goo blog サービス終了のお知らせ 

馬医者残日録

サラブレッド生産地の元大動物獣医師の日々

厩猿(うまやざる)

2011-01-21 | 学会

Pb160635_2厩舎のお守りとして 祭られているのは猿の髑髏(どくろ)。

猿を馬の守り神とする習わしがあったのだそうだ。

たしかに、猿のバランス感覚と俊敏さだと、人以上に落ちずに馬に捉まっていることがあったのかもしれない。

猿のされこうべを祀ることに抵抗はなかったのだろうか。

      -

頭骨は医学用語で Cranium。

Skull という単語もあるが、「どくろ」「頭蓋骨」っぽいのかもしれない。

                         -Pc300781_2

日本ウマ科学会のマークは馬の頭骨。

これはどうかと思う。

臨床獣医師や臨床獣医学を包括する意志が無いか、希薄だったのだろう。

医療者や病院が、髑髏のマークってありえない・・・

                                                                     -

 かつて日本ウマ科学会は、5月に総会・学術集会を行っていたことがあった。

馬の繁殖シーズン真っ盛りに集会をするということは、生産地の獣医師など相手にしていないということなのだなと理解した。

 ところが、世界馬臨床獣医師会 WEVA の日本の関係団体は日本ウマ科学会だということになっているらしい。

                         -

 日本には10万頭ほどの馬しかいないが、馬臨床獣医師が馬臨床獣医学についてしっかり声を上げていかないといけない。

                         //////

P1210838_2 スケートリンク、コンディション良好。

日ごろ使わない筋肉が使われて良いトレイニングになる。

氷の上で転ぶとダメージがあるが、とっさのバランス感覚は、日常生活や仕事中の怪我の防止にもなるように思う。

この前、救急車で運ばれていった人を見たけど・・・・・


JRA調査研究発表会・ウマ科学会2010

2010-12-04 | 学会

Pb300641_2 今年も、JRA調査研究発表会とウマ科学会学術集会へ行って来た。

月曜日は午前中調査研究発表会を聴いて、午後は座長を頼まれていたので、ウマ科学会学術集会へ移った。

昼休みの時間に理事・評議員会議。

調査研究発表会も引き続き聴きたい臨床関係の演題があったのだが、2日間の集まりは非常に詰まっているので仕方がない。

企業展示も覘くことができた。

実際の器具、機械、本、を目の前にして説明を聞くことは、こういう機会でもないとなかなかできない。

                           -Pb290635_2

夜は、恒例の合同懇親会と二次会としての青木会。

                           -

2日目はDr.Richardsonを迎えての整形外科内固定の症例検討会から始まった。

そのあと、Dr.Richardsonによる「LCPは馬の骨折治療を変えるか?」という内容の講演。

もちろん答えは YES 。

                            -

昼にJournal of Equine Science編集会議。

                            -

午後は、世界馬獣医師会 World Equine Veterinary Association から派遣された、現会長の Tim Greet 先生と Gary Norwood 先生による講演。

Greet先生は上部気道の障害と治療方法を、Norwood先生は関節穿刺と胃潰瘍の講演をしてくれた。

                            -

夕方、ウマ科学会獣医師ワーキンググループの打ち合わせ。

獣医師ワーキンググループが症例検討会や講演を行うのも、これで3年目。

この調査研究発表会・ウマ科学会学術集会もずいぶん馬臨床獣医師の参加が増えた。

行く価値がある集まりなら、参加者も増え、ウマ科学会会員も増えるのだ。

                            -

そして、嵐の1週間の後半へ (つづく)

Dsc_0289_2


ランチョンセミナー luncheon

2010-09-12 | 学会

昨年からだったか、北海道獣医師大会の学会ではランチョンセミナーが行われている。

ランチョンセミナーでは、企業が昼食を用意し、その代わりに企業のコマーシャルになるような講演を企画することが多い。

ランチョンセミナーとは、lunch on the seminar (seminar セミナーは元は、大学で少人数で指導教官の下に各人の研究成果を発表し討論する演習、ゼミナールと同義) かと思っていたら、

luncheon 昼食、昼食会、午餐(会)、軽食 という単語があったのでした。

                            -

私は樋口雅仁先生の小動物の骨折内固定のセミナーを聴かせてもらった。

「私はインフォームドコンセントなんかしませんわ。まかせときない。それだけです。」

「ちゃんと解剖がわかってないと手術はしたらあきません。ヘタクソは手術したらアカンのか、言う人がいますけど。当たり前です。」

扱っている動物種が違うし、丁寧な講義ではないので手術手技全体は聞けないのだけれど、たいへん面白い。

                            -

「一月に10日ほどしか病院にいません。そのうちつぶれるんちがうか思いますけど。」

「今は娘が料金決めよるんで、いくら取ってんのか知りませんわ。」

樋口雅仁先生は別格として、小動物の先生の中には驚くほど自由闊達な人が居る。

勤め人が多くて、かつてよりはるかに、コンプライアンスだの、指導だの、規則だの、締め付けが多くなってきている大動物診療からみると、すこし羨ましくもある。

P9010479_4 


第61回北海道獣医師大会

2010-09-11 | 学会

100908_175830第61回北海道獣医師大会ならびに地区三学会(畜産学会じゃないよ、産業動物・小動物・公衆衛生学会のこと)。

今年は函館だった。

札幌ばかりも飽きるが、函館は遠かった。

やっぱり札幌、旭川、帯広くらいがいいんじゃないでしょうか・・

大都市でないとホテルが確保できないし、大きな部屋がいくつもある会場もない。

                           -

100908_212240 しかし、天候に恵まれ良いドライブ日和だった。

函館山に登れば夜景もきれいだっただろう。

行かなかったけど・・・・・

(学会は夜も忙しいのよ;笑)

        -

100909_174523 獣医師大会には高橋はるみ道知事もご出席。

代議士先生に関係省庁の代表の方も。

 牛白血病シンポジウムで見えてきたのは、国策としてなんとかしないと、国レベルの清浄化はできない、ということ。

その必要性を唱えるのは獣医師とその団体の役割ではないか。

 ヨーネ病は厚生労働省が、

「感染牛の牛乳は出荷してはいけない。陽性の結果が出たら、採材したときからの牛乳は捨てるか、もう出荷していたら自主回収しなければいけない。」

というとんでもない見解を訂正しないために検査もできなくなっている(のだそうだ;私は知らなかった)。

 農水省は厚生労働省に逆らえないらしい。

 獣医師が社会的に信頼され、権限を持っていればこんなことにはなっていないとも思う。

                           -

今回の産業動物の発表演題はこちら。100910_074922

http://www.hokkaido-juishikai.jp/nenji-tiku/sangyou10c.pdf

みなさん、頑張って良い仕事をしておられる。

それが、研究や調査の発表に表れている。

すごい。


生産地シンポジウム

2010-07-15 | 学会

2010 恒例の生産地シンポジウム。第38回だそうだ。

今年はシンポジウムは生産地疾病調査研究の報告。

テーマのひとつは繁殖。もうひとつは疫学監視。

どちらも私は何度か聴いているので、よく理解できた。

調査結果は成果として示される。

それは、それとして価値があること。

ただ、実際にどう応用するか、できるかはよく考えなければならない。

iPS細胞を作り出し、世界の注目を浴びた山中博士が、

「まだ今のままでは何の価値もありません」と断言されたのを聞いて感心した。

臨床医としての経験が、医療に応用されなければ価値がないと言わせたのかもしれない。

                           -

「CEMが清浄化された」特別講演もあった。

30年かかってしまったとは言え、素晴らしい結末であり、業績だ。

CEMが発生しなくなって以来、他の細菌による子宮内膜炎も激減した。

CEMが流行していた頃は、Klebsiella pneumoniaeEnterobactor sp.、Pseudomonas aeruginosa, Proteus sp.など抗生物質が効きにくい細菌による子宮内膜炎も多発した。

種馬のペニスを消毒薬で消毒したり、繁殖雌馬の子宮内に抗生物質を投与することが多かったので、消毒薬に強く、抗生物質が効きにくい細菌が選択されて残り、治療の難しい細菌性子宮内膜炎が多かった。

きれいに洗浄することができない種雄馬のペニスに消毒薬をかけたり、抗生物質軟膏を塗布したり、

子宮洗浄と抗生物質注入を多用したことが、CEM流行の二次的被害を作り出した。

そのことも獣医師は忘れず記憶し、反省しなければならないと思う。

                          -P7110392_3

今、口蹄疫の流行で消毒ブームだが、正しく有効な方法でやらないと、効果がないだけでなく害がある。

ポーズだけならやめておいたほうが良い。

                        /////////////////////////

ゆうべ、堀ぞいの草むらで光っているものがあった。

ホタル。

この辺で見つけたのは初めてのように思う。

農薬や殺虫剤の使用量は減っているのだろうか。

P7140401_2