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馬医者残日録

サラブレッド生産地の元大動物獣医師の日々

ヒトの赤ちゃんの’カンガルーケア’

2016-03-23 | 新生児学・小児科

今日来た畜主さんから、「早く続き書いて」と嬉しい催促;笑

で、引き続きUC DavisのHPから。

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ヒトの赤ちゃんでの”カンガルーケア”を鏡に

触覚圧迫が新生児にも重要であると思われる逸話的な証拠の例がヒト医療にあります、とMadiganは述べた。

「ひどく状態が悪い新生児についての報告で、助かるのが難しいと思われて、なげき悲しむ親の最後の抱擁で腕に抱きしめたあと、奇跡的な自然な回復を見せたということがあります。」

とMadiganは述べた。

「おそらく、それらの赤ちゃんは、圧迫が引き起こした刺激、あるいは神経賦活--われわれが子馬で認めているものと同じもの、が助けになったのです。」

多くの病院が新生児に”カンガルーケア”を行っている--薄い毛布にくるむなどして、すぐに母親と触れ合わせる--が出生後すぐの標準的方法になっていることに、彼は言及した。

カンガルーケアが助けになり、未熟児の生存は劇的に改善された、と彼は言った。

赤ちゃんは子宮にいるように感じる

「カンガルーケアは赤ちゃんに子宮の中にいるように感じさせます」、

UC Davisこども病院の小児科新生児学の主任であるMark Underwoodは言った。

「カンガルーケアを受けた新生児では、心拍が安定し、眠りが深くなり、興奮が治まることを観察しています。」

UnderwoodとMadiganは、子馬の不適応症候群について、ヒトと馬の赤ちゃんの間にはいくつもの共通点があることを話し合った。

(つづく)

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カンガルーケアにも、賛否両論、メリット・デメリットがあるとされているので、その点は注意が必要だろう。

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今日は、跛行診断の日になった。

跛行診断は手術とは違った意味で身構える。

3歳未出走馬の跛行。肩に病変発見。

乗馬種の1歳馬の飛節に、病変発見。

乗馬種の母馬の腰に、異常が仙結節であることを確認。

12歳乗馬の不調が、今日は右前肢の跛行であることを確認。それが球節遠位の問題であることを確認。X線画像で、球節ほかに異常発見。

1歳サラブレッドの飛節にOCDがないことを確認。

なんとか、白黒ついた。

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ワンコのプライドにかけて!放すもんかっ!!

 

 


Madigan Foal Squeeze Procedure マディガンの子馬スクイズ手技

2016-03-20 | 新生児学・小児科

引き続き子馬の不適応症候群は虚血性低酸素性脳症ではないのではないか?についてUC DavisのHPから。

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Madiganの子馬スクイズ手技

研究者たちは、子宮内での睡眠のような状態から、出生時の覚醒へ移行させるために不可欠な、中枢神経系における生化学的変化の引き金を、圧迫が引くのではないかと考えている。

多くの研究が進んでいる間に、研究者たちは結果を国内と国際的な馬獣医師の集まりで発表しており、多くの獣医師や診療所が不適応子馬を、その圧迫手技--今は、Madigan Foal Squeeze Procedureと呼ばれている--で治療している。

Madiganは、一見とても効果があるように見えるが、そのような観察結果を再現し、子馬に起こるプロセスをより理解するために、国内、国外でのより大きな規模での、よく計画された臨床試験が必要であると、注意している。

ハーネスで優しく出生時の圧をまねると子馬は眠りに落ちる。

”強い触覚刺激”

”われわれはそのとき作用するメカニズムを充分に理解しているわけではありません。しかし、ロープ保定は強い触覚刺激となり、それは子馬が分娩中に産道を通過するときに経験すべきものに類似しているのです。”と彼は述べた。

Monica Alemanに指揮された脳波の研究を用いて、研究者たちは圧迫手技により、遅い波形の睡眠に入ることを確かめた。そして、内分泌の変化も圧迫により起こる。

”新生子馬での神経ステロイドによる脳の変化のいくつかの性質を調べるための脳波データを得るユニークな方法をわれわれは持っています。”

とAlemanは言った。

(つづく)


神経ステロイドが血流に残っている

2016-03-18 | 新生児学・小児科

引き続き新生仔不適応症候群について、UC DavisのHPから。

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神経ステロイドが血流に残っている

さらに、研究者たちのチームは当初、鎮静作用を示す神経ステロイドが残っており、不適応症候群の症状を示して生まれた子馬の血中ではしばしばそのレベルが上昇していることを見つけた。

これらの神経ステロイドは血液-脳関門を通り抜けることができ、中枢神経系に打撃を与え、鎮静剤や麻酔薬などと同様のレセプターに作用する。

研究者たちは、正常で健康な子馬にallopregnanolone アロプレグナノロンと呼ばれる神経ステロイドを短時間に投与すると、不適応症候群の症状が一時的に起こることも示した。

神経ステロイドのレベルが落ちると、子馬は正常な状態に戻る。

優しいハーネスの圧迫による子馬の”覚醒”

驚くべきことに、獣医学研究者たちは、子馬を優しく押し付け、産道で正常に経験する圧を模して単純なロープハーネスを用いることで子馬の不適応症候を軽減させられることに気づいた。

圧迫を再現するために、研究者たちは子馬の胴の前部を柔らかいロープのいくつかの輪で包み、一時的なハーネスを作る方法を開発した。

ロープで圧をかけ、やさしく押し付けると、子馬は倒れて、眠るように見える。

20分後--子馬が産道ですごすのとだいたい同じ時間--ロープを緩め、圧をかけるのをやめる。

最初の頃の数症例では、子馬はその方法によく反応し、回復した。そして、数分以内に自分の肢で立ち上がり、母馬にくっついて、乳を飲んだ。

上のヴィデオのように。

(つづく)

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今日は、

午前中、競走馬の腕節の骨片骨折の関節鏡手術。

午後は、1歳馬の飛節の関節鏡手術。遠方から。

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ワンコも、はしゃぎまわっていたのが、服を着せられただけで大人しくなってしまうのがいるらしい。

「圧迫」と関係するのかもしれない。

圧迫しようとすると、いつも以上にヤンチャする奴もいるけど・・・


生化学的”ON スウィッチ”

2016-03-17 | 新生児学・小児科

引き続きUC DavisのHPから。

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短く言えば、子馬が産道に入るのと、子宮から出るときの間のどこかで、生化学的な”ONスウィッチ”がパチンと入って、子馬が母馬を認識し、乳を飲み、そして動けるようにならなければならない。

MadiganとAlemanは出生過程での物理的な圧迫が重要な信号かもしれないと推測している。

「分娩の第二ステージでの産道による圧迫、それは20-40分間続くと思われますが、子馬に鎮静作用を持つ神経ステロイドを作るのを止めさせ、”目覚めさせる”重要な信号だと、われわれは信じています。」とMadiganは述べた。

帝王切開で生まれたり、あるいは普通以上に素早くお産が終わった馬の方が不適応子馬症候群がよく起こる、という事実によりこの仮説は裏付けられる、と彼は言った。

おそらく、そういう子馬は神経ステロイドの変化の引き金を引くはっきりとした物理的圧迫を経験しないのです、とMadiganは述べた。

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”とても状態が悪い赤ちゃんが、深く悲しんでいる両親の腕で最後の抱擁をされた後、奇跡と思われる自然回復を見せた報告がいくつもあります”

---John Madigan

(つづく)

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このボールはわたさない

はっ?!

こんにゃろ~

あれっ?

                      -

きょうは暖かかった。ようやく冬が終わった気がする。

 


しかし、酸素不足が犯人なのか?

2016-03-16 | 新生児学・小児科

引き続きUC DavisのHPから

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酸素不足が犯人なのか?

しかし、奇妙なことに、新生仔不適応症候群のほとんどの子馬は試練を乗り越えて生存し、後遺症は残らない。

このことから低酸素がこの症候群の原因なのかどうかという疑問が起きてくる。そして、MadiganとUC Davisの獣医神経学者Monica Alemanは他の可能性のある原因を探り始めた。

彼らが当初疑ったもののひとつは自然発生する神経ステロイドの一群であった。それらは馬の妊娠を維持する鍵であり、とくに子馬を出生まで”おとなしく”させている。

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子宮の中でギャロップはしない

 「子馬は子宮内でギャロップしません」、Madiganは好んでこう言って、四肢に蹄を持った胎仔がもし突然子宮内で活動的になったら、繁殖雌馬に危険なことを指摘する。

出生前の子馬に鎮静剤として作用する神経ステロイドにより、出生前の鎮静が可能なのです、と彼は説明した。

しかし、生まれるとすぐに、赤ちゃん馬は目覚めるという同様に重要な移行を行わなければならない。

自然界では、赤ちゃん馬は多くの天敵のえじきに容易になりうる、それで、子馬は出生後数時間で走れるようでなければならない。

(つづく)

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今日は私は会議、電話とメールでのやりとり、ほかでつぶれた。

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今年の、第67回獣医師国家試験の結果が先週3/11に発表になっている。

昨年は新卒合格率が84.8%と低く、合格率70%台だった大学もいくつかあって、「荒れた」国試だったが、

今年はほぼ元の平穏な獣医師国家試験に戻ったようだ。

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問題も公表されている。

ご同輩諸兄、必死に勉強して受験したあの頃を思い出してみてはいかがだろうか。

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中華街の牛と馬。

動物の専門家になるのもけっこうたいへんなんですよ。