弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

ローマ人の物語

2006-09-11 00:01:13 | 趣味・読書
塩野七生著「ローマ人の物語」を文庫で読んでいます。
現在26巻まで発行されていますが、単行本の様子からするとまだ全体の2/3程度までしか進んでいないようです。以下に、発行済みの分(文庫本)について、巻別にタイトルと発行日を記します。

 巻  タイトル           発行日
1~2 ローマは一日にしてならず   H14.6
3~5 ハンニバル戦記        H14.7
6~7 勝者の混迷          H14.9
8~10 ユリウス・カエサル(ルビコン以前)H16.9
11~13 ユリウス・カエサル(ルビコン以後)H16.10
14~16 パクス・ロマーナ       H16.11
17~20 悪名高き皇帝たち       H17.9
21~23 危機と克服          H17.10
24~26 賢帝の世紀          H18.9

1年ぶりに24~26巻が発行されたので、買ってきました。しかし何年もかけて読み進んでいるし、如何せん大変な分量なので、以前読んだ部分については記憶が朦朧として話が繋がりません。
そこで、新書で出ている青柳正規著「ローマ帝国」(岩波ジュニア新書)を買ってきて、この本で復習することにしました。

新書本の年表をたどると、古代ローマは以下のような推移でした。

BC753 ロムルスによるロール建国
509 王政から共和制へ
~290 イタリア半島の統一
264~146 第1~第3次ポエニ戦争
 (カルタゴのハンニバルとの戦い、スキピオの活躍)
~ 60 グラックス兄弟、マリウス、スッラらが輩出し混迷
60 カエサル、ポンペイウス、クラッススの第一次三頭政治
~ 51 カエサルがガリア(現フランス、ベルギー、イギリスの領域)に遠征して属州化
49 カエサルがルビコン川を渡る
48 カエサルがポンペイウスを破る
44 カエサル暗殺される
31 オクタヴィアヌスがアントニウス・クレオパトラ連合艦隊を破る
BC 27 オクタヴィアヌスが「アウグストゥス」の称号を得て元首制を開始
AD 14~ アウグストゥス死後、皇帝はティベリウス~カリグラ~クラウディウス~ネロ~3名の皇帝を経て、
69~ ヴェスパシアヌス~ティトゥス~ドミティアヌス
96~ ネルヴァ~トラヤヌス~ハドリアヌス~アントニヌス・ピウス~マルクス・アウレリウス(五賢帝時代)

近代に至るまでどこの国でも、国の統治機構といえば、世襲制の王による統治以外はほとんど思いつきません。ところが古代ローマでは違います。
ロムルスによる建国(伝承)から200年以上王政が続きますが、王政といっても世襲ではなく、1代限り終身です。BC509に共和制が始まり、カエサルに至るまで400年以上続きます。共和制は、1年任期の執政官が2名、貴族の中から選出され、ローマを統治します。
なぜ世襲王政ではない統治機構でスタートしたのか。疑問はまだ解けていません。たまたまロムルスがそれで始めたからだろうか?などと考えています。

そして、このような統治機構(王政に続いて共和制)の下、まずはイタリア半島を統一し、カルタゴとの戦い(ポエニ戦争)を戦い抜いて勝利し、その後は地中海世界で第1の強国となります。どの国と戦ってもローマが勝ちます。

この時代のローマの特徴は、イタリア半島で他の部族との戦いで勝利しても、その部族を支配するのではなく、ほぼ対等の資格でローマ陣営に組み込んだことです。また、他国との戦いでも、概ね侵略的ではなく、平和維持的です。抜群の強さを含め、現代における米国を彷彿とさせましたが、これは私の思い過ごしでしょうか。
ただし、上記のイメージは塩野七生氏の著作からのイメージです。

青柳正規著「ローマ帝国」では、イタリア半島の統一にしても、ローマによるイタリア半島の征服史としてイメージされます。
どの国でも同じですが、ある王朝による国の支配の完成を、国家統一の偉業と見るか、それとも被征服民に対する侵略と見るかは表裏の関係ですね。
被征服民の誰の目で見るかによっても違います。被征服民の元支配層にとっては、支配権を奪われる侵略でしょうが、被征服民の下級層から見れば、誰に支配されようが関係なく、国が統一されて平和になり、生活が豊かになるのであれば、国家統一の方が歓迎でしょうね。

新書本ですが、残念ながら、ローマがたどった歴史の中における登場人物一人一人の躍動感は伝わってきませんでした。この薄さですからそれはやむを得ないですね。さらに、塩野七生氏の「ローマ人の物語」とは歴史のとらえ方に差があるためか、新書本の記載から「そうそう、そうだった」と塩野版の中身を思い出すこともできませんでした。
取り敢えず、塩野版の24巻から読み始めることにしましょう。
コメント
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