の管理に。サラブレッドは蹄壁が薄く、ネジ止めしにくいので、接着を併用することが多い。

・フーフキャストをするときはアンダーラップをしない。ギプスカッターは使えないので、ヤスリで削り落とすか、数箇所切れ目を入れて剥がす。

・フーフキャストは蹄骨骨折、シンカー蹄葉炎でも用いる。シンカーの時は底をドーム状にして反回を楽にする。どうしてシンカーにフーフキャストが有効なのかはわからない。

・骨折肢の対側肢の蹄葉炎予防は、ウェッジを入れる。あるいは蹄底にサポートを入れる。

・蹄葉炎にはハートバー、ヒールプレート、クッションサポートを使い分ける。

・脱蹄しても治った症例が4頭いる。全部前肢。1年近くで蹄が生える。仔馬ならもっと速い。屈腱の拘縮が起こるので、切腱術が必要になることが多い。

・白線病による感染には抗生物質投与はしない。白線を掘って排膿する。小さな穴で済まないときは、使い古しの輸液バッグにブランマッシュとエプソムソルトを一握りずつ入れて、お湯を入れて、蹄をその中に付けて一晩おく。膿瘍が破裂して治る!

・良い蹄叉をしているのが良い競走馬の蹄だという認識はあるか?

 速い競走馬ほど、ひどい蹄をしているもんだ(笑)。

                         -

 競技馬や競走馬で、装蹄と運動を続けなければいけない馬はいろいろな障害を治しにくいが、運動を休んではだしにできる馬では、治し易い障害が多い。と考えていることも印象に残った。

育成馬も可能ならはだしで調教を進めたほうが良いと言っていた。

                         -

 たいへん興味深い話がいっぱい聴けた。

こうして勉強させてもらえるのはたいへんありがたいことだ。


強い馬づくりのための生産育成技術講座

2008-12-17 | 講習会

Pc170329 今晩は、JRA日高育成牧場による「強い馬づくりのための生産育成技術講座」

4人の獣医師先生が、

繁殖について早期胚死滅を中心とした成績、

仔馬の肢勢についての調査成績、

栄養管理指導者養成の内容と成績、

ブリーズアップセールでのレポジトリーについての成績、

を紹介してくれた。

どの講演も日高での調査・研究成績を解説したものであり、生産者向けの講座だったが、獣医師にとってもたいへん勉強になった。

 いくつも聞きたいことや議論したいことがあったのだが、生産者向けの講座だし、時間のこともあるのでチョッと遠慮した(笑)。

                                -

 教科書や海外の文献を探しても、今晩聴いたような細かいデータはない。

そして、違う条件や環境での成績より自分達の地域の成績こそが貴重で参考になる。

                                -

Pc170326 Pc170328ごちそうさま!!

                                


バイオメカニクス講習会

2008-03-13 | 講習会

Photo きょうは青木先生による獣医師向けのバイオメカニクス講習会。

90名ほどの獣医師、装蹄師、馬関係者、獣医科学生が集まった。

午前中10時から、午後4時過ぎまで、約5時間。

蹄、蹄鉄、走路、重心、力、筋肉、腱、関節、etc. 

じっと立っている馬ではなく、歩いているときから、全力疾走している馬についてまで、動きと力についての解析を講義していただいた。

データを元にした図やグラフを、実際の馬の動きとして理解するのはなかなか難しい。

それでも、すべてが競走馬の動きを理解するためには重要なことばかり。

そして青木先生の話術で、充実した5時間だった。

                             -

 私たちの目の前には、応用問題がつぎつぎ現れる。

クラブフットに、突球に、蹄葉炎に、浅屈腱炎に、肢軸異常に、腱拘縮に、腕節剥離骨折に、アンダーランヒールに、裂蹄に・・・・・・・

それらに対応する上で、きょう聴いた話はきっと役に立つだろう。


ポジティブリスト制度説明会

2007-11-17 | 講習会

Photo きのうは札幌まで行って、ポジティブリスト制度説明会を聞いてきた。

ポジティブリスト制度とは厚生労働省が管轄していて、食の安全のために従来のように検出されてはいけない物質(ネガティブリスト)を定めるだけではなく、考えられる物質の検出されてもよい濃度を定める(ポジティブリスト)方法をいう。

動物用医薬品、消毒薬、殺虫剤などあらゆる物質を適正使用し、それらの記録を家畜飼養者に渡して来なさい。ということになっている。

きのうの説明者は、元東京農工大学薬理学教授小久江先生。

「薬理は臨床です」という先の教授吐山先生の流れを継いでおられ、臨床家にたいへん理解のある先生だ。

小久江先生も、このポジティブリスト制度の難点を指摘しておられた。

農薬も消毒薬もせっけんも動物用医薬品も、安全な畜産物の生産のために使われているので、いたずらに規制すれば良いというものではない。とのこと。まったくだ。

過剰反応しないで欲しい。ともおっしゃっていた。まったくだ。

よく説明する。という基本的なことをしないで、責任逃れのためにただ紙を渡してくるというのでは、紙の無駄になるだけだ。

                               -

 私の患畜の95%はサラブレッドなので、出荷制限がある薬を投与しても、「屠場へださないでね」とは説明していない。

しかし、馬も屠場へ出されることがないとは言えない。

皆さん、覚えておいて下さい。出荷制限がある薬を投与された家畜は、出荷制限期間中は肉にはできません。

家畜商の方も、家畜商に家畜をわたす人も注意する必要があります。

                               -

 今日は1歳馬の跛行診断とX線撮影。

騎乗調教が始まって、疲れや障害が現れてくる時期かもしれない。

夕方から当歳馬の腹腔内膿瘍と繁殖雌馬の盲腸重積の剖検。

Pa280017


肢勢判定のための研修会

2007-11-09 | 講習会

 執刀を替わってもらって、なんとか今週は乗り越えた。関節鏡手術やら、プレートを入れる手術やら、プレートをはずす手術やらあったが、今週はとても執刀できるような状態ではなかった。

水平より上を見るのが辛いのでX線ヴューワーを見てられない。

関節鏡手術のモニターを見てられない。

下を向いての縫合なんてとんでもない。情けなや~。 

                          -

Pb090024 JBBA主催、装蹄師さん達を対象にした肢勢判定の基準作りのための講習会。

不思議といえば不思議だが、conformation 相馬のための統一された方法というものはないらしい。

用語も海外、日本、馬用語、装蹄師さんたちが使う用語、獣医整形外科学用語などでバラバラで統一されていない。

「良いものは良い。好きなものは好き。」では、問題がある肢勢、蹄についても共通の認識でとらえられない。

                             -Pb090023

 私が獣医師の立場で思うのは、獣医師も蹄や肢勢について、興味も、知識も、技術も、意欲も持っていかない と、生産の中で獣医師がやるべきことがポッカリと抜けかねないということだ。

蹄にせよ肢勢にせよX線撮影や投薬や手術が必要だという障害もある。「蹄のことは装蹄師さんに」では済まない。

装蹄師さんたちは装蹄学校で教育を受けてきて、毎日馬の蹄や肢勢をみることを仕事にしている。

しかし、生産地といえども獣医師は相馬も、蹄についても、肢勢についても、馬の整形外科についても、教育や研修を受けたことも無いのが実情だろう。

蹄についての研修には獣医師も巻き込んで、獣医師も巻き込まれていかないといけないのではないか?

                             -

 そして一番だいじなことは、生産者の意識と知識が向上することだろうと思う。

吉田直哉さんも講演で述べていた。

「削蹄師も獣医外科医も、牧場の意向に合わない人は呼びません」と。

                            -

 そして、生産牧場、装蹄師、獣医師の共通の認識ができれば、それは馬を買う人、競走馬を使う人の認識とも一致してほしいものだ。

                            -

Toein 内向肢勢(左)、単純性内向だな(笑;研修会参加者にToeoutはわかる、カナ?)

外向肢勢(右) 、捻転性外向かも?

           -

余談だが日本人はサッカー選手も含めて脛骨が外湾している人が多い。

カズ三浦知良もそのことを言っている。

人種的生物学的先天性事象かとも思っていたが、中国や韓国の選手はそうではないようだ。

結局、正座というのは非常に下肢の成長には悪い習慣なのではないだろうか?

正座をして育った日本人と、例えば海外生活で正座をしないで育った日本人の肢勢のデータなんかはないもんだろうか?