明日から北海道産業動物獣医学会へ出張という晩。PM8。
残務処理と出張準備をし、発表の練習もしなければと思っていたら、例によって疝痛馬の連絡。
1歳馬。
直腸検査でも超音波検査でも、結腸左背側変位だ。
しかし・・・血液検査は異常はなく、疝痛もない。
・・・・・「様子を観てみましょう」
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疝痛や全身状態の異常があるなら早く開腹手術した方が良いが、まったく異常がないなら待ってみてもいい。かなと思ってというより、待ってみるべきだろうと思った。
また呼ばれるかも、と思いながらウズベキシタン戦を観ていたが、連絡なし。AM1。
大丈夫なんだな。と思って眠りについたら、起こされた。
やっぱり痛くなったとのこと。
で、それから開腹手術。
1時間ほどで終わるが、麻酔覚醒を待っていたら夜は明けていた。AM5。
結局、2時間ほどの睡眠時間で札幌出張。
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今年の北海道産業動物獣医学会長Tag先生の挨拶で始まった。
産業動物は85演題。
馬は28題。
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感じたことは・・・
新生子牛、子牛の発表が増えた。
ホルスタイン子牛も家畜共済の対象になって、治療されることが増え、牛新生児学の経験やデータが蓄積されてきたのだろう。
逆に家畜共済の対象にならなかった時代には、子牛には充分な獣医学的な目が注がれていなかったのかもしれない。
獣医師が抜け落とすことなく、農家のためにできることをしていくことは大切なことだ。
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以前から思っているのだが、どうも私にはWCS(weak calf syndrome; 虚弱子牛症候群)という呼び方が気にかかる。
かつて馬でも「子馬病」という多発性関節炎、敗血症、その他いろいろな病気がごちゃまぜにされていた。
しかし、USAのNICU(新生児集中管理ユニット)により発展した馬新生児学が持ち込まれ、普及するとともにそういう呼び方をする人はいなくなった。
不適応症候群Neonate Maladjustment Syndromeが低酸素性新生児脳症Neonate Encepharopathyと呼ばれるようになったり、
低ガンマ(低ガンマグロブリン血症)がFPT(Failure of Passive Transfer)と呼ばれるようになったり、
ロタウィルスやロドコッカスなどの子馬特有の病原体を検出することができるようになったりしてきたこともある。
調査研究の対象になっている症例はともかく、そうでないところではまだ「虚弱」でくくられてしまっているところを感じてしまう。
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少しでも大きな子馬、立派な子馬を産まそうとしている馬産とちがって、とくに乳牛では子牛は副産物なので、乾乳期の管理がおろそかになりがちなことが新生子牛の弱さや未熟さにつながっているかもしれない。
だとしたら、新生子馬より、新生子牛の問題の改善は難しいのだろう。
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タイストールで(あるいはスタンチョン牛舎でも問題は同じなのだが)、24時間365日つなぎっぱなしにすることの害をあらためて感じる発表もあった。
ヨーロッパでは、動物福祉の観点から、窓無しの鶏舎を禁止するという動きもあると聞く。
搾乳牛でも、せめて1日のわずかな時間でも歩く時間を与えてやることを、ルールにしなくても、農場の利益のためにも必要だということにならないのだろうか。
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大学の先生自身の発表や、大学との共同研究の発表もあり、内容が高度になっているのにも驚かされ感心させられる。
皆さん発表もたいへん上手になった。
プレゼンテーションソフトや液晶プロジェクターの利点を充分使い、アニメーションや動画を使った発表も多かった。
NOSAI(農業共済組合)について言えば、獣医師には研究費も調査費用も与えられていない。
それでも、調査や研究が産業動物の獣医学を発展させ、
農家や牧場が抱える問題の解決につながり、利益をもたらし、損害を防ぐことにつながっていることを確信した。