きのうは札幌で会議。
かなりの時間は牛白血病の対策が必要だという提案を北海道獣医師大会ですることについて費やされた。
牛の地方病性、あるいは流行性は牛白血病ウィルス Bovine Leukemia Virus の感染によって起こる。
しかし、このウィルスは人には感染しないし、人にはなんの健康被害も起こさない。
が、白血病は人でもあるし、「白血病」という呼び名が恐ろしげなので、乳製品や牛肉の消費が減る風評被害が起きないか心配する関係者もいる。
一方で牛白血病ウィルスは日本の牛に蔓延しつつあり、感染率、抗体陽性率は増加し続けていると考えられている。
聞くところによれば肉用種で4割、乳用牛で3割が抗体陽性だろうと推測されているそうだ。
牛白血病ウィルスに感染してもすぐ白血病を発症するわけではなく、数年を経て一部の牛が発症する。
だから発症牛を淘汰しているだけではウィルスの蔓延は防げず、今のところ、抗体陽性牛から同居牛が感染するのを防ぐことと、抗体陽性牛のできるだけ速やかな淘汰が望ましい。
しかし、何の補助も支援策もない状況では、抗体検査も、抗体陽性牛の淘汰も、農家の負担で行うしかなく、積極的かつ有効な対策はほとんど取られていないのが現状だ。
だから、対策が必要であることを提案しようということなのだが・・・
今回集まった委員のみなさんからは、国として牛白血病の撲滅・清浄化を目指そう。それが必要なことを訴えようという意見はなかった。
家畜共済制度の中で廃用基準をどうするとか、
公的支援を求めることの是非とか、
農家ごとの対策も必要だとか、
具体的方策についてのあれこれについての意見のやりとりばかりだった。
どうして、イギリスやデンマークができたことを日本ではできないと端からあきらめてしまうのだろう。
国の財政が厳しいとか、畜産の位置づけが低いとか、どういう具体的方策を採るのが有効で、どれだけの経費がかかるとかいうことは獣医師会で考えることではなく、
今は牛白血病対策が必要とされていて、それには国が動くことが必要だ。ということを提言すべきではないかと、委員のひとりとして思ったことであった。
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かつて馬が今よりはるかに頭数が居て、輸送手段としても産業上も大切な存在でもあった時代から馬伝染性貧血(やはりウィルス感染で起こる)は対策として摘発淘汰が法律で行われてきた。
その感染馬の摘発は信頼性に乏しい方法であった時代もありながら、伝染性貧血馬は減少し、ついにほとんど撲滅されるに到っている。
清浄化すれば、摘発の検査も感染防止も大幅に手をゆるめることができる。
完全清浄化でなければ永遠に検査と感染防止対策を取り続けなければならない。
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ついでに言えば、牛の「白血病」は世界的に「白血病」と呼ばれてしまっているが、
本来「白血病」とは「骨髄を主な病変として血液系細胞が異常な増殖をする疾患」とされているので、
このウィルスによってリンパ節が腫瘍塊化する牛ウィルス性白血病は、「白血病」と呼ぶべきではない。
ただ、世界的に「牛白血病 Bovine Leukemia」という病名がいきわたってしまっているので、病名を変更するのは簡単ではないだろう。
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札幌の街なかではJazzフェスティバルが行われていた。
夏の空の下、生で聴く音楽♪は好いものだった。
ゆっくりしてられなかったけど。
change the world
Baby if I could change the world ・・・・・・・