真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 「白昼の女狩り」(昭和59/製作:株式会社にっかつ・㈱フィルムワーカーズ/配給:株式会社にっかつ/監督:曽根中生/脚本:森下馨/プロデューサー:鵜飼邦彦/撮影:水野尾信正/照明:金沢正夫/録音:東映仕上げセンター/編集:田中修/助監督:松本洋二/銃器:スペシャル・エフェクト・チーム てっぽうや/協力:シャルム・グループ、他/出演:加来見由佳・なぎら健壱・織本かおる・由利ひとみ・南伸坊《特別出演》・深見博・堀礼文・君嶋宣仁、他)。配給に関しては事実上“提供:Xces Film”か。
 ボレロ開巻、戦闘服のフル装備で双眼鏡を覗くなぎら健壱と、空港近くで撮影中の加来見由佳。促された加来見由佳が、両手を耳の脇に揃へたストップモーションに乗せてタイトル・イン。アヌビス“死神”(なぎら)は展開する部下(深見博とビリング推定で君嶋宣仁)に、標的を加来見由佳から野ションする織本かおるに変更することを指示。織本かおると不倫相手・長嶋(南)がカーセックス中の車を深見博と君嶋宣仁が襲撃、最終的に逃走する長嶋はアヌビスが拳銃三発で、織本かおるは深見博が強姦したのちに、観音様から重火器で撃ち抜き始末する。君嶋宣仁は、車の上でアホみたいに踊る。ラブホテル「シャルム」でのビニ本の撮影後カメラマン(堀)を撒き帰宅した推定女子大生・村松(加来見)に、監視するアヌビスが電話を入れる。深見博の本職は気の回らない蕎麦屋で、何でそんなに自由になる時間と金があるのかよく判らないアヌビスはスーパーの係長。君嶋宣仁は、多分足し算は出来る程度のアヌビスリアル部下。村松に贈りつけ続ける薔薇の花束を買ひがてら女子高生(由利)に目をつけたアヌビスは、チームを召集し自動車整備工場を営むと思しき由利家(仮称)を奇襲、父親とボーイフレンドの工員共々血祭りにあげる。電話局を偽り仕掛けた盗聴器により、村松が村松は望まぬ撮影旅行に出る情報を察知したアヌビス以下一同は、本格的な作戦を始動する。
 正確な事情は担当者が口を割らねば判るまいが、昭和59年当時公開されることなくお蔵入り。以来監督の消息不明もあり長く塩に漬かつたままであつたものが、2011年の第36回湯布院映画祭に於ける曽根中生の電撃生存確認を経て、翌年の日活創立100周年記念特集「生きつづけるロマンポルノ」での世紀を跨いだお披露目に漕ぎつけた話題作。局地的、あるいは極私的な文脈としては、前田有楽劇場にて「白昼の女狩り」と「淫Dream まどろむ白衣」とセカンドバージンが週替りで上映される、曾根中生×渡邊元嗣×城定秀夫、三大監督八幡最大の決戦のオープニングに当たる。さういふ次第で、気負つて小屋の敷居を跨いでみたところ。名ありの登場人物がほぼ全滅する死屍累々の果てに、狂気が連鎖するラストは確かに鮮烈ではあるものの、質量ともに貧しい女狩りチームが凶行を重ねる始終には脈略もメリハリも欠き、過激な描写ににっかつが度肝を抜かれるなり恐れをなしたといふよりも、不用意に危ない橋を渡るにしては、ただ単に然程面白くもなかつたんぢやね?といふ直截な邪推も禁じ得ない。名前や文脈に目を曇らされなければ、別にギャーギャー騒ぐほどでもない一作。大丈夫だナベ、セカンドバージンは淫Dreamの蓋を開けてみないと判らないけれど、ロマポなら全然倒せるぞ。


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