弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

日銀が新方針発表

2009-12-19 18:52:52 | 歴史・社会
この9月以降ですが、私は日銀のデフレ対応についての新聞報道を見てきました。
9月1日消費者物価2.2%低下
『日銀、追加緩和圧力を警戒
日銀が消費者物価の下落に頭を痛めている。
「政策金利はすでにゼロに近く「短期的に物価を押し上げる政策は持っていない」(水野温氏審議委員)。現行の企業金融支援などを続けつつ内需が回復に転じるのを待つしかない状況だ。』

11月20日デフレ克服のためにどうすべきか
『日銀は19・20日開催の金融政策決定会合で、政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を0.1%前後に据え置くことを全員一致で決定した。
マイナス圏内で推移している消費者物価(除く生鮮食品)に関しては「中長期的な予想物価上昇率が安定的に推移する想定のもと、石油製品価格などの影響が薄れていくため、下落幅が縮小していく」との見通しを変えなかった。
 ただ、物価をめぐっては、経済閣僚が相次いでデフレに対して懸念を表明するなど、政府と日銀とで認識にズレが生じているとの見方も出ている。
 経済協力開発機構(OECD)は19日、物価上昇率が確実にプラスになるまで、日銀は現行の超低金利を維持しつつ、量的緩和措置を効果的に実施するという強いコミットメントを通じ、デフレと闘うべきであると提言した。』

11月21日再びデフレについて
『日銀の白川方明総裁は20日記者会見し、設備投資や個人消費などの最終需要が大きく不足した状態では「流動性を供給するだけでは物価は上がらない」と指摘。デフレ克服に向けた資金供給の拡大に否定的な考えをにじませた。米連邦準備理事会(FRB)は現在、日銀のかつての量的緩和政策に匹敵する規模の資金を供給しているが「物価を押し上げる力は乏しい」とも語った。』
『総裁が追加融資の効果に懐疑的なのは、需要の弱さという「根本的な原因に働きかける」ことが今の局面では重要と考えているためだ。「家計の将来への安心感や企業の成長期待を確保することがもっとも大事」と述べ、現在の超低金利政策や潤沢な資金供給で「粘り強く支援していく」姿勢を改めて強調した。』

11月24日デフレ対策・もう一つ

従来の日銀は、「日銀としてやるべきことは既にやっている。デフレ対策で日銀が追加でできる政策はない」というスタンスのようでした。

ところが、日銀「新型オペ」の評価で紹介したように、日銀は12月1日に新たな金融政策(新型オペ)を発表します。金利は政策金利と同じ0.1%で、期間は3カ月。国債や社債、コマーシャルペーパー(CP)、証貸債権など「全ての日銀適格担保」を裏づけに資金を貸し出す。供給額は10兆円程度を予定しているというものでした。

そしてさらに12月18日に日銀は、日本のデフレについて日銀の金融政策方針を発表しました。
日銀が政策金利を現状維持、物価「ゼロ%以下は許容せず」
12月18日13時19分配信 ロイター
『日銀は17・18日開催の金融政策決定会合で、金融政策運営にあたり、各政策委員が、中長期的にみて物価が安定していると理解する物価上昇率について「消費者物価指数の前年比で2%以下のプラスの領域にあり、委員の大勢は1%程度を中心と考えている」と表現を変更した。
 これまでは「0─2%程度の範囲内にあり、委員毎の中心値は大勢として、1%程度になっている」だった。
 日銀は声明で、物価安定の理解の表現を変更したことについて「委員会としてゼロ%以下のマイナスの値は許容していないこと、および委員の大勢は1%程度を中心と考えていることをより明確に表現することにより、物価の安定に関する日本銀行の考え方の一層の浸透を図ることが適当との結論に至った」と説明している。』
『<緩和的な金融環境維持>
 日銀は「日本経済がデフレから脱却し、物価安定のもとでの持続的成長経路に復帰することが極めて重要な課題であると認識している」と指摘。金融政策運営に当たっては「きわめて緩和的な金融環境を維持していく」との方針を確認した。』

9月以降新聞でフォローしてきた日銀の姿勢からは、一歩踏み込んだように思われます。
もちろん、デフレに対する日銀の基本スタンスを示しただけで、具体的な政策については何も語っていません。しかし、私は日銀が「日銀はデフレと闘い、デフレを克服する決意である」ということを国民と市場にアナウンスすることそのものが、今は必要なのではないかと思います。その意味では、「日銀はやっと腰をを上げてくれたか」とほっとする想いです。
やはり、「政府と日銀の連繋で、デフレは克服される」という安心感を国民が持たない限り、国民は物を買おうという気持ちになりません。

ここに至るまでの表面的な動きを追ってみると、
11月5日 勝間和代氏が「マーケット・アイ・ミーティング」で菅直人国家戦略担当相に対し、雇用改善のために、大胆なデフレ克服策を訴えました。日銀が大量の国債を買い取ることで、通貨発行量を大幅に増やしてインフレを呼び込むというものです(勝間和代「リフレ論」が大反響 ネットで賛否両論が渦巻く)
11月20日 菅直人大臣がデフレを宣言し、藤井財務大臣もデフレ懸念に危機感を表明しました。
11月19日 経済協力開発機構(OECD)は、物価上昇率が確実にプラスになるまで、日銀は現行の超低金利を維持しつつ、量的緩和措置を効果的に実施するという強いコミットメントを通じ、デフレと闘うべきであると提言しました。

勝間和代氏が菅直人大臣を動かし、OECDも助け船を出し、その結果として日銀のスタンスが変わった、という時系列になります。
さて、本当のところはどうだったのでしょうか。
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