真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
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福岡市在住のピンクス。ピンクスとは、ピンク映画愛好の士、を意味する造語である。
仮名遣ひは正仮名を使用。
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純情濡らし、愛情暮らし
竹洞哲也
/
2016年10月24日
「
純情濡らし、愛情暮らし
」(2016/制作:Blue Forest Film/提供:オーピー映画/監督:竹洞哲也/脚本:当方ボーカル/撮影監督:創優和/録音:松島匡/音楽:與語一平/編集:有馬潜/整音:高島良太/助監督:小関裕次郎/撮影助手:酒村多緒・柳田純一/スチール:阿部真也/仕上げ:東映ラボ・テック/演出部応援:広瀬寛巳/制作:和田みさ・植田浩行/協力:甲斐銃介/出演:通野未帆・森星いまり・加藤ツバキ・ダーリン石川・森羅万象・山本宗介・北川和志・佐々木麻由子・和田光沙・世志男)。出演者中、北川和志から和田光沙までは本篇クレジットのみ。
タイトル開巻、自分で握つたおにぎりを頬張る、世志男の口元。清掃員バイトの控室、手前はピコピコゲーム音を鳴らす小生意気なセイガク(北川)に、大山友(世志男)は咀嚼音を咎められる。遅れて現れた中年底辺仲間の草壁吾郎(森羅)も、何時ものガッハッハ調でカップ焼きそばをズールズル食べ始めつつ、結局二人して情けなく北川和志に手も足も出ない。そんな父親の気も知らず、友の娘の友美(通野)は、通ふ―あるいは通はせて貰ふ―塾の社長兼講師の松本幸助(ダーリン)とラブホ―恐らく後に表が抜かれるアトラス―にてセックス。通野未帆の、オッパイの質感をプリップリに捉へたカットが素晴らしい。絡み初戦の合間に、メイクの薄い加藤ツバキ見参!白杖遣ひは正直大雑把な盲(めしひ)の正田友香(加藤)は、階段を掃除する大山に丁寧に挨拶する。早朝、大山がポスティングした団地に、友美の高校は違ふ塾友達・酒田瑠璃(森星)が朝帰りで帰宅。大山が友美に用意しておいた朝食は、手がつけられてゐなかつた。いはゆる難しい年頃とはいへ子供のゐる大山を、草壁は羨ましがる。リストランの草壁は、若年性アルツハイマーを発症した妻(佐々木)の介護を抱へてゐた。
俳優部残り佐々木麻由子と登場順を前後して和田光沙は、友美の誕生直後に交通事故死した大山亡妻。今回は前二戦―加藤義一2015年第二作「
巨乳狩人 幻妖の微笑
」(監督:加藤義一/脚本:筆鬼一=鎌田一利・加藤義一/主演:めぐり)と関根和美2015年第三作「
桃尻娘のエッチな大冒険
」(主演:青山未来)―とは異なりナーバスなメガネ造形ながら、気がつくとダニ配役のトップに立つた感もある山本宗介は、瑠璃の彼氏で医学部浪人生の野々宮進。暴力で瑠璃を支配する、ソシャゲの課金厨。ラスト近く、足下しか映らない医師なんてどうしたつて判る訳がない。
重く静かに燃える、竹洞哲也2016年第一作。森羅万象が重低音をバクチクさせながらも、それこそ絶望的な暗さに沈む序盤には、正直匙を投げかけた。振り返ると個人的には鎮西尚一十五年ぶりとなるピンク映画第二作「
熟女淫らに乱れて
」(2009/脚本:尾上史高/主演:伊藤猛)辺りから持ち始めた嗜好ないしはある種の現状認識か、この手の辛気臭い話ならば、今既に目の前にあるか身を置く現し世で十二兆分間に合つてゐる。フとあれがもう七年前かと思ひ至ると、未だ己がデスらずにゐるのが不思議なくらゐだ。他人の不幸をお気の毒にと絶対安全圏から眺めてゐられる階層にない場合、小屋の暗がりに集ふ衆生に、更なるか最たる暗黒を叩きつけてどうする。他愛ない慰撫で包め、銀幕と尺一杯のオッパイで包め包め。と、時代に正面戦を挑んだつもりの、恐らくは小松公典主導の問題意識に一旦は臍を曲げかけた。ところが中盤、公園でのロングが映える大山と友香のラブ・ストーリーが、美しく大起動。何時詰んでもおかしくないオッサン―俺もさうだ、文句あるか―に目は見えないけれど若くて美人の彼女が出来る。それはそれとしてのファンタジーに、濡れ場の暗ささへさて措けば優しくも激しく癒される。何でだか知らんけど浮かれてるクソ親爺の様子に、友美が首を傾げる件が側面から微笑ましくて微笑ましくて仕方がない。演出力の確かさが何気に光る、さりげない名シークエンスではあるまいか。にも関らず、ところがところが。山本宗介が絶対的なヒールを一手に引き受ける、火に油を注いでドス黒い終盤には終に映画―と観客―に止めを刺す気かよと、呆れるのも通り越して腹を立て、るのは些か早かつた。
森羅万象に負けじとばかりに、世志男が遮二無二突つ込んで来る見せ場を経ての、サラッと撃ち抜かれる一言の台詞「代りなんかぢやないぢやん」。竹洞哲也が飛び込んで来た!これでは要は、森羅万象は噛ませ犬かよと思へなくもない点は兎も角、圧倒的なまでの北風展開を見事に穏やかな南風吹く結末に畳み込んでみせた。城定秀夫が繰り出す超絶技法に、抗し得るのは果たして誰かが今年も主要なテーマとならう、ピンク映画2016年戦線。
平川直大と里見瑤子がエモーションを賑やかに大爆発させる荒木太郎
に続いて、一撃の威力で竹洞哲也が飛び込んで来た!どうする加藤義一、何してる森山茂雄と田中康文。撮了した待望の浜野佐知新作は、大復活を遂げたデジエクなのか、それとも大蔵とヨリを戻したのか。何だかんだで、この期に風雲急を告げて来た。
竹洞哲也に話を戻すと、
二部作の後篇で大化けした前作
に続く近年稀に見る二連勝。次は二度あることは三度目のホップ・ステップ・ジャンプで、いよいよ何時の間にか
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