弁理士の日々

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新任の第8師団長はなぜ宮古島を空中視察したのか

2023-04-08 15:28:28 | 歴史・社会
安否不明の陸上自衛隊第8師団の坂本 雄一 師団長「地域に惚れたい」と語っていた【熊本】
4/7(金) TKUテレビ熊本
『沖縄県の宮古島周辺で消息を絶った陸上自衛隊のヘリコプターには、南九州3県や南西諸島の防衛を担う第8師団の坂本 雄一 師団長も搭乗しています。3月30日付で着任したばかりで、「地域に惚れたい」と抱負を語っていました。
【陸上自衛隊第8師団 坂本 雄一 師団長】
北海道旭川市出身の55歳。
日本列島を5つの区域に分けた方面隊のひとつ西部方面隊に属する第8師団の師団長は5000人を超える隊員を率い、南九州3県と緊張が高まる南西諸島の防衛を担う指揮官です。
近年、中国の艦船が頻繁に往来する宮古島海域での偵察任務にあたるヘリに搭乗していました。
第8師団は台湾や尖閣諸島情勢の緊迫化で『南西シフト』が進む安全保障の要ともいわれ、『鎮西機動師団』として、担当する熊本・宮崎・鹿児島以外にも展開する任務を担っています。』

熊本を拠点とする第8師団と、宮古島に駐屯する陸上自衛隊の部隊との関係がよくわかりません。最初は、「第8師団が宮古島駐屯地の陸自を管轄している」かと思っていたのですが、どうもそうではなさそうです。

西部方面軍、宮古島駐屯地の陸自、第8師団の関係について、ウィキペディアで調べて見ました。
宮古島駐屯地には、主に以下の部隊が駐屯しているようです。
・第15旅団隷下部隊
 ・宮古警備隊:主に陸上戦闘にあたる守備隊のようです。
・西部方面隊隷下部隊
 ・第2高射特科団
  ・第7高射特科群:03式中距離地対空誘導弾(中SAM)を運用して、島の防空を担うようです。
・西部方面特科隊
 ・第5地対艦ミサイル連隊12式地対艦誘導弾などを装備
  ・第302地対艦ミサイル中隊

上記の構成から、宮古島駐屯地に駐屯する陸上自衛隊部隊は、主に地対艦ミサイルで洋上の敵艦船を攻撃することが主任務であり、そのミサイル部隊を守るため、敵兵やゲリラ部隊の上陸には宮古警備隊があたり、敵ミサイルの迎撃には高射特科軍があたる、ということと理解できます。

次に、上記宮古島駐屯地の陸自部隊がどのような組織に属しているのかを、調べて見ました。すべての部隊は西部方面軍に含まれています。
西部方面軍
・第4師団
第8師団
第15旅団宮古警備隊
第2高射特科団第7高射特科群
西部方面特科隊第5地対艦ミサイル連隊

宮古警備隊は第15旅団に所属し、高射特科軍と地対艦ミサイル連隊はいずれも西部方面軍の直属です。宮古島駐屯のいずれの部隊も、第8師団には属していません。
それでは、着任したばかりの第8師団長は、何を目的に宮古島の視察を行ったのでしょうか。
第8師団は、九州南部に位置する3県(熊本県、宮崎県、鹿児島県)の防衛警備、災害派遣を任務とします。
宮古島を含む沖縄県は、第8師団とは別の、第15旅団の管轄です。第15旅団は、『沖縄地方の防衛警備・災害派遣などを任務としている。中期防衛力整備計画 (2005)に基づき2010年(平成22年)3月26日、第1混成団の後継として南西諸島の地理的特性を踏まえつつ、ゲリラや特殊部隊による攻撃やNBC攻撃、島嶼部に対する侵略、大規模特殊災害等の新たな脅威や様々な事態に迅速かつ実効的に対応できる体制を構築する一環として編成された離島型旅団である。』ということです。
一方第8師団は、『冷戦終結後は台湾問題、南西諸島有事が懸念され、担任区域に約960個の離島を抱える地域的特性がある本師団の重要性が増している。そのため、米国にて米海兵隊との島嶼(とうしょ)防衛に関する共同訓練を行なうなど地域特性に応じた能力の向上に努めている。
26中期防において「事態が生起した場合、必要に応じ、警備区域を越えて緊急展開する」ことを目的に、全国に先駆けて平成29年度末に即応近代化型師団から「機動師団」(1個即応機動連隊、2個普通科連隊基幹)に改編された。』とされています。
「事態が生起した場合、必要に応じ、警備区域を越えて、『沖縄県の宮古島まで』緊急展開する」ということでしょうか。宮古島は、「離島型旅団」である第15旅団の管轄です。宮古島有事の場合は、第15旅団と共同して、第8師団も宮古島防衛にあたる、ということになるのでしょうか。

それにしても、新任の第8師団長が、着任後5日しか経っていないのに、警備区域外である宮古島を視察しなければならない理由があったのでしょうか。この点に関しては、陸自ヘリ墜落、防衛省に「強烈な違和感」を抱いた理由…中国海軍空母が航行するなか、なぜ「重大事故」は起きたのか陸自ヘリ墜落への“不可解な疑念”…「第8師団長が搭乗」「事故と判明」防衛省の異例の発表で「深まる謎」の記事が目にとまりました。
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