弁理士の日々

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普天間問題

2009-12-29 21:38:53 | 歴史・社会
普天間、国外移設を否定=「抑止力の点でグアム無理」-鳩山首相
12月26日15時7分配信 時事通信
『鳩山由紀夫首相は26日午後、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先について「現実の中で考えれば、抑止力の観点からみて、グアムにすべて普天間を移設させることは無理があるのではないか」と述べ、米領グアムなど国外移設の可能性を事実上否定した。アール・エフ・ラジオ日本の番組収録で語った。』

普天間、米国無視あり得ぬ=同盟尊重し結論-鳩山首相
12月28日22時17分配信 時事通信
『【ニューデリー時事】インド訪問中の鳩山由紀夫首相は28日午後(日本時間同日夜)、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先選定をめぐりスタートした政府・与党の沖縄基地問題検討委員会での協議について「米国の意向を無視した与党合意はあり得ない」と述べ、米側の立場を尊重せざるを得ないとの認識を明らかにした。ニューデリー市内のホテルで同行記者団に語った。』

普天間検討委、1月中に候補地案持ち寄り協議へ
12月28日21時35分配信 読売新聞
『政府・与党は28日、沖縄の米軍普天間飛行場の新たな移設先を検討する「沖縄基地問題検討委員会」の初会合を首相官邸で開き、来年1月中に移設候補地の案を持ち寄って検討を本格化させることで一致した。
5月をメドに結論を目指す方針も確認した。しかし、現行案の米軍キャンプ・シュワブ沿岸部以外の移設先を探すのは困難だとの見方がなお強く、調整は難航が予想される。
委員会は平野官房長官が主宰し、政府側は武正公一外務副大臣と榛葉賀津也防衛副大臣、与党側は社民党の阿部知子政審会長と国民新党の下地幹郎政調会長らが出席。今後、1週間から10日間に1回程度のペースで開き、必要に応じ有識者らを加えることも確認した。
これに関連し、民主党の小沢幹事長は28日、国会内で新党大地の鈴木宗男衆院議員との会談で、「首相官邸の判断を待つが、沖縄の声はちゃんと聞かないとダメだ。あの美しい海に基地を造ることはやめた方がいい」と述べた。』


鳩山首相が「普天間の移設先は政府与党で決定する」「県外・国外への移設を検討する」と表明したのはついこの間です。その後現在まで、政府内で検討が深化した形跡はありません。従って、何らかの検討結果として首相の方針が変更されたということはあり得ないはずです。

私は、首相が国外への移設を望ましいと考えている以上、「沖縄駐留の海兵隊の全部を国外に移転することは本当に不可能なのか」という点を検討課題としているに違いないと思っていました。こちらでも書いたとおりです。それが26日の発言で、「現実の中で考えれば、抑止力の観点からみて、グアムにすべて普天間を移設させることは無理があるのではないか」と述べているわけです。何を根拠に考え方を変えたのでしょうか。
これでは「発言のブレ」と言われても致し方ないですね。

また、「普天間の移設先は政府与党で決定する」と鳩山首相が表明したとき、違和感を感じました。極東米軍の中の海兵隊をどのように配置するか、という点については、極東の安全保障の観点から考えるべき問題であって、当然ながら米国が持っている戦略を理解する必要があり、もし米国の方針と異なる案を提案するのであれば米国を説得する必要があるわけです。そのような問題について「政府与党で決定する」という言い方はとても不自然です。
それが28日になって「米国の意向を無視した与党合意はあり得ない」と言い出すわけですから、これについても「発言のブレ」としか言いようがありません。

しかし民主党連立政権の今までの対応の結果として、沖縄の人たちは「県外移転」で結束するものと思われます。今から元の案(辺野古移転)に戻すことは至難の業となるでしょう。パンドラの箱を開けてしまったわけで、鳩山首相はどのように収束するつもりでしょうか。

ところで、「嘉手納への移転」は、「有事の際に問題がある」というのが最大の障壁のようです。普天間の滑走路を残したままで嘉手納に移転し、有事の際は普天間を用いる、という案もあるようです。
辺野古移転を考えるのであれば、埋め立てではなく、浮き桟橋方式などを再検討してはどうでしょうか。
コメント
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