弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

弁理士制度小委員会

2006-09-22 00:00:41 | 弁理士
9月19日に産業構造審議会知的財産政策部会 第4回弁理士制度小委員会が開催されていて、その配付資料が特許庁ホームページに公開されました。

  議事次第
2.弁理士試験制度の在り方について(論点整理)
3.弁理士研修制度の在り方について(論点整理)
4.弁理士法に規定する業務について(論点整理)
5.弁理士の懲戒制度等の在り方について

資料1 弁理士試験・研修制度の在り方について(論点整理) が、事務局が準備した主要資料ですね。

各項目ごとに、1.現行制度の概要、2.問題の所在、3.論点、4.議論の整理、5.対応の方針、の項目建てになっています。この中で、「5.対応の方針」が、事務局が考える結論のようです。

各項目の対応の方針から、結論らしきものを拾ってみましょう。

Ⅰ.弁理士試験制度の在り方について
(1) 弁理士試験の範囲について
 論文式試験に条約科目を復活させる必要性は十分であるとはいえない。

(2) 知的財産専門職大学院に係る試験免除について
 知的財産専門職大学院については、・・・仮に当該免除制度を導入する場合には、十分な能力レベルを維持していると認められる大学院のみを対象として、短答式試験における工業所有権法のみを免除対象とすることが妥当である・・。

(3) 法科大学院に係る試験免除について
 論文提出を要件とすることなども考慮しつつ、弁理士試験の論文式試験についての一部免除を検討していくことが妥当。

(4) 短答式試験及び論文式試験の合格者に対する次回以降の試験免除について
 一度短答式試験に合格して相当の知識を有していることが認められた者については、所定の年数(例として2年)短答式試験を免除することは合理的。

 論文式試験についても、・・必須科目と選択科目とで個別に合否を判定しても問題は生じないものと考えられる。
 ただし、必須科目については、・・免除は所定の年数(例として2年)とし、選択科目については、・・既合格者に対する免除についても永続的に認めることとすることが妥当。

Ⅱ.弁理士研修制度の在り方について
 基本的に弁理士に対する研修の義務化は必要である。
 登録要件としての研修とする案と登録直後の義務研修とする案それぞれの制度導入による影響も考慮しながら、更なる検討が必要。
---以上---

事務局の考えどおりの結論が出されるのかどうか分かりませんが、もしそうだとしたら以下のような方向です(通常の受験生への影響)。
1.論文試験への条約の復活はなさそうですね。

2.一度短答式に合格すると、2年間(翌年と翌々年?)は短答式を受験せずに論文試験を受けることができます。
 また論文試験の必須科目については、多分各科目ごとに、一度合格すると2年間はその科目を受験する必要がなくなります。
 このような免除制度が、受験生にとって吉と出るか凶と出るかは、始まってみないと分かりません。
 各受験生が、最初は短答式に全力を投球し、短答式合格の年には論文試験はあきらめ、次の年に論文試験に全力投球する、といった勉強スタイルが考えられます。このようなスタイルが主流になると、短答式と論文試験を同じ年に合格してしまおうとする短期合格狙いには不利になります。
 免除制度が生まれた結果として、短期合格者が増えるのか減るのか、そしてそれが受験者への負担減となるのか負担増となるのか、長い目で観察する必要があるでしょう。

コメント
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