goo blog サービス終了のお知らせ 

馬医者残日録

サラブレッド生産地の元大動物獣医師の日々

日本獣医師会年次大会・北海道

2011-11-19 | 学会

Pb191653 日本獣医師会の獣医学術学会年次大会が、来年は北海道札幌で開かれる。

平成24年2月3、4、5日。

会場は札幌コンベンションセンター。

一般口演はまだわからないが、馬の演題もかなり発表されると思う。

私も発表予定だ。

日本の馬は(牛もそうだが)半分以上は北海道に居る。

だから大動物の獣医師も半数以上は北海道に居る、のだろう、たぶん。

例年、北海道産業動物獣医学会の演題の1/4~1/3は馬だ。

                       -

Pb191654_2せっかく北海道で開かれるので、ということで、馬のシンポジウムも用意されている。

サラブレッド以外の馬も北海道にはかなり居るし、日高胆振以外の地域にもかなりの馬が飼われている。

軽種馬生産地の獣医師はもちろん、

軽種馬以外の馬が居る地域で馬を診ることがある獣医さんにも興味を持ってもらえる内容になると思う。

北海道外の馬の獣医師の皆さんにも北海道の馬の診療の内容や前線や「これから」を知っていただけるだろうと思う。

                        -

2月はじめ、厳寒季で、北海道がもっとも北海道らしくなる時季だ。

札幌雪祭りで遊んで行かれるのもよし、スキースノボを楽しまれるのもよし、冬の味覚を楽しまれるのもよし、ススキのもまた良し;笑。

多くの馬獣医師の皆さんと札幌で会えることを楽しみにしています。


産業動物獣医学会2011

2011-09-10 | 学会

明日から北海道産業動物獣医学会へ出張という晩。PM8。

残務処理と出張準備をし、発表の練習もしなければと思っていたら、例によって疝痛馬の連絡。

1歳馬。

直腸検査でも超音波検査でも、結腸左背側変位だ。

しかし・・・血液検査は異常はなく、疝痛もない。

・・・・・「様子を観てみましょう」

                        -

疝痛や全身状態の異常があるなら早く開腹手術した方が良いが、まったく異常がないなら待ってみてもいい。かなと思ってというより、待ってみるべきだろうと思った。

また呼ばれるかも、と思いながらウズベキシタン戦を観ていたが、連絡なし。AM1。

大丈夫なんだな。と思って眠りについたら、起こされた。

やっぱり痛くなったとのこと。

で、それから開腹手術。

1時間ほどで終わるが、麻酔覚醒を待っていたら夜は明けていた。AM5。

結局、2時間ほどの睡眠時間で札幌出張。

                       ---

P9081374_2 今年の北海道産業動物獣医学会長Tag先生の挨拶で始まった。

産業動物は85演題。

馬は28題。

         -

感じたことは・・・

新生子牛、子牛の発表が増えた。

ホルスタイン子牛も家畜共済の対象になって、治療されることが増え、牛新生児学の経験やデータが蓄積されてきたのだろう。

逆に家畜共済の対象にならなかった時代には、子牛には充分な獣医学的な目が注がれていなかったのかもしれない。

獣医師が抜け落とすことなく、農家のためにできることをしていくことは大切なことだ。

                     -

以前から思っているのだが、どうも私にはWCS(weak calf syndrome; 虚弱子牛症候群)という呼び方が気にかかる。

かつて馬でも「子馬病」という多発性関節炎、敗血症、その他いろいろな病気がごちゃまぜにされていた。

しかし、USAのNICU(新生児集中管理ユニット)により発展した馬新生児学が持ち込まれ、普及するとともにそういう呼び方をする人はいなくなった。

不適応症候群Neonate Maladjustment Syndromeが低酸素性新生児脳症Neonate Encepharopathyと呼ばれるようになったり、

低ガンマ(低ガンマグロブリン血症)がFPT(Failure of Passive Transfer)と呼ばれるようになったり、

ロタウィルスやロドコッカスなどの子馬特有の病原体を検出することができるようになったりしてきたこともある。

調査研究の対象になっている症例はともかく、そうでないところではまだ「虚弱」でくくられてしまっているところを感じてしまう。

                    -

少しでも大きな子馬、立派な子馬を産まそうとしている馬産とちがって、とくに乳牛では子牛は副産物なので、乾乳期の管理がおろそかになりがちなことが新生子牛の弱さや未熟さにつながっているかもしれない。

だとしたら、新生子馬より、新生子牛の問題の改善は難しいのだろう。

                    -

タイストールで(あるいはスタンチョン牛舎でも問題は同じなのだが)、24時間365日つなぎっぱなしにすることの害をあらためて感じる発表もあった。

ヨーロッパでは、動物福祉の観点から、窓無しの鶏舎を禁止するという動きもあると聞く。

搾乳牛でも、せめて1日のわずかな時間でも歩く時間を与えてやることを、ルールにしなくても、農場の利益のためにも必要だということにならないのだろうか。

                      -

P9081375_2 大学の先生自身の発表や、大学との共同研究の発表もあり、内容が高度になっているのにも驚かされ感心させられる。

皆さん発表もたいへん上手になった。

プレゼンテーションソフトや液晶プロジェクターの利点を充分使い、アニメーションや動画を使った発表も多かった。

NOSAI(農業共済組合)について言えば、獣医師には研究費も調査費用も与えられていない。

それでも、調査や研究が産業動物の獣医学を発展させ、

農家や牧場が抱える問題の解決につながり、利益をもたらし、損害を防ぐことにつながっていることを確信した。

                       


SHC2011

2011-08-21 | 学会

苫小牧で開かれた社台ホースクリニックカンファレンス。P8191360

「学会」と呼んでいいのかどうかわからない。

「症例検討会」だ。

35題の臨床成績・症例報告が発表され、質疑応答が行われた。

10時から5時過ぎまで、休み無しで研究発表を聴くのはたいへんなのだが、ちっとも退屈しなかった。

やはり、臨床家にとっては臨床例こそ興味あることだから。

                       -

獣医師会の学会や、日本獣医学会なども内容を考え直したほうが良いのかもしれない。

臨床分科会と言いながら、マウスやラットを使った発表が多かったり、症例報告が相手にされないのなら、臨床獣医師が寄り付かなくなっても仕方ないことだ。

研究発表ばかり詰込まないで、テーブルを囲んで自由にディスカッションできる集まりや、テーマごとに小部屋で集まる集会や、教育講演や、実習を組み込む方が参加者の要望に応えられるのかもしれない。

                      /////////

翌日、朝から子馬の開腹手術。

予定していた関節鏡手術は延期してもらった。

土曜日で、午後は獣医師だけで血液検査業務をしていたのだが、繁殖雌馬の疝痛の来院。

午後に予定していた治療や関節鏡手術は延期してもらった。

繁殖雌馬は結腸捻転だった。

この夏は結腸捻転は少なかった。

雨が少なくて牧草の伸びが良くなかったせいかもしれない。

夜になって2歳馬の疝痛。

痛みが強く、数時間続いているので開腹手術せざるを得ない。

 蒸し暑さは消え、涼しくなった。

今年は夏の疝痛ラッシュも1日だけ、これで終わり、かな?

P8141324


獣医師会って?

2011-07-22 | 学会
朝、眼が覚めて「ああ、今日は休みだ」と思い、ホッとする。
明日も休みだ。
二日続けて休むのは・・・正月以来だろうか?
世の中には、毎週週休二日という人もいるのだろうが。
                        -
といっても、昼から獣医師会の会議。
公益法人化の話と、来年2月の日本獣医師会年次大会の話題。
公益法人化の話は会の財務と会計処理に関連している。
どの府県も狂犬病予防注射が獣医師会の大きな収入であり事業なのだが、利権にもなっている。
「獣医師会とは何か?」ということを考えるとき、それはできれば獣医師全員が加入する団体であるのが望ましく、また社会に貢献できるものであるべきだろう。
狂犬病予防注射の利権団体であって良いはずはないのだが、
会の運営にかかる経費が狂犬病予防事業に依存しているようでは、いつまでたってもひずみは解消できないだろう。
それでも、獣医師として活動するかぎり獣医師会には加入すべきだと思うのだが、如何?
                        -
来年2月3-5日、札幌での日本獣医師会学術大会では、いくつもの公開講座やシンポジウムが行われるのだが、馬のセッションはない。
「北海道でやるのに馬がないじゃないか」との声も聞こえてくるのだが、テーマとして取り上げるなら会場1つを一杯にして、講演者・パネラーもそろえなければならない。
私も今まで日本獣医師会の年次大会に参集したのは、受賞講演に行った2回だけだ。
いずれのときも、馬関係者の集まりはなかった。
来年は、日本獣医師会の学術大会がせっかく北海道で行われるので、馬の発表も一般口演としてたくさん出してもらうと良いと思う。
どうせ馬の演題は馬だけで集めて発表させられることになるだろうし、道外からの参加者も含めて盛り上がるなら、今後その学会に馬関係者も参集する機会になるだろうと思う。
 札幌雪祭りは6日からで、「航空券やホテルも雪祭り価格ではありません」とされているが、
「どうぞ雪祭りも観て行って下さい」ということでこの日程にしたんじゃないの?
もっとも私も北海道へ来て30年以上になるが、札幌雪祭りに行ったことはない;笑。
                      ///////
明日から相馬野馬追が今年も開催されるようだ。
今年も。
ということが大切なことなのだと思う。

再生獣医療

2011-03-07 | 学会

新聞に、日本再生医療学会が学会員に、未承認の「幹細胞治療」に手を出さないように求めたことがニュースになっている。

馬の分野はもっと野放し。

これから先も日本でまとまった学会ができたり、指針が出されたりすることはないだろう。

今年、第二回の North American Veterinary Regeneration Medicine Association 北米獣医再生医療学会?がケンタッキー州レキシントンで6月に開かれる。

開催場所と言い、学会スポンサーと言い、馬が中心になっているのかもしれない。

                            -

先月、馬の臍帯血から幹細胞を取り出して保存しておこう。というビジネスを計画している会社の説明を聞いた。

生まれたときに臍帯血を採材して送っておくと、幹細胞を保存しておいてくれる。

その馬が将来、浅屈腱炎、繋靭帯炎、蹄葉炎、骨嚢包、離断性骨軟骨症、etc.を患ったときには、その幹細胞を用いて治療できるというもの。

費用は10万円ほどになるのではないかということ。

う~ん・・・・・・・・・・まだそれぞれの病気について幹細胞治療の効果は証明されていない。

                            -

日本医師会が表明している「医の倫理綱領」の注釈の中の、医療の目的の冒頭。

「医療は医(科)学の実践であり、医(科)学にもとづいたもので無ければならず、近年、根拠に基づく医療(Evidence-Based Medicine;EBM)が強調されている。

医師は医学的根拠のない医療、とくにいわゆるえせ医療(quack medicine)に手を貸すことを厳に慎むべきである。」

                            

私は別に幹細胞治療に反対ではない。

それどころか、他に有効な治療法がないのなら、説明して同意してもらった上で、やってみたいと思う。

しかし、「信じるものはだまされる」になってはいけないし、自分自身をだますこともしたくない。

                           //////

午前中、1歳馬の球節の関節鏡手術。

レポジトリーに備えた検査でOCDが見つかったとのこと。

午後、2歳馬の後肢の外傷。

汚れていてデブリドメンを徹底しなければならないし、球節へ穿孔している可能性もあった。

全身麻酔しなければ満足のいく外傷治療はできない。

Dsc_0327