弁理士の日々

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民主党税調・普天間問題

2009-12-17 21:04:58 | 歴史・社会
《民主党が政府に要望》
暫定税率、実質維持へ=党要望受け方針転換-環境税導入は見送り・政府
12月16日21時31分配信 時事通信
「政府は16日、2010年度税制改正に向け最大の焦点だったガソリン税などの暫定税率について、実質的に維持する方向で調整に入った。民主党が同日、鳩山由紀夫首相に提出した予算・税制に関する「重要要点」で、「ガソリンなどの暫定税率は現在の租税水準を維持する」と要望したのを踏まえ、来年度廃止としてきた従来方針を大きく転換する。
 政府はこれまで、暫定税率廃止に伴う約2.5兆円の税収減を補うため、「環境税」の同時導入も検討してきた。しかし、党要望で「環境税は今後の検討課題」とされたのを受け、来年度からの導入は見送る方向となった。」

自民党政権時代、税制の検討については「政府税調」と「党税調」が並立し、むしろ党税調の力の方が大きいという問題を有していました。それに対し民主党連立政権は、「党税調を置かない」という方針を採り、税制の検討を政府に一元化したはずでした。

その政府において、一度は首相を除く閣僚間で「ガソリン暫定税率を廃止し、同時に環境税を導入し、ガソリンにかかる税金は現状を維持する」方向でまとまりかけていたのを、鳩山首相がひっくり返し、暫定税率廃止のみを実施する方向で進んでいました。
その鳩山首相のやり方も「マニフェストを墨守するのみで現実離れしている」と思っていました。
それが今回の民主党の要請です。
いきなり結論を突きつけて政府の方針をねじ曲げようとしています。党方針の議論の過程が全く開示されていません。これでは、自民党政権時代の「党税調」よりもたちが悪そうです。

結局、「来年4月には取り敢えずガソリンを安くしよう」と考えていたのは鳩山首相一人であり、小沢幹事長もそれに反対だったことが明らかになりました。何で鳩山首相はそのことに気付かず、一度は閣僚間で合意に達した「暫定税率を環境税に置き換える」という方針を蹴飛ばしたのでしょうか。


《普天間問題》
私は軍事問題に詳しくないので、沖縄に駐留している米国海兵隊が、グアム移転予定の8千人を除いて沖縄に駐留し続ける必要があるのか否か、判断がつきません。
中国が軍事力を伸張し、北朝鮮が核開発とミサイル開発を進めている中、東アジアで同盟関係・友好関係にある日本・米国・韓国・台湾の安全保障をどのように保持していくのか、その議論が不可欠であることはわかります。
今ここで日米同盟関係に亀裂が入り、その結果として沖縄駐留米軍が撤退するような事態となったら、それは真の軍事力の低減ということよりも、中国や北朝鮮に対して悪いアナウンスになることは間違いないでしょう。中国と対峙する台湾、北朝鮮と対峙する韓国のいずれも、固唾を呑んで日米の交渉を見守っていると思われます。

しかし、民主党連立政権の「県外、国外移設」議論において、「東アジアにおいて米国と同盟関係・友好関係にある国々の安全保障の観点から、沖縄の米軍軍事力はいかにあるべきか」という議論がなされている形跡がありません。

それにしても、民主党連立政権発足以来、この問題について首相がどのような方向で米国と同意に達しようとしているのか、全く見えません。見えているところから推測する限り、米国に提示する対案を全く持っておらず、その日暮らしをしているように見受けられます。

米国は表向き日本政府の置かれている立場を考慮し、静観する姿勢を示しています。しかし米国政府内の一人一人は、はらわたが煮えくりかえっているのではないでしょうか。
アメリカ人を怒らせると恐い、という実感を私は持っています。
日本がバブル景気の頃、アメリカ経済は疲弊していました。そのとき日本人は、「東京の地価でアメリカ全体が買える」だとか、「アメリカ人は勤勉でないから米国は停滞している」といった発言をしていました。アメリカ人は怒っていたと思います。日本のバブル崩壊後の停滞は、その怒れるアメリカ人にしてやられたのではないか、と勘ぐっているのです。
今後、日本と日本人は、今回の件によってアメリカとアメリカ人から手痛いしっぺ返しを受けるのではないか。それが恐いです。
コメント (7)
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