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馬医者残日録

サラブレッド生産地の元大動物獣医師の日々

なごり雪、そして吊起帯を着けての傍正中斜切開からの麻酔覚醒起立

2020-03-03 | 繁殖学・産科学

朝、虚弱新生子馬が来る、という。

しかし、出生して5時間。

起立に介助が必要で、心雑音があっても”異常”とは言えない。

大事なことは、この時間帯なら初乳を充分に飲ませてやること。

歩行にも介助が必要だったが、帰ってもらう。

          ー

午前中、予定の腕節chip fracture の関節鏡手術。

どうやら、骨折していたのに移籍したらしい。

損傷はけっこうひどかった。

          ー

午後、どさくうぉーたー(ドサンコとクウォーターホースのhalf)の去勢。

          ー

そのあと、15歳繁殖雌馬のGTCT 顆粒膜細胞腫の摘出手術。

私たちは、仰臥位で傍正中斜切開で行っている。

15cmほどかな。

研修のG先生大活躍。

しっかり術野を確保し、卵巣を引っ張り出し、確実に結紮止血できる獣医師が2名でやるのが望ましい。

覚醒起立には以前から使っている吊起帯を使った。

この開腹手術方法だと、術後に後肢を運ぶのが痛くて、覚醒起立状態が悪いことが多い。

前日に去勢で使った吊起帯だと、内股部分がもろに術野に当たるので、この吊起帯の方が良いと判断した。

立ち上がったあと、やはり左後肢を運ぶのが痛くて、歩行に支障があった。

切開時と閉腹前に局所麻酔剤を投与したのだが効果は感じられなかった。

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相棒は29、1日は水下痢。

2、3日と泥状便。

食欲はあるが、元気はチョット落ち気味。飲水や排尿は問題ない。

小動物病院を受診してきた。

下痢止めを処方してもらってきた。

なんかヘンなものを拾い食いしたんじゃないだろうか・・・・・・

 

 

 

 


2020帝王切開1頭目

2020-02-08 | 繁殖学・産科学

21時40分、難産の依頼。もう予定日は3週間過ぎていて、分娩が始まったが肩甲部しか触らない、とのこと。

そんななら帝王切開しないといけないかも・・・その気もあります、とのこと。

でも1時間半ほどかかる牧場。

23時来院。

枠場に入れて、手を入れてみるが、異常に曲がった背中に触るだけ。

帝王切開しましょう。

          ー

飛節らしき箇所を術創の方へ引き寄せておいて、子宮を切開したら、羊水が黄土色に濁っている。

胎便をちびったんだな。

羊膜は硬く分厚い。

産科チェーンをかけてホイストを利用して引き出してもらう。

子馬は大きかったが、背中が異常に曲がっていた。

そのせいで産道にまともに入ってこれなかったのだろう。

牧場では子馬は動いていたらしい。

胎盤の異常で胎仔が奇形になったのだろう。

                                    ー

子宮切開前に平滑筋弛緩剤リトドリンを投与してもらったら頻脈になった。

難産介助で平気で使っているが、心臓や全身への作用は気をつけなければならないのかもしれない。

          ー

閉腹終わって0時47分。

1時間半以上経ってもなかなか立ち上がれなかった。

付いてきていたアルゼンチンからの獣医さんに尋ねる。

「あなたの地域ににも馬病院がありますか?」”あるよ”

「もっと大きい?」”同じくらい”

「ときどき帝王切開やる?」”ある”

「アルゼンチンにも専門医制度があるか?」”?”

「25年くらいまえUSAに行ったとき、アルゼンチンから専門医レジデンシーに来ていたよ」

”海外でレジデンシーを終えて専門医になって帰ってきている獣医師が居る”

           ー

うっすら積もった新雪の上をおそるおそる歩かせて、入院厩舎へ。

帰って寝たのは2時50分。

           ー

朝、7時、そろそろ様子を見に行かないと、と思っていたら別な難産の依頼。

3月分娩予定の馬が、今朝流産しかけているが、流・難産になっている、とのこと。

そろそろシーズンインかも。

           ー

今シーズンは今のところ流産も難産も多くはない。

でも少なくもないかも。

雪が少なくて、運動は足りていると思うが・・・・

帝王切開した馬は、両前蹄が痛い馬だった。

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どうぞおてやわらかに

 

 

 


第三度会陰裂傷

2019-12-04 | 繁殖学・産科学

この馬も初産だった。

お産のとき、肛門から子馬が出てこようとしたが、とても押し戻せなかったそうだ。

そのまま、生まれてしまうと膣と肛門がつながってしまう。

便が膣の中に落ちて排泄されるので、膣炎も起こす。

このままでは種付けしても受胎しないし、妊娠も維持できない。

このまま新鮮創にして縫合しようとしても癒合しない。

大事なのは上下に切り分けて、直腸は直腸として、膣は膣として縫合してから、左右の壁を張り合わせることだ。

この切り分けがかんじん。

そして、直腸は糞汁が漏れないように縫っていく。

腸管手術なのだ。

膣壁は頑丈に縫っていく。

産道損傷なのだ。

陰部裂傷などというのものではないのだ。

もうひとつ大切なことは、手術前から手術後数日、絶食し、下剤投与し、直腸が便で広げられないようにすることだ。

絶食と下剤投与をきちんとしないとせっかく縫合しても裂けてしまう。

結局、また可哀そうなことになる。

                                     ー

最近、Veterinary Surgeryに、全身麻酔で行う新たな?方法が報告されているが、画期的な方法だとは思えない。

私は立位で縫えるし、きちんと絶食管理してくれれば治癒しなかったことはない。

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とうちゃん ひどいかぜだな~

 

            

 


結腸捻転と難産が重なって・・・・そしてまた

2019-04-03 | 繁殖学・産科学

第三当番だったので、呼ばれることはないだろうと、安心して寝ていたら難産で起こされた。

結腸捻転の手術中に、難産の依頼も来てしまった、とのこと。

獣医さんの話によると、両前腕節の屈曲を直したが、頭が出せない、とのこと。

来院して枠場で手を入れたが、頭がない。母馬は怒責する。

全身麻酔して後肢を吊り上げることにした。

怒責がなくなったらおでこは容易に触れた。

子馬の上顎にワイヤーをかけて引っ張ってもらいながらおでこを押して、鼻っ面から産道へ入るようにした。

あとは引っ張るだけ。

子馬は死んでいた。

          ー

話を聞くと、お産の最初に頭しか出てこなかったので頭を押し込んだのだそうだ。

頭しか来ていないときは、さらに手を入れて腕節をさがし、腕節を伸ばしてやると当たり前のお産になる。

頭をあまり押し込むと、その頭が直せなくなる。

頭はつかみ所がないので、前肢より直すのがたいへんだ。

          ー

さらにその後、難産が1頭来たらしい。

          ー

翌朝、私に難産の当たりのキラーパスを送った獣医師にタッチしておいた;笑

「一度かかると免疫が出来てかかりません!」とのこと。

それじゃ、別のヤツにうつしてやらないと;笑

          ー

きのう夕方は結腸捻転。

今月、開腹手術が何頭になるか、数えてみるかな。

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わっ、雪だ。

こんなに積もったが、日中にはとけた。

もう日差しの長さと強さがちがうんだね。

 

 


ひどい難産

2019-03-31 | 繁殖学・産科学

今年は難産が多い。

それも特別ひどいのが多いように思う。

例年、1-2頭しか帝王切開しない。

それを去年は8頭もやった。

今年は、すでに7頭。

4月の出産が最も多いので、このペースで行くと10頭を超えるかもしれない。

雪が少なく運動量は多かったのだろうと思う。

しかし、暖冬で胎仔が大きいのだろうか?

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夜中1時。

難産の依頼。

11時半に分娩が始まり、おかしいので獣医さんを呼んで、12時半からやってみたが、

頭頂部から来ていて、両腕節も屈曲している、とのこと。

ひどいようなので他の当番獣医師も呼び、研修の先生も呼ぶ。

来院して、全身麻酔の用意ができるあいだ、枠場に入れて手を入れてみるが、両腕節のそばに蹄も触る。

後肢も来てしまっている。

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帝王切開するつもりがあるか牧場に訊く。

家畜共済非加入の牧場なので、高額診療になる。

帝王切開するつもりはない。との回答。

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子宮弛緩剤を投与する。

全身麻酔して後肢を吊り上げ、潤滑剤を入れて、顔にチェーンをかけて引張ってもらいながらおでこを押す。1:50

それで鼻っ面が出てきた。

片方の腕節は他の獣医師がつかんで伸ばした。

もう片方は、中手骨にチェーンをかけて引張ってもらいながら、腕節を押して、それで届くようになった蹄から別なチェーンをかけて引張ってもらい伸ばした。

後肢をできるだけ押し込んでおいて、あとは引張る。

子馬の腰まで出てきたが、あとは男手4人で引張っても出ない。

子馬の胸椎の最後の方で切胎した。2:50

しかし、片方の後肢しか触れない。

もう片方は産道の外に何かの壁越しに触る。

子宮が破れて外へ出ているのかもしれない。

あきらめることにした。

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解剖場で開けてみる。

子馬の左後肢は画面の上、産道へ出ている。

子宮は、母馬の後から見て反時計回りに180°捻れている。

子馬の右後肢はその捻れた子宮を突き破らんばかりに押して、突き出している。

・・・・もし、出せるとしたら、胎仔を捻って、子宮を時計周りに反転させ、右後肢をなんとか引っ張り出して、両後肢を牽引して娩出させるしかない。

最初に推察したように、帝王切開の適応だったひどい難産だったと思う。

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先日、遠方からお客様がみえたので、うちの家族と馬に乗りに行った。

海が見えるトレッキングコース。

楽しんでもらえたようで良かった。