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馬医者残日録

サラブレッド生産地の元大動物獣医師の日々

調査研究・症例発表会

2010-02-17 | 学会

P2160005 内部の調査研究発表会。

獣医師が勉強する方法はいくつもあるのだが、研究発表や学会への参加はかなりの部分を占めている。

お金や時間をかけているほど成果が上がっているか疑問に思うこともあるのだが、

科学的に正しい方へ進んでいかなければいけないという点では、きちんと根拠を示し、人の批判も聞ける学会での研究発表という形が根幹になければならないのだろう。

それが元で、学術誌への論文報告になり、さらにそれが成書に記載される。

学会や、学術誌や、成書で勉強させてもらっているなら、恩恵にあずかるばかりではなく、自分でも発表したり報告することで寄与しなければいけないだろう。

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今年の発表は、興味深いものが多かった。

膨大なデータを集積し解析した内容も多かった。

昔に比べればパソコンの普及で、データの整理や解析は楽になった。

データの解析の生かし方も進んできたのかもしれない。

時間があれば、統計や疫学を勉強したいな~

もう数学も忘れ、頭も固くなって、ダメかな~

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日本獣医師会学会 宮崎

2010-02-02 | 学会

P1290145_3   那須から戻って中2日診療して、宮崎県で行われた日本獣医師会の学会に向かった。

北海道は雪景色だったが、南国宮崎は街路樹からして違っている。

日本獣医師会のこの年次大会に行くのは16年ぶり?くらいだ。

前回は北海道で地区学会賞をもらって全国大会で発表しに行った。

今回は論文が学術奨励賞をもらったので、受賞記念講演をしに行った。

が、初日の最後で、休憩後に講演するころには人もまばら。 P1300152

受賞記念講演なので、質問もなし。

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まあ、宮崎地鶏も芋焼酎もうまかったので、よしとしよう(笑)。

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お世話になった方に、謝辞だけは述べてこなければならないと考えていた。

「ええ方法があるんや、観にこんか?」

声をかけていただいたのは親切などと呼ぶ以上のものだろうし、

それに報いることができるようにやってきたつもりだし、

結果として、たくさんの馬を救えるようになったつもりだが、

その成果に賞を与えていただけるなら、謝辞をのべるためだけにでもその場に行かなければならない。

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そして、

今まで少しずつでも症例報告や論文を書いてきたのは、学生時代の恩師一条先生の教えによる。

「口頭発表だけでは何も残らない。論文を書かなきゃだめなんだ。」

学生の頃から、そして卒業してからも何度もそう教えてくださった。

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It was brought up to believe that the only thing worth to doing was to add to the sum of accurate information in the world.

この世界に知識を付け加えること。それこそがやるべき価値があることだと信じるようになった。

                         -----Margaret Mead 文化人類学者


麻酔薬はなぜ効くか?

2010-01-06 | 学会

多くのことを学ぶことができ、楽しくもあった麻酔外科学会2009。

馬のメニューもびっしりで、あまり展示場を見たり、小動物の講演・発表を聴く余裕がなかったのだが、

ランチョンセミナーで、途中から聴いた樋口雅仁先生の小動物の整形外科の講演は面白かった。

あの語り口、最高やね(笑)。

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ノースキャロライナ大浅川先生の「全身麻酔と鎮静のメカニズム」は聴けなかったのだが、抄録だけでもたいへん興味深い。

麻酔薬ってどうして効くがわかってなかったんだ!?

麻酔薬ほど効く薬はないと思っている。

意識を無くし、痛みを感じなくなり、動けなくなるんだよ。

そして、効果が切れると元に戻る。

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以下、引用(青字)

「麻酔とは、薬物などにより引き起こされる、体の一部もしくは全体の知覚消失と定義される。」

「麻酔薬は少なくとも体内の幾つかの部位に、異なる機序で作用していると考えられている。」

「意識の消失や健忘には脳が重要な役割を担っていると考えられている。」

「不動化は脊髄が重要な役割を担っている。」

「麻酔薬の作用機序は未だはっきりとしていない。」

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そうだったんだ~。面白いなぁ~。

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今日は仕事始め。

朝から除雪。

関節鏡手術をしてから年頭挨拶に行く予定だったが、疝痛の開腹手術でいけなくなった。

午後は、ずれ込んだ関節鏡手術。

明日はプレート固定の予定。

今年も、のんびりとは行かないようだ。

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麻酔外科学会2009札幌 2日目

2009-12-22 | 学会

2日目は、午前中はDr.MuirとDr.Bertoneの、馬の立位での麻酔・鎮痛と手術の講演。

お二人はそれぞれオハイオ州立大の麻酔と外科の教授だったのが、Dr.MuirはNewYork Animal Medical Centerへ移られたそうだ。

立位での手術は・・・

相当な可能性があるが、馬の足元にしゃがんでの手術になるので・・・・

「外科医が若くないと」と言っておられた(笑)。

Dr.Bertoneは月曜日に難しい手術だけをして、後は研究にたずさわっているそうだ。

立位での手術の利点として、コストが安いことも挙げられていたが、外科医の腰の痛みや危険はどうしてくれるんだっ?!(笑)

内視鏡や関節鏡を壊されたりすると、とんでもなく高いものにつく。

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午後は麻酔のシンポジウム。

それぞれの施設での現状や課題が見えてきてたいへん興味深かった。

バランス麻酔、オーダー麻酔が最近のキーワードなのだが、シンプルな決まった方法で行う利点もある。

やはり思う。

  安全な麻酔方法も、安全な麻酔薬もない。安全な麻酔医が居るだけ。

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より安全な麻酔のためのアイデアもたくさんもらった。

よく確かめながら使って、自分達のものにしたい。

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麻酔外科学会2009札幌

2009-12-21 | 学会

土曜日、早朝、札幌へ。

秋季(どこが!;笑)麻酔外科学会。

ほとんどの会員は小動物開業獣医師と大学の先生なのだが、今回は北海道で行われるので馬のプログラムも行いたいとのことで、2日間ビッチリ馬のメニューがあった。

1日目午前は、馬の外科のピットフォール(落とし穴)がテーマ。

普通、発表や講演ではうまくいった症例が扱われるが、結果が良くなかった症例からも学ぶことは多い。

最近は成書にも、complication(合併症・併発症・トラブル)やピットフォールが項目として書かれるようになってきている。

重要であり、臨床経験が整理・蓄積されてきているからだろう。

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午後は、北海道大学の人の膝の手術を専門とされている安田先生の講演。

たいへん面白く、馬医者にもおおいに刺激になった。

今治せない障害も、治せるようになるだろうと確信できた。

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午後は、5名が馬の二次診療の現状の紹介と将来展望を講演した。

日本でも全身麻酔をしての馬の手術が1500件以上行われている。

立位で行われている手術も含めれば、さらに多いだろう。

外科的に治せる障害は増え、そのための麻酔も進歩しているのだ。

日本でも馬の外科・麻酔は、はっきり専門分野として確立できるはずだ。

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USAのACVS(アメリカ獣医外科専門医)も、小動物と馬および大動物は区分されたそうだ。

大動物を専攻して獣医外科専門医になり、大動物より稼げる小動物へ移ってしまう者が増えた!からだそうだ(笑)。

今も認定試験では半分の問題は共通だが、他はカリキュラムも試験も重なる部分はないそうだ。

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USAの獣医大学教育や獣医臨床のレベルの高さや充実は、専門医制度を抜きしてはありえない。

USAの獣医教育病院も、レジデント(専門研修医)とインターン(研修医)抜きでは運営できない。

そして、それぞれの専門分野でレベルの高い臨床を行い、教育・研修し、データを蓄積・発表しているのは専門医達だ。

二次診療の充実とレベルアップのためには、専門医制度の確立は避けては通れないと思う。

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今日は朝は吹雪だった。

雪がやんで、雪かき。

麻酔から覚めて、ヨロヨロ歩いていく馬も滑らないように雪かきする。

これが馬の「麻酔・外科」の現状(笑)。