脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

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12月の右脳訓練ー美術展二つ

2019年12月26日 | 私の右脳ライフ
上京の折に、ゴッホ展に行きました。東京での展覧会となると、朝一番に行くのが一番安全。入場券を買うにも、入場するにも並ぶことも多々ありますよ。
最近私はネットで入場券を求めて、スマホで入場してしまう方法にしています。
写真は不可ですから、出口で用意されていたこの写真で。展覧会の様子は伝えらませんがゴッホ展ということはわかりますね。アルチンボルド展の時にもこのような趣向がありました。
展覧会は、ゴッホの作風の変遷が分かりやすく展示されていました。ハーグ―パリー南仏と居を変えるたびに大きく変わっていきますが、わかりやすく納得できる作品がそろっていました。印象派の作品展示のコーナーがあって、確かに影響を受けたのだと改めて思いました。刺激を受けつつ、自分らしさの表現にこだわる芸術家の苦しさにも触れられていました。単体でのゴッホの作品は見る機会が多いのですが「ゴッホ展」と銘打っている以上、もう少し作品が見たかったような気がします。
むかし、西洋美術館で開催されたゴッホ展に行きました。その時に見た「麦畑にカラスが飛んでいて、その麦畑も空も不安感を見事に表現している作品」の印象があまりにも強く心に沁みついていました。
私の中では、壁一面の大作のイメージでしたが、一応確認してみたら作品名は「カラスのいる麦畑」1890年7月に描かれた51センチ×103.5センチの油彩だということがわかりました。
私のイメージの作品との落差にびっくり!孤独感や苦悩を体現したような「カラスのいる麦畑」の印象をもって鑑賞したものですから、少し肩透かしにあったような気がしました。
入場するときはスムーズでしたが、帰るときには結構な人が並んでいました。

10時前に上野に着くためには、伊豆高原で朝焼けを鑑賞するくらいの時間に出発するのですよ。12月21日で冬至の前日でしたから夜明けは遅かったのですけれど。駅前にレストランミクニがオープンしました。

小雨の日曜日、S塚Y子さんと近況報告をしあっているうち、「湯河原町立美術館」へ行くことになりました。
一番の目的は新しくオープンしたカフェにそそられたのです。
Y子さんは併設の「平山礼二館」に行ったことがないというので、もちろん鑑賞時間も考えていましたよ。
ところが、思いがけず特別展がすてきだったのです。型染作家高田正彦追悼展。

芹沢銈介に師事し湯河原にアトリエを構えたことを知りました。残念ながら去年お亡くなりになったそうですが。

干支の板絵。観ていると笑顔になってしまいます。

抽象的な作品から、湯河原転居の後は自然へと目を向けた作品に変わっていったそうです。

どの作品もデザイン化されているのですが何の植物かわかるのです。万両と山葵。

斬新。

会場の一角には、型染の実際が手に取るようにわかる展示がされていました。
小・中・高校のクラスメートが、九州で型染作家になっていますので、彼女のことを思いながら、またとないチャンスとうれしかったです。
まずはスケッチしてデザイン化。下書きし、型紙を彫って(細かく大胆な作業)、染めて(これも大変)、色止めをして。

染める作業は繰り返しも必要です。糊を取り除くには一日水につけるのですって!それからさらすのですね。

M田H子さん。素敵ねえと思っていましたがこれほどの過程があったとは。はるかに離れて暮らす友人にも思いをはせることができました。
ゴッホ展は、計画して行った展覧会でしたが、この型染展はひょっこり出会った展覧会でした。
企画される方たちの右脳に感謝です。




12月の右脳訓練-幕田凱旋展

2019年12月24日 | 私の右脳ライフ
ひさしぶりに上京しました.
高校同期の書家幕田魁心さんの個展。といっても普通の個展とはちょっと違うのです。
フランス社会功労奨励勲章王冠付(金)勲章を授与されたということで、今秋パリで個展を開いたのです。しかも二度目!その凱旋記念展を渋谷ヒカリエで、というお知らせをいただいて、戸畑高校の同期生に声をかけて集合!

かわいい後輩も来てくれました。

作品はカラフルで躍動的で「書というよりも絵画のよう」と思います。でも近くによってみてみると鮮やかな筆の力がみなぎっていて「絵画じゃない!」
幕田さんの解説を聞くと、3000年~4000年も前の、中国の文字ですって。
ですから作品の題そのものにみんな意味がありました。
上の写真の右端赤地の作品は「楽」

オープニングパーティのひと時に、気持ちのこもった解説がありました。
ちなみに、上の写真の左端は「ナポレオン(馬に乗った人)」です。
こういう展覧会では、作品との出会いとともに人との出会いも楽しみです。
幕田さん、楽しそう(笑)

たまたま福岡県同郷ということだけでお話が盛り上がってしまった山下浩二さん。
電気自動車がご専門の柱らしいということはわかりましたが、話題の幅の広さに驚きました。そして楽しくお話してるだけなのですが、どこか古武士を思わせるような筋の通った生き方を感じてしまうのです。

「日本の持ってる発想やモノづくりの力はとても優れているし、守って世界に発信させなくては。だからボクは特許事務所も法律事務所も持ってる」この考え方もいいですね!
話は「脳の働き」に移っていきました。
「男性脳と女性脳。会社がうまくいくには女性脳が必須」とおっしゃいましたから、「それは左脳、右脳のことかもわかりません」といいながらいつものように前頭葉の話になりました。
山下さんは「面白い、これは初めて聞いたよ」と身を乗り出してくださいました。
楽しい時間は一瞬です。とっても脳が活性化されました。
お別れの前に写真撮影ということになりました。その時「ボクはこの作品が一番好き」とサッサとお気に入りの作品の前に移動されるところが、さすが。好みがはっきりしているということは前頭葉が豊かな人のひとつの特徴かもしれません。TOPに応じて、その好みを直接的に出したり出さなかったりはするのですけれど。

その時になって背広の胸元のバッジが気になりました。
そこで質問しました。
「SDGのシンボルマーク。多方面から環境保護を考えるという象徴」と即答。
「お写真撮ってもいいですか?」少しも嫌なお顔にならずポーズをとってくださいました。古武士のような一本の筋を感じるとともに、この柔軟さも魅力の一つだと感じ入りました。

「右は?」とずうずうしく質問を重ねます。
「これは電気自動車のような発想を持つことが社会に幸せを運ぶという意味だよ」

すてきな作品に触れたこと、懐かしい友との会話、新しい魅力的な方との出会い。
やっぱり、外へ出て活動することは脳のためにいいですね!
幕田さんの個展は、12月30日まで、会場は渋谷ヒカリエ8階cube8です。



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「大ボケでも言ってることは筋が通ってる」-ホント?

2019年12月16日 | 二段階方式って?

久しぶりの友人(Aさん)宅訪問。ちょうど彼女の友人夫婦(Bさん)も来て一緒に楽しいランチ会。
Bさんのところには97歳のおばあちゃんがいることもあって、初めてお会いした時から「認知症」が共通のテーマですぐに親しくなりました。経過を考えると残念ながら今は大ボケに入っている可能性が大きい。もし中ボケにとどまっているとしても下限に間違いありません…
2017年、ハワイで出会ったクリスマスツリー。

お会いしたとたんに、Mr.Bが話し始められます。
「まったく、うちのおばあさん。しゃべらせたら筋の通る話をするんだから!今朝の出来事なんだけど、手を見ながら『こんなにまあ細くなってしまって…』というものだから、なんと慰めようと言葉を選んでいたら、続けてこんなことを言うんです。
『お母さんが何も食べさせてくれないもんだから。こんなに細くなってしまった』
もう腹が立って、『何言うんだ!そんなこと一度もないだろう!嘘ばっかり言うんじゃない!』と殴りたくなってしまったんです」
ああ、予想通り。
「食事をしたことをすぐに忘れる」ということは二段階方式ではもう大ボケに入ったということを意味します。前頭葉機能は極端に低下し、脳の後半領域の認知機能も30点満点でそろそろ一桁しか動いていないレベルです。
Mrs.Bも続けます。
「あれこれ大変なんだけど、いうことだけはしっかりしてるでしょ?筋が通ってるでしょ。『こんな癒せてしまった。なぜかというと食べさせてくれないから』
他の人が聞いたら『まあ、ひどい!』って思うでしょうね」

そこで私が言いました。
「どうして?
『食べさせてくれない』ということが大きな間違いでしょ!現状の一番大切な認識が間違えていて、つまり根本が理解できてない訳でしょ。としたら、何を言ったとしても『それなりに筋が通ること』じゃないんです」
Mrs.B「どうしても、いわれてることで判断してしまうの。ちゃんとした日本語の文章なんだもの。
それと、ほんとにしっかりしたおばあさんだったし。尊敬するところもいっぱいあったし、ボケてると思いたくないという気持ちもある…」
私「それでショックを受けないのならいいんだけど。『ご飯もおやつも食べさせてあげてるのに』と悔しいやら、悲しいやらじゃないの?」

たまに会うだけですが、何度もこういうやり取りを繰り返してきたのです。
2018年4月「ここでも認知症が進行中」の後半にこのおばあさんのことを書いてありますので、この記事を再掲しておきましょう。

実は今日、もう一人の友人からも電話がありました。
「だって、ほんとにしっかりしたことを言うのよ、とってもボケてるとは思えない」
「そうね。お話はね。でも、本当に状況が理解できていたらそういうことは言わないという見方はできないかしら?それからやってることはどう?」
2013年にこんな記事を書いています。このおばあさんのその後です。

小ボケの症状2  
(これはまだ小ボケだったころのエピソード。どういうことに対して、家族が「あれ?なにかおかしい。まさかボケじゃないと思うけど」と気づくか。そしてなぜこういうふうに脳の老化が加速してしまったかも解明してあります)

この時から5年たってます。この時小ボケですから、今はもう大ボケに入ってもおかしくはないタイミングです。このおばあさんはとてもよく働く方ですから(つまり、ボーと居眠りばかりするのではなく体は動かすタイプ)進行は遅めであったとしても、中ボケ下限は覚悟しなくてはいけないでしょう。
聞かされる症状から言っても、脳機能はかなり低下しています。

便通のコントロールがうまくいかないために、結構大変な事件がよく発生するというのです。
『悪いねえ』という発言をすることもあるのですが、だからと言って何かを工夫するとか、努力することは一切ない!変です。
一方で「お前だけに面倒を見てもらう訳にはいかないから、次女にも連絡しておくれ」と全く正常な発言(友人の弁)があるといいます。「電話しておくれ」と大騒ぎしてもつながらず、後につながったら「あんた、最近ちっとも顔ださないねえ」と普通の世間話の口調でやり取りしたそうです。
「顔を出さない」という会話は筋が通ってる訳ですが、「次女に面倒を見てもらう」という前提での大騒動は吹っ飛んでしまっているところがおかしい・・・
レベルを納得してもらうように説明するのですが、その時思いがけない抵抗にあいます。
「ディに行く前になると、めまいとか頭痛とか訴えるから、ついつい休ませてしまう」といいます。
私「今の前頭葉機能では状況判断はできないのだから、おばあちゃんのために必要ならばその判断は家族がするべきよ。中ボケレベルの脳機能になってしまったら、それはちょうど幼稚園のこどもと同じくらいの判断力だと思えばいいの。自分の将来を考えて今の行動を決められるわけがない」ときつく言ってみても「でもねえ。ほんとに普通のことを、言う時は言うのよ」
「でも脈絡ないでしょ」と話は堂々巡りです。

最初のやり取りが、大ボケ。
ここに再掲したのが中ボケ。
そして、小ボケの症状2 を開いてみてください。ボケ初めにおきるエピソードです。 


脳機能という物差し②

2019年12月11日 | 二段階方式って?
前稿で「症状だけで理解するのではなく、脳機能という物差しを当てて正確に理解する」大切さを話しました。
実はこの保健師さんとの久しぶりの会話には続きがありましたのでご報告。今日は逆の話をすることになりますが。
同居されているご両親のことです。
A保健師さん「元気なんですけども、何しろおじいさんは94歳、おばあさんは91歳ですから、気にはなります。かといって特別手がかかるというのではなくて、毎日リンゴ山に行ってくれてるんですよ。車でないと無理なので車を運転していきますが、ちょっと心配」
私「大丈夫?お体は問題ないのでしょ?」
A保健師さん「年齢にしたら元気な方だと思います。ただちょっと。以前に比べたらおじいさんらしくないというか、ボーとしてることもあるし、同じことを言ったりもするし、どこか気になるところがあります。そうですね、表情もないし話にも乗ってきませんしねえ。
おばあさんも、以前ほど元気ではないのですが、おばあさんの方がまだしゃっきりしてますね。だからリンゴ山へ行くときには、必ず二人で行ってもらうようにしてるんです」
こういう話を聞くと「90歳を超えた老夫婦ならば元気な方だろう」と思いませんか?
私たちには、一般的に関係する高齢者が「よりよくあってほしい」という気持ちが根底にあるのですね。家族から「気になること」を訴えられても、よりよいことに目を向けて、そのことを重視し「お歳の割にはお元気じゃないですか!」といってしまう…
それがその高齢者を大切に思っていることの表れだと思っているに違いないと、私は思います。
生活上気になることが、誰にでも起きる正常老化の範囲ならば何の問題もありません。もちろんそれを厳密に区別するためには脳機能検査が必要になります。
生きていくうちに、あまりにも大きな出来事が起きてしまい、その変化のために生きる意欲を失ってしまう。それまで生きてきた生活ができずに、生きがいもなければ、趣味も交遊も楽しまない、運動もせず何もせず、ボーとしている。そんなナイナイ尽くしの生活が続くと、司令塔である前頭葉は出番を失って使わないから老化が進むことになります(廃用性機能低下)。これが認知症の始まりなのです。
世の中では、認知症というと上図でいえば大ボケのことを言っています。
セルフケアもできなくて、夜中に騒いだり徘徊したり家族のこともわからなくなっている…
ちょっと考えると、今日まで元気だった人が突然大ボケの症状を出さないことはわかるでしょう。大ボケの前には、中ボケが、中ボケの前には小ボケがあるのです。
ここから先は、脳の機能のことを知っておかないといけません。
最近ようやく高次機能障害という言葉が通用するようになりました。脳卒中や事故などの後遺症で、左脳の失語症や右脳の構成失行など後遺症が残ったときに使われます。ちなみに今までは後遺症といえば、運動の脳の障害、つまりマヒがあるかどうかだけに目が行っていたのです。
このような考え方から言えば、前頭葉機能は最高次機能といわなくてはいけません。
脳が老化を加速し始めるとき、最高次である前頭葉機能から始まるということも、納得できることだと思いますが。もっとも基礎的な機能から低下するというのは無理があります。
興味深いグラフを見てください。これはある地区の高齢者の約80%に対して、個別に脳機能検査を実施した結果です。(231人/303人)

縦軸のMMS検査は、アメリカで開発された簡易な認知機能検査で、左脳と右脳の働きを調べます。三頭建馬車でいえば、馬の働きです。カットオフ値は24と23の間に置くのは世界中で共通で、つまり24点以上あれば合格ということですね。
実は、世の中の認知機能検査はすべて馬の働きだけを調べるものなのです。
横軸は、御者である前頭葉機能(注意集中分配力)を調べています。
MMSだけ実施して24点以上と安心してはいけません。24点以上ある人たちの中に、前頭葉機能検査が不合格になる人たちがいるのです。
脳機能がこの状態の人たちが、小ボケ。脳の司令塔である前頭葉がうまく働いていませんから
・同時にいくつかのことがさばけない
・発想がわかず計画もたたない
・無表情、無感動で居眠りが目立つ
・同じことを繰り返し言う などの症状が出てきます。
繰り返しますが、MMSだけしか実施しなければ、見つかることのない人たちです。

話を聞きながら、「さすがに保健師さん。おじいさんの前頭葉機能がうまく働いていない症状には気づいているから、ちょっと気になっている。ただ、身近な人すぎて、
それが小ボケ、認知症の始まりとまでは思っていないだろう」と思いました。
小ボケは3年間くらい継続しますが、リンゴ山に行っているくらいですから少し控えめに質問しました。
私「1~2年前くらいに、それまでと生活が変わるような大きな出来事があったでしょう?」
A保健師さん「娘を亡くしました。ガンで闘病してたんですが、今年の初めに」
私「それは・・・一番悲しいことですものね・・・今までのようには生きていけないというのはわかりますよね。このことはおばあさんにとっても大きなダメージですよね」
A保健師さん「そうですね。おばあさんも落ち込みました。ただ孫一家が同居を始めてくれたので、3歳と1歳のひ孫たちの世話もあるし、かわいいしで気持ちを持ち直すには一番効果的だったと思います。
おじいさんも、ひ孫をかわいがってくれるんですが、おじいさんの方が状態が悪い原因があります。
胃ガンが見つかって治療をしたんです。それも今年。早期発見できれいに切除できたといわれて一安心しました」
私「治療がうまくいったので再発の恐れは感じてないにしても、食べ方に慣れるまでは何かと大変だろうし、意欲低下が起きても仕方ないわよね」
A保健師さん「今年は甥も亡くしたし。落ち込んでいましたが、そんなに影響したとは」
私「自分より年若い人との別れは、生きる意欲をそぐものよ。もちろん関係が密かどうかによっても違うけど。甥御さんでも遠くに住んでいてたまにしか会わない甥と、近所に住んでいて、小さい時から交流が深い甥とは全然違うし・・・」
A保健師さん「あ、近所に住んでいました。リンゴ栽培の指導者で自慢の甥だったんです」

脳機能検査は必須なのですが、脳機能から症状を理解する習慣を身に付けていると、症状から脳機能の類推ができます。
そうするとナイナイ尽くしの生活がどのくらい続いてその脳機能レベルになったのかがわかります。その「きっかけを一緒に考えること」が生活改善への、最も近道の第一歩だと思います。
94歳でリンゴ山へ行くほどの方ですから、きっとかくしゃくで鳴らしていたはずです。「ボーとしていたら必ず引き立てるような働きかけをする。おしゃべりでもおやつタイムにしても。やってくれたことに対してははっきりと感謝の言葉を伝える。もしゲームができれば勝ち負けがあることがとても脳を刺激するけど。
一番大切なことは、脳の元気をなくしていることを伝えるべきで、理由もはっきりさせてあげる。娘や甥との別れ、病気。そしてこの状況に負けていきいきと生きていかなかったら、脳はますます元気を失うことになる…ちゃんと理解できるのが小ボケなんですから。がんばってね」
長い電話が終わりました。


脳機能という物差し①

2019年12月09日 | 二段階方式って?
A保健師さんからリンゴが到着。立派なリンゴで見とれてしまいました。同封のカードで近況もわかりましたが、それにしても久しぶりだったので、懐かしくて電話でお話ししました。

若々しい、ふっくらしたお顔が胸いっぱいに広がっているのに、もう退職して3年もたつとは!
退職して3年。もし何もしていなければ小ボケですが(笑)、「グループホームの第三者評価委員や保護司をしながら、家庭では果樹農家と孫育てや高齢の親たちの世話をしています」この生活状態からは、脳の老化が早まることはほとんどないといえるでしょう。
それでも一応聞きました。認知症予防活動に携わった保健師さんですもの。
「忙しい毎日が目に見えるようだけど、そしてお元気なことは十分わかるけど、もしこの生活でで認知症が始まるとしたら、どういうことが考えられるでしょうね…
この生活が嫌で嫌で仕方がない。親の世話がなかったら。孫の面倒を見なくていいのなら。果樹農家の忙しささえなかったら。もちろん保護司もグループホームの評価委員も負担で負担で仕方がない。こういう気持ちで毎日を過ごすと、外からみたら『毎日忙しくてうらやましい。これじゃあボケる暇なんかないものね』といくら言われても、脳は老化を速めます。評価するという働きは前頭葉だから、自分の生活を肯定的に見られないとしたらだんだんに意欲低下が起きてくるに決まってるでしょ」
(写真は11/25撮影)

笑いながら「それは大丈夫。思いがけず息子たちが同居することになって、1歳と3歳の孫もりしてますが、かわいいものですね。両親も毎日リンゴ山に行ってくれているし」
私も笑って「それは良かった。『転ばぬ先の杖』過ぎたわね。それとは別にちょっと気になることがあるんだけど」と続けました。

「カードの本文をパソコンで打っていたのがちょっと気になったのよね。ふつうはこのくらいの長さなら肉筆で書くでしょう?そして表を見たら、振戦(ふるえ)があるじゃない?まさかパーキンソン症候群なんて言われてないでしょうね」
A保健師さん「受診したんです。いろいろ検査してもらいましたが『書痙でしょう』って」
私「パーキンソン病の人を長く見続けたことがあるけど、書字は下に行くほどだんだん小さくなることが多いのよ。
高齢者が『無表情、小刻み歩行、震え』などで受診して『パーキンソン症候群』と診断されることがよくあってね。そのとき『パーキンソン』まで聞いて『パーキンソン(という病気)なんだ』と妙に納得してしまうの。
ほんとにパーキンソン病なら、その治療を始めることになるでしょ。薬物療法ですけど。パーキンソン症候群の人には、ドクターはLドーパ出されたりしないはずなのにね。
そうそう。ほんとにパーキンソン病の場合は、手首でも肘でも首でも関節を逆の手で触りながら動かしてみると、歯車のようなカクカクした動きも伴うのよね。ちょっとやってみてごらんなさい」
A保健師さん「あ、カクカクしません」
私「パーキンソン病じゃないんだから、当たり前」と笑いあいました。
そして、「書痙はストレスからでしょう」と診断されたそうです。
私は「もう書きたくない!って言えないから書けなくなったんじゃないの。『私震えてうまく書けないから書いて』って言えない?」
A保健師さん「とっても言えない。だって恥ずかしい…」
私「脳が働いていないときは『書けない」のじゃなくて『何を書くのか判断できない』のだから、違うでしょう。脳が働いていないなら恥ずかしいかもしれないけど」

私「問題は小ボケの人は、無表情だし、歩き方がトボトボしてるし、意欲的でないし。症状がまるでパーキンソン病に重なるようなところがあって、病院で『パーキンソン(症候群)』といわれてしまうと、納得するのかあきらめるのか、小ボケを撃退できる生活改善をしない!そうすると脳を使わないから老化がどんどん加速して、小ボケから中ボケになっていってしまうのね。
ほんとうのパーキンソン病の人は、姿勢保持ができないので体は二つ折りみたいになって、もちろん無表情で、すくみ足になって最初の一歩が出ないなんて言う症状もあって、横断歩道が赤なのに突進したりするので一見したらボケてるみたいにいわれるけど、脳機能を測るとなんとMMSは合格するの。長くフォローした人はさすがに前頭葉機能は不合格になっていったけれど」

私「その脳機能を持たせた人は、家業が餃子屋さんで、息子が配達するときには、必ず車に同乗して回って挨拶していたというの。考えさせられるでしょ」

日常生活で現れる様々な症状は、脳の働きの結果です。だから症状をよく観察したり理解することで、脳がどのように機能しているか類推することはできるのですが、このパーキンソン病やパーキンソン症候群(小ボケ)のように似通った症状を持つときには、症状だけの観察や理解にとどまらず脳機能という物差しを当ててみることが大切です。
「大切」では不足。「必須」になってほしいと切望しています。






歯科受診のついでに大嘗宮参観

2019年12月05日 | 私の右脳ライフ


「皇居東御苑に作られた大嘗祭(だいじょうさい)の舞台である大嘗宮(だいじょうきゅう)の一般参観が11月21日に始まった。大嘗宮の公開は、11月21日から12月8日の18日間」というニュースに、わざわざ上京してまで参観するほどの意欲は、さすがにありませんでした。
ところが12月4日に急に歯科受診の予定が。私は東京駅近くの東京日本橋歯科にお世話になってます。そこでもう一度情報整理をしてみました。
「天皇陛下即位の時に一回だけ使われ、壊されてしまう40棟近い建物群。総費用9億5700万円で清水建設が受注し、清水建設社内にとどまらず、全国の名だたる宮大工の棟梁が集結し作り上げた。材木を皮付丸太のまま使用する黒木造りと呼ばれる古代の工法そのまま踏襲」(清水建設HPより)などなどちょっと調べたら興味深いこと! 
黒木造りが納得できる鳥居

この大嘗宮にたどり着くまでの困難さにも触れておかなければいけません。
実は「皇居乾通り一般公開」が春秋行われています。ちょうどその期間と重なっているので、人出の多いことは覚悟していました。
春行ったときには、東京駅から大回りだったことを思い出し、検索検索。桜田門経由にしました。
かれこれ10分ほどで荷物チェックのテントに到着。道いっぱいでもゆっくりでも行列が動いていれば、あまり気にならないものですね

そのすぐ後には、ボディチェックも待ってます。

さあそこからが大変。まったく動かない状態で待ったのです!坂下門に入るまで20分以上もかかったでしょうか。
皇居内に入ると、人は多いのですが思いがけずゆっくりと紅葉を鑑賞できます。やはり石垣を背景にするとすてきですね。

今回は二つの行き方があったのです。坂下門からすぐに右折して大嘗宮正面にアプローチしてゆく道と、しばらく直進してから右折、大嘗宮の裏から遠回りして正面へ向かう道。サクラの時とモミジの時を共に楽しみたいという思いから。当然遠回りをチョイス。

道幅いっぱいでしたが皆さんがゆっくりした足取りだったので、特に混乱もなく、坂道を登ります。突如出現した温かみのある木造のシンプルな建物。ここは大嘗宮の一番北にあって廻立殿(かいりゅうでん) という沐浴着替えの建物とか。

廻立殿を見ながら、大嘗宮の西側を進みます。ようやく正面が見えるところまで行って仰天。ほとんど動かない人の列、というか固まり。

慌てて係の方に聞いてみました。
「ここから並んでどのくらいかかりますか?」
「2時間くらいでしょうか?」
即刻予定変更。裏からと横から見たのでよしとしました。それよりもせっかく皇居東御苑まで来てるのですから、二の丸庭園のもみじを見た方が楽しい!
昭和天皇が武蔵野の風情を残されたといわれる二の丸雑木林。

温かく穏やかな日でしたから、二の丸庭園の池は鏡のようでした。江戸時代初期の小堀遠州作庭の池(昭和期に復元)にモミジと高層ビルが映り込んでいました。

琴柱灯篭も印象的。人はいましたが気になるほどではなく、東京の真ん中の紅葉狩りを堪能しました。

大手門から出て、東京駅を抜けて東京日本橋歯科へ行くというのは最初から決めていたコースでした。出口に三の丸尚蔵館がありますから、このコースをとるときは必ず寄ります。

いつもはひっそりしたものですが、ここは大混雑でした。

家を出たのが9時前。坂下門前に並んだのは11時頃。門内に入ったのは11時半すぎ。大手門を出たのは13時半。予約時刻は15時半。遅めのランチをして、手紙二通書いて、日本橋郵便局で投函し治療していただきました。
ちなみに一日の歩数13,933歩!楽しい一日でした。



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